ブリオッシュとは|フランスで生まれたパン

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目次

ブリオッシュとはどんなパン?

私たちがお店でよく見かけるパンは、小麦粉と水、それに酵母とを混ぜて作られます。

でも、ブリオッシュは少し違います。

普通のパンよりも、もっと特別で、まるでケーキのようなパンなのです。

その秘密は、使われている材料と、とても手間がかかる特別な作り方にあります。

ブリオッシュの分類

ブリオッシュは、ヴィエノワズリー(Viennoiserie)という、フランスの特別なパンのグループに属しています。

このヴィエノワズリーは、「ウィーン風の」という意味で、バターや卵をたくさん使って作られる甘いパンのことを指します。

この仲間には、サクサクの食感が人気のクロワッサンや、チョコレートが入ったパン・オ・ショコラ、そしてフルーツやクリームを乗せたデニッシュなど、おいしいパンがたくさんあります。

ブリオッシュの特徴

ブリオッシュがこのグループの中でも特別なのは、バターと卵がとってもたくさん入っているからです。

一般的なパンは、水を使って生地をこねますが、ブリオッシュは水の代わりに牛乳を使います。

さらに、生地をこねる時に、たくさんの卵とバター、そしてお砂糖をたっぷりと加えることで、生地はきれいな黄金色になり、ふんわりとした食感と濃厚な風味を生み出します。

パンというよりも、お菓子に近い、とてもぜいたくな味わいになるのは、この豊富なバターと卵のおかげなのです。

ブリオッシュの発祥起源

ブリオッシュが生まれたのは、今から400年以上も前のフランスノルマンディー地方です。

この場所は、今でも最高級のバターをたくさん作っていることで世界的に有名です。

昔からこの地域では、牛を育ててミルクを絞り、質の良いバターを作る酪農技術(らくのうぎじゅつ)がとても進んでいました。

良質なバターなしにはブリオッシュのおいしさは生まれません。

だから、おいしいバターが手に入るこの場所で、バターをたっぷり使ったブリオッシュという、ぜいたくなパンが生まれたのは、なんだか納得できますね。

ブリオッシュという名前の由来

ブリオッシュという名前には、いくつかの説があります。

一番有力なのは、ノルマンディー地方の方言で、「生地をこねる」ことを意味する「brier(ブリ)」と、「かき混ぜる」という意味の「ocher(オシェ)」という言葉が合わさってできた、という説です。

どちらの説も、ブリオッシュを作るための、とても丁寧で大変な生地作りの作業を意味しています。

この名前から、ブリオッシュは昔から大切に作られてきたパンだということがわかります。

ブリオッシュの有名なエピソード

ブリオッシュには、歴史に名を残す有名なお話や、ちょっと笑ってしまうようなエピソードがあります。

マリー・アントワネットの有名な言葉

フランスのお姫様、マリー・アントワネットが言ったとされる「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」という有名な言葉。

この「お菓子」が、実はブリオッシュのことだった、というお話があります。

当時、普通の人が食べるパンがなくてお腹をすかせていた時代に、卵やバターをたくさん使ったブリオッシュを気軽に食べればいい、と言ったとされていて、お姫様が世の中のことをわかっていなかった、という例として語り継がれてきました。

でも、最近の研究では、この言葉は本当はマリー・アントワネットが言ったものではない、と言われています。

それでも、このお話から、ブリオッシュがとても高級で特別なパンだったことがわかりますね。

「ブリオッシュを作る」は「失敗する」?

フランス語の「faire une brioche(ブリオッシュを作る)」には、「失敗をする」という意味があります。

これは、昔、パリのオペラ座という場所のオーケストラの楽団員が、演奏を失敗したとき、罰としてお金を出し合ってブリオッシュを買って、みんなで食べた、というおもしろい習慣から生まれたそうです。

失敗した人がブリオッシュのマークを胸につけていたので、いつしかこの言葉が「失敗する」という意味で使われるようになったそうです。

ブリオッシュのいろんな形と種類

ブリオッシュには、色々な形や種類があります。

どれもかわいらしくて、それぞれの形に意味があります。

ブリオッシュ・ア・テット

「テット」は「頭」という意味で、大きな生地の上に小さな生地を乗せた、だるまや雪だるまのような形をしています。

見た目がとてもかわいらしいだけでなく、上の小さな頭の部分をちぎって、中にクリームなどを詰めて食べることもできます。

ブリオッシュ・ナンテール

パリの郊外にあるナンテール地方で生まれた、食パンのような形です。

長方形の型に、まるめた生地を8つ並べて焼くので、手でちぎって分けやすく、みんなで食べるのにぴったりです。

日本では「ブリオッシュ食パン」と呼ばれることが多く、トーストして食べてもとてもおいしいです。

ブリオッシュ・クーロンヌ

「クーロンヌ」は「王冠」という意味で、王冠のような丸い形をしています。

真ん中に穴が空いたリング状で、甘さがひかえめなので、食事パンとしてもよく食べられます。

この形は、何人かで分け合うときに便利です。

ブリオッシュ・ムースリーヌ

とてもやわらかい生地で、円柱形に作られます。

バターと小麦粉が同じくらいの量入っている、とても贅沢なブリオッシュで、木綿の布(モスリン)のように柔らかいことから、この名前が付きました。

薄く切って、フォアグラなどの高級な食材と合わせて食べることもあり、フランス料理にも使われます。

ブリオッシュ・ブール

「ブール」は「丸」という意味で、一番シンプルな丸い形をしています。

手のひらサイズで、一人で食べるのにちょうどいいサイズです。

上にあられ糖がまぶされていることもあり、ブリオッシュの基本の形とされています。

ブリオッシュ・トレッセ

三つ編みのような形をした、美しいブリオッシュです。

フランスのヴァンデ地方で、昔から作られている伝統的な形です。

見た目が美しいので、特別な日に、食卓を飾るパンとしても人気があります。

ブリオッシュと他のパンとの違い

ブリオッシュは、クロワッサンやデニッシュといった、他の甘いパンとも作り方がちがいます。

クロワッサンとの違い

クロワッサンは、生地を薄くのばしてバターを折り込み、それを何回も繰り返して、何層にもなる生地を作ります。

そして焼くことで、サクサクとした食感になります。

一方、ブリオッシュは、バターを生地に直接混ぜ込むので、ふわふわの食感になります。

デニッシュとの違い

デニッシュはクロワッサンと似ていて、生地を折りたたんで作るので、サクサクの食感です。

でも、クロワッサンが三日月のような形が多いのに対して、デニッシュは四角や丸など、色々な形にできるのが特徴です。

サクサクの食感は同じですが、デニッシュは中に入ったフルーツやクリームを楽しむことが多いです。

ブリオッシュの美味しい食べ方

ブリオッシュは、そのまま食べてもとてもおいしいですが、色々な方法で楽しむことができます。

マリトッツォ

ブリオッシュに切り込みを入れて、たっぷりの泡立てた生クリームをはさむ、イタリア生まれのスイーツです。

ブリオッシュの甘さと生クリームが合わさって、とてもおいしいです。

最近は、生クリームにいちごやチョコレートクッキーなどを加えた、見た目もかわいいマリトッツォもたくさんあります。

サンドイッチ

ブリオッシュは甘いだけでなく、しょっぱい食べ物ともよく合います。

薄く切って、クリームチーズを塗り、スモークサーモンやハムなどをはさむと、普段のサンドイッチとは違う、おしゃれなサンドイッチになります。

フランスでは、フォアグラをはさんで食べるのが定番です。

フレンチトースト

ブリオッシュでフレンチトーストを作ると、もともとバターや卵がたくさん入っているので、卵液に浸して焼くと、とても濃厚で、ふわふわとろとろの、お店のようなおいしさになります。

一晩、卵液にじっくりと浸してから、弱火でゆっくり焼くのが、外はカリッと、中はとろけるような食感にするコツです。

まとめ

ブリオッシュは、ただのパンではありません。

たくさんのバターと卵を使って、時間をかけて丁寧に作られる、まるで芸術品のようなパンです。

その歴史や種類、おいしい食べ方を知ることで、一口一口をさらに楽しむことができます。

もし、お店でブリオッシュを見つけたら、ぜひその特別なおいしさを味わってみてくださいね。

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