なぜ「たけのこの里」の方が人気なのか?|好きな理由や良いところを紹介

「たけのこの里」が人気の理由を調べる
日本のお菓子売り場で長年愛され続けている「たけのこの里」について、なぜ多くの人に選ばれ続けているのか、その背景を丁寧に見ていきましょう。
商品の支持を測るには、大きく分けて二つの方法があります。
一つは「どちらが好きですか」と直接尋ねるアンケート調査です。
もう一つは、実際にお店でどれだけ買われているかを示す購買データです。
たけのこの里は、この両方で高い数値を示していることが確認されています。
たけのこの里の支持率を示すデータ
ここでは、たけのこの里が広く支持されていることを示す具体的なデータについて解説します。
グルメメディア「macaroni」によるアンケート調査
2021年に、料理やグルメに関する情報を扱うメディア「macaroni」が全国規模の調査を実施しました。
対象となったのは20代から60代までの男女415名で、幅広い年齢層をカバーした調査設計でした。
調査結果で示された支持率
この調査で「たけのこの里」を支持すると答えた人は66.3パーセントに達しました。
一方、「きのこの山」を支持する人は33.7パーセントでした。
つまり、およそ3人に2人が「たけのこの里」を選んでおり、その差は約2倍という結果でした。
調査結果がもたらした影響
この結果がSNSで広まると、多くの人が調査結果に対する反応を示しました。
こうした反応からも、「たけのこの里」が多くの人にとって共通の好物であることが分かります。
CCCMKホールディングスによる購買データ
アンケートという**「気持ち」の調査だけでなく、実際の購買行動という「行動」**のデータでも同様の傾向が示されている点は注目に値します。
これは、消費者の実際の選択を客観的に示す情報となります。
購買データによる売れ行き順位
CCCMKホールディングスという企業が、Tポイントを利用する全国約7000万人分の購買履歴を分析しました。
その結果、チョコレートカテゴリー全体の中で「たけのこの里」は6位にランクインしていました。
一方、「きのこの山」は18位にとどまり、その差は12ランクに及びました。
購買データが持つ意味
この購買データが持つ意味は、単に「好き」と口で答えるだけでなく、実際にお金を払って購入するという具体的な行動が反映されていることです。
つまり、一時的な気分や建前ではなく、消費者の実際の選択が数字として表れているということです。
たけのこの里が選ばれる理由
私たちが「おいしい」と感じるとき、味覚だけでなく、触覚、聴覚、視覚、嗅覚といった複数の感覚が総合的に働いています。
たけのこの里は、この複数の感覚に対して計算された設計がなされています。
クッキー生地のやわらかさ
たけのこの里に使われているのはクッキー生地で、これは「きのこの山」に使われるクラッカー生地とは明確に異なる性質を持っています。
食品の硬さを測定する機器で調べると、クッキー生地はクラッカー生地よりもやわらかいことが数値として示されています。
この「やわらかさ」が持つ意味は、単に食べやすいということだけではありません。やわらかい食材は口の中で崩れやすく、細かくなった粒子が唾液と素早く混ざり合います。すると、その中に含まれる甘み成分や香り成分が効率よく溶け出し、短い時間で味を濃く感じることができるのです。
これは食品科学の観点から説明できる現象で、硬い食材よりもやわらかい食材の方が、味の伝わり方が速いという傾向があります。
クッキー生地の厚み
たけのこの里の食感が支持されているのは、単に「やわらかい」からだけではありません。
クッキー生地の底の部分を見ると、直径が約1センチもあり、しっかりとした厚みを持っています。この厚みが生み出すのは、軽い「サクッ」という音ではなく、「ゴリゴリ」「ガリガリ」といった重みのある咀嚼感です。
この食感は歯でしっかりと噛みしめる必要があり、「食べている」という実感を与えてくれます。
人間は食べ物を噛むとき、その振動が骨を通じて内耳に伝わり、音として認識されています。この噛むときの音や振動は、味わいの満足度に影響することが知られています。
つまり、たけのこの里は味覚や触覚だけでなく、聴覚にも訴えるような存在感を持っているということです。
たけのこの里の良いところ
たけのこの里は、食感だけでなく、チョコレートとクッキー生地のバランスにおいても緻密に設計されています。
2003年以降、たけのこの里のチョコレートは2層構造に変更されました。
外側の層はほろ苦さを感じるカカオ感のあるビター寄りのチョコレートです。
内側の層はまろやかで甘いミルクチョコレートになっています。
段階的に広がる味の変化
この構造によって何が起きるかというと、まず口に入れた瞬間は外側のビターなチョコレートが溶け始めます。
次第に内側の甘いミルクチョコレートが広がってくるという、段階的な味の変化が生まれます。
これは、一口食べただけで複数の味わいを体験できるということを意味しており、飽きのこない味覚体験を提供しています。
チョコレートとクッキー生地の一体感
たけのこの里の場合、やわらかいクッキー生地がチョコレートと混ざりやすい性質を持っています。
噛み進めていくうちに、チョコレートとクッキーが口の中で一体化し、調和のとれた一つの味になっていきます。
これに対して、きのこの山のクラッカー生地はパリッとした硬い食感を保ちやすく、チョコレートと分離して感じられることがあります。
一体感のある味わいを好む人にとっては、たけのこの里の方が魅力的に感じられるようです。
たけのこの里は美味しくなっている
たけのこの里は発売以来、時代に合わせて改良が重ねられてきました。
2003年の進化
2003年の2層チョコレート構造の導入は、味に深みを持たせ、大人も満足できる商品へと進化させるための転換点でした。
この改良により、味覚の多様性への対応が進みました。
2019年のリニューアル
さらに2019年には、味とパッケージのリニューアルが行われました。
この時、チョコレートとクッキーのバランスが再調整されています。
新しいパッケージは自然な水彩風のイラストを採用し、ブランドイメージを現代的に再構築しています。
見た目から味に至るまで、細部にわたって改良を続けることで、新しいファン層を獲得し続けています。
「きのこたけのこ戦争」のエンタメ化戦略
商品そのものの品質向上だけでなく、マーケティング戦略も支持を集める要素となっています。
社会現象となった人気投票
2001年から続いている**「きのこの山 対 たけのこの里」の人気投票**は、企業のプロモーション活動を超えた規模となっています。
明治はこの企画をうまく活用し、ユーザーが参加して楽しめるイベント型マーケティングを展開しています。
投票がもたらした話題性
2018年に行われたSNS投票では、約1600万票もの投票が集まり、話題を呼びました。
この年は、当時CMに出演していたタレントが結果発表会に登場し、テレビのニュース番組でも取り上げられるなど、お菓子の枠を超えたコンテンツとして扱われました。
ユーザー参加型企画の効果
明治は単に「おいしいお菓子」を提供するだけでなく、「みんなで盛り上がれる文化」を作り出すことに成功しています。
消費者が参加して楽しめるイベント型のマーケティングは、商品への愛着を深め、ブランドの存在感を高める効果を持っています。
まとめ
たけのこの里の支持は、単なる偶然や一時的な流行ではないことが分かります。
たけのこの里の地位を築いたのは、複数の要素が組み合わさった結果です。
食品科学が裏付けるやわらかい食感と厚みによる咀嚼感、チョコレートとクッキーの一体感ある調和が味覚的な土台となっています。
これに、時代を見据えた継続的な商品改良と、消費者を巻き込む話題性のある戦略が加わっています。
その背景には、おいしさを科学的に設計し、常に改良を続ける明治の企業努力が息づいています。





