子供をどのようにサポートすればいいか悩む親は多い。
しかし子どもは小学生のうちに最大限のサポートをしなければ、せっかくの成長の機会を減らすことになるだろう。
サポートには適切な距離感が重要だ。過干渉型は子供の自主性を奪い、放任型は変化をもたらさない。
親は子供に具体的な目標を提示して努力の方向性だけを示し、あとはある程度、子どもに任せて自主性を育むべきだ。
親子で同じ目標を持ち、真剣に話し合う場を定期的に作ろう。
また、モチベーションの維持には勝敗よりも成長に焦点を当てて実感してもらうことが重要である。
子どもだけでなく親も学んだことは実践し続けて、親自身が変わることが子供の成長に繋がる。
子どもの幼少期こそ上達のチャンス
サッカーを習わせたいけれど、どうサポートすればいいのか悩んでいる親御さん。
もしくは既にサッカーをさせており、子どもの上達を見たいけれど、どの方法も効果がなくてモヤモヤしている親御さん。
今、この悩みを悩みのまま放置してしまうと、親の話を聞いてくれる小学生時代の成長チャンスを逃してしまう可能性があります。
そのため幼少期のうちこそ、親として最大限のサポートを提供することが重要です。
子どもの上達をサポートするために
この記事では、子どもが上達するために実際に行っている親のサポート方法を紹介します。
これにより何をすべきかが明確になり、子どもの成長をしっかりとサポートするための具体的なアクションを見つけることができます。
子どものサッカーの上達を願う全ての親御さんに、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
子どもの成長と共に、親自身も成長していきましょう。よろしくお願いいたします。
サッカーが上手な子どもに育てる方法
1.適切な距離感で接する
上達する子どもの親が実践していることの一つは適切な距離感でサポートすることです。
「適切な距離感ってどういうこと?」と思う方もいるでしょう。
具体的にどこまでサポートすれば良いのかを説明しますのでご安心ください。
適切な距離とは?
過干渉も放任も避けたいところですが、どのような距離感で接するのが良いのでしょうか?
結論としては、お子さんの目標や方向性を明確にするところまで関わってあげることが大切です。
目標を明確にしてあげるメリット
- 今からシュートを頑張る
- 今からドリブルを頑張る
- 今から守備を頑張る
例えば上記のような具体的な目標を設定してあげると良いでしょう。
方向性を明確にすることで、お子さんの自主性を養うことができます。
何を頑張るのかが明確になることで、努力しやすくなります。
さらに、親から教えてもらう知識や経験だけでない、自分のアイデアも自然と考えられるようになります。
目標があると上達する理由
「次の試合では頑張ってくる」と漠然と思うよりも「この試合ではシュートを頑張る」と具体的に思う方が、上達していける選手に育っていきます。
お子さんは本来好奇心旺盛で承認欲求もあるので、やるべきことが明確であれば積極的にプレイしてくれるでしょう。
「シュートを頑張る」と決めた場合、「シュートを打つためにはボールをもらう動きを良くしないといけない」といった具体的な考えや行動に繋がります。
これこそが自主性です。
このようにして自主性を養うことで、大人になっても生きる問題発見能力や問題解決能力も育まれます。
目標が決まっていないとどうなる?
積極的にプレイできない子は、何を頑張るのかが明確でないためにそれを表現する方法に迷ってしまうだけです。
しかし、方向性を決めてあげると、人間は自然とどうするのかを考えるようになります。
まずは、何を頑張るのかを明確にしてあげるところまで、親御さんが関わってあげてください。
子どもの上達を妨げる距離感
多くの親御さんが陥りがちな過干渉型と放任型の二つのタイプがあります。
過干渉型はコーチのように振る舞い、放任型は全てをコーチに任せてしまうことです。
どちらも過剰になるとお勧めできません。それぞれの理由を詳しく説明していきます
過干渉なサポート
過干渉型のサポートは子どもの自主性を奪い、親の知識や経験以上の成長を妨げるためお勧めできません。
そもそもサッカーの技術指導は人生においてそれほど重要でしょうか?
プロサッカー選手になれるのは数千人に1人で引退の平均年齢は26歳。
つまり、ほとんどの子どもはプロになれず、プロになっても短いキャリアです。
それなら、子どもの自主性を奪ってまで親が技術を教えることが本当に良い環境と言えるでしょうか?
「コーチの知識や経験以上の子どもにはならない」という言葉があります。
親がコーチのように技術指導しても、知識が乏しいとそれ以上の成長は望めません。
だから、過干渉型のサポートはお勧めしません。
放任型のサポート
それでは「とにかく見守るだけでいいの?」と思うかもしれませんが、放任型もお勧めしません。
放任型をお勧めしない理由は放っておいても何も変わらないからです。
見守るというと聞こえは良いかもしれませんが、それはある意味でサポートを放棄しているとも言えます。
1週間、2週間、1ヶ月と見守ってもほとんどの選手に変化がないのではないでしょうか。
2.成長をほめる
お子さんのサッカーの上達をサポートするなら、勝敗ではなく成長に目を向けることが大切です。
当たり前と思うかもしれませんが、なぜ成長に目を向けるべきかご存知でしょうか?
「勝ち負けが全てではないから」
「他人と比較しない方がいいから」
そういった理由を答える方もいますが、本質はモチベーションの維持にあると考えます。
成長に焦点を当てることで、お子さんは自分の進歩を実感し、やる気が出せるのです。
これによりサッカーの技術だけでなく、自己成長の喜びも感じられるようになります。
勝敗よりも成長に目を向けよう
多くの親御さんは「勝利体験を増やして自信をつけさせたい」と考えるでしょう。
しかし、実はこれが大きな間違いです。
自信を付けさせるのにも、重要なのは勝利よりも成長です。
勝負に勝ってモチベーションが上げるというのも、勝利によって成長を実感することで、お子さんは自信を持ち、さらに努力を続けようと思えるのです。
成長に目を向けるメリット
過去の自分よりも成長して得た自信とモチベーションは失いにくいものです。
他人と比較するのではなく、過去の自分や成長した自分を基準にすることで、普遍的な自信を持つことができます。
勝敗ではなく成長に目を向け続けることでお子さんは自信を持ち、モチベーションが上がり、積極的にサッカーに取り組む姿勢が育まれます。
勝敗を軸に褒める危険性
誰かに勝つことで得た自信は負けた瞬間に崩れてしまいます。
「〇〇君に勝った!もっとやりたい」という気持ちが分かるなら、「〇〇君には負けるから勝負したくない」という気持ちも、想像できますよね?
- 〇〇君に勝てたから自信を持って
- 〇〇君よりもうまいから大丈夫
このような言葉は避けましょう。
勝利体験=意味なしではない
勘違いしないでいただきたいのは、成功体験が不要というわけではないということ。
成長体験で自信とモチベーションを上げつつ、時には突発的な勝利体験もモチベーションを爆上げしてくれる要因の一つです。
9割の成長体験と1割は勝利体験。
このバランスを意識することでお子さんはより健全に成長し、やる気を持続させることができるでしょう。
3. 子どもと目線を合わせる
お子さんのサッカーの上達をサポートする際、親子で目線を合わせることが重要です
「普通のこと」と思うかもしれませんが、親子で同じ目標に向かって頑張ることで、お子さんは上達しやすくなります。
例えば、お子さんがシュートを頑張っているのに、親御さんがドリブルを頑張れと言っていると、目線が異なり上達しづらくなります。
親子で同じ目標を共有し、一緒に取り組むことで、お子さんの成長をサポートしましょう。
目標を一貫させよう
お子さんと目線を合わせるなら、目標を一貫させることも重要です。
今日はドリブル、明日はシュート、明後日は守備といったようにバラバラな目標を設定すると、なかなか上達しません。
そして、毎日違う目標を与えられることで、子どもはいつも今は何を頑張ればいいのか混乱してしまいます。
それよりも「まずはドリブルを1ヶ月間頑張る」といった形で常に同じ目標を立てているほうが、子供も頑張りやすく、保護者もサポートしやすくなると思いませんか?
一貫した目標を持つことでお子さんは集中して取り組むことができ、効率的にスキルを向上させることができます。
4.子どもと真剣に話す場をつくる
お子さんのサッカーの上達をサポートする際、真剣に話す場を作ることが重要です。
子供と話すことは誰でもしていると思いますが、ここで言いたいのは、真剣な場で話し合っているかどうかです。
上達しない会話
帰りの車の中で「うまくなりたいの?」と聞いて「うまくなりたい」と答えたとしても、それだけでは行動は変わりません。
例えば、上司と喫煙ルームで立ち話をして「今度飲みに行くか」と言っても実際には行かないことが多いですよね?
子供も「自主練習したらどう?」と聞かれて「やるわ」と答えるのは社交辞令のようなものです。
上達する会話
理想としては1週間に1回、難しければ2週間に1回でも構いません。
真剣な場で話し合うことでお子さんの目標や進捗を確認し、成長を実感させることができます。
具体的に何を話すのかは以下の3点です。
目標の進捗 | お子さんが設定した目標に対して、どれだけ進んでいるかを確認しましょう。 |
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成長したこと | お子さんが成長した点を具体的に褒めてあげましょう。小さな進歩でも認めることで、自信とモチベーションが高まります。 |
これから何を頑張るのか | 次の目標や取り組むべき課題を一緒に考えましょう。お子さんが自分で考え、決定することで自主性が養われます。 |
目標の進捗だけを聞いて「まだ達成できていないからもっと頑張りなさい」と言うだけでは逆効果になってしまいます。
モチベーションを上げるためには、成長の実感が大切だからです。そしてこれから具体的に何を頑張るのかを明確にしないと頑張れなくなってしまいます。
良い目標の決め方
お子さんのサッカーの上達をサポートする際、具体的な目標設定が重要です。
例えば「シュートを1日1本打つ」と決めることは悪くありませんが、そのために何を頑張ればいいのかが分からないと、なかなか取り組めません。
- シュートを打つためにドリブルを頑張る
- シュートを打つためにボールを受け取る動きを練習する
- シュートを打つために正確なキックのフォームを確認する
このように具体的なステップを設定することで、お子さんは目標に向かって努力しやすくなります。
5.学んだことを実践する
今ではたくさんの情報が無料で手に入る素晴らしい時代ですが、その中で差がつくのは、学んだことを実践し続けているかどうかです。
- 子育てに関する本を読んだだけで全く実践していない
- ダメ出しをしないと決めたけれども1週間と立たずに元通り
- 子供の自主性を引き出そうとしてみたけれども2週間後には結局親が主導になっている
例えば、上記のような経験はありませんか?
これらの経験は誰にでもあることですが、上達している子供の親は、しっかり学んだことを実践し続けることで、周りと差をつけています。
人はすぐには変わらない
1週間や1ヶ月程度で劇的に変わることは期待しないでください。
人間の成長は短期間で突発的に起こるものではありません。
あなたが成長した時を思い返してみてください。
短期間で飛躍的な成長を遂げた経験は少ないのではないでしょうか?
おそらく「あの半年間があったから成功できた」とか「あそこで経験した3年間は今の自分を作っている」といったように、半年以上の経験が成長の基盤となっていることが多いと思います。
中長期的なスパンで実践し続けよう
人は短期間での変化を期待するのではなく、中長期的な視点で見守ることが大切です。
多くの保護者の方が、たった1日や1週間での変化を望む気持ちは理解できますが、人間の成長はそんなに簡単ではありません。
とにかく学んだことを実践し続けて、その継続は半年から1年のスパンで考えてみてください。
6.自分自身が変わろうとする
自分の子供であっても、どこまで行っても他人です。
人を変えようと思うなら、自分が変わるしか方法はありません。
根本的な関わり方を変えようとする保護者の方が、お子さんの成長を掴み取っています。
逆に、今まで通りの関わり方を続けていると、半年や1年と同じことで悩み続けることになります。
- サッカー経験者だからといって10年以上前のサッカー知識を伝えるだけでは変化がない
- YouTubeで調べた練習メニューを強制的にやらせてずっと自主性を奪っている
- 分からないけれど適当にアドバイスしているがそれが正しいか不安でいつまでもアドバイスが曖昧
例えばこのような関わり方を続けていると、上達しないお子さんを見てイライラし、帰りの車の中でさらにダメ出しを続け、楽しいはずのご飯がお葬式状態になってしまうこともあります。
子どものサポートは大変ですよね
子供のサッカーのサポートは送迎や洗濯、土日が潰れたりお金がかかったり、保護者間の面倒な関係性もあり、本当に大変です。
その中で懸命にサポートをしようと調べているあなたは熱い気持ちを持っている方と思います。
むしろその熱い気持ちがなければ、子供のサッカーのサポートはきっとできません。
ただし、その熱い気持ちが間違った方向に行っていないかを考えてみてください。
その熱い気持ちを正しい方向に持っていくことでお子さんが成長します
まずは保護者である自分が変わるというマインド、子供を変える前に自分の関わり方を考えることが大事です。