【ペコちゃんとコラボ】サーティーワンアイスクリームの人気と戦略

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目次

アイスクリームが売れる時期

季節による需要の変動

日本のアイスクリーム市場は、一年を通じて需要が大きく変動するという特徴を持っています。

特に、気温が上昇する夏の時期に消費が集中するのは、誰もが経験的に理解できることでしょう。

この季節変動は、業界全体のビジネスモデルに大きな影響を与えています。

夏のピーク時と売上

具体的な数字を見ると、その変動の大きさが明らかになります。

7月から8月にかけての夏のピーク時には、冬場と比較して家庭でのアイスクリーム購入金額が約3倍にまで跳ね上がります。

この劇的な売上増加は、気温とアイスクリームの消費に明確かつ強い相関関係があることを裏付けています。

実際に、ある調査では、多くの消費者がアイスクリームを「30度くらい」の気温で最も美味しく感じると回答しており、この感覚的なデータも市場の動きと一致しています。

「通年スイーツ」としての定着

しかし、興味深いことに、冬場にアイスクリームの需要が完全になくなるわけではありません。

日本では暖房が効いた暖かい部屋でアイスクリームを食べるという、日本独自の文化が定着しています。

そのため、アイスクリームはもはや「夏限定の食品」という枠を超え、「夏がピークの通年スイーツ」として広く認識されるようになっています。

この市場の変化は、企業が年間を通じて売上を確保するための新たな機会を生み出しています。

アイスクリームを購入する消費者心理

消費者の購買行動についても、非常に興味深いデータがあります。

ある調査によると、アイスクリームを購入する際に「いつも同じものを選ぶ」と回答した人が全体の67.7%に達しており、特に男性にこの傾向が強いことがわかっています。

この結果は、消費者が「慣れ親しんだ味」や「間違いのない信頼感」を非常に重視していることを示しています。

アイスクリームの売れ筋ランキング

この心理は、実際の売れ筋ランキングにも如実に現れています。

上位を占めるのは、1位「エッセルスーパーカップ」(1994年発売)、2位「ジャンボモナカ」(1972年発売)、3位「パピコ」(1974年発売)など、発売から何十年も経ったロングセラー商品ばかりです。

新商品がこれらの牙城を崩すことは極めて困難な状況となっています。

これらの商品が長く愛され続けるのは、消費者が新しい商品を試すリスクを避けて、確実に満足できる既知の商品を選ぶ傾向が強いためです。

他業界との共通点

この「よく知っているものを選ぶ」という心理は、アイスクリーム業界に限ったことではありません。

たとえば不動産を探す際にも、多くの人が「ホームズ」や「SUUMO」といった知名度の高いサイトを利用します。

これは、実績、知名度、そして良い口コミという三つの要素が揃うことで、消費者が安心して商品やサービスを選択できるようになるからです。

一度良い経験をすると、次回も同じ選択をするという好循環が生まれるのです。

サーティワンの売上データがすごい!

安定した年間売上

サーティワンの2024年度の通期売上は約307億円に達し、四半期ごとの売上を見ても、夏場(7〜9月)が年間で最も大きい時期であることは変わりませんが、それ以外の四半期も極端に落ち込むことなく、比較的安定した売上を維持していることがわかります。

これは、偶然の産物ではなく、同社が長年にわたり築き上げてきた、季節に左右されない強固なビジネスモデルの成果と言えます。

拡大を続ける市場全体

サーティワンの安定性は、彼ら自身の戦略だけでなく、日本のアイスクリーム市場全体が成長していることも背景にあります。

2024年度の販売実績は過去最高の6,451億円を記録し、販売数量も前年比で103.1%と順調に成長を続けています。

これらの数字は、アイスクリーム市場が一時的な流行ではなく、より安定した成長軌道に乗っていることを示しています。

サーティワンの戦略

このような市場環境の変化をいち早く捉え、世界最大級のアイスクリームチェーンである「サーティワンアイスクリーム」は、非常に巧妙なマーケティング戦略を展開しています。

彼らは、夏に集中する自然な需要を最大限に活用しつつ、同時に冬場を含むオフシーズンの需要を維持・拡大するための多角的な工夫を凝らしています。

キャラクターとのコラボレーション戦略

サーティワンが最も力を入れている戦略の一つが、有名キャラクターとのコラボレーションです。

「名探偵コナン」「スーパーマリオ」「ポケットモンスター」「映画ドラえもん」「ハローキティ」といった、幅広い世代に愛されるキャラクターと協力し、期間限定の特別なフレーバーや商品を展開しています。

これらのコラボは、単なる一時的な話題作りに留まりません。

SNSでの拡散効果を狙った戦略的な取り組みであり、キャラクターの持つ高い認知度と親しみやすさを利用することで、季節に関係なく消費者の購買意欲を効果的に刺激することに成功しています。

「バラエティボックス」の販売

また、冬場の売上確保に不可欠な商品として「バラエティボックス」があります。

これは、消費者が好きなフレーバーを4個、6個、8個、12個と選んでまとめて購入できる商品です。

冬は外出の機会が減り、家庭で過ごす時間が増える傾向にあるため、家族や友人とアイスをシェアするニーズが高まります。

バラエティボックスは、一度の来店で複数のフレーバーを楽しみたいという消費者の心理に完璧に応える商品であり、まとめ買いによる価格的なメリットも提供することで、冬場の需要を力強く支えています。

サーティワンの最新の取り組み:ペコちゃんとのコラボレーション

サーティワンの最新の話題は、不二家の人気キャラクター「ペコちゃん」とのコラボレーションキャンペーン「PEKO with ICE CREAM」です。

今年75周年を迎えるペコちゃんとサーティワンが、2025年9月4日から9月30日までの期間限定で実施している企画です。

このキャンペーンは、夏の需要が落ち着き始める時期に、新たな話題と購買意欲を創出することを目的としています。

期間限定の特別フレーバー

このキャンペーンのために、2つの特別なフレーバーが開発されました。

どちらも不二家の「ミルキー」の風味を巧みに生かしたユニークな商品です。

ミルキー ミルキー

「ミルキー ミルキー」は、不二家の代表的なお菓子「ミルキー」をアイスクリームで忠実に再現したフレーバーです。

このフレーバーは、コク深いミルキー風味のアイスクリームと、すっきりとしたミルクの味わいが特徴のシャーベットの2種類を組み合わせています。

さらに、バターオイルを隠し味として加えた甘いミルキー風味のリボンがとろりとかけられており、アイスクリームシャーベット、リボンの三位一体で、まるで本物のミルキーを食べているかのような、優しい幸せな味わいを実現しています。

ポッピングミルキー

もう一つの特別フレーバーが「ポッピングミルキー」です。

これは、サーティワンで大人気の「ポッピングシャワー」と「ミルキー」を組み合わせた、まさに夢のようなコラボレーションです。

ポッピングシャワーの特徴である、口の中でパチパチとはじけるポップロックキャンディはそのままに、通常のミント風味の部分をピンク色に変身させています。

そこにミルキー風味のアイスクリームと甘いリボンを合わせることで、見た目も可愛らしく、食感も楽しい新しいフレーバーが誕生しました。

コラボ限定商品

今回のキャンペーンでは、特別フレーバー以外にも、ファンにはたまらない限定商品が多数用意されています。

ペコちゃん&ポコちゃん ダブルカップ

「ペコちゃん&ポコちゃん ダブルカップ」は、ペコちゃんとポコちゃんの特別デザインがあしらわれた限定カップで提供される商品です。

この可愛らしいデザインは、アイスクリームをより一層楽しく、特別なものにするための工夫であり、多くのファンの心を掴むための重要なアイテムと言えます。

ペコちゃん 生ミルキーサンデー

「ペコちゃん 生ミルキーサンデー」は、北海道産の練乳と生クリームを使って作られた特別な「生ミルキー」を味わえる、非常に贅沢なサンデーです。

ミルキーの風味をさらにリッチに、そして冷たいサンデーとして楽しむことができます。

ペコちゃん&ポコちゃん アイスクリームセット

「ペコちゃん&ポコちゃん アイスクリームセット」は、8個のアイスクリームがセットになった、お得で魅力的な商品です。

このセットには、キャンペーン限定のオリジナルデザインの巾着ランチバッグと、ペコちゃんの顔がプリントされた保冷剤が付いてきます。

友人や家族との集まりでシェアするのに最適な商品として、人気を集めています。

まとめ

このように見てくると、サーティワンの成功は、単なる偶然ではなく、緻密に計算された戦略的な取り組みの結果であることがわかります。

彼らは、夏場の自然な需要増加を最大限に生かしつつ、キャラクターコラボレーションやバラエティボックスといった多角的な戦略を展開することで、季節を問わず安定した売上を確保しています。

これらの取り組みが相互に作用することで、季節変動の大きいアイスクリーム市場において、確固たるビジネスモデルを築き上げ、成長を続けているのです。

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