サブレは、私たちに馴染み深いクッキーの仲間でありながら、独特の魅力を持つフランス発祥の焼き菓子です。その豊かなバターの風味とサクサクとした軽やかな食感で、世界中の人々に愛され続けています。この記事では、サブレの歴史からクッキーやビスケットとの違いまで、その魅力に迫ります。
サブレとは
サブレは、小麦粉、バター、砂糖を主な材料とするフランスの焼き菓子です。クッキーやビスケットと似ていますが、バターの含有量が非常に多く、独特のホロホロと崩れるような食感が大きな特徴です。この繊細な口どけは、豊富なバターと、ベーキングパウダーをあまり使わない独自の製法によって生まれます。
サブレの歴史と名前の由来
サブレという名前の由来には、いくつかの説があります。
サブレ侯爵夫人のレシピから生まれた説
最も有名なのは、17世紀にフランスの社交界で活躍したサブレ侯爵夫人のレシピが元になったという説です。彼女が作った丸型のビスケットがサロンパーティーで大絶賛され、その名が世界中に広まったと言われています。
フランス語の「砂」が語源の説
サクサクとした食感が砂に似ていることから、フランス語で「砂」を意味する「sable(サブル)」に由来するという説も有力です。この名前は、サブレの独特な食感をよく表しています。
クッキー、ビスケット、サブレの違い
焼き菓子の定義は、国や文化によって大きく異なります。日本では、全国ビスケット協会が定めた独自のルールによって、クッキーとビスケットが区別されています。
日本における焼き菓子の分類
ビスケット
ビスケットとは、本来は小麦粉、砂糖、油脂、乳製品から作られる焼き菓子の総称です。日本では、全国ビスケット協会が定めた独自のルールにより、クッキーの定義に当てはまらない、幅広い焼き菓子の総称として使われています。水分を多めに、砂糖や油脂を控えめにして作られるため、パリッとした硬めの食感が特徴です。
クッキー
日本では、クッキーとビスケットを明確に区別しています。糖分と脂肪分の合計が全体の40パーセント以上で、「手作り風」の外観を持つものがクッキーと定義されています。ビスケットに比べて砂糖や油脂が多く、水分が少ないため、ほろっとした食感になります。
サブレ
サブレは、日本ではクッキーの一種として位置づけられています。クッキーよりもさらにバターやショートニングの含有量が多く、小麦粉とバターがほぼ同量という贅沢な配合が特徴です。この豊富な油脂分により、口の中でホロホロと崩れるような、とろける食感が生まれます。見た目も、バターの量が多いことで焼成中に生地が横に広がりやすい傾向があります。
サブレの作り方
材料は薄力粉、バター、砂糖が基本です。これらをボウルに入れて粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせます。その後、棒状に伸ばして冷蔵庫で30分ほど休ませてから、1センチ幅にカットして焼くだけで完成します。
家庭でサブレを作るコツ
サブレは、家庭でも比較的簡単に作ることができます。シンプルな材料で、特別な道具も必要ありません。
しかしサクサクの食感に仕上げるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
生地を混ぜすぎない
薄力粉を加えてから練るように混ぜすぎてしまうと、粘りの元となるグルテンが発生して生地が硬くなってしまいます。ゴムベラを使って練らないように、さっくりと混ぜ合わせましょう。
生地をしっかり冷やす
生地ができあがったら冷蔵庫でしっかりと冷やすことで、グルテンの粘弾性が落ち着き、ホロホロとした軽い食感に仕上がります。
まとめ
サブレは、その豊かなバターの風味と繊細な食感で、クッキーやビスケットとは一線を画す魅力を持っています。フランスの社交界から始まり、今や世界中で愛されるサブレ。その歴史や文化に思いを馳せながら味わえば、いつものティータイムがより特別なものになるでしょう。