ずんだとは|枝豆をすりつぶしたペースト状の餡(あん)

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ずんだとは

ずんだとは、枝豆をすりつぶして作られるペースト状の(あん)のことです。

このずんだ団子に絡めて作る「ずんだ餅」が、郷土料理として知られています。

主に宮城県をはじめとする東北地方で親しまれています。

ずんだの原材料である枝豆

枝豆の分類

ずんだの主な材料となるのは枝豆です。

枝豆は、まだ熟していない状態の大豆のことを指します。

植物学の観点からは、豆類と野菜の両方の特性を併せ持つ緑黄色野菜に分類されています。

枝豆の栄養素

枝豆は、その二重の性質から高い栄養価を持っています。

例えば、100グラムあたりには、ビタミンB1が0.31ミリグラム、鉄が2.7ミリグラム、たんぱく質が10.3グラム含まれています。

ビタミンB1は、食べた糖質をエネルギーに変換する際に不可欠な栄養素です。

鉄分は赤血球の材料となり、全身に酸素を運ぶ重要な役割を担います。

たんぱく質は、筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、骨といった身体の基本的な構造を作るだけでなく、酵素やホルモンの材料にもなって代謝や免疫機能を支えています。

枝豆と大豆の比較

枝豆と成熟した大豆を比べると、栄養成分に違いがあります。

大豆はたんぱく質が豊富で、穀物の一種として分類されます。

一方、枝豆はたんぱく質の量が大豆の約3分の1程度にとどまりますが、大豆には含まれないビタミンやカリウムを多く含んでいるという特長があります。

枝豆の健康への効果

枝豆は高タンパクでありながら低カロリーです。

アルコールの分解を助ける成分であるメチオニンが豊富に含まれているため、お酒を飲む際のおつまみとしても適しています。

また、ビタミンB1が糖質の代謝を促進してエネルギー生成を助けるため、疲れた時の回復や夏バテの防止にも役立ちます。

さらにビタミンCも豊富なので、免疫力を高める効果も期待できます。

ただし、枝豆は大豆の未熟な状態であるため、大豆アレルギーを持つ方は注意が必要です。

ずんだの名前の由来

名前に関する複数の説

ずんだという名前がどこから来たのかについては、複数の説があります。

一つ目は、甚太という名前の農夫が考案したため、「じんだ」から「ずんだ」に音が変化したという説です。

二つ目は、戦国武将である伊達政宗が合戦の最中に陣太刀の柄で枝豆を潰して食べたことから、「じんだち」が「ずんだ」に変化したという説があります。

三つ目は、豆を打つ音を表した「ずんだ(豆ん打)」から来ているという説です。

四つ目は、豆を打つことを意味する言葉「豆打(ずだ)」から派生したという説です。

最も有力な説

これらの説の中でも、豆をすりこぎなどで叩いてすりつぶす作業を表現した言葉から生まれたという説が有力とされています。

実際に「ずんだ」という言葉は東北地方の方言で「豆を打つ」ことを意味しており、豆をすりつぶす動作そのものを表した名前だと考えられています。

つまり、ずんだ餅の「ずんだ」は特定の豆の品種名ではなく、お餅に絡みやすくするためにペースト状に加工した豆の状態を指している言葉なのです。

ずんだの歴史

起源は戦国時代

ずんだの歴史をたどると、その起源は500年以上前の戦国時代にまでさかのぼることができます。

伊達政宗が治めていた奥州一帯、つまり現在の東北地方に広く伝わっているこの食べ方は、当時は現在のような甘い味付けではありませんでした。

現在私たちが親しんでいる甘いずんだ餅の形になったのは、幕末の頃とされています。

餅食文化と季節の変化

昔から宮城県ではを食べる習慣が根強く、正月や婚礼、法事、葬儀などの人生の節目となる行事には欠かせない食べ物として親しまれてきました。

この背景には、が保存の利く栄養価の高い食品であったことや、特別な日にふさわしい食べ物として認識されていたことがあります。

夏に収穫期を迎える枝豆を使ったずんだ餅は、特にお盆やお彼岸の供え物として、また来客をもてなす際の食べ物として出されることが多くありました。

季節限定から通年商品へ

かつては、ずんだ餅は枝豆が出回る7月から9月だけの季節限定の食べ物でした。

しかし現在では、自動でさやを剥く機械の開発や冷凍技術の進歩により、一年を通して食べることができるようになりました。

この技術の発達により、ずんだは地域限定の郷土料理から、宮城県を代表する名物として全国的に知られるようになり、観光客がお土産として購入することも多くなっています。

現代でのずんだの広まり

仙台三大名物

ずんだは、牛タン、笹かまぼこと並んで「仙台三大名物」の一つに位置づけられています。

伝統的なずんだ餅以外にも、様々な商品に加工されています。

ずんだシェイク、ずんだプリンずんだケーキずんだどら焼きなど、和菓子だけでなく洋菓子にも応用されており、多様な楽しみ方が生まれています。

現代のずんだの評価

2023年に実施された仙台市観光実態調査では、仙台市の魅力として「グルメを楽しめる」と答えた人が40パーセントを占めました。

また、女性においては全ての世代を通してずんだ系のグルメを体験する率が高いという結果が出ています。

これらのデータは、ずんだが現代においても多くの人に受け入れられていることを示しています。

ずんだ餅の味わい

ずんだ餅の見た目の特徴は、鮮やかな緑色のと真っ白なとの対比です。

口に運ぶと、ほんのりとした素朴な甘みと、豆本来の風味が感じられます。

枝豆のつぶつぶとした食感が、もっちりとしたと調和して、独特の味わいを作り出しています。

家庭でのずんだ作り

材料選び

ずんだを手作りする際は、新鮮な枝豆を選ぶことが大切です。

良質な枝豆は、さやが鮮やかな緑色で、産毛がびっしりとついているものを選びましょう。

さやがふっくらしていて、実がしっかりと詰まっているものも良い枝豆のしるしです。

逆に、茶色くなっているものやさやが痩せているものは避けた方がよいでしょう。

枝豆の茹で方

ずんだをなめらかな仕上がりにするには、枝豆を柔らかめに茹でることがポイントです。

茹で時間が短いとすりつぶしにくく、長すぎると枝豆の香りが飛んでしまい、色も悪くなってしまいます。

茹で上がった後は、水っぽくなるのを避けるため、長時間流水につけず、色止めのために軽く流水をかける程度にとどめ、手で触れる程度の温度になるまで自然に冷まします。

薄皮の処理

なめらかで色合いの良いずんだを作るためには、枝豆についている薄皮を丁寧に剥く作業が欠かせません。

この作業は手間がかかりますが、薄皮が残っていると口の中に残ってしまい、口当たりが悪くなります。

味付けのポイント

ずんだは枝豆本来の風味を楽しむものなので、砂糖の量は控えめにし、自然な甘みを活かすことが大切です。

また、少量のを加えることで、甘みが引き立ち、全体の味が締まります。

保存方法

ずんだ餅は傷みやすい食品なので、できるだけ作った当日に食べきることが推奨されています。

時間が経つとお餅の両方が硬くなり、美しい緑色も茶色っぽく変色してしまうため、出来たての状態で味わうのが最も良い食べ方です。

ずんだとだだちゃ豆

だだちゃ豆とは

山形県の庄内地方で栽培されている「だだちゃ豆」は、枝豆の一種です。

鶴岡市で江戸時代から栽培されている伝統的な品種で、その地域の気候風土に適応した特長を持っています。

この豆の名前は、庄内地方の方言で「お父さん」を意味する「だだちゃ」から来ています。

だだちゃ豆の特長

だだちゃ豆は、通常の枝豆よりも甘みと香りが強いことが特長です。

噛めば噛むほど口いっぱいに豊かな風味と濃厚な甘みが広がります。

収穫時期は7月下旬から9月頃で、時期によって「極早生」「早生」「中生」「晩生」の品種があり、それぞれ異なる味わいを楽しむことができます。

だだちゃ豆の活用

だだちゃ豆は、枝豆と同じように茹でして食べることが一般的です。

このだだちゃ豆をすりつぶして作るずんだは、通常の枝豆で作ったものよりも風味が豊かになります。

そのため、山形県や宮城県でお団子お餅として活用されることが増えています。

まとめ

ずんだは、単なる地方の郷土料理を超えて、栄養価の高い健康食品として、また創意工夫により様々な形で楽しまれる食材として、現代においても多くの人に愛され続けています。

宮城県の伝統的な食文化を代表するずんだは、その歴史的背景と現代的な応用により、今後も発展を続けていくことでしょう。

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