ミルフィーユとは
このお菓子の本質は、層を重ねることにあります。
基本的な構造は、3枚のパイ生地の間にクリームを挟んだものです。
ミルフィーユの生地
ミルフィーユに使われるパイ生地は、「フィユタージュ」という特別な製法で作られます。
小麦粉とバターを何層にも重ねて折りたたむ作業を繰り返すことで、焼いたときにサクサクとした軽い食感が生まれます。
この生地の軽さが、ミルフィーユの特徴の一つです。
ミルフィーユに挟むクリームの種類
パイ生地の間に挟むクリームは、伝統的にはカスタードクリームが使われます。
現代では、生クリームやバタークリーム、カスタードクリームと生クリームを混ぜたクレーム・レジュールなども使われます。
初期のミルフィーユでは、クリームの代わりにジャムが使用されていたという記録もあります。
このように、中に挟む素材は時代と共に変化し、多様化してきました。
ミルフィーユの名前の由来
ミルフィーユという名前は、フランス語の「mille-feuille」に由来しています。
「mille」は「千の・たくさんの」、「feuille」は「木の葉」を意味するため、直訳すると「千の木の葉」となります。
幾重にも重なったパイ生地が、まるで木の葉のようだとして名付けられました。
ミルフィーユの歴史
何層も生地を重ねる菓子は、古くからヨーロッパに存在していました。
現在のような形のミルフィーユがいつ、誰によって作られたかについては、いくつかの説があります。
一つは、19世紀初頭に活躍した菓子職人アントナン・カレームが考案したとする説です。
別の説では、1800年頃にルージェという菓子職人が作っていたとされています。
また、1867年には、パリの洋菓子店「Seugnot」のパティシエ、アドルフ・セニョが現在の原型を考案したという説もあります。
この菓子は、17世紀頃のフランスで貴族の間で流行しました。
ミルフィーユの種類
ミルフィーユ・ロン
これは、ミルフィーユの最も基本的な形状です。
店頭でよく見かける一般的なミルフィーユがこのタイプです。
ミルフィーユ・グラッセ
表面を砂糖を溶かしたもので糖衣がけしたものです。
チョコレートなどで矢羽模様が描かれたデザインが施されています。
この糖衣がけの技術により、見た目に光沢が加わります。
ミルフィーユ・ブラン
このミルフィーユは、構造に工夫があります。
3枚のパイ生地のうち、中央の1枚をビスキュイなどのスポンジ生地に置き換えたものです。
サクサクしたパイ生地にスポンジが加わることで、口当たりが変化します。
ミルフィーユ・オ・フレーズ
これはイチゴを使ったミルフィーユです。
フランス語で「fraise」が「イチゴ」を意味することから、この名前が付けられています。
生クリームやカスタードクリーム以外に、ジャムやフルーツのコンポートなどを使用したバリエーションも存在します。
ナポレオン・パイとミルフィーユとの関係
ミルフィーユは「ナポレオン・パイ」という別名でも知られています。
ナポレオン皇帝がかぶっていた帽子に形が似ているから、という説や、数ある菓子の中の「皇帝」を意味して名付けられたという説があります。
このように、一つの菓子に複数の呼び名があることからも、その普及度がうかがえます。
ミルフィーユとミルクレープの違い
名前が似ているミルクレープは、ミルフィーユとは全く異なるお菓子です。
ミルフィーユがサクサクしたパイ生地を使用するのに対し、ミルクレープはしっとりとしたクレープ生地を使用します。
ミルクレープは、ミルフィーユを参考に、1980年頃に日本で考案されたお菓子です。
ミルフィーユを綺麗に食べる方法
ミルフィーユは、層を分解せず、横に倒してパイとクリームを一緒に食べるのが良いとされています。
ナイフで切る際は、まっすぐ上下に切るよりも少し斜めに切ることで、パイ生地が崩れにくくなります。
冷蔵庫で冷えたものは、食べる前に少し常温に戻すと、本来の味わいが引き出されます。
ミルフィーユと相性の良い飲料
コーヒーや紅茶と一緒に楽しむことで、甘さと苦味のバランスが生まれ、より一層美味しく食べられます。
食後のデザートや、アフタヌーンティーのお供に適しています。
ミルフィーユの作り方
市販のパイシートやクリームを使えば、家庭でも作ることができます。
パイシートを食べやすい大きさにカットして焼き、粗熱が取れたらクリームとパイシートを交互に重ねれば完成です。
日本におけるミルフィーユの発展
日本では、フランスから伝わったミルフィーユが独自に発展しました。
ケーキタイプと、チョコレートでコーティングされた常温保存が可能なチョコレート菓子タイプが主流です。
チョコレート菓子タイプは、お菓子メーカーによって商品化され、広く親しまれています。
まとめ
ミルフィーユは、基本構造である「層を重ねる」という概念が、料理の世界でも応用されています。
肉や魚料理で何層もの具材を重ねたものが、「ミルフィーユ」と呼ばれることがあります。
これは、この名前とその概念が、食の世界で広く受け入れられていることを示しています。
フランスで生まれた伝統的な技法が各国に伝わり、それぞれの地域で独自の発展を遂げながら、現在でも多くの人に愛され続けています。