世界一大きなチョコレート看板「ビッグミルチ」とは
大阪府高槻市にある明治株式会社 大阪工場には、まるで巨大なチョコレートそのもののような看板が設置されています。
この看板の名前は「ビッグミルチ」。
実際はプラスチック製の装飾看板で、当然ながら本物のチョコレートではありません。
正式に「世界最大のプラスチック看板」としてギネス世界記録にも認定されている、非常に大きな広告看板です。
JR京都線の電車に乗って、高槻駅から摂津富田駅のあいだを通過すると、その姿を目にすることができます。
突然、目の前に巨大なチョコレート板のような看板が現れるため、多くの人が驚き、思わず目を奪われるでしょう。
ビッグミルチの基本情報
正式名称 | ビッグミルチ |
設置場所 | 明治 大阪工場(大阪府高槻市) |
サイズ | 高さ27.6メートル × 幅165.9メートル |
ギネス認定 | 世界最大のプラスチック看板(2012年) |
看板の大きさの例え | 明治ミルクチョコレート約38万枚分 |
設置日 | 2011年(工場リニューアルにあわせて) |
素材 | 特殊なプラスチック(耐久性・耐候性に優れる) |
このサイズは、ビルに換算すると8階建て相当にもなります。横幅は約165メートルと、サッカー場1面分以上の長さです。
もともとは工場の外壁を飾る看板として設置されましたが、そのインパクトからSNSなどで話題となり、今では高槻市を代表するランドマークとして知られるようになりました。
観光地ではありませんが、チョコレートや広告に関心のある人、鉄道好きの人々の間でも人気があり、電車の車窓から「ビッグミルチ」を見ようと高槻周辺を訪れる人もいます。
ビッグミルチの技術的な特徴
巨大なパネルの組み合わせ構造
ビッグミルチは一枚の板ではなく、複数の中型パネルを組み合わせて構成されています。一見すると巨大な一枚板のように見えますが、裏側では綿密に設計された組立構造が全体を支えているのです。
この構造によって、パネルごとの交換や修理が可能となり、長期的な維持管理がしやすくなります。また、強風や振動に対しても柔軟に対応でき、安全性の向上にもつながっています。
夜間も目立つライトアップ設計
夜になるとビッグミルチには照明が灯り、看板全体を明るく浮かび上がらせます。このライトアップは視認性を高めるための工夫であり、遠くからでも「ミルチ」の文字がはっきり見えるように設計されています。
使用されているのは省エネ性能に優れたLED照明です。照度を確保しながら電力消費を抑え、環境負荷の軽減にも貢献しています。夜間の存在感も失わず、広告としての効果を発揮し続けます。
点灯時間は季節や日によって変わることがあるため、夜間見学を希望する場合は日没前後を狙うと安心です。
台風や強風にも耐える構造設計
関西は台風の通り道となる地域でもあり、ビッグミルチには高い耐風性能が求められます。そのため、設計段階で風洞実験が実施され、強風時の揺れや風圧への対応が検証されています。
使用されているフレームや支柱、パネル素材はいずれも耐候性・耐久性の高いものが選ばれ、暴風雨や直射日光といった過酷な条件にも耐えることができます。安全性を最優先に考えた設計です。
長期間美しさを保つメンテナンス体制
ビッグミルチはただの看板ではなく、地域のランドマークとして親しまれている存在です。その美観を維持するために、定期的なメンテナンスが行われています。
専門スタッフが表面の汚れを洗浄し、パネルのゆるみやサビなども点検します。さらに、紫外線や雨風から保護するための耐候性コーティングも施されており、色あせや劣化を防ぎます。
設置から10年以上が経過しても、なお美しい状態を保っているのは、この丁寧な手入れの成果です。
ビッグミルチの名前の由来
「ビッグミルチ」という名前は、明治のロングセラー商品明治ミルクチョコレートの社内での愛称「ミルチ」から来ています。
この呼び名に「ビッグ(大きな)」を加えたことで、「大きなミルクチョコレート」=「ビッグミルチ」という、親しみやすく覚えやすい名前になりました。
ビッグミルチがつくられた背景
工場リニューアルとともに誕生
「ビッグミルチ」は、明治大阪工場のリニューアル計画の一環として誕生しました。
この工場は1972年から稼働しており、多くの菓子製品を製造してきましたが、2010年から本格的な再整備が始まりました。
このリニューアルでは、最新の設備導入だけでなく「地域や社員、訪れる人々に強く印象を与える象徴的な存在をつくりたい」という想いが社内にありました。
そこで登場したのが明治の代表的商品である「ミルクチョコレート」のパッケージを巨大な看板にしたらどうかというアイデアです。
この構想は「遊び心」と「ブランドイメージの強化」、そして「地域とのつながり」をテーマにしており、明治の挑戦的な企業姿勢を象徴するプロジェクトとして進められました。
安全性を重視した設計
巨大な看板であるビッグミルチは、幅約165メートル、高さ約25メートルという圧倒的なサイズを誇ります。これは通常の屋外看板とは比べものにならない規模であり、当然ながら安全性が最重要課題となりました。
設計段階では、特に強風や台風への耐久性が求められたため、風洞実験(ふうどうじっけん)と呼ばれる風の流れを再現する試験を実施。風の力がどのように看板にかかるかを事前に把握し、構造の強化が行われました。
また、材料選びにもこだわり、軽量かつ強度に優れたプラスチック素材が採用されています。看板の構造体を支えるフレーム部分にも特殊な耐震性・耐風性をもたせる設計が施され、施工に入るまでにおよそ6か月もの時間をかけて詳細な設計が進められました。
ギネス世界記録に認定
「ビッグミルチ」は、その完成後の2012年、「世界最大のプラスチック看板(The Largest Plastic Billboard)」として、正式にギネス世界記録に認定されました。
ギネス記録への挑戦は単なる話題性ではなく「どこにもない世界一の看板を作り上げることで、企業と商品の魅力をより多くの人に知ってもらいたい」という目的がありました。
認定時にはギネス公式の立ち会いのもと、看板のサイズや素材の種類、設置方法など細かく確認され、記録として登録されました。このことがニュースやSNSなどで取り上げられたことで「ビッグミルチ」の存在は一躍有名になり、高槻市を代表するランドマークのひとつとして認知されるようになりました。
ビッグミルチの観賞スポット
JR京都線の車内から(高槻駅〜摂津富田駅間)
JR京都線に乗車中、高槻駅を出て摂津富田駅へ向かう区間では、進行方向の右側(北側)にビッグミルチが現れます。
京都方面へ向かう電車の右側の窓際席に座っておくのがおすすめです。撮影目的の場合は朝方や夕方など光の向きが優しい時間帯に乗ると、より綺麗に写せるかもしれません。
名神高速道路からの眺め(大阪方面→京都方面)
名神高速道路を京都方面に走行中、高槻ジャンクションのあたりで道路の右手側にビッグミルチが登場します。遠くからでもその巨大さは際立ち、「一体何の看板!?」と思わず注目してしまうほどのインパクトです。
高速道路を走行中のため、運転中の方は注意。助手席や後部座席の同乗者が見るのが安全でおすすめです。通過する時間帯によっては、夕日に照らされたビッグミルチが幻想的に見えることもあります。
高槻市内の高台から
高槻市の北部エリアには、住宅地や自然に囲まれた見晴らしの良い高台が点在しています。そうした場所からは、市街地の風景とともに、遠くにビッグミルチの巨大な姿を確認することが可能です。
晴れた日や空気の澄んだ日は茶色と金色のパッケージがくっきりと浮かび上がり、まるで風景の中にポスターが貼られたかのような不思議な光景が広がります。
高槻市にある萩谷(はぎたに)や塚脇といった地区からの眺めもおすすめです。住宅街の散策中にふと見つけるビッグミルチは、ちょっとした“発見の喜びを与えてくれます。
安満遺跡公園(あまいせきこうえん)から探してみよう
高槻市の中心部にある安満遺跡公園は古代の遺跡を活かした広大な公園で、子ども連れのファミリーやウォーキングを楽しむ人々に人気のスポットです。
その北側のエリアからは運が良ければ遠くにビッグミルチが見える場所があります。
晴れた日には視界が開けるため、公園を散策しながら「どこに見えるかな?」とビッグミルチ探しをするのも楽しみ方のひとつです。
摂津峡公園展望台からの遠望
自然豊かなハイキングコースで有名な摂津峡公園(せっつきょうこうえん)の展望台からも、ビッグミルチを遠くに見ることができます。
山々や森林に囲まれた中で遠くにひときわ目立つビッグミルチの姿は、まさに“都市と自然の融合”を感じられる不思議な景色です。展望台からは高槻市街の全体像も見渡せるため、カメラや望遠レンズを持っての訪問がおすすめです。
ハイキングや散策を楽しんだ後に展望台から街並みを眺め「あ、あれがビッグミルチだ!」と見つける瞬間は、小さな感動を味わえるはずです。
ビッグミルチを撮影するコツ
タイミング
晴天の午前中は太陽の光が看板に直接当たり、チョコレートの艶やかな質感が際立ちます。特に日差しが斜めに差し込む時間帯は立体感のある写真が撮影しやすくなります。
望遠レンズの使用
遠くからでも看板の迫力を捉えるためには望遠レンズの使用がおすすめです。高台や公園などの離れた場所から撮影する際に効果的です。
車窓撮影時の工夫
JR京都線の車内から撮影する場合、ガラスの反射を避けるためにカメラのレンズを窓ガラスに密着させるとクリアな写真が撮れます。また、シャッタースピードを速めに設定することで電車の動きによるブレを防げます。
ズームアップ撮影
看板の巨大さを強調するために周囲の風景と一緒に撮影するのも効果的です。例えば手前に小さな明治ミルクチョコレートを置いて撮影するとサイズの対比が際立ちます。
ビッグミルチで開催されるイベント
工場創立記念日(6月15日)
この日には特別なライトアップが行われ、普段とは異なる色や演出を楽しむことができます。詳細は明治の公式サイトやSNSで事前に確認することをおすすめします。
夏休み期間
地域との交流イベントが開催されることがあり、チョコレートにちなんだ体験型イベントなどが実施される場合があります。家族連れで参加するのもいいかもしれません。
クリスマスシーズン
期間限定でクリスマスカラーの装飾やライトアップが登場します。夜に訪れると幻想的な雰囲気の中で看板を楽しむことができます。
その他、季節ごとの楽しみ方
春 | 新緑と青空を背景に、看板の色が鮮やかに映えます。 |
夏 | 空気が澄んでおり、特に早朝は爽やかな雰囲気で見やすいです。 |
秋 | 夕暮れ時には赤く染まった空と看板の茶色が美しいコントラストを生みます。 |
冬 | 空気が乾燥して澄んでいるため、遠くからでもはっきり視認できます。 |
ビッグミルチ周辺の観光スポット
摂津峡公園(せっつきょうこうえん)
摂津峡公園(せっつきょうこうえん)は、豊かな自然に囲まれた高槻市の人気スポットで、美しい滝や渓流が見どころです。春には新緑、秋には紅葉が楽しめるため、季節ごとに異なる景色を味わえます。公園内にはハイキングコースが整備されており、初心者でも歩きやすいのが特徴です。川辺ではバーベキューもでき、家族連れやグループでのレジャーにぴったり。自然に親しみながらリフレッシュできる、地元でも親しまれている憩いの場所です。
安満遺跡公園
安満遺跡公園は、古代の遺跡跡を活かして整備された都市型公園で、子どもから大人まで楽しめる多目的な施設です。園内にはすべり台やネット遊具などの大型遊具、広々とした芝生広場があり、小さなお子さんも安心して遊べます。また、歴史を学べる展示室や体験型イベントも定期的に行われており、遊びながら学べるのも魅力です。カフェや休憩スペースも整っていて、日帰りでのんびり過ごすのに最適な場所です。
今城塚古墳(いましろづかこふん)
今城塚古墳(いましろづかこふん)は、6世紀頃に築かれたとされる大王級古墳で、歴史好きには見逃せないスポットです。周囲には公園が整備されており、古墳の原寸大模型や、埴輪(はにわ)の展示がされていて、当時の様子をリアルに学ぶことができます。解説パネルやガイドマップもわかりやすく、小中学生の社会科学習にも適しています。広々とした園内は散歩コースとしても人気があり、文化と自然の両方を楽しめる場所です。
高槻市街地
高槻市街地は、交通アクセスが良く、買い物やグルメを楽しむのにぴったりなエリアです。駅前には大型ショッピングモールや個性的なカフェが並び、地元の食材を使った料理を提供する飲食店も豊富です。観光地巡りの合間に立ち寄ることができ、休憩やお土産探しにも便利です。また、商店街では季節ごとのイベントも開催されており、街歩きそのものが楽しめるのも魅力のひとつです。
明治大阪工場
明治大阪工場は、1972年に大阪府高槻市に設立された明治株式会社の主要生産拠点です。
約10万平方メートルの広大な敷地に約500名の従業員が働き、チョコレートを中心にガム、キャンディ、ビスケットなど多様なお菓子製品を製造しています。一部のラインは24時間体制で稼働しており、日本国内で流通する明治チョコレート製品の多くがこの工場から出荷されています。
尚、現在は一般向けの工場見学は実施されていません。
明治なるほどファクトリー大阪
明治なるほどファクトリー大阪は、明治大阪工場に隣接する工場直売施設です。
大阪府高槻市幸町3-1(明治大阪工場敷地内)に位置し、平日のみ10:00から16:00まで営業しています。入場は無料です。
明治製品の直売だけでなく、明治の歴史や製品開発に関する展示パネル、チョコレートなどの製造工程を紹介する展示コーナーなども併設されています。通常商品の他に、規格外品や訳あり品などの特別価格商品、関西・大阪限定のパッケージ商品、「ビッグミルチ」デザインのオリジナルグッズ、季節限定商品など、ここでしか手に入らない商品も販売されています。
ビッグミルチへのアクセス方法
ビッグミルチが設置されている明治大阪工場へは電車を利用するのが便利です。
以下のルートがあります。
● 「高槻駅」または「摂津富田駅」で下車する場合(徒歩)
- 「高槻駅」または「摂津富田駅」で下車します。
- 各駅から明治大阪工場までは徒歩で約20分ほどです。
※道は平坦で歩きやすく、晴れた日にはのんびり散歩気分で向かえます。
●「高槻市駅」で下車する場合(バス利用)
- 阪急「高槻市駅」からも京阪バス「明治製菓前」行きが出ています。
- バスに乗って約20分で到着します。
●「高槻駅北口」で下車する場合(バス利用)
- JR「高槻駅北口」から京阪バス「明治製菓前」行きに乗車。
- 所要時間は約15分。バス停「明治製菓前」で下車すれば、すぐ目の前が工場です。
● 車を利用する場合
車でもアクセス可能ですが工場には専用駐車場がありません。
近隣のコインパーキングを利用する必要があります。
高速道路
- 名神高速道路「高槻IC」から約10分
- または「茨木IC」からは約15分
一般道
- 国道171号線を通り、高槻市役所方面へ北上して約10分
※周辺には商業施設や公園もあるため、目的地に応じて駐車場を探すと便利です。
● レンタサイクルを利用する場合
- JR高槻駅前のレンタル自転車を使って、約20分のサイクリングコースで工場に向かえます。
- 道は比較的平坦で、天気の良い日には快適な道のりです。
まとめ
「ビッグミルチ」は、明治ミルクチョコレートのパッケージをモチーフにした世界最大のプラスチック看板であり、大阪府高槻市の明治大阪工場に設置されています。
ギネス世界記録にも認定されるその巨大さとインパクトから、工場の外壁装飾としてだけでなく、地域のランドマークとしても親しまれています。
強風や台風への耐性を備えた設計、省エネ対応のLED照明、美観を保つ丁寧なメンテナンスなど、見た目だけでなく機能面にも優れた構造です。
工場リニューアルをきっかけに誕生したこの看板には「遊び心」と「地域とのつながり」、そして明治のブランドイメージを発信したいという企業の想いが込められています。
高槻周辺を訪れた際は、電車から見える巨大チョコレートをぜひ探してみてください。