MENU

カレーパンのすべてがわかる!歴史・種類・食べ方の完全ガイド

  • URLをコピーしました!

サクッとした衣の中から、とろりとしたカレーがあふれ出す。

カレーパンは、多くの日本人に愛される定番のパンです。

今ではどこでも手軽に買えるこのパンが、実は日本で生まれたユニークな発明品だと知っていましたか。

この記事では、カレーパンの奥深い世界を、その誕生の歴史から最新のトレンド、美味しく食べる秘訣まで、詳しく解説していきます。

目次

カレーパンとは?

まずはじめに、カレーパンがどのようなパンなのか、その基本的な特徴から見ていきましょう。

カレーパンの定義

カレーパンは、パンの中にカレーを入れた「惣菜(そうざい)パン」の一種です。

惣菜パンとは、お菓子として食べる甘いパンとは違い、食事になるような具材を使ったパンを指します。

一般的には、小麦粉で作った生地でカレーフィリングを包みます。

その周りにパン粉をまぶし、油で揚げて作られるのが最も知られたスタイルです。

西洋の「パン」とインドの「カレー」が融合した、まさに日本ならではの食べ物なのです。

カレーパンの魅力

スクロールできます
食感の魅力サクサクの衣、ふわっとした生地、とろけるカレー
味の魅力パイスと小麦の甘さが絶妙にマッチ
手軽さ片手で食べられる。ボリュームもある
バリエーション具材、調理法、見た目などで多様化が進む

カレーパン最大の魅力は、その食感と味わいの絶妙なバランスにあります。

一口食べると、まず衣のサクサクとした食感が楽しめます。

次に、パン生地のふんわりとした優しい甘さが口の中に広がります。

そして最後に、中から出てくるスパイシーなカレーが全体をまとめ上げます。

この三つの要素が織りなすハーモニーが、多くの人々を惹きつけてやみません。

カレーパンの起源と歴史

カレーパンがいつ、どこで、誰によって作られたのか。

その起源にはいくつかの説があり、今も「元祖」をめぐる議論が続いています。

スクロールできます
発祥元候補年代特徴や根拠
名花堂(カトレア)1927年(昭和2年)実用新案登録あり。揚げカツ風の製法
デンマークブロート1934年創業とんかつから着想を得た揚げパンを販売
新宿中村屋不明インドカレーを元に独自開発した説
ピロシキ起源説不明ロシア料理の影響。揚げパン文化の共通点あり

元祖の有力説①:名花堂(現カトレア)

現在、最も有力とされているのが、1927年(昭和2年)に東京・江東区にあった「名花堂」が元祖だという説です。

「洋食パン」としての発明

名花堂の二代目であった中田豊治氏が、「洋食パン」という名前で実用新案を登録した記録が残っています。

実用新案とは、新しい発明やアイデアを保護するための権利のことです。

その内容は「具の入ったパンをカツレツのように揚げる」という製法に関するものでした。

この調理法が、現在のカレーパンの直接のルーツになったと考えられています。

誕生した社会的背景

当時、名花堂があった深川周辺は、多くの工場が立ち並ぶ工業地帯でした。

そこで働く人々にとって、ボリュームがあり、片手で手軽に食べられるカレーパンは、エネルギー補給にぴったりの食事でした。

食べ応えのあるパンは、重労働を終えた後の空腹をしっかりと満たしたことでしょう。

元祖の有力説②:デンマークブロート

一方で、東京・練馬区にある「デンマークブロート」(1934年創業)も、カレーパンの発明者として名乗りを上げています。

とんかつをヒントに発明

こちらの店では、最初にあんぱんのようにカレーを包んで焼いたり、サンドイッチにしたりして販売しました。

しかし、残念ながら売れ行きは芳しくなかったようです。

ある時、店主が洋食のとんかつからヒントを得ました。

「カレーも揚げてみたらどうか」というアイデアから生まれた揚げカレーパンが、大ヒット商品となったのです。

その他の起源説

上記二つの有名な説のほかにも、カレーパンの起源とされる話がいくつか存在します。

新宿中村屋説

老舗の「新宿中村屋」が、インド独立運動家ラス・ビハリ・ボースから伝授された本格的なインドカレーをヒントに開発した、という説です。

ピロシキ起源説

ひき肉などの具材をパン生地に包んで揚げるロシアの家庭料理「ピロシキ」が、カレーパンの原型になったという説もあります。調理法に多くの共通点が見られます。

カレーパンの普及史

今や国民食ともいえるカレーパンですが、その道のりは平坦ではありませんでした。

調理法から価格、そして全国への普及まで、様々な背景がありました。

「揚げパン」である理由

カレーパンが揚げて作られるようになったのには、技術的な理由がありました。

調理上の理由

カレーは、パン生地に比べて水分を非常に多く含んでいます。

そのため、オーブンで焼こうとすると、水分が蒸発してパンがうまく膨らまなかったり、べちゃっとした仕上がりになったりしました。

油で揚げることで、パンの表面が一気に固まって丈夫な衣となり、中のカレーをしっかりと閉じ込めることができたのです。

当時の価格と特徴

誕生当時のカレーパンは、1個8銭で販売されていました。

これは現在の価値で約200円前後に相当します。

当時まだ高級品だった洋食のカレーを、手軽に楽しめる画期的な商品でした。

しかも、パン生地40グラムに対してカレーが70グラムも入っており、具だくさんだったことも人気の理由です。

全国に広まった経緯

カレーパンは、誕生してからすぐ日本中に広まったわけではありませんでした。

普及を後押しした要因

1984年(昭和59年)に出版された俳優・石坂浩二さんの本によると、驚くべき事実が書かれています。

石坂さんがラジオ番組でカレーパンの話をしたところ、全国のリスナーから「私の地元ではカレーパンを見たことがない」といったハガキが届いたそうです。

その後のカレーパンの急速な普及には、二つの大きな力が働きました。

一つは、大手食品メーカーが、袋詰めのカレーパンを大量生産し、スーパーなどで販売し始めたことです。

もう一つは、コンビニエンスストアが、レジ横のホットスナックとしてカレーパンを置くようになったことです。

これにより、カレーパンはいつでもどこでも買える身近な存在へと変わりました。

カレーパンの種類と進化

カレーパンは、今もなお進化を続けています。

調理法から具材、サービスに至るまで、そのバリエーションは驚くほど豊かです。

調理法による種類

スクロールできます
種類製法特徴
揚げカレーパン油で高温揚げカリッとした食感。香ばしく、食べ応えあり
焼きカレーパンオーブンで焼成油を使わずヘルシー。軽い口当たり
蒸しカレーパン蒸し器で加熱もちもち食感。やさしい風味としっとり感

伝統的な揚げパンだけでなく、新しいスタイルのカレーパンも定番になりつつあります。

揚げカレーパン

高温の油で揚げることで生まれる、カリカリ、サクサクの食感が魅力の伝統的なスタイルです。香ばしい風味と満足感が人気の理由でしょう。

焼きカレーパン

油を使わずにオーブンで焼き上げたカレーパンです。揚げていないためカロリーが低く、あっさりとした軽い食感が特徴で、健康を気にする人から支持されています。

蒸しカレーパン

蒸し器を使って作られる、少し珍しいタイプのカレーパンパン生地がもちもちとした食感になり、カレーの風味がよりマイルドに感じられます。

具材による種類

スクロールできます
カレーの種類主な具材味の特徴
ビーフカレー牛肉・玉ねぎなど濃厚でコクのある定番の味
キーマカレーひき肉・スパイパイシーで食感も楽しめる
チキンカレー鶏肉・野菜あっさりとしたヘルシーな味わい
シーフードカレーエビ・イカ・ホタテなど魚介のうま味がしっかり効いている

中に入れるカレーフィリングやトッピングも、時代と共に進化しています。

カレーの種類

昔ながらの牛肉を使ったカレーだけでなく、ひき肉で作る「キーマカレー」、さっぱりとした「チキンカレー」、魚介の旨味が詰まった「シーフードカレー」など、様々な種類が登場しています。

人気の具材

カレーパンの中に、丸ごと一個のゆで卵が入ったものは、今や大人気商品です。

また、カレーと相性抜群のチーズをたっぷり加えたカレーパンも、多くのファンを獲得しています。

ご当地カレーパン

日本各地では、その土地ならではの特産品を活かした「ご当地カレーパン」が次々と生まれています。

例えば、ブランド牛を使ったり、地元の野菜を入れたりしたカレーパンが、観光地の名物として人気を集めています。

見た目・サービス

味だけでなく、見た目や買い方にも新しい波が来ています。

写真映えを意識して、ハート型にしたり、生地に色を付けたりしたカラフルなカレーパンも登場しました。

また、月額定額制で色々なカレーパンが届くサブスクリプションサービスや、全国の有名店のカレーパンを自宅で楽しめるお取り寄せサービスも始まっています。

カレーパンの美味しい食べ方と注意点

せっかくカレーパンを食べるなら、一番美味しい状態で味わいたいものです。

ここでは、専門家も推奨する食べ方のコツと、知っておきたい注意点を紹介します。

美味しく食べるためのコツ

ちょっとした工夫で、カレーパンの魅力は何倍にも膨らみます。

手で持って食べる

カレーパンは、フォークやナイフを使わず、ぜひ素手で持って食べてみてください。

手で感じるパンの温度や油の状態も、美味しさを構成する大切な要素の一つだからです。

温め直して食べる

冷めてしまったカレーパンは、オーブントースターで温め直すのがおすすめです。

中のカレーが温まることで香りが立ち、衣のサクサク感も復活します。

食べる際の注意点

美味しく安全に楽しむために、いくつか注意したいポイントがあります。

やけど

温め直したばかりのカレーパンは、中のカレーが非常に熱くなっています。勢いよくかぶりつくと、やけどをする危険があるので気をつけましょう。

カレーの漏れ

カレーパンには、生地を閉じた部分があり、これを「へそ」と呼びます。この「へそ」を下に向けて持つと、カレーがこぼれ出ることがあるので、上向きにして食べるのが正解です。

服装の汚れ

万が一カレーが服に飛んでしまっても目立たないように、白っぽい服は避けるのが賢明です。黄色や茶色、黒っぽい服装だと安心できます。

鳥からの横取り

公園など屋外で食べる際は、カラスや鳩に狙われることがあります。食べ物を取られないよう、周囲にも気を配る必要があります。

カレーパンの海外での評価

日本で独自の進化を遂げたカレーパンは、今や海を越えて海外でも注目され始めています。

海外での普及状況

世界的な日本食ブームを背景に、「Japanese Curry Bread」として、海外のベーカリーや日本食レストランのメニューに加わる例が増えています。

特にニューヨークやロサンゼルスといった大都市では、日本のパン屋が進出し、現地の味として受け入れられつつあります。

海外からの感想

カレーパンを初めて食べた外国人の反応は、概ね好意的です。

「クリスピーな食感と、甘くてスパイシーなカレーの組み合わせが最高」といった、称賛の声が多く聞かれます。

一方で、「これは甘いドーナツなの?それとも食事なの?」といった、その独特な立ち位置に驚く人もいます。

まとめ

カレーパンは、海外から伝わったパンとカレーという文化を、日本人が独自のアイデアで融合させて生み出した、類まれな食べ物です。

昭和の時代に東京の町工場で生まれ、労働者のお腹を満たし、技術的な課題を乗り越えてきました。

そして、大手メーカーやコンビニの力を借りて全国に広まり、今では焼きカレーパンやご当地カレーパンといった多様な姿に進化しています。

その歴史は、まさに日本の食文化が持つ「創意工夫」と「適応力」の象徴といえるでしょう。

これからもカレーパンは、時代と共に新しい姿を見せながら、日本のソウルフードとして多くの人々に愛され続けていくに違いありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次