ビーノとは
ビーノは、1991年に誕生して以来、30年以上にわたって多くの人に親しまれている東ハトのスナック菓子です。この商品は、えんどう豆を生地に100%使っているのが一番の特徴です。お米やとうもろこし、小麦粉といった他の穀物は一切混ぜていません。えんどう豆だけでスナック菓子を作るのはとても難しい技術で、東ハトが長い時間をかけて研究し、開発した独自の作り方なのです。
ビーノが開発された理由
ビーノが作られるまでには、様々な困難がありました。当時の東ハトには、すでにキャラメルコーン(とうもろこしが原料)や、ポテコ・なげわ(じゃがいもが原料)といった人気商品がありました。そこで、次に主力となる商品として、「豆」を使った新しいブランドを開発しようと考えたのです。しかし、えんどう豆をスナック菓子にするのは想像以上に大変で、何度も試行錯誤が繰り返されました。
ビーノの作り方
パフ技術の応用
ビーノの開発で転機となったのは、キャラメルコーンを作る際に培われたパフ技術を応用したことでした。パフ技術とは、穀物を膨らませて、サクサクとした食感を作り出す技術のことです。この技術をえんどう豆に応用することで、ついに「えんどう豆100%」のスナック菓子を作ることに成功しました。こうして1991年、ビーノが誕生したのです。
直火焙煎ノンフライ
ビーノの作り方には、もう一つ大切な特徴があります。それは、油で揚げずに、直火で焙煎している点です。多くのスナック菓子が油で揚げて作られるのに対し、ビーノは直火でじっくりと焼かれています。この方法によって、えんどう豆本来の香ばしい風味が最大限に引き出され、表面はカリッと香ばしく、中はサクサクとした軽い食感になるのです。油で揚げていないため、豆そのものの自然な味をまっすぐに感じることができます。
大人向けスナックとしてのビーノ
ビーノが発売された1991年当時、スナック菓子は「子どものおやつ」というイメージが強く、大人を主なターゲットにした商品は珍しい存在でした。しかし東ハトは、ビーノを大人向けの商品として位置づけ、新しいマーケティング戦略を行いました。
その代表的な例が、作曲家でタレントの小林亜星さんを起用したテレビCMです。CMソングには「ビールにビーノ」という覚えやすいフレーズがあり、この商品が大人のおつまみであることを強くアピールしました。
この戦略は成功を収め、ビーノは大人のおつまみ市場で独自の地位を確立しました。えんどう豆の自然な甘みと香ばしさ、そして程よい塩味が、ビールなどのお酒と非常に良く合い、仕事終わりの一杯のお供として多くの大人に愛されるようになりました。
ビーノの味の秘密
基本となる「うましお味」の原材料は、えんどう豆、植物油脂、デキストリン、食塩、かつおぶしエキスパウダー、昆布パウダーと、とてもシンプルです。しかし、このシンプルさこそがビーノの味の奥深さの秘密です。かつおぶしと昆布という和風だしの代表的な素材から取られた旨味成分が、えんどう豆の自然な甘みと絶妙に組み合わさり、食べ飽きない深い味わいを作り出しています。「シンプルイズベスト」をまさに表した味付けと言えるでしょう。
ビーノの豊富なフレーバー展開
時代とともに、ビーノの味のバリエーションも大きく広がりました。2015年には期間限定で「のりしお味」と「あらびき黒コショウ味」が登場し、「あらびき黒コショウ味」は人気が高かったため、後に「ブラックペッパー味」として定番商品になりました。このように、季節限定商品として消費者の反応を見て、人気の高いものを定番に加えるという柔軟な商品開発戦略が取られています。
ビールにビーノシリーズの充実
近年特に注目されているのが、「ビールにビーノ」シリーズの充実ぶりです。このシリーズは、その名の通りビールとの相性を徹底的に追求した商品群で、「ごま担々味」「豚キムチ味」「牛わさび味」「ガーリックシュリンプ味」など、従来のビーノよりもさらに濃厚で刺激的な味わいの商品が次々と登場しています。これらの商品は、えんどう豆本来の風味を活かしながらも、より大人の好みに合わせた味付けが施されており、ビーノブランドの新しい可能性を示しています。
新しい味わいの提案
また、最近では「紀州の梅味」や「カマンベールチーズ味」といった、これまでのビーノのイメージとは異なる上品な味わいの商品も登場しています。紀州産南高梅を使った梅味は、さっぱりとした酸味に鰹節の旨味を効かせた和風テイストです。カマンベールチーズ味は、使われているチーズパウダーのうち86%がカマンベールチーズパウダーという贅沢な配合で、クリーミーでまろやかな味わいを実現しています。これらの商品展開からは、ビーノが単なる「豆スナック」の枠を超えて、様々な味の体験を提供するブランドへと進化していることが分かります。
多様なサイズ展開
現在のビーノは、消費者の様々な生活スタイルに対応するため、様々なサイズが用意されています。コンビニで手軽に買える少量の「ちょいスナ」から、家庭でゆっくり楽しめる大容量の「どっさりパック」まで、使う場面に応じて選べるラインアップが揃っています。これは、東ハトが掲げる25年スナック戦略の一環として行われており、主力5ブランドの一つであるビーノの重要性を物語っています。
ビーノの競合商品
豆スナック市場には、他にも競合商品があります。最も有名なのはカルビーの「さやえんどう」で、こちらは1993年の発売でビーノより2年遅れて登場しました。また、過去には「ジャック」という商品もあり、「マメ、マメマメ~」というフレーズで親しまれていましたが、現在ではあまり見かけなくなりました。これらの競合商品がある中で、ビーノが30年以上にわたって市場での地位を保ち続けているのは、その独特な「豆豆している」香りと旨味、そして継続的な商品改良によるものです。
ビーノの新しい楽しみ方
ビーノの魅力は、そのまま食べる以外にも様々な楽しみ方があることです。熱心な愛好家の間では、独自のアイデアが生まれており、中でも人気なのが「七味マヨネーズトッピング」です。これは、小皿にマヨネーズを出し、その上から七味をかけ、ビーノを付けて食べる方法です。ビーノの豆の風味にマヨネーズのコクと七味の辛さが加わることで、より濃厚でパンチのある味わいを楽しむことができます。
この愛好家のアイデアは実際の商品開発にも影響を与えています。「ビールにビーノ」シリーズの中には、まさにこの七味マヨ系の味わいを再現した商品も登場しており、消費者の創意工夫が商品開発につながるという、ビーノならではの現象が起きています。これは、長年愛され続けているブランドだからこそ可能な、消費者との深いつながりを示すエピソードと言えるでしょう。
ビーノの栄養価
栄養面では、えんどう豆100%という特性上、豆類ならではの栄養を持っています。タンパク質や食物繊維が豊富で、お腹にたまりやすいという特徴もあります。一袋あたりのカロリーは424.4kcalとそれなりに高めですが、これは豆本来の栄養価が高いことによるものです。おやつとしてだけでなく、軽い食事としても十分な満足感を得られる商品と言えるでしょう。
ビーノの人気:売上好調
東ハトの業績資料を見ると、ビーノを含む主力5ブランドは近年好調な売上を維持しています。特に2024年に行われた「東ハトおかしな推し活キャンペーン」では、ビーノは前年に比べて2桁増という大幅な伸びを記録しました。このキャンペーンは、普段推される側のタレントが推しの東ハトお菓子を紹介するという新しい企画で、YouTubeでの動画配信とレシート応募キャンペーンを組み合わせた現代的なマーケティング手法でした。
また、2025年1月から3月の実績も前年を1桁半ばで上回って推移するなど、30年以上の歴史を持つ商品としては驚くほどの成長を続けています。これは、長年にわたって築き上げたブランド力と、時代に合った新しいマーケティング手法が組み合わさった結果と言えるでしょう。
まとめ
東ハトのビーノは、えんどう豆100%という素材へのこだわり、直火焙煎製法による独特の香ばしさ、そして大人のおつまみ市場を開拓した先見性により、30年以上という長い期間にわたって多くの消費者に愛され続けています。これからも、豆スナックの代表格として、新しい味覚体験と懐かしい味わいの両方を提供し続けることでしょう。時代とともに進化しながらも、その本質的な魅力を失わないビーノの未来にも、大いに期待が寄せられています。