ビスコとは
江崎グリコが昭和8年(1933年)に発売した「ビスコ」は、創業者である江崎利一氏の発案によるビスケットです。このお菓子は、胃腸の働きを活発にする酵母を混ぜ込んだ画期的な商品でした。当時、日本では「富国強兵」というスローガンのもと、国民の体力や健康を向上させることが重視されていました。その背景もあり、ビスコのような栄養価の高い食品が注目されました。
ビスコという名前の由来
「ビスコ」という名前は、「酵母入りビスケット」を意味する「コービス」を前後逆にしたものであるとされています。また、江崎グリコの製品には「パピコ」「コロン」など3文字の名前が多いですが、これは覚えやすさを重視したものです。さらに、「ビスコ」の文字数が8画であることから、縁起が良いとされる「末広がりの八」にちなんだ命名でもあると伝えられています。
ビスコと室戸台風
昭和9年(1934年)に発生した室戸台風は、日本各地に大きな被害をもたらしました。この際、江崎グリコは被災者へ「ビスコ」を格安で提供しました。この取り組みが多くの人々の心を動かし、結果的に「ビスコ」の大ヒットにつながったとされています。こうした背景から、「ビスコ」は単なるお菓子ではなく、困難な状況を支える食品としてのイメージも強まりました。
ビスコのリニューアル
発売以降、「ビスコ」は時代に合わせてさまざまなリニューアルが行われてきました。味のバリエーションを増やすことや、パッケージデザインの改良など、企業努力を続けることで、現在に至るまでロングセラー商品として愛されています。例えば、チョコレート味やいちご味、さらには大人向けの高カカオバージョンなど、多様なラインアップが展開されています。
非常食としてのビスコ
近年では、日本各地で災害が頻発していることを背景に、非常食として「ビスコ」が再評価されています。その理由は、栄養バランスが良く長期間保存できる点にあります。ビスコのパッケージには「5年保存可能」と記載されており、災害時に備える食品として家庭や防災グッズに取り入れられることが増えています。
まとめ
「ビスコ」は、胃腸の健康を意識した酵母入りビスケットとして生まれ、長い歴史の中で災害支援や味の改良を経て、多くの人々に愛されてきました。健康志向の商品としてだけでなく、非常時の備えとしても注目されている「ビスコ」は、今後も日本の食文化において重要な存在であり続けるでしょう。