生チョコとは|発祥起源と名前の意味・由来【なぜ生と呼ぶ】

目次

生チョコとは

生チョコとは、外側をチョコレートでコーティングせず、中身だけで作られた四角いサイコロ形のチョコレート菓子です。

一般的なチョコレートと違い、口に入れると体温でふわっと溶け出すなめらかな食感が特徴です。

この独特の口どけから、「生チョコ」という名前がつけられました。

カカオ本来の風味をダイレクトに楽しめるため、贅沢なスイーツとして幅広い層から支持されています。

生チョコの発祥起源

時期はバレンタインブーム

生チョコが誕生した背景には、1980年代後半から1990年代初頭にかけて盛り上がったバレンタインブームがありました。当時、各菓子メーカーはトリュフチョコレートやボンボン・オ・ショコラなど、さまざまな工夫を凝らした商品を次々と発売していました。ボンボン・オ・ショコラとは、一粒サイズのチョコレート菓子を指し、さまざまな味のバリエーションを楽しめるのが特徴です。義理チョコやパロディーチョコも流行し、バレンタイン市場は大きく活気づいていました。

生み出したのは洋菓子店「シルスマリア」

そんな中、神奈川県平塚市にある「シルスマリア」という洋菓子店が新たな提案をしました。「公園通りの石畳」という名前のチョコレートです。この商品は、外側にコーティングがなく、中身だけで勝負する新感覚のチョコレートでした。四角いサイコロのような形と、驚くほどなめらかな口どけが話題を呼び、瞬く間に人気となりました。この「公園通りの石畳」が、後に「生チョコ」と呼ばれるチョコレートブームの火付け役となったのです。

生チョコブーム到来

シルスマリアの「公園通りの石畳」は、その新鮮な食感と味わいで瞬く間に人気を集めました。

この革新的なチョコレートは「生チョコ」と呼ばれるようになり、多くの消費者の注目を集め、多くの菓子店やメーカーが類似の商品を発売するようになりました。「どこそこの石畳」という名前の商品が次々と登場し、どこのお店が本家本元なのかという議論も巻き起こりました。

しかし、業界の中では「シルスマリア」が生チョコの元祖であるとの認識が広まっており、新しい市場を切り拓いたシルスマリアの功績は、同業者からも高く評価されました。

「生チョコ」という名前の意味・由来

なぜ「生」と呼ぶのか

生チョコという名前は、外側に固いチョコレートのコーティングがないため、通常のチョコレートよりも柔らかく、生っぽい印象があることに由来しています。確かに、一般的なチョコレートに比べると非常に柔らかく、指で触れるとすぐに形が崩れるほどのデリケートさです。食べた瞬間にとろけるその食感が、「生」という言葉と自然に結びついたと考えられています。ただし、厳密に定義されたものではなく、当時の人々の感覚から生まれた表現だといえるでしょう。

「生チョコ」という言葉の影響

「生チョコ」という言葉には、特別感や贅沢感を連想させる効果があります。生クリームや生パスタのように、「生」という言葉は新鮮さやプレミアム感を訴える力があるためです。このネーミングが消費者に強く響き、結果的に商品の人気を押し上げる大きな要因となったのでしょう。今では生チョコというジャンルが定着し、多くのブランドや店舗で定番商品として扱われています。

生チョコから生まれた新しい商品

明治製菓が生チョコを商品化

生チョコのブームから数年後、1992年に明治製菓(現・株式会社明治)が「メルティーキッス」という商品を発売しました。この商品は、生チョコの特徴を活かしながら、さらに工夫を加えた冬季限定チョコレートです。メルティーキッスは、通常のチョコレートよりも5度低い、23度で溶け始めるよう設計されています。これにより、冬の寒さの中でも口に入れた瞬間にとろける特別な食感を楽しめる仕様になっています。

メルティーキッスの発売

発売直後から、メルティーキッスは爆発的な人気を集めました。口の中で優しく溶けるその感覚は、従来の市販チョコレートとは一線を画しており、多くのスイーツファンの心をつかみました。冬季限定という販売スタイルも特別感を演出し、リピーターを増やす要因となっています。

生チョコが与えた日本のチョコレート文化への影響

生チョコの登場は、日本人のチョコレートに対する味覚の幅を大きく広げました。それまでのチョコレートは「固くて甘い」ものが主流でしたが、生チョコによって「なめらかでとろける」という新しい楽しみ方が加わりました。この変化は、消費者の嗜好を多様化させ、結果として高品質なカカオを使用したチョコレートや、口どけにこだわる商品が増えるきっかけにもなりました。

手作り文化にも影響

生チョコの人気は家庭での手作りスイーツブームにも影響を与えました。比較的シンプルな材料と手順で作れるため、バレンタインデーの手作りチョコレートとしても任意があります。

基本的な材料はチョコレートと生クリームだけです。チョコレートを湯煎で溶かし、温めた生クリームと混ぜ合わせます。その後、冷蔵庫で冷やし固め、適当な大きさに切り分けてココアパウダーをまぶせば完成です。

プロが作る生チョコはより複雑な工程を経ていますが、生チョコレシピは今でも人気があり、子どもから大人まで楽しめるスイーツ作りの定番となっています。

まとめ

<p>生チョコは、1980年代のバレンタインブームの中から生まれた、革新的なスイーツです。神奈川県平塚市の「シルスマリア」が生み出した「公園通りの石畳」がきっかけとなり、全国にその人気が広がりました。外側のコーティングを持たず、なめらかな口どけを楽しめる生チョコは、「生」という言葉のもつ特別感と相まって、多くの人々に愛される存在となりました。現在でもその人気は衰えることなく、日本のチョコレート文化に大きな影響を与え続けています。

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