MENU

タイヤ味のグミ|シュネッケンがまずいと評される理由

  • URLをコピーしました!

お菓子の世界には、時として多くの人を困惑させる商品が存在します。その代表格とも言えるのが、ドイツの老舗菓子メーカー「ハリボー」が製造する黒いグミ「シュネッケン」です。

この商品は日本では「タイヤのような味で世界一まずいグミ」として話題になることがあり、インターネット上でも様々な体験談が語られています。

目次

タイヤ味のグミ

まず、この「タイヤ味のグミ」の製造元であるハリボーという会社についてご紹介しましょう。

ハリボーは1920年にドイツで創業された、世界最大級のグミメーカーです。創業から90年以上の歴史を持ち、クマの形をした「ゴールドベア」で世界的に有名になりました。現在でも本社工場はドイツのボンにあり、かつては工場見学も可能でしたが、今は併設の直売ショップでグミの量り売りや限定グッズを楽しめます。

「シュネッケン」は、ハリボーが創業当初から手掛けてきた伝統的なリコリス(甘草)菓子の一つとして誕生しました。 ハリボーはゼラチンを使ったグミ製品だけでなく、ヨーロッパで古くから親しまれてきたリコリス菓子も製造しており、シュネッケンもその系譜に連なる商品です。

その独特のぐるぐる巻きの形状が「カタツムリ」を連想させることから、「シュネッケン(ドイツ語でカタツムリ)」と名付けられました。そんな老舗中の老舗が作る商品の中で、なぜ「シュネッケン」だけがこれほどまでに強烈な悪評を受けるのでしょうか?

「タイヤ味」と言われる理由

「タイヤ味」という表現は、実際にタイヤの味がするという意味ではありません。

あるメディアに書いてあったことですが、本物のタイヤ(例:ブリヂストンのポテンザRE-11SやダンロップのディレッツァZIII)と食べ比べた人の報告によれば、タイヤ自体にはほとんど味がなく、むしろ無味だったそうです。

「タイヤ味」という比喩的が生まれた背景には、以下の要素が関係しています。

  • 黒い色
  • 固い食感
  • 日本人には馴染みのない独特な風味

これらが組み合わさることで、多くの人が「工業製品のような味」と感じ、「タイヤ味」と呼ばれるようになったと考えられます。

「タイヤ」を思わせる見た目

「シュネッケン」という名前そのものに、この商品の特徴が表れています。

シュネッケンとはドイツ語で「カタツムリ」を意味し、グミがぐるぐる巻きの形状をしていることから名付けられました。

実際に商品を見ると、パッケージの小窓から見える黒いタイヤのような物体は、まさにパッケージに描かれた自転車のタイヤと同じ形をしています。この見た目によって強烈な印象を受けることになります。

一般的なグミが透明感のあるカラフルな色合いであるのに対し、シュネッケンは光を吸収するような深い黒色をしており、まるで工業製品のような異質なオーラを放っています。

「タイヤ」を思わせるパッケージ

シュネッケンのパッケージデザインも、その印象形成に大きく影響を与えています。

黒いタイヤのような見た目の商品を口にした時、多くの人は「これ、本当に食べて大丈夫なの?」と不安になり、目の前のパッケージを思わず見返してしまうでしょう。

そこで目に飛び込んでくるタイヤのようなデザインは、味覚の印象をより強く「タイヤ味」として記憶させる影響もあるのかもしれません。

視覚情報が味覚に与える影響は科学的にも証明されており、見た目の印象が実際の味の感じ方を大きく左右することがあるのです。

「タイヤ」を思わせる匂い

商品の特殊性は、外観だけにとどまりません。匂いの段階から、その異質さが現れます。

最初に気になるのは、甘みと苦みが混ざった独特の香りです。一見すると黒糖のような香ばしい香りに感じることもありますが、後を引く漢方薬のような臭いも混じっています。

この複雑な香りは、多くの人にとって馴染みのないものであり、食べる前から不安感を抱かせ、「タイヤ味」という表現が生まれる素地を作っているのかもしれません。

「タイヤ」を思わせる食感

実際にシュネッケンを食べた人の体験談を聞くと、その独特さがより明確になります。

ハリボー ラクリッツ シュネッケンの食感は、一般的なグミの「ぷるんとした弾力」とはまったく異なり、ボソボソとした硬めの質感

噛んでも跳ね返るような弾力はなく、むしろ湿気たクッキーやソイジョイのような“乾いた繊維質”を思わせる口当たりで、グミとしての期待を裏切られる人も少なくないです。

グミではないなら何か、というところで食べたことのないタイヤが浮かぶ、という人もいるかもしれません。

私たちが「グミ」として期待して食べることも、シュネッケンへの否定的な印象を強める大きな要因でしょう。日本人にとってグミとは、弾力のある食感と、フルーツ系の甘い味を持つお菓子という固定観念があります。しかし、シュネッケンはその期待を完全に裏切る食感と味を持っているため、多くの人が困惑し、結果的に否定的な印象を持ってしまうのです。

時間差で現れる「タイヤ」

さらに興味深いのは、味の変化が時間差で起こることです。

噛み始めて最初の数秒は無味無臭ですが、5秒ほどで微かな甘みが感じられ、8秒で苦味が出てきて、10秒ほどで甘みと苦味が爆発的に広がるといいます。この味の展開は、まるで化学実験のような感覚を与え、食べている人を困惑させます。

そして、最も印象的なのは、十分に噛み砕いた後に遅れて襲いかかる独特の甘味や、カブトムシの餌のような臭いが口の中に広がることです。この表現は決して誇張ではなく、実際に多くの人が同様の感想を持つことから、シュネッケンの味の特徴を的確に表していると言えるでしょう。

さらに、この商品は口の中の水分を奪い尽くして粘りつく特徴があるため、一度食べ始めると簡単には吐き出すことができず、独特の甘味と苦味をフルに味わうことになります。

「タイヤ味」の正体:リコリス(甘草)とは?

では、この独特の「タイヤ味」の正体は何なのでしょうか。実は「ラクリッツ」または「リコリス」と呼ばれる甘草(かんぞう)を原料とした味付けが使われています。

甘草は漢方薬にも使われる自然由来の成分で、体に害があるものではありません。むしろ、古くから薬用として使われてきた歴史があり、現在でも咳止めや胃腸薬として利用されています。

この成分が、シュネッケンの独特の甘味と苦味、そして漢方薬のような香りの源になっているのです。

世界と日本の味覚の違い

「タイヤ味のグミ」として話題になることが多い「シュネッケン」ですが、アメリカやヨーロッパ、特にドイツやオランダなどでは、昔から親しまれている伝統的なお菓子です。

リコリスは、甘草(リコリス)という植物の根から作られる独特の風味が特徴で、黒い色と強い香り、そして独特の食感を持っています。

日本ではこの味があまり一般的ではないため「珍味」と捉えられがちですが、ドイツ、オランダ、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、イギリス、そしてアメリカなどでは、昔から親しまれているお菓子の一つです。、多くの人が「工業製品のような味」と感じ、「タイヤ味」と呼ばれるようになったと考えられます。

賛否両論:タイヤ味 or 懐かしの味

リコリスの味は、実はヨーロッパでも好みが分かれる存在です。

ドイツ人に聞いても「それ超不味いよ!タイヤ味だよ!」という反応があるほどで、必ずしも現地でも万人受けするわけではありません。しかし、アメリカやヨーロッパでは子供の頃から親しんだ“懐かしい味”としての根強い人気もあります。

これは、ルートビアやジェリービーンズなどにも共通する現象です。日本では「まずい」と感じる人が多いですが、アメリカでは子供たちに大人気の飲み物やお菓子です。味や香りの好みは、文化や育った環境によって大きく異なることが分かります。

このように、「タイヤ味のグミ」と呼ばれるシュネッケンは、日本人の味覚からすると驚きの味かもしれませんが、世界的には伝統的で親しまれているお菓子の一つです。異文化の味覚を体験するきっかけとして、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

シュネッケンは美味しい?

「タイヤ味」とまで言われるシュネッケンですが、実際に食べた日本人の中には、意外にも異なる感想を持つ人もいます。

最初の強烈な印象を乗り越えると「これは思ったより美味しい」「駄菓子の黒棒のような味」と感じることもあるようです。

中には「味わい深い」「慣れると案外好き」という意見も。特に噛み始めの数秒間は無味無臭であるため、この味に慣れてくると、全く違った印象を抱く可能性があるのです。

まとめ

「タイヤ味のグミ」として話題を集めるハリボーの「シュネッケン」は、日本人がイメージするグミとは大きく異なる食感や風味を持つ、ヨーロッパの伝統菓子です。その黒い渦巻きの見た目とラクリッツ由来の強烈な味は、多くの人に驚きと戸惑いを与える一方、地域によっては懐かしの味として愛されています。食べる人の文化的背景や味覚により賛否が分かれるこのグミは、まさに“異文化体験”のお菓子。タイヤ味か、それともクセになる深い味か——その真価は一口食べてみないと分かりません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次