フィナンシェはフランス生まれの焼き菓子です。
外はカリッと香ばしく、中はしっとりとした食感が特徴で、日本でも幅広く親しまれています。
その名前には、ただの響き以上に、ユニークで奥深い由来が隠されています。
実は、「フィナンシェ(financier)」という名前は、フランス語で「金融業者」や「投資家」といった意味を持ちます。さらに、フィナンシェの形も“金の延べ棒”にそっくりです。
このことは、フィナンシェの名前や形の由来と深く関係しています。
フィナンシェとは?
フィナンシェは、アーモンドパウダー、卵白、バター、小麦粉、粉砂糖などを使って作る焼き菓子です。
材料はシンプルですが、香ばしくリッチな風味があり、贅沢なおやつとして人気があります。
特に、バターを焦がして作る「ブラウンバター(ブール・ノワゼット)」を使うことで、ナッツのような香りが引き立ちます。
形は長方形が一般的で、小さくて持ちやすく、食べやすいサイズになっています。
フィナンシェの名前の由来
「フィナンシェ(financier)」という言葉は、フランス語で「金融家」や「投資家」を意味します。
この名前がついた背景には諸説ありますが、19世紀のフランス、パリの金融街にある洋菓子店が関係しています。
金融街で生まれたお菓子
この菓子は、パリ証券取引所の近くにある「ラザール(Lasne)」というパティスリーで考案されたと言われています。忙しく働くビジネスマンが、スーツを汚さず、片手でサッと食べられるように作られました。
顧客に合わせた名前
当時の主な顧客は、金融業界で働く人たち。そこでこのお菓子は、彼らを象徴する「フィナンシェ」という名前で呼ばれるようになったのです。おしゃれで実用的なデザインと名前がうまく結びついています。
フィナンシェの形の由来
フィナンシェの形が金の延べ棒(インゴット)にそっくりだと思ったことはありませんか?
これは偶然ではなく意図的にそうデザインされたと言われています。
金のような見た目
長方形の型で焼かれたフィナンシェは、こんがりとした黄金色に仕上がります。
ブラウンバターを使うことで、表面は香ばしく、色もまるで金のように輝きます。
見た目にも高級感があり、金融業界とのイメージと重なります。
フィナンシェの発祥起源
現在のようなフィナンシェは、19世紀後半のパリで広まったものですが、17世紀にフランスの修道院で作られていた「ヴィジタンディーヌ(Visitandine)」という菓子が原型とされる説もあります。
ただし「ヴィジタンディーヌ」は丸い形をしており、名前もデザインが違います。
となれば、ヴィジタンディーヌから名前・形・用途を工夫して誕生したのが今のフィナンシェだと考えられています。
現代のフィナンシェはどんどん進化中
形のバリエーション
伝統的な金塊型以外にも、現在ではさまざまな形のフィナンシェが見られます。
- 円筒形
- 貝殻型(マドレーヌに近い形)
- ミニサイズの楕円形
- 季節やイベントに合わせたオリジナル型
味のバリエーション
アーモンド風味が定番ですが、現代ではさまざまなフレーバーが楽しまれています。
日本でも人気のお菓子に
フィナンシェは、1980年代以降、日本でも本格的に広まりました。現在では洋菓子店はもちろん、百貨店やコンビニでも販売されています。
特に日本では、抹茶、黒豆、ゆず、桜など、和の素材を取り入れたオリジナルのアレンジが多く見られますね。季節限定商品も多く、日本ならではの楽しみ方が広がっています。
まとめ
フィナンシェという名前と金塊のような形には、パリの金融街で生まれた背景が色濃く反映されています。
金融業者が片手で食べられるように作られたという実用的な工夫と、金塊のような見た目が、「お金」と「富」を象徴する存在になりました。
現在では味や形も多様化し、世界中で親しまれる焼き菓子ですが、その名前に込められたストーリーを知ると、より一層味わい深く感じられるのではないでしょうか。