たけのこの里の人気
その人気の高さは、感覚的な“なんとなく”ではありません。
実際に行われたアンケート調査や購買データからも、はっきりとした優勢ぶりが数字で証明されています。
ここではその具体的な根拠と背景について詳しく解説します。
macaroni調査
2021年、グルメメディア「macaroni」が実施した調査において、「たけのこの里」派が66.3%という高い支持を獲得しました。
これは、全国の20代〜60代の男女415名を対象に行われた信頼性のあるアンケートです。
SNSなどでもこの調査結果は話題となり、「やっぱり!」「圧勝だ!」という声が多く見られました。
こうした反応からも、「たけのこの里」が多くの人にとって“共通の好物”であることが分かります。
CCCMKホールディングスの購買データ
消費者の“実際の買い物行動”を反映したデータでも「たけのこの里」の人気が明らかになっています。
これは、Tポイントを利用する全国約7,000万人分の購買履歴を分析したものです。
調査元は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)系列のCCCMKホールディングス。
このデータの強みは、「好き」と答えるだけのアンケートとは異なり、実際にお金を払って購入された記録に基づいています。
つまり、“建前”や“その場の気分”ではなく、消費者の本音が反映された結果だといえます。
たけのこの里が人気の理由とは?
チョコスナック市場において長年愛され続ける「たけのこの里」。
なぜここまで多くの人々の心をつかむのか。
その理由は、味や食感の良さだけでなく、科学的な裏付けや巧妙な戦略にあります。
ここからはその人気の秘密を詳しく解説します。
食感が好きな人が多い
やわらかさ
食品の「硬さ」は、味の感じ方に大きく関わります。
たけのこの里に使われているクッキー生地は、「きのこの山」に使われるクラッカー生地よりも明らかにやわらかいことが、食品の硬度測定で示されています。
この“やわらかさ”は、口に入れた瞬間から崩れやすく、甘みや香りが唾液に溶けやすいという特徴があり、これにより短時間で効率的に“味”を伝えることができるのです。
厚さ
たけのこの里のクッキー生地は、底の直径が約1センチもあり、しっかりとした厚みを持っています。
この厚さが生むのは「サクッ」ではなく「ゴリゴリ」「ガリガリ」といった重みのある咀嚼感です。
この咀嚼感は歯でしっかりと感じるもので、「食べている実感」を強く与える要素となっています。
一部のファンからは「この食感が好き」という声も聞かれ、そこには味覚や触覚だけでなく聴覚まで満たす存在感があるのです。
ただ“やさしい”だけではない、噛みごたえが、幅広い世代にとって印象に残る理由のひとつとなっています。
チョコレートとのバランスが好きな人が多い
2003年から、たけのこの里のチョコレートは2層構造になりました。
外側はほろ苦いカカオ感を感じさせるビター寄りの層。内側はまろやかで甘いミルクチョコ。
この2つが口の中で段階的に広がる構造になっているのです。
これが食べた人に飽きのこない奥行きある味覚体験を提供します。
また、たけのこの里はやわらかいクッキー生地がチョコと混ざりやすく、噛み進めるうちに一体感が高まる設計になっています。
一方、「きのこの山」はクラッカーのパリッとした食感がチョコと分離しやすく、“噛み合わせのズレ”を感じることもあるようです。
発売後も絶え間ない進化を重ねている
たけのこの里は売れているからと言って「変わらない味」を目指すだけの明治ではありません。
むしろ、時代に合わせた改良が行われ続けていることがポイントです。
- 2003年:2層チョコ構造導入
→ 味に深みを持たせ、大人も満足できる仕様へ。 - 2019年:味とパッケージのリニューアル
→ チョコとクッキーのバランスを再調整し、パッケージは自然な水彩風イラストでブランドイメージを再構築。
見た目から味に至るまで、細部にわたってブラッシュアップが続け、時代を超えて新しいファン層を獲得し続けています。
「きのこたけのこ戦争」がエンタメ化
2001年から続く「きのこの山 vs たけのこの里」人気投票は、もはや企業のプロモーションを超えた社会現象となっています。
明治はこの企画をうまく活用し、ユーザーが参加して楽しめる“イベント型マーケティング”を展開しています。
2018年のSNS投票では、なんと約1600万票もの投票が集まり、大きな話題を呼びました。
この年は、CM出演中だった嵐のメンバーが発表会に登場し、ニュース番組でも取り上げられるなど、お菓子を超えた一大コンテンツとなったのです。
このように、単なる“美味しいお菓子”にとどまらず、「みんなで盛り上がれる文化」をつくったことも、たけのこの里のロングセラーの大きな原動力となっています。
まとめ
「たけのこの里」が長年愛される理由は、単なる偶然や味の好みにとどまりません。
- 食品科学が裏付けるやわらかい食感
- 食べ応えと五感に訴える厚みと咀嚼感
- チョコとクッキーの一体感ある調和
- 時代を見据えた継続的な商品改良
- 消費者を巻き込む話題性ある戦略
これら複数の要素が重なり合って生まれた人気であり、その裏には緻密に設計された“おいしさの仕組み”と、明治の企業努力が息づいているのです。