カントリーマアム チョコまみれとは|通常の2倍のチョコーレート量

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日本の菓子業界において、一つの商品が40年近くにわたって愛され続けるということは、珍しいことではありません。しかし、その長い歴史を持つ商品が再び大きな話題となり、現代の消費者に新鮮な驚きを与えるというのは、まさに企業の戦略と創造性の賜物と言えるでしょう。今回は、不二家の「カントリーマアムチョコまみれ」がどのようにして大ヒットを遂げたのか、その物語を詳しく見ていきましょう。

目次

カントリーマアムチョコまみれとは

カントリーマアムチョコまみれ」は、昭和59年(1984年)に発売された不二家の看板商品「カントリーマアム」の新しいバージョンです。2020年に発売され、翌2021年には大ヒットとなりました。この商品は、既存のミニサイズのカントリーマアムに比べて、なんと2倍ものチョコレートを使用した、その名の通り「チョコまみれ」な仕上がりが特徴です。

カントリーマアムの歴史

物語の始まりは1984年、昭和59年のことでした。この年、不二家という老舗菓子メーカーから「カントリーマアム」というクッキーが誕生しました。不二家と聞けば、多くの人が思い浮かべるのは「ミルキー」や「ルックチョコレート」といった代表的な商品かもしれません。カントリーマアムは、これら二つの看板商品と同じ地位に立つ、不二家にとっての三本柱の一つとして育っていったのです。

企業にとっての「看板商品」とは、ただ売れている商品というだけでなく、会社の収益を支える大切な収入源であり、ブランドイメージを形作る象徴的な存在です。カントリーマアムがこの地位を獲得するまでには、長年にわたる品質の維持と改良、そして消費者との信頼関係を築いてきた歴史があります。

カントリーマアムチョコまみれ誕生の背景

時は流れて2020年、カントリーマアムに大きな変革の時が訪れました。この年、「カントリーマアムチョコまみれ」という新しいバージョンが市場に登場しました。新商品の開発で最も重要なのは、従来の商品とどこが違うのかをはっきりと示すことです。

カントリーマアムチョコまみれのチョコレート使用量

カントリーマアムチョコまみれは、その名前が示す通り、チョコレートの使用量に特徴があります。従来のカントリーマアムミニに比べて、なんと2倍ものチョコレートを使用するという大胆な改良を行ったのです。単純に量を増やしただけでなく、「2倍」という具体的で分かりやすい数字を示したことが、消費者にとって大きな魅力となりました。

カントリーマアムチョコまみれのターゲット

どんなに優れた商品でも、適切な販売戦略がなければ消費者の手に届くことはありません。ここで不二家が行った戦略転換は非常に興味深いものでした。従来のカントリーマアムの主な購買層は主婦でしたが、カントリーマアムチョコまみれでは、ターゲットを若い世代に設定し、彼らに直接商品を手に取ってもらうことを目指しました。

カントリーマアムチョコまみれの販売戦略

この戦略転換に伴い、商品を売る場所も大きく変更しました。若い人たちが日常的に利用し、気軽に立ち寄れる場所として、コンビニエンスストアでの販売に特に力を入れたのです。コンビニでの買い物は「ついで買い」や「衝動買い」が起こりやすく、新しい商品を試すハードルが低いという特徴があります。

カントリーマアムチョコまみれのマーケティング戦略

キャラクター戦略

現代の商品マーケティングにおいて、キャラクターの存在は商品に親しみやすさや記憶に残りやすさを与える重要な役割を果たします。不二家には、この戦略で成功した先例がありました。「ホームパイのみみ」という商品で使用した「イパムーホ(ホームパイの逆読み)」というキャラクターが予想以上の好評を博していたのです。この成功体験を踏まえ、カントリーマアムチョコまみれでは「まみれさん」というキャラクターを新たに創造しました。このキャラクターの存在により、商品は単なる食べ物を超え、より親しみやすい存在になりました。

印象的なネーミング

商品名の「チョコまみれ」という表現も、マーケティングの観点から見ると非常に計算された選択でした。「まみれ」という言葉は、何かに完全に覆われている状態を表現します。この言葉を使うことで、チョコレートがたっぷり使われていることを直感的に理解できるだけでなく、商品に対する強い印象を与えることができます。一言で商品の特徴を伝えられるこのネーミングは、情報があふれる現代において、消費者の購買意欲を刺激する優れた戦略でした。

カントリーマアムチョコまみれが2021年ヒット商品第1位に

これらすべての戦略的な工夫が相乗効果を生み出した結果、カントリーマアムチョコまみれは2021年の大ヒット商品となりました。その成功の客観的な証明として、2021年の『日経トレンディ』が発表する「2021年ヒット商品ベスト30」において、堂々の第1位を獲得しました。『日経トレンディ』は消費トレンドに関する権威ある情報誌として知られており、第1位の獲得は、単に売上が良かったということを超えて、その年の消費文化に大きな影響を与えた商品として認められたことを意味します。

このカントリーマアムチョコまみれの成功事例は、伝統的な商品が現代においても新たな価値を生み出すことができることを示しています。重要なのは、過去の成功に安住するのではなく、時代の変化と消費者のニーズを敏感に察知し、大胆な変革を恐れずに実行することです。40年近い歴史を持つブランドの信頼性と、革新的なアイデアと戦略的なマーケティングが組み合わさることで、新たな成功を生み出すことができたのです。

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