ブッセとはどんなお菓子?作り方やダックワーズとの違い

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ブッセとはどんなお菓子?

ブッセとは、ふんわりとした生地でクリームやジャムを挟んだ焼き菓子のことです。

手に取ると軽やかで、口に入れると外側はさっくり、中はふんわりとした食感が楽しめます。

日本全国の洋菓子店や土産物店で販売されており、手土産や贈答品として幅広く用いられています。

ブッセが焼き菓子に分類される理由

ブッセはオーブンで焼いて作られるため、お菓子の分類上は焼き菓子に分類されます。

水分が少ないため日持ちがしやすく、常温での持ち運びにも適しています。

この日持ちの良さから、遠方へ持っていく贈答品としても選ばれやすいという特徴があります。

ブッセの生地に使われるビスキュイ生地

ブッセの独特な食感を作り出しているのが「ビスキュイ生地」です。

この生地の特徴を理解すると、ブッセの軽さの秘密がよくわかります。

ビスキュイ生地とは何か

ビスキュイ生地とは、卵黄と卵白を別々に泡立てて作るスポンジ生地のことを指します。

この生地は、一般的なケーキ作りのスポンジ生地とは卵の泡立て方が異なります。

ビスキュイ生地の製法

ビスキュイ生地は、卵白を先に泡立ててメレンゲを作り、その後に卵黄や粉類を混ぜ込む「別立て法」という方法で作られます。

ビスキュイ生地を作る最初の工程では、卵白だけを取り出してしっかりと泡立て、「メレンゲ」を作ります。

このメレンゲにはたくさんの空気が含まれており、これが焼き上がりのふんわりとした軽さの元になります。

メレンゲは、ボウルを傾けても落ちてこないくらい、角が立つ硬さに泡立てる必要があります。

泡立てが不十分だと、生地が重たくなり、ブッセ特有の軽い食感が生まれません。

油脂を使わない理由

ビスキュイ生地には、バターや油といった油脂類が一切使われていません。

これは、メレンゲの気泡が非常に壊れやすく、油分が少しでも加わると泡が潰れてしまうためです。

油脂を使わずに作ることで、生地に空気をたっぷり含ませた軽やかな食感を保つことができるのです。

ジェノワーズ生地との違い

一般的なスポンジケーキで使われる「ジェノワーズ生地」は、卵黄と卵白を分けずに全卵の状態で泡立て、油脂類を加えて作られます。

そのため、ジェノワーズ生地はしっとりとした食感になるのに対し、ビスキュイ生地は軽くてふんわりとした食感になります。

ブッセという名前の由来

ブッセというお菓子の名前は、フランス語から来ていますが、フランス語での意味は日本とは異なります。

フランス語の「bouchée」が語源である

ブッセという名前は、フランス語の「bouchée」(ブーシェ)という言葉に由来しています。

フランス語の発音は「ブーシェ」に近いのですが、これが日本語読みされて「ブッセ」として定着しました。

フランス語の「bouchée」には、「ひと口の」や「少量の」という意味があります。

フランスと日本で意味が異なる

フランスで「ブッセ」という言葉は、ひと口サイズの温かいオードブル、つまり料理の一種を指します。

日本のお菓子のブッセとは全く異なるものを意味しており、同じ言葉でも国によって指すものが違うという点は、ブッセについて知る上で大切な事実です。

お菓子としてのブッセが日本で誕生した経緯

現在、私たちが食べているお菓子のブッセは、フランスではなく日本で独自に生まれました。

現在のお菓子のブッセは、日本の菓子店が独自の工夫によって作り出したものとされています。

洋菓子の材料を使っているにもかかわらず、和菓子に分類されることもあるのはこのためです。

洋菓子の技術と材料を使いながら、日本人の味覚や文化に合わせて発展した「洋風和菓子」という位置づけになります。

ブッセが日本で広まった時期

ブッセは、第二次世界大戦後から昭和時代にかけて日本全国に広まっていきました。

昭和30年代に贈答品として普及した

昭和30年代頃から、ブッセは全国各地の洋菓子店や土産物屋で販売されるようになりました。

この時期は、ブッセが進物用、つまり贈答品として使われることが多かったとされています。

昭和40年代以降はおやつとして広まった

昭和40年代に入り、日本が高度経済成長期を迎えると、洋風の焼き菓子がおやつとして身近なものになりました。

ブッセもその流れの中で、日常的に食べるおやつとしても広く親しまれるようになりました。

日本でブッセが受け入れられた理由

ブッセが日本で広く愛されるようになった背景には、いくつかの要因があります。

軽くて繊細な食感が日本人の好みに合った

ブッセの軽くてふんわりとした食感は、古くから口当たりが軽く繊細なお菓子を好む日本人の味覚に合っていました。

重たいケーキよりも、日常的に気軽に食べられる軽さが受け入れられました。

個別包装による利便性が高かった

ブッセは一つひとつが個別に包装されている商品が多く、これが手土産や贈答品として非常に便利でした。

個別包装は衛生的で、家族や友人と分け合う際にも手間がかからないという実用性が、普及を後押ししました。

ブッセとダックワーズの違いを比較する

ブッセとよく似た見た目の焼き菓子に「ダックワーズ」がありますが、両者には明確な違いがあります。

使う材料が異なる

ブッセとダックワーズは、生地に使う主な材料が異なります。

ブッセの生地の主な材料

ブッセの生地の主な材料は小麦粉です。

小麦粉を使うことで、親しみやすい素朴な味わいになります。

ダックワーズの生地の主な材料

一方、ダックワーズの生地の主な材料はアーモンドパウダーです。

アーモンドパウダーとは、アーモンドを細かく砕いた粉のことで、これによりアーモンドの豊かな風味が効いた味わいになります。

食感が異なる

材料の違いは、食感の違いとなって現れます。

ブッセの食感

ブッセは、表面のサクサク感と中のふんわり感が組み合わさった軽快な食感が特徴です。

ダックワーズの食感

ダックワーズは、表面のサクサク感に加え、内部がブッセよりもよりしっとりとしています。

さらに、卵白が主体の生地独特のねっちりとした粘り気のある食感も感じられます。

形状が異なる

見た目の形状も両者を見分けるポイントになります。

ブッセの形状

ブッセは、生地を絞り袋に入れて絞り出して作るため、一般的に丸い形をしています。

ダックワーズの形状

ダックワーズは「シャブロン」と呼ばれる型を使って作るため、小判のような楕円形をしています。

店頭で両方を見かけた際に、この形状の違いで判断することができます。

ブッセの作り方

ブッセがどのように作られるのか、その製造工程を順を追って解説します。

この工程を理解すると、ブッセの軽さとサクサク感が生まれる仕組みがわかります。

生地の仕込み工程

生地を作る最初の段階で、メレンゲをしっかりと作り、泡を潰さないように他の材料を混ぜ込みます。

卵白を泡立てる

まず、卵白をしっかりと泡立てて角が立つ硬さのメレンゲを作ります。

このメレンゲの質が、ブッセのふんわりとした食感を大きく左右します。

卵黄と粉を混ぜる

メレンゲに卵黄を加えて混ぜた後、薄力粉をふるいにかけながら加えます。

薄力粉は、メレンゲの泡を潰さないように、切るように優しく、しかし手早く混ぜる必要があります。

混ぜすぎると生地が硬くなり、軽さが失われてしまうため、注意が必要です。

焼成の工程

生地を天板に絞り出し、ブッセ独特の表面のサクサク感を作り出すための工夫を施します。

生地を絞り出す作業

丸口金をつけた絞り袋に生地を入れ、天板の上に均一な大きさに丸く絞り出します。

粉糖を2回ふるいかける工夫

絞り出した生地の表面に、まず粉糖(細かく砕いた砂糖)をたっぷりとふるいかけます。

1分ほど待って生地の水分が粉糖に吸われたのを確認したら、もう一度たっぷりと粉糖をふるいかけます。

この二度にわたる粉糖がけによって、生地の表面に砂糖の膜が形成されます。

この膜が、焼き上がった時に表面をサクサクに、中をふんわりに保つ役割を果たし、ブッセ独特の食感を生み出します。

焼き上げと冷却

オーブンで焼き上げ、表面が軽く色づいたら取り出し、しっかりと冷まします。

焼き上げの温度や時間は、使用するオーブンに合わせて調整することが必要です。

ブッセに挟まれるクリームの種類

ブッセの軽やかな生地に挟むクリームは、生地の風味を活かしつつ、食べた時の満足感を与えるように工夫されています。

ブッセに一般的に使われるクリームは、主に「バタークリーム」と「カスタードクリーム」の二種類です。

バタークリーム

バタークリームは、バターと砂糖を混ぜ合わせて作られ、濃厚な味わいが特徴です。

生地の軽さを損なわないように、重たくなりすぎないよう調整された配合が使われます。

カスタードクリーム

カスタードクリームは、卵黄、牛乳、砂糖などを使って作られるなめらかなクリームです。

こちらもブッセ生地の軽さを引き立てるような配合で作られています。

多彩なフレーバー

基本のクリームの他にも、多様な味のバリエーションが楽しめます。

基本のバタークリームに、フルーツのピューレやチョコレート抹茶などを加えて、味に変化をつけることができます。

ジャムや地域の特産品

クリームを使わずに、ジャムをそのまま挟むこともあります。

また、全国各地の店舗では、その土地の特産物を使った独自のクリームを開発し、地域色豊かなブッセが生まれています。

ブッセの地域性と今後の展開

ブッセは日本全国で製造・販売されており、地域ごとの特色が見られます。

各地域では、その土地の特産品を活かしたブッセが販売され、お土産としても人気を集めています。

北海道は酪農が盛んな地域であるため、質の良い乳製品を使った濃厚なクリームを挟んだブッセが多く作られています。

また、北海道特有の果実であるハスカップを使った、甘酸っぱいクリームのブッセなども販売されています。

地域の特産品を活かすことで、その土地ならではのブッセが生まれ、旅行の楽しみの一つにもなっています。

まとめ

ブッセは、フランス語を名前の由来に持ちながらも、日本の菓子店が独自に考案し、育ててきた洋風和菓子です。

このお菓子は、卵白をしっかり泡立てて油脂を使わない「ビスキュイ生地」を使うことで、表面はサクサク、中はふんわりという独特の軽やかな食感を実現しています。

日本人の繊細な味覚に合った軽い口当たりと、個別包装による利便性の高さから、昭和時代を通して贈答品やおやつとして広く親しまれてきました。

現在もブッセは全国各地で愛され続けており、地域の特産品を使った多様なバリエーションが生まれています。

洋菓子店だけでなくコンビニエンスストアでも手軽に購入できるようになったブッセは、長年にわたり日本の洋菓子文化を支えてきた存在として、今後も多くの人々に親しまれていくでしょう。

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