ブッセとナボナの違い【最初に答えを説明します】

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ブッセとナボナの違いを解説

「ブッセとナボナは見た目も味もよく似ているけれど、一体何が違うんだろう?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

この二つのお菓子は、どちらもふんわりとした生地でクリームを挟むという共通の構造を持ちますが、決定的な違いはこちらです。

ブッセは日本全国のパン屋やスーパーなどで広く見られるお菓子の種類を指しますが、ナボナは東京・神奈川を中心に展開する亀屋万年堂の看板商品であり、販売地域や価格帯、開発された背景にも違いがあるのです。

この後、それぞれの成り立ちや詳細な違いを順番に解説していきます。


「ブッセ」という言葉の由来と成り立ち

まず、ブッセという言葉がどのように生まれ、日本でどのようなお菓子を指すようになったのかを説明します。

ブッセの言葉の由来

ブッセはフランス語の「bouchée(ブーシェ)」に由来しています。

このフランス語の「bouchée」が持つ意味は、「ひと口」です。

本来フランスでは、この言葉はひと口サイズの温かいオードブルを指す言葉として使われていました。

つまり、もともとはお菓子ではなく、料理の用語だったという歴史があります。

日本でのブッセの成り立ち

日本では、フランス語のブーシェから名前だけを借りて、全く異なるお菓子が作られるようになりました。

ブッセは、日本の和菓子屋さんが洋菓子の材料を使用して作った日本発祥のお菓子です。

日本では、ビスキュイと呼ばれるケーキの一種で、クリームやジャムをはさんだ焼菓子として知られています。

ビスキュイとは

ビスキュイというのは、卵黄と卵白を別々に泡立てて作ったスポンジ生地のことです。

この生地は軽くてふんわりとした食感が特徴です。

このように、日本でブッセと呼ばれているお菓子は、フランスから名前だけを借りて日本で独自に発展した洋風和菓子という位置づけになります。

日本におけるブッセの歴史

ブッセは、日本において戦後から昭和時代にかけて広まった洋菓子の一つです。

戦後の経済成長とともに洋菓子への需要が高まり、フランス菓子をベースにした様々な洋菓子が日本人の口に合うようにアレンジされていきました。

ブッセもその中の一つとして、日本の菓子文化の中に定着していきました。


「ナボナ」の名前の由来と成り立ち

ナボナの名前の由来

ナボナという名前の由来には背景があります。

創業者の引地末治がイタリアを訪れた際、ローマ市にあるナヴォーナ広場(Piazza Navona)という場所を訪れました。

この広場では毎年12月におもちゃやお菓子を売るワゴンが立ち並び、子供たちで大変賑わっていました。

子供たちに愛されるお菓子になってほしいという願いを込めて、この広場の名前から「ナボナ」と命名されました。

ナボナの成り立ち

ブッセという大きなお菓子のカテゴリーに対し、ナボナは特定の店舗から生まれた商品です。

ナボナを開発・販売している亀屋万年堂は、1938年に引地末治が創業した和菓子店です。

創業者の引地末治は、1963年(昭和38年)かその前年にヨーロッパを旅行し、洋菓子に刺激を受けました。

帰国後、引地末治は「和菓子の感性を活かしながら、洋菓子の楽しさにあふれた商品をつくりたい」という考えから、洋風どら焼きの開発を始めました。

そして、1963年(昭和38年)にナボナが発売されました。ナボナ亀屋万年堂のロングセラー商品です。


ブッセとナボナの具体的な関係性を整理

ナボナはブッセと非常に似た構造を持っていますが、両者の関係性を正確に整理することが重要です。

共通点

ブッセとナボナは、基本的な構造から見ると非常によく似ています。

どちらも卵、砂糖、小麦粉を主な材料とし、メレンゲを使用したふわっとした生地でクリームを挟んだお菓子です。

生地の基本的な作り方も同じで、ブッセと同様にビスキュイ生地を使用しています。

ナボナがブッセのカテゴリーに属する理由

実質的には、ナボナはブッセの一種であると考えるのが適切です。

つまり、ブッセという大きな洋風和菓子のカテゴリーの中に、亀屋万年堂が独自に開発したナボナという商品が含まれているという構造です。

言い換えれば、「亀屋万年堂が販売するブッセの商品名がナボナである」と理解するのが最も正確な認識となります。


ブッセとナボナの細かな商品特性の違い

ナボナはブッセの一種ですが、特定のメーカーの商品として、細部に違いを持っています。

食感の違い

伝統的なブッセの生地は、ワッフルどら焼きと違い、さっくりとしているのが特徴です。

一方、ナボナはドーム型のソフトカステラで各種クリームを挟み込んでおり、シフォンケーキのような柔らかくふわっとした食感を持っています。

ただし、最近では柔らかい生地のブッセも多く販売されるようになっており、この食感の違いは必ずしも明確な区別基準とは言えなくなってきています。

形状の違い

ブッセとナボナは形状が似ており、生地の基本的な材料も共通しています。

ナボナどら焼きに近い形状をしており、これは和菓子店が開発したという背景が反映されています。

ドーム型の生地が2枚合わさってクリームを挟む構造は、洋風どら焼きと呼ぶにふさわしいものです。

サイズについても、ひと口サイズではなく、手のひらサイズの大きさがあり、食べ応えがあります。

クリームのバリエーションの違い

一般的なブッセは、チーズクリームを挟んだチーズブッセとして販売されることが多く、シンプルな商品構成になっています。

一方、ナボナは定番のチーズクリームをはじめ、パインクリーム、いちごクリームなど、季節限定のものも含めて様々な種類が展開されています。

ナボナチーズクリーム

ナボナチーズクリームには、オリジナルのシュレッドチーズ(プロセスチーズ)が入っています。チーズの風味と口溶けの良さが楽しめる構造です。

ナボナパインクリーム

パインクリームは2013年の「ナボナ発売50周年記念・もう一度食べたいナボナの味アンケート」で1位を獲得し、復活した商品です。フルーティーなパインクリームとふわふわのソフトカステラの組み合わせが特徴です。

ナボナいちごクリーム

いちごクリームは、いちご果肉を加えたマイルドないちごクリームと甘酸っぱいいちごジャムの二層構造になっています。

価格設定の違い

価格面でも違いが見られます。

一般的なブッセは比較的手頃な価格で販売されており、日常的なおやつとして購入できる価格帯です。

例えば、山崎製パンが製造しているブッセは80円程度で購入できます。

一方、ナボナは1個あたり180円程度と、一般的なブッセと比較して価格差があります。

ナボナは贈答品としても選ばれることがあり、例えば3種類18個入りで3000円程度という価格設定になっています。


流通および地域性の違い

ナボナの販売エリア

ナボナ亀屋万年堂の商品であるため、その販売エリアは基本的に東京都と神奈川県に限られています

亀屋万年堂は神奈川県横浜市都筑区に本社を持つ菓子の専門店であり、自由が丘の本店をはじめ、川崎、横浜、相模原、鎌倉、海老名などに店舗があります。

そのため、首都圏以外ではほとんど流通していません。

ナボナが東京近辺で広く知られるようになった背景には、テレビCMの存在があります。

プロ野球選手の王貞治さんが出演し、「ナボナはお菓子のホームラン王です」というキャッチフレーズで知られたCMは、多くの人の記憶に残っています。

王さんが13年間連続でホームラン王を獲得したことにちなんだもので、王貞治さんは現在でも「ナボナ名誉大使」として関わりを持ち続けています。

ブッセの販売エリア

一方、ブッセという名称で販売されているお菓子は、特定のメーカーに限定されず、全国各地で見ることができます。

コンビニエンスストアやスーパーマーケットでも広く取り扱われています。

このため、関西地方などではナボナという名前はあまり知られていませんが、ブッセという言葉はほとんどの人が知っているという状況が生まれています。

製造面では、亀屋万年堂シャトレーゼホールディングスの100%子会社となっています。

ナボナの搬送にはシャトレーゼのプラスチックコンテナが使用されていますが、製造者表示は「亀屋万年堂」となっています。

シャトレーゼの店舗では「豊酪」という別名の類似商品が販売されていますが、ナボナそのもの亀屋万年堂の店舗または通信販売でしか入手できません。


まとめ

ナボナ亀屋万年堂という特定の店舗が製造・販売する固有の商品名であり、販売地域も限定されているという点が最も大きな違いとなります。

どちらもふわふわとした柔らかい生地でクリームを挟んだお菓子という点では共通していますが、ナボナの方がより丁寧に作られた上品な味わいを持った商品として位置づけられていると言えるでしょう。

ナボナは1963年から60年以上にわたって愛され続けている商品です。

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