アップルパイとは|いろんな国のアップルパイの歴史

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目次

アップルパイとは何か

アップルパイは、小麦粉やバター、卵などで作られたパイ生地に、砂糖で甘く煮たりんごを包んでオーブンで焼き上げたお菓子です。

サクサクとしたパイ生地の食感と、甘酸っぱく煮られたりんごの風味が組み合わさり、世界中で親しまれています。

アップルパイの歴史

アップルパイの歴史は古く、その原型がどのように変化してきたかを知ることで、このお菓子への理解が深まります。

パイの起源:古代ローマから中世ヨーロッパへ

パイという料理の形態は、古代ローマ時代にはすでに存在していました。

しかし、現在のようなアップルパイの原型が生まれたのは、中世のヨーロッパです。

14世紀頃のイギリスの文献には、アップルパイの最も古いとされるレシピが記録されており、これが起源と考えられています。

当時のアップルパイは、現在とは大きく異なっていました。

変化の理由:砂糖の普及

中世ヨーロッパでは砂糖が非常に高価で、甘味料としてほとんど使われていませんでした。

そのため、りんごの自然な甘さに加えて、いちじくやレーズンなどの他の果物も一緒に使われていました。

パイ生地も、主に中身のりんごを保存するための容器としての役割が中心でした。

17世紀に入り、新大陸からヨーロッパに砂糖が大量に輸入されるようになると、りんごと砂糖、そしてシナモンなどのスパイスを組み合わせる、現在の基本的な形が確立しました。

この変化により、アップルパイは保存食から、おいしく楽しむためのお菓子へと変わっていきました。

アメリカにおける発展

新しいスタイルのアップルパイは、ヨーロッパからアメリカ大陸へ渡り、そこで独自の発展を遂げました。

アメリカへの伝来:移民が持ち込んだ故郷の味

17世紀初頭、イギリスやオランダからの移民が、故郷の味であるアップルパイのレシピをアメリカ大陸に持ち込みました。

開拓時代にりんごの栽培が本格的に始まると、豊富に手に入るりんごを使ってアップルパイが家庭で作られるようになりました。

19世紀には、アップルパイアメリカの家庭料理として定着し、「アメリカパイ」と呼ばれるようになります。

文化的な象徴としてのアップルパイ

この頃から、アップルパイアメリカ文化を象徴する存在となっていきました。

「母の作るアップルパイほどおいしいものはない」という表現が生まれ、家庭の温かさや愛情を表すものとして認識されるようになりました。

現在でも、アメリカの各家庭には独自のアップルパイのレシピがあり、5月13日は「アップルパイの日」と定められています。

アップルパイの基本的な構成

アップルパイは、シンプルな構成でありながら、その組み合わせが美味しさを生み出しています。

パイ生地の種類

パイ生地は、主に小麦粉、バター、卵、少量の砂糖で作られます。

これを薄く伸ばして型に敷き、フィリングを包んで焼きます。

練りパイ

練りパイは、粉とバターを混ぜ合わせ、水を加えて練り、生地を一つにまとめる製法で作られます。

練って作るため、生地が比較的厚くなり、焼くとサクサクとしたザクザクした食感が特徴です。

主にアメリカやイギリスのアップルパイでよく使われます。

折りパイ

折りパイは、粉と水を混ぜた生地と、バターを何層にも重ねて折りたたむ製法で作られます。

生地を薄く伸ばして何度も折り重ねることで、バターの層が生地の中に閉じ込められます。

焼くとこのバターの層が溶け、生地の層の間に空間ができ、パリパリとした軽い食感が生まれます。

主に日本やフランスで多く使われます。

フィリング(中身)の材料

フィリングは、皮をむいて切ったりんごを、砂糖、レモン汁、シナモンなどのスパイスと一緒に煮込んで作ります。

このフィリングをパイ生地で包み、オーブンで焼き上げることで、外はサクサク、中は柔らかく甘酸っぱいアップルパイが完成します。

アップルパイの形状

アップルパイには、様々な形状があります。

円形、四角形、楕円形など、さまざまな形のアップルパイがあります。

りんごのフィリングが見えるように、上部のパイ生地で覆わない「オープンスタイル」も存在します。

アップルパイの装飾

アップルパイの表面には、様々な装飾が施されます。

役割

これらの装飾は見た目を美しくするだけでなく、焼いている間にパイ生地の中の水蒸気を逃がす役割も果たしています。

これにより、パイ生地が湿ってベチャベチャになるのを防ぎ、サクサクとした食感を保つことができます。

種類

装飾の代表的なものとしては、細く切ったパイ生地を編み込む「ラティス模様」があります。

また、パイ生地にナイフで切れ込みを入れたり、星や花などの形に型抜きした生地を飾ったりする「パイアート」という技術もあります。

世界各地のアップルパイ:地域ごとの特色

アップルパイは、世界各地でその地域の特色を取り入れた形で発展してきました。

イギリスのアップルパイ

イギリスのアップルパイは、伝統的にシナモンやナツメグといったスパイスを使って味付けをします。

また、ブラックベリーなどの他の果物を混ぜることもあります。

食べる際には、温かいアップルパイにチェダーチーズを添える習慣があります。

チーズの気がりんごの甘さを引き立てるため、この組み合わせはイギリスで一般的です。

「チーズを添えないアップルパイは抱擁のないキスのようなもの」ということわざがあるほど、チーズとの組み合わせが親しまれています。

童謡に見るアップルパイ

アップルパイは、単なるお菓子というだけでなく、文化的な側面も持っています。

イギリスの伝承童謡集であるマザーグースには、「A was an apple-pie」という歌が収録されています。

これは、アルファベットを覚えるための教育的な歌で、各文字にアップルパイに関連する行動や状態を当てはめています。

このように、親から子へと伝えられる歌にアップルパイが登場することは、このお菓子が文化的な記憶の一部になっていることを示しています。

アメリカのアップルパイ

アメリカのアップルパイは、イギリスの製法を受け継ぎつつ独自の発展を遂げました。

アメリカでは、感謝祭や独立記念日などの祝日に欠かせない、象徴的な存在です。

伝統的な食べ方としては、温かいアップルパイに冷たいバニラアイスクリームを添える「アラモード」があります。

温かさと冷たさの対比を楽しむことができます。

他にも、ホイップクリームを添えることも一般的です。

オランダのアップルパイ:ダッチアップルパイ

オランダには、「ダッチアップルパイ」と呼ばれる独特なスタイルがあります。

これは丸いケーキ型にパイ生地を敷き詰め、その中にりんごをたっぷりと詰めて焼くものです。

アップルタルトとも呼ばれるこのスタイルは、現在でもオランダを代表するお菓子の一つです。

フランスのアップルパイ

フランスには、3つの主要なアップルパイのスタイルがあります。

クラシックスタイル

「クラシックスタイル」は、底にだけパイ生地を敷き、その上に薄切りにしたりんごを花びらのように美しく並べて焼くものです。

タルトのような見た目が特徴で、りんごの見た目を活かした華やかな仕上がりになります。

ショソン・オ・ポム

「ショソン・オ・ポム」は、りんごのフィリングを折りパイ生地で包んで焼き上げたお菓子です。

生地を半円形に成形し、表面に切れ込みや模様を入れるのが一般的です。

ショソンとはフランス語で「スリッパ」を意味し、その形がスリッパに似ていることから、この名前がついています。

温かい状態で食べると、中のりんごがとろけて、サクサクの生地との対比が楽しめます。

タルトタタン

タルトタタンは、砂糖の化学的性質を巧みに利用した、ひっくり返して食べるアップルパイです。

まず、りんごをバターと砂糖で炒め、砂糖を加熱によりカラメル化させます。

このカラメル化したりんごを型に敷き詰め、上からパイ生地をかぶせて焼きます。

焼き上がったら型をひっくり返し、りんごの部分を上にして食べるのが特徴です。

日本のアップルパイ文化

日本でも、アップルパイは季節と深く結びついています。

秋になると、りんごの収穫時期に合わせて、スーパーやカフェで多くのアップルパイを見かけるようになります。

日本では、紅玉やふじといった品種がアップルパイに適しているとされており、これらのりんごは酸味と甘みのバランスが良く、焼いても食感がしっかりとしています。

また、秋は気温が下がり始める季節で、オーブンで焼いたアップルパイの温かみのある香りは、季節の移り変わりを感じさせてくれます。

日本のアップルパイは、サクサクのパイ生地と、甘さ控えめのフィリングが特徴で、和風の要素を取り入れたものも作られています。

アップルパイの材料

現代のアップルパイ作りで使用される材料は、手軽に入手できるものが一般的です。

主な材料は、市販の冷凍パイシート、りんご、砂糖、レモン汁、、無バター、卵黄、シナモン、ナツメグなどです。

アップルパイの作り方

アップルパイの作り方は、非常にシンプルです。

まず、りんごを食べやすい大きさに切ります。

次に、砂糖やレモン汁、スパイス類と混ぜ合わせ、フィリングを作ります。

解凍したパイシートを型に敷き、フィリングを詰めて、上からもう一枚のパイシートで覆います。

表面に卵黄を塗ることで、焼いたときに美しい焼き色が付きます。

りんごが柔らかくなるまで、じっくりとオーブンで焼き上げれば完成です。

アップルパイが愛される理由

アップルパイが世界中で愛されるのには、いくつかの理由があります。

シンプル

りんご、砂糖、小麦粉、バターといったシンプルな材料は、世界中のどこでも比較的簡単に手に入ります。

特別な道具や技術がなくても家庭で作れるという手軽さがあります。

また、パイは保存性が高く、作り置きができるという実用的な利点も持ち合わせています。

季節感

りんごの収穫期である秋は、気候が涼しくなる時期と重なり、温かい食べ物が好まれます。

オーブンで焼くときの香ばしい香りは、季節の移り変わりを感じさせます。

家庭の味

アップルパイは、多くの文化で家庭の味として記憶されています。

母親や祖母が作ってくれる手作りのお菓子として、食べることで幼い頃の記憶や家族の絆を思い起こさせます。

手作りの温かさや愛情を象徴する食べ物として、世代を超えて受け継がれています。

まとめ

アップルパイは、歴史、文化、季節感、そして家庭的な温かさなど、様々な要素を含んだお菓子です。

シンプルな材料から生まれ、科学的な原理や地域の特色を取り入れながら発展し、多くの人々の生活に深く根ざしてきました。

これからも、その本質的な魅力は変わらず、世界中で愛され続けることでしょう。

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