越後製菓とは
越後製菓は、新潟県に拠点を置く、来年で創業80周年を迎える食品メーカーです。日本の食文化に深く根ざした製品を製造しています。新潟県産の良質な米を主原料としており、その事業は3つの分野に分かれています。
越後製菓の事業
越後製菓は、日本の代表的な米どころである新潟県の米を活かした事業を展開しています。新潟県は、日本有数の米どころです。この地域は、豊富な雪解け水と肥沃な土壌に恵まれています。これにより、粘りと甘みに優れた米が生産されており、越後製菓はこれを主原料としています。
三つの主要事業部門
同社の事業は、米菓部門、もち部門、米飯部門に分かれています。それぞれの部門が米という共通の原料を使いながらも、異なる製造技術と市場を持っているのが特徴です。2025年3月期の売上目標は、2024年3月期から3.7%増となる213億2000万円に設定されています。
米菓部門
米菓とは、米を原料とするせんべいやおかきなどの総称で、日本の伝統的なお菓子として古くから親しまれてきました。
生産戦略の転換
2024年3月期、米菓部門の売上は2023年3月期から7.1%減となりました。これは、同社が生産効率を重視し、多種多様な米菓商品から商品数を絞り込んだ結果です。経営資源を主力ブランドに集中させる「選択と集中」という経営手法が採用されました。
主力商品「ふんわり名人」の動向
「ふんわり名人」は、メディアでの露出効果もあって、2024年3月期に2023年3月期から11%増という成長を遂げました。予想を上回る人気により生産が追いつかず、品薄状態が発生するという状況となりました。この品薄問題を解決するため、同社は他の主要米菓3品を一時的に休売し、生産ラインのすべてを「ふんわり名人」に集中させる対応をとりました。
海外展開
越後製菓は、海外事業にも力を入れています。海外事業においても「ふんわり名人」と「新潟の星」という二つのブランドが高い需要を獲得し、本格的な海外供給を開始しました。これは、日本の米菓という伝統的な食品が国境を越えて受け入れられていることを示しています。
新商品
2024年には、「ふんわり名人」の発売20周年を記念した特別なキャンペーンが展開されています。同時に、「新潟の星」ブランドの拡充にも力を入れており、新商品として「新潟の星 えび味」を発売することになっています。エビの旨みと玉ネギの優しい甘さが特徴で、小売業界のバイヤーからも評価を得ています。
もち部門
もちは、日本の食文化において特別な位置を占める食品です。正月には鏡もちとして神様にお供えし、雑煮やお汁粉として食べる習慣があります。
売上増加
もち部門は、2024年3月期に2023年3月期から2.2%増の売上を記録しました。この好調さには、複数の要因があります。「令和の米騒動」と呼ばれる主食用米の供給不足により米製品への関心が高まったことや、災害食としてのもちの価値が見直されたことなどが影響しました。
鏡もち市場での差別化
鏡もち市場は、少子高齢化や生活様式の変化により縮小傾向にあります。このような厳しい市場環境の中で、越後製菓は干支の飾り付きなどの商品を展開し、売上を伸ばしました。伝統的な鏡もちに現代的な魅力を加えることで、市場での競争力を維持する戦略です。
米飯部門
米飯部門は、無菌包装された米飯製品を扱っています。現代の食生活の変化を反映した成長分野です。
急成長
2024年3月期の売上高は、2023年3月期から8.9%増と大幅な成長を記録しました。共働き世帯の増加や単身世帯の増加により、手軽に食べられる包装米飯への需要が高まっていることが成長の背景にあります。
生産体制の課題
2024年8月に急激な大量注文が入り、主力商品である「日本のごはん」の生産が追いつかなくなり、一時的に休売せざるを得ない事態となりました。これは急成長する市場特有の課題でもあり、同社は販売再開に向けて生産体制の増強に積極的に取り組みました。
技術的優位性
独自の包装技術により容器から発生する匂いのない製品を提供しており、これが他社との差別化要因となっています。包装米飯業界では、味だけでなく包装による匂いの問題が消費者の購入意欲に大きく影響するため、この技術的優位性は重要です。
越後製菓の全体戦略と展望
越後製菓の全体戦略には、二つの重要な柱があります。
ブランド価値を高める取り組み
一つ目の柱は、商品のブランド価値を高める施策への取り組みです。これは単に売上を伸ばすだけでなく、消費者に長期間愛され続けるブランドとして成長することを目指しています。ブランド価値の向上は、価格競争に巻き込まれることなく安定した収益を確保するために不可欠な戦略です。
素材を活かした商品作り
もう一つの柱は、素材本来の持ち味を生かす商品作りを続けることです。新潟県産の良質な米をはじめとする優れた素材を活用し、その特性を最大限に引き出す製品開発を続けることで、他社との差別化を図っています。これは越後製菓が長年培ってきた技術と経験に基づく強みです。
まとめ
2026年に迎える創業80周年を控え、越後製菓は国内市場での地位を固めつつ、海外展開も視野に入れた事業戦略を進めています。日本の伝統的な食品を世界に発信するという文化的意義も持ちながら、持続可能な成長を目指しています。