大福と団子のちがい
大福と団子は、どちらもお米からできていて、まるい形をしています。 でも、実は作られ方や中身がぜんぜんちがう、べつの和菓子なんです。
一番大きなちがいは、お米をどうやって使うかです。 大福は、もち米を蒸してからしっかりついて、おもちにします。 お米がもともと持っている、ねばねばした力をそのまま活かすんです。
でも、団子は、うるち米やもち米をこなにしてから使います。 一度こなにするので、お米のつぶつぶはもうありません。
このちがいが、大福のもちもちとした食感と、団子のもっちりだけどしっかりとした食感を生み出しているのです。
大福ってどんなもの?
大福は、やわらかいおもちの皮で、あまーいあんこを包んだ和菓子です。 この名前には、おもしろい歴史があります。 昔は、おなかがふくれることから「腹太餅(はらぶと餅)」と呼ばれていました。 それが、縁起がいいように「大きな幸せ」という意味の「大福」に変わったと言われています。
大福の作り方
大福の皮は、もち米を蒸して、熱いうちにドーン!と杵と臼でついて作ります。 おもちつきですね。
おもちには、アミロペクチンという、ねばねばした力のもとになる成分がたくさん入っています。 もち米をしっかりつくことで、このアミロペクチンが力を発揮して、びよーんとのびる、もちもちしたおもちになるのです。
最近では、もっとやわらかくて、次の日になっても固くなりにくいように、お米のこなをこねて作ることもあります。 これは求肥(ぎゅうひ)というもので、おもちよりもやわらかくて、プルプルしています。 今では、この求肥を使った大福もとても多いです。
大福の一番の特徴は、皮の中にあんこがたっぷりと入っていること。 皮の重さとおなじか、それ以上のあんこが入っている大福もたくさんあります。 表面にまぶされている白いこな(かたくり粉やコーンスターチ)は、手にくっつかないようにするためのものです。
団子ってどんなもの?
一方、団子は、お米のこなを丸めて作られる和菓子です。 大福とちがって、基本的にはあんこは中に入っていません。 でも、その代わり、いろんなタレやこなをつけて、さまざまな味を楽しめます。
団子の作り方
団子は、お米をこなにしたものに水やお湯を入れて、手でこねてまるい形にします。 このお米のこなは、「上新粉(じょうしんこ)」といって、もちもちしすぎないうるち米から作られることが多いです。 もち米から作られる「白玉粉(しらたまこ)」というこなも使われます。
まるい形にしてから、お湯でゆでたり、蒸し器で蒸したりして火を通します。 お米をこなにしてから作るので、おもちのように強くねばねばしていません。 だから、しっかりとした歯ごたえが生まれるのです。
大福と団子、昔のお話
大福の歴史
大福は、今から250年くらい前の江戸時代に生まれました。 小石川(こいしかわ)という場所に住んでいた、お玉さんという女性が、小さくてあんこが入ったお餅を売ったのが始まりだと言われています。
最初はおやつとして人気になりましたが、昔はお砂糖がとても高価でした。 そこで、塩を少し入れることで甘さを引き立てたり、おなかいっぱいになるように豆を入れたりして、工夫がされました。 私たちがよく知っている塩大福や豆大福が生まれたのは、この時代のおかげです。
団子の歴史
団子のお話は、大福よりももっともっと古いです。 奈良時代に、遣唐使(けんとうし)という人たちが中国から伝えた供え物の影響で、団子の文化が広まったと言われています。
最初は、おやつではなく、お祭りや仏様(ほとけさま)へのおそなえものとして大切にされていました。 この風習は今も続いていて、十五夜(じゅうごや)のお月見団子や、お彼岸(おひがん)という日にお墓参りでお供えする団子として、使われています。
江戸時代になると、屋台で串にさして売られるようになり、手軽に食べられるおやつとして、たくさんの人に親しまれるようになりました。
食べ方にもちがいがあるよ
大福の食べ方
大福は、あんこが皮の中に入っているので、そのまま一つで味が完成しています。 もちもちのおもちと、あまーいあんこの両方の味と食感を一度に楽しめます。
大福は、お茶や抹茶と一緒に、ゆっくりと味わって食べることが多いです。 日本の美しいお茶会で出される「主菓子(おもがし)」としても使われる、特別なお菓子なんです。
団子の食べ方
団子は、あんこが中に入っていないので、外から味をつけます。 醤油(しょうゆ)と砂糖を合わせた甘辛いタレをかけたみたらし団子。 おいしいきなこをまぶしたきなこ団子。 つぶつぶのあんこをのせたあんこ団子など、たくさんの種類があります。
団子は、串にさしてあることが多いです。 だから、みんなで分け合ったり、歩きながらでも食べやすいのがいいところです。 お祭りや縁日(えんにち)の屋台で売られているのも、このためですね。
現代の進化
進化した大福
大福は、中に入れるものを新しくする工夫が進んでいます。 1980年代に、イチゴ大福が生まれて大人気になりました。 おもちとあんこの中に、つやつやのイチゴが入っているんですよ。
今では、あんこの代わりに、メロンやもも、ぶどうなどのくだもの、アイスクリーム、生クリームやカスタードクリームを入れた大福も人気です。 和菓子と洋菓子のいいところを合わせた商品が、たくさん作られています。
進化した団子
団子は、基本的な作り方は変わらないけれど、味付けや見た目がどんどん変わっています。 よもぎの入った緑色の団子、ゴマの入った黒い団子、紫いもで色をつけた団子など、色や味がたくさん増えました。 うさぎやパンダなど、かわいい動物の形をした団子も売られています。 コンビニで手軽に買えるようになったので、みんなにとって、さらに身近なおやつになりましたね。
まとめ
大福と団子は、どちらもお米から作られますが、お米の使い方、中身、歴史、食べ方など、たくさんのちがいがあることがわかりましたね。 それぞれが、日本の和菓子として大切にされています。