生クリームとは|ホイップクリームや種類別の違い【かんたん説明】

目次

生クリームとは?

生クリームは、牛の(生乳や牛)から脂肪分だけを取り出して作られる乳製品です。

日本の法律(乳等省令)では、「クリーム」とは「生、牛、または特別牛乳から脂肪以外の成分を取り除いたもの」と定義されています。

生クリームの特徴
  • 動物由来の乳脂肪だけでできている
  • 乳脂肪分が18%以上含まれている(製品によっては30%以上)
  • 添加物は使われていない(基本的に乳脂肪のみ)
  • ミルクの濃厚な風味とコクがある
  • なめらかな口溶けが特徴
  • やや黄色がかった白色をしている(脂肪分の色)

市販されている製品は「純生クリーム」や「フレッシュクリーム」と呼ばれています。

これらは食品表示上「種類別:クリーム」と分類されます。

※ただし、「ホイップクリーム」などと書かれている製品には、植物性脂肪が含まれている場合があります。生クリームと区別するため、パッケージをよく確認しましょう。

生クリームの作り方

生クリームは、牛の(生乳や牛)から脂肪分だけを取り出して作られる乳製品だと上記で話しました。

この取り出しには「遠心分離機(えんしんぶんりき)」という機械が使われます。

高速で回転させることで、脂肪分の多いクリームと、脂肪の少ない脱脂(スキムミルク)に分けることができます。

取り出したクリームは、そのままでは日持ちしないため「殺菌・均質化・エイジング」という処理が施されます。

この3つの工程を経ることで私たちが普段口にする安全でなめらか、風味豊かな生クリームが作られます。

それぞれの工程は、おいしさと品質、そして安全性を支える大切なプロセスです。

製造工程
  1. 遠心分離
  2. 殺菌
  3. 均質化
  4. エージング
  5. 充填・包装
  6. 出荷前の最終チェック

原料の受け入れと貯乳(ちょにゅう)

まず、生クリームの原料となる生(せいにゅう)は牧場から冷やされたタンクローリーで工場に運ばれてきます。

工場に到着するとすぐに品質のチェックが行われます。

チェック項目内容
細菌数衛生状態が保たれているかを確認
成分分析脂肪分・たんぱく質などのバランスを調査
外観・におい見た目やにおいに異常がないかを確認

これらの検査をクリアした生乳だけが、冷却された「貯乳タンク」に保存され、次の工程へと進みます。

遠心分離(ぶんり)でクリームと脱脂乳に分ける

次に行うのが「分離(ぶんり)」という工程です。

ここでは生乳から脂肪分を取り出して、クリームと脱脂(スキムミルク)に分けます。

生乳を「遠心分離機」という機械にかけると、成分の重さの違いによって分かれます

軽い脂肪分は外側に集まり、それがクリームになります。

重い水分やたんぱく質などは内側に残り、これは脱脂乳として別の用途に使われます。

この時点で得られるクリームは、脂肪分が35〜45%ほどの濃厚な状態です。

殺菌(さっきん)で安全性を確保する

分離されたクリームは、そのままでは細菌が増えやすく日持ちしません。

そのため「加熱殺菌」を行い、安全に長持ちするよう処理します。

製品の用途や保存期間に応じて、適した方法が選ばれます。

方法温度と時間特徴
HTST法(高温短時間)約75℃で15秒一般的な方法。風味の変化が少ない
UHT法(超高温短時間)120~130℃で2〜3秒長期保存が可能。加熱の影響で風味が変わることも
低温長時間約63℃で30分やさしい風味が残るが、時間がかかる
殺菌の目的
  • 食中毒の原因となる菌を取り除く
  • 品質を安定させる
  • 保存期間を延ばす

均質化(ホモジナイズ)でなめらかに

次は「均質化(きんしつか)」の工程です。

ここではクリームの中にある脂肪の粒(脂肪球)を細かくし、均一になめらかにします。

均質化されていないクリームは、時間が経つと脂肪が分離して浮いてしまいます。

均質機を使って高い圧力をかけると脂肪球が細かくなり、クリームの見た目や舌ざわりが安定します。

均質化されたクリームはしっかり混ざり合っていて分離しにくく、料理やお菓子にも使いやすくなります。

冷却とエージングで泡立ちやすく

均質化されたクリームは、すぐに冷却されて5℃以下に下げられます。

その後、「エージング」と呼ばれる工程で一定時間タンクの中で休ませます。

エージングには、数時間〜一晩(8〜12時間)かかります。

このひと手間によって下記の変化が起こり、ホイップしやすい理想的なクリームが完成するのです。

泡立ちやすくなる冷やすことで脂肪が安定し、空気を取り込みやすくなる
舌ざわりがよくなる脂肪球と水分がなじみ、なめらかになる
品質が安定する冷却によって分離や変質が起きにくくなる

充填・包装

エージングが終わると、いよいよ製品としての最終段階です。

クリームはクリーンルーム内で、紙パックやボトルなどに自動的に詰められます(=充填)。

衛生管理が徹底されており、外部の空気や菌が入らないように密閉されます。

出荷前の最終チェック

  • 容器の密封状態
  • 異物混入の有無
  • 微生物検査
  • 重量・外観の確認

これらの確認をクリアしたものだけが、店頭に並びます。

生クリームの種類

生クリームには、乳脂肪の割合や原材料の違いによってさまざまな種類があります。

料理やお菓子作りの目的に応じて、適切なクリームを選ぶことが美味しさを引き出すポイントです。

純粋な生クリームは風味に優れていますが、扱いが難しいという側面があります。

一方で、植物性脂肪を使った製品は安定性やコスト面で優れており、用途によっては非常に便利です。

ここでは、生クリームの種類とそれぞれの特徴について、分かりやすく説明します。

乳脂肪分による分類

生クリームは乳脂肪の含有量によっておおまかに4つに分けられます。

それぞれのクリームには、味わいや使用目的に適した特徴があります。

ライトクリーム(乳脂肪分18~30%)

ライトクリームは、あっさりとした味わいが特徴です。

泡立てるには脂肪分が足りないため、液状のまま使う用途に限られます。

主にコーヒーや紅茶に加えて楽しむもので「コーヒー用クリーム」と呼ばれることもあります。

  • 軽い口当たり
  • 加熱に弱く、温めると分離しやすい
  • 泡立てには不向き

ミディアムクリーム(乳脂肪分30~35%)

家庭ではあまり見かけないタイプですが、ソース作りや軽い料理には向いています。

泡立てることも可能ですが、安定性は高くありません。

  • 料理や軽いデザートに使用可能
  • 泡立ては可能だが、すぐにヘタりやすい

ヘビークリーム(乳脂肪分35~48%)

一般的な生クリームとしてよく使われており、泡立てにも料理にも使える万能タイプです。

脂肪分が高くなるほど濃厚なコクが出ます。

脂肪分特徴主な用途
35〜38%軽やかな食感ムースや軽めのホイップ
40〜45%バランスの取れた泡立ちと保形性一般的なケーキのデコレーション
45〜48%しっかりとした泡立ちと高い保形性プロ用デコレーションや夏場の使用

エクストラヘビークリーム(乳脂肪分48%以上)

プロ仕様の高脂肪クリームです。

とても濃厚でコクがあり、泡立てても型崩れしにくいため、高温環境でも美しい仕上がりを保てます。

  • 非常にコクがある
  • 泡立ちが安定し、長時間保形可能
  • 高級パティスリーで使用されることが多い

原材料による分類と製品の違い

市販されているクリームには、原料や添加物の有無によっていくつかの種類があります。

それぞれの特徴を理解して、使い分けることが大切です。

純粋な生クリーム(「種類別:クリーム」と表示)

乳脂肪だけを原料とした、最もナチュラルなタイプのクリームです。

添加物を一切使用せず、乳本来の風味やコクを味わうことができます。

  • 原料:乳脂肪100%
  • 添加物なし
  • 風味が豊かだが、振動や温度変化に弱く扱いが難しい

添加物入りの乳脂クリーム(「名称:乳等を主要原料とする食品」と表示)

乳脂肪に安定剤や乳化剤を加えたタイプです。

風味は生クリームとほぼ同じで、泡立ちや保形性が安定しており、作業性に優れています。

主に業務用として使われます。

代表的な添加物とその役割は下記です。

添加物名役割
カラギーナン増粘安定剤。クリームが垂れにくくなる
グリセリン脂肪酸エステル泡立ちを助ける乳化剤
ショ糖脂肪酸エステルなめらかな口当たりに仕上げる乳化剤

コンパウンドクリーム(乳脂肪+植物性脂肪)

乳脂肪に植物性脂肪(ヤシ油、パーム油など)を加えたタイプで、「コンパウンドクリーム」と呼ばれます。

風味と作業性のバランスをとった製品が多くあります。

配合比率特徴
乳脂肪70%以上風味重視タイプ(コクが強い)
乳脂肪40~60%バランスタイプ
乳脂肪30%以下作業性重視タイプ

植物性脂肪の割合が多いほど、泡立ちや保形性が高まり、扱いやすくなります。

植物性脂肪100%タイプ(ホイップ・フレッシュなど)

乳脂肪をまったく使わず、植物性脂肪のみで作られた製品です。

コストが低く、保存性にも優れているため、業務用や家庭用でよく使われています。

  • 原料:植物性脂肪のみ
  • 添加物として、安定剤・乳化剤・香料などを使用
  • 表示:「乳等を主要原料とする食品」
  • 乳製品特有のコクは少ないが、あっさりした風味で安定性が高い
使用される植物性脂肪の例
  • パーム油:保形性が高く、形が崩れにくい
  • ヤシ油:さっぱりした風味で口溶けが良い
  • 大豆油:安価で使いやすい

植物性クリームの新しい動き:ヴィーガンクリーム

近年では、乳製品アレルギーへの対応やヴィーガン志向の高まりにより、完全植物性の「ヴィーガンクリーム」も登場しています。

豆乳やココナッツミルクを原料としたものが一般的で、乳製品を使用せずにクリームのような滑らかさを再現しています。

植物性脂肪の加工技術が進化したことで、ヴィーガンクリームでも十分な泡立ちや保形性を得ることが可能となってきました。乳製品を使えない方にとって、新たな選択肢となっています。

生クリームとホイップクリームの違いとは?

比較項目生クリームホイップクリーム
原料動物性脂肪のみ動物性+植物性 or 植物性のみ
濃厚でコクがあるあっさり・クセがない
食感なめらかで口溶けが良い密度がありしっかり
泡立ち早くて繊細遅いが安定性あり
保存性要冷蔵・劣化しやすい比較的保存が効く
価格やや高め手頃で買いやすい
加熱調理向いている向かないものが多い
飾り付け風味重視で短時間向き長時間保持に強い

「生クリーム」と「ホイップクリーム」は、見た目が似ているため混同されがちです。

しかし、この2つには原料や性質に大きな違いがあります。

どちらが優れているというよりも、使い分けが大切です。

風味を重視したい場合は生クリーム、手軽さや安定性を求めるならホイップクリーム。

目的に応じて選ぶことで、料理やお菓子作りがより楽しく、満足のいくものになります。

原料の違い

生クリーム

生クリームは牛乳から取れる乳脂肪分だけで作られたクリームです。

添加物を一切加えておらず、100%動物性脂肪でできています。

パッケージには「種類別:クリーム」と表記され、これは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(通称:乳等省令)」で定められた分類です。

ホイップクリーム

ホイップクリームは「泡立てたクリーム」の総称ですが、市販品では以下のような製品が「ホイップクリーム」として販売されています。

種類原料の特徴
コンパウンドタイプ植物性脂肪のみを使用(大豆油など)
コンビネーションタイプ動物性脂肪と植物性脂肪をブレンド
乳脂肪タイプ生クリームに安定剤や乳化剤を加えたもの

これらは乳等省令上、「乳等を主要原料とする食品」として扱われます。

色・味・食感の違い

項目生クリームホイップクリーム
やや黄色みがかった乳白色真っ白に近い色合い
乳本来のコクと風味が強いあっさりしてクセが少ない
食感口溶けがなめらかで軽い密度があり、しっかりとした質感

生クリームは、乳の豊かな風味と繊細な口溶けが魅力です。

一方、ホイップクリームはすっきりとした味わいで食べやすく、重たく感じにくいのが特徴です。

価格・保存性の違い

項目生クリームホイップクリーム
価格(200mlあたり)300〜500円程度と高価200〜350円程度と手頃
賞味期限約1〜3週間と短め約1ヶ月以上と長め
保存安定性高温や時間経過で劣化しやすい安定性が高く、扱いやすい

保存性やコストの面では、ホイップクリームが優れています。

家庭でも扱いやすいため、日常的な使用に向いています。

泡立て時の特徴

生クリームの場合

乳脂肪の割合が高いほど泡立ちが早くなります。

軽くとろみが出たあと、急にかたくなりやすいため、泡立てすぎに注意が必要です。

また、ミルクの風味が豊かで、仕上がりの口溶けもなめらか。

味わいを大切にしたいスイーツにはぴったりです。

ホイップクリームの場合

泡立ちにはやや時間がかかりますが、かたくなりにくく、失敗しにくいという利点があります。

作業中もダレにくく、扱いやすいため、初心者にもおすすめです。

ただし、風味や口溶けは生クリームよりもやや劣ります。

料理での使い分け

生クリームが向いている場合

  • 加熱に強く、分離しにくいためソースやスープ作りに最適
  • 高温調理にも耐えるため、グラタンや煮込み料理にも使用可能

ホイップクリームが向いている場合

  • 加熱すると分離しやすい製品が多いため、加熱せず使う料理向き
  • デコレーション用途に適し、長時間形状を保ちやすい
  • 温かい室内や照明下でもダレにくいため、ケーキの飾りつけに便利

生クリームの選び方

お菓子作りや料理で生クリームを使うとき、どれを選べばいいのか迷うことはありませんか?

生クリームにはいくつかの種類があり、用途に合ったものを選ぶことが大切です。

ここでは、目的に応じた選び方のポイントをわかりやすくご紹介します。

使う目的に合わせて選ぼう

お菓子作りに使う場合

濃厚な味わいを出したいなら「純生クリーム」がおすすめです。

添加物が入っていないので、風味がとても自然です。

扱いやすさや形の安定性を重視するなら「純乳脂クリーム」という、安定剤が少しだけ入っているタイプも便利です。

例:用途に合った生クリームの選び方

  • ショートケーキ:乳脂肪35〜40%の純生クリーム(コクがあり泡立てやすい)
  • ムース:乳脂肪35〜38%(軽い食感を出したいときにぴったり)
  • チョコレートケーキ:乳脂肪40%以上(チョコに負けない濃厚さ)
  • 料理に使う場合

火を通す料理には「生クリーム(乳脂肪)」が向いています。

植物性のクリームは熱に弱く、加熱すると分離してしまうことがあるので注意が必要です。

例:おすすめの使い方

  • クリームソース:乳脂肪35〜40%
  • ポタージュスープ:乳脂肪30〜35%
  • グラタン:乳脂肪35〜40%

デコレーションに使う場合

ケーキの上にきれいな形で絞ったり塗ったりしたいときは、乳脂肪分が40%以上のクリームが向いています。

特に夏場など気温が高いときは、安定剤入りのタイプが形を保ちやすく便利です。

例:場面に応じた選び方

  • ふつうのデコレーション:乳脂肪40〜45%の純生クリーム
  • 夏場のデコレーション:安定剤入り、乳脂肪45%以上のもの
  • 複雑な絞りデコレーション:植物性クリームやコンパウンドクリーム(長時間形を保ちたい場合)

乳脂肪分で選ぶポイント

乳脂肪の割合によって、泡立ちや口当たり、扱いやすさが変わります。

数字が大きいほどコクが強く、泡立ちが早くなりますが、その分ちょっと扱いにくくなることも。

乳脂肪分特徴向いている用途
35〜38%軽い口当たり。泡立ちはゆっくりめで失敗しにくいムースなど軽い仕上がりにしたいとき
40〜45%コク・泡立ち・安定性のバランスが良い一般的なデコレーションケーキ
45〜50%しっかり泡立ち、形が崩れにくい夏場やプロ向けの複雑なデコレーション

乳脂肪分が高い場合は泡立ちが早く、風味が濃厚。ただしオーバーホイップしやすく、注意が必要です。

乳脂肪分が低い場合は軽い食感で、泡立てやすく失敗しにくい。あっさりした味わいです。

使う量に合ったサイズを選ぼう

生クリームは開封後の傷みが早いため、使い切れるサイズを選ぶことが大切です。

サイズ向いている用途
200ml少人数のデザート、飲み物のトッピングなどに最適。1〜2人分向け。
500ml5〜6号サイズのケーキにぴったり。家庭用として一番使いやすい量。
1000ml大きめのケーキやパーティー用のスイーツに。よく使う人におすすめ。
業務用(2000ml以上)お店や教室向け。家庭では使い切るのが難しいので避けましょう。

デコレーションに必要な生クリームの目安量

ケーキの大きさに応じて、どれくらいの生クリームが必要かも確認しておきましょう。

ケーキサイズ必要な生クリーム量人数の目安
4号(12cm)約200ml2〜3人分
5号(15cm)約300ml3〜5人分
6号(18cm)約400ml5〜8人分
7号(21cm)約600ml8〜12人分

※スポンジを2枚にスライスし、中のサンドと上のデコレーションに使う場合の目安です。

デコレーションの仕方によって必要量は変わります

  • シンプルなデコレーション(表面に塗るだけ):目安の約80%でOK
  • 標準的なデコレーション(上や横に絞る):表の量が目安
  • 華やかなデコレーション(花や飾り絞り多め):目安の120%ほど用意すると安心

必要な量や目的に合った生クリームを選べば、より美味しく、きれいな仕上がりに近づきます。

使い方に応じて上手に選び分けて、お菓子作りや料理をもっと楽しんでみてくださいね。

生クリームの保存方法

生クリームはとても繊細な食品です。

間違った保存をすると風味が損なわれたり、分離して使えなくなったりします。

ここでは、未開封・開封後の保存方法や、冷凍活用法、泡立て方のコツなどをわかりやすく解説します。

未開封の保存方法

未開封の生クリームは、冷蔵庫(5℃で保管します。

ただし、冷蔵庫内でも以下の点に注意が必要です。

  • ドアポケットは避ける:開閉によって温度が変化しやすいため。
  • 冷気の吹き出し口付近も避ける:凍る恐れがあります。
  • 振動を避ける:品質が劣化する原因になります。
  • 冷凍しない:液体のまま冷凍すると、水分と脂肪が分離し、使えなくなることがあります。

賞味期限の目安(未開封)

種類賞味期限の目安
純生クリーム製造日から約2~3週間
添加物入り生クリーム製造日から約3~4週間
植物性クリーム製造日から約1~2ヶ月

※実際の賞味期限は、パッケージに記載されている日付を必ず確認してください。

開封後の保存方法

開封した生クリームは空気に触れることで劣化が早まります。

以下のポイントを守って、できるだけ早く使い切りましょう。

  • 1〜2日以内に使い切るのが理想
  • 清潔な密閉容器に移し替えて冷蔵保存
  • 容器のふちについたクリームはふき取り、清潔な状態を保つ
  • 他の食品のニオイがうつらないようにする(冷蔵庫内でラップや容器を使う)

品質変化の目安(開封後)

経過時間状態の変化
開封直後風味・品質ともに最良
24時間ほぼ変化なし、十分美味しく使える
48時間少し風味が落ちるが使用可能
72時間〜明らかな風味劣化、雑味や酸味が出ることも

余った生クリームの使い道

生クリームが余ってしまった場合は、ホイップ(泡立て)してから冷凍保存するのがおすすめです。

冷凍保存の手順

  1. 生クリームを軽く泡立てる(ソフト~ミディアムピーク程度)
  2. ラップを敷いたバットに、一回分ずつスプーンで落とすか、絞り袋で絞る
  3. 冷凍庫で2~3時間しっかり凍らせる
  4. 凍ったら保存袋にまとめて入れ、冷凍庫で保存

冷凍生クリームの活用方法

  • コーヒーやココアに浮かべて使う
  • アイスやシャーベットのトッピングに
  • ホットケーキワッフルに添える
  • シチューやカレーなど加熱調理に使う
  • カットフルーツと混ぜてフルーツサラダに

冷凍保存の目安

冷凍した生クリームは、1ヶ月以内に使い切るのが望ましいです。

長期間の保存は、冷凍臭や風味の劣化を招くことがあります。

また、解凍後の生クリームは元の状態に戻らない点に注意です。

生クリームの使い方

ホイップの基本

生クリームをきれいに泡立てるには、「低温」がカギです。温度が高いと脂肪分が分離してうまく泡立ちません。

準備のポイント

  • 生クリーム、ボウル、泡立て器を冷蔵庫で30分ほど冷やす
  • 金属製のボウルは冷えやすくおすすめ
  • 暑い時期は、ボウルの下に氷水をあてながら泡立てる
  • 泡立てに適した温度は5~8℃

泡立ての手順

  1. 最初は低速で泡立て、空気を含ませる
  2. とろみがついたら中速に切り替える
  3. 高速は避ける(脂肪分が分離しやすくなるため)
  4. 脂肪分が高いクリームほど早く泡立つので様子を見ながら調整
  5. ボウルを少し傾けて泡立てると均一に仕上がる

泡立て具合の見極め

泡立ての状態によって、使い道が変わります。

状態特徴主な用途
ソフトピークやわらかく、とろっとした質感。山がすぐ崩れるフルーツ添え、アイスのトッピングなど
ミディアムピークほどよい硬さ。山の先がカールするケーキの中のサンド、パフェ層など
ハードピークしっかりした形。山が崩れないデコレーションや絞り作業向き

泡立てすぎる(オーバーホイップ)とクリームがボソボソになり始め、ツヤがなくなります。

これは「分離(脂肪と水分が分かれる)」の前兆です。

対処方法としては、冷たい生クリームを少量加えて、やさしく混ぜると戻せる場合があります。

乳脂肪分の調整方法

市販の生クリームには乳脂肪分の違いがあります。

乳脂肪分が高いほどコクがあり、泡立ちやすくなります。

一方、低脂肪のものは軽い口当たりになります。

乳脂肪36%と45%を各200mlずつ混ぜると約40%のクリームになり、扱いやすさと風味のバランスが取れたクリームができます

用途別の配合例

用途配合比(低脂肪:高脂肪)特徴
軽めのムース70%:30%軽い食感、やや保形力に欠ける
一般的なデコレーション50%:50%バランスの取れた使用感
複雑な絞り細工30%:70%安定した形状を保てる

ご家庭でも、ちょっとした工夫でプロのような仕上がりを楽しめます。

生クリームは保存・使い方次第で、より美味しく活用できますよ。

生クリームの栄養価

生クリームは、乳脂肪が多く含まれているため、カロリーが高く栄養価の高い食品です。

脂溶性ビタミン(油に溶けるビタミン)も含まれています。

一般的な乳脂肪分35%の生クリーム(100gあたり)の栄養成分は、以下の通りです。

  • エネルギー:約350kcal
  • たんぱく質:約2g
  • 脂質:約35g
  • 炭水化物:約3g
  • ビタミンA:豊富に含まれる(目の健康や免疫機能に役立つ)
  • ビタミンD:少量含まれる(骨の健康をサポート)
  • カルシウム:約70mg(骨や歯の材料になる)

脂質が多いため、使いすぎには注意が必要ですが、コクや風味を加える食品として、お菓子作りや料理に欠かせない存在です。

生クリームの起源と歴史

生クリームは、長い歴史の中で技術とともに進化してきた食品です。

かつては貴重で手間のかかる食材でしたが、今では誰でも手軽に使える身近な存在になりました。

洋菓子の発展や冷蔵技術の進化、さらには日本独自のアレンジによって、私たちの食卓を豊かに彩る大切な素材となっています。

生クリームのはじまり

生クリームは、牛乳から分離した「乳脂肪(にゅうしぼう)」を主成分とする乳製品です。

その歴史はとても古く、16世紀のヨーロッパにはすでにクリームを使った料理のレシピが登場しています。

当時は現在のような機械がなかったため、牛乳をしばらく置いておき、自然に浮いてきた脂肪分(クリーム)を手作業で丁寧にすくい取るという方法で作られていました。

このため、大量に作るには時間も手間もかかる貴重な食材でした。

生クリームの歴史的な発展

生クリームの製造と普及は技術の進歩とともに大きく発展していきます。

以下は、生クリームの歴史をわかりやすく整理した年表です。

16世紀ヨーロッパ各地の料理書に、クリームを使ったレシピが登場。上流階級を中心に使われていた。
19世紀遠心分離機(セパレーター)の発明により、牛乳から効率よく乳脂肪を取り出せるようになる。これにより、安定した品質のクリームが大量に生産可能に。
1923年日本で初めて、生クリームの工業的製造が開始される。本格的な乳製品の製造が始まる。
第二次世界大戦後日本国内でも洋菓子文化が広がり、生クリームの需要が徐々に高まっていく。
1960年代スーパーマーケットに冷蔵ショーケースが普及。生クリームを使ったケーキが一般家庭にも広まり始める。
1970年代以降家庭でのお菓子作りがブームになり、市販のホイップ用クリームなども登場。さまざまな種類の生クリーム製品が開発される。

日本における生クリーム文化の発展

日本ではクリスマスケーキや誕生日ケーキの文化が根づいたことで、生クリームの人気が一気に広がりました。

1970年代から1980年代にかけては家庭用の泡立て済みクリームや、使いやすいパック入りの生クリームが登場し、家庭でも手軽に使えるようになりました。

さらに日本ならではの発想から「生クリーム大福」や「クリームあんみつ」など、和と洋を組み合わせたオリジナルのスイーツも次々と誕生しています。

近年の動向

現代では、動物性脂肪(乳脂肪)だけでなく、植物性油脂を原料にした「植物性クリーム」の開発も進んでいます。

これはコストの安さや長期保存のしやすさ、アレルギーへの配慮などの理由から、業務用や一部の家庭用製品として広く利用されています。

植物性クリームは見た目や使い方は生クリームに似ていますが、風味やコクはやや異なります。

洋菓子店では目的に応じて生クリームと植物性クリームを使い分けることも多くなっています。

まとめ

生クリームは、牛乳から脂肪分を取り出した乳製品で、料理やスイーツに独特の風味と食感をもたらします。

遠心分離、殺菌、均質化、エージングという工程を経て作られ、乳脂肪分の割合によってライト、ミディアム、ヘビーなど様々な種類に分けられます。

純粋な乳脂肪のみの「純生クリーム」から植物性脂肪を使用した「ホイップクリーム」まで、目的や用途に応じた選び方が大切です。

ただし、栄養面では100gあたり約350kcalと高カロリーで、脂質が約35gと多く含まれているため、健康を考慮する場合は使用量に注意が必要です。

保存については、未開封品は冷蔵保存、開封後は早めに使い切るか、ホイップして冷凍保存する方法があります。

16世紀のヨーロッパで貴重だった生クリームは、技術の進歩により現代では身近な食材となり、日本でも和洋折衷スイーツの誕生に貢献しています。

美味しさと健康のバランスを考えながら、適量を楽しむことが大切な食材と言えるでしょう。

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