ゴディバとは|有名過ぎる高級チョコレートブランド

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ゴディバとは

ゴディバという名前を耳にしたことがあるでしょうか。

街の百貨店やショッピングモールで見かける高級チョコレートブランドには、100年近い歴史と深い物語が込められています。

この物語を理解するために、まずゴディバがどのようなブランドなのか基本的なことから解説します。

ゴディバは、ベルギーのブリュッセルで生まれた高級チョコレートブランドです。

ベルギーは、古くからチョコレート製造の伝統が根付いている国として知られています。

ゴディバは、このベルギーチョコレートの伝統を現代に伝えるブランドとして、世界中で広く知られているのです。

ゴディバの創業者

ゴディバの物語は、1926年にベルギーの首都ブリュッセルで始まりました。

創業者は、マスターショコラティエのピエール・シニア・ドラップスです。

マスターショコラティエの役割

マスターショコラティエとは、チョコレート製造の全工程を熟知し、高い技術を持つ職人のことを指します。

カカオ豆の選別から焙煎、すり潰し、練り上げ、型に流し込み、冷却まで、すべての工程を人の手と経験に頼って行っていた時代に、その技術を極めた人物でした。

ドラップス氏は、自宅の地下室に小さなチョコレート工房「ショコラトリー・ドラップス」を開きました。

ショコラトリーとは、フランス語でチョコレート工房を意味する言葉です。

家族による事業の支え

当時のチョコレート作りは、現在のような機械化されたものではなく、すべてが手作業でした。

そのため、一人でこれらすべてを行うことは難しく、ドラップス氏の家族全員が事業を支えました。

妻と4人の子供たちが、製造から箱詰め、顧客への配送まで、それぞれの役割を分担して家業を営んでいたのです。

現代の分業制とは異なり、一つの家族が事業のあらゆる側面を担っていました。

創業者の死去と子供たちによる継承

1937年、創業者のドラップス氏が亡くなり、その数か月後には妻も世を去るという出来事が起こりました。

このような状況では、多くの家族経営の小さな事業は継続が困難になります。

しかし、4人の子供たちは事業を諦めず、それぞれの個性と能力を活かして、家業を継続することを決意したのです。

長男のジョセフは営業と接客、次男のピエール・ジュニアは商品開発、三男のフランソワは製造技術、四女のイヴォンヌはパッケージデザインを担当しました。

このように4人が協力することで、単に事業を継続するだけでなく、さらなる発展の基盤を築くことができました。

ゴディバの名前の由来

ゴディバ」という名前は、1945年に「ショコラトリー・ドラップス」から変更されました。

この名前の由来は、11世紀のイギリスに実在したとされるレディ・ゴディバの物語にあります。

レディ・ゴディバの物語

レディ・ゴディバは、11世紀のイギリスのコベントリーという町の領主レオフリック伯爵の妻でした。

当時の領民たちは、町の建設費用を賄うために伯爵が課した重い税金に苦しんでいました。

レディ・ゴディバは、夫に税の軽減を何度も訴えましたが、伯爵は聞き入れませんでした。

ある日、伯爵は妻に対して、現実的には不可能と思われる条件を突きつけました。

「もしお前が一糸まとわぬ姿で馬に乗り、町中を回ることができたなら、その時は税を引き下げよう」と告げたのです。

するとレディ・ゴディバは、苦しむ領民への深い同情から、その条件を受け入れ、翌朝実行しました。

領民たちは彼女の勇気と自己犠牲の精神に感動し、敬意を表して窓を閉ざし、彼女の姿を見ないようにしたと言われています。

この結果、伯爵は約束を守り、重税は軽減されました。

ゴディバに込められた想い

この物語に深く感銘を受けたのが、創業2代目のジョセフ・ドラップスとその妻ガブリエルでした。

彼らは、レディ・ゴディバの行動に表れた他者の幸福を願う愛の精神を、自分たちのチョコレート事業にも込めたいと考えたのです。

ゴディバ」という名前は、単なる商標ではなく、チョコレートを通じて人々に幸せを届けたいという強い想いを象徴しています。

この理念は、現在も「私たちは記憶に残る幸せな時を届けます」というミッションとして表現されています。

単にチョコレートを製造・販売するのではなく、人々の人生に幸せな瞬間を創り出すことがゴディバの存在意義なのです。

ゴディバの発祥起源

ゴディバの発祥地は、ベルギーの首都ブリュッセルです。

ベルギーは、地理的にヨーロッパの中心に位置し、古くから貿易の要衝として栄えていました。

これにより、世界各地から良質なカカオ豆を調達しやすい環境にありました。

また、この地域には精密な手工業を得意とする職人文化が育まれており、高品質なチョコレートを作るための技術が代々受け継がれてきました。

ゴディバの歴史

ゴディバは、創業から現在に至るまで、様々な出来事を経て発展してきました。

旗艦店のオープン

1948年、ゴディバはブリュッセルの中心部にあるグラン・プラスに旗艦店をオープンしました。

グラン・プラスは、「世界で最も美しい広場」と称される歴史的な場所です。

この店舗では、商品の品質だけでなく、店舗のディスプレイやラッピングにもこだわり、チョコレートを特別な存在へと高めました。

ベルギー王室御用達ブランドへの認定

1968年、ゴディバベルギー王室御用達ブランドとして正式に認定されました。

この制度は中世から続く伝統的な制度で、王室が品質を保証するブランドに与える特別な称号です。

認定を受けるためには、製品の品質はもちろんのこと、企業の信頼性や社会貢献度など、多岐にわたる項目について厳格な審査をクリアする必要があります。

この称号は一度認定を受ければ永続的に保持できるわけではなく、5年ごとに再審査が行われます。

ゴディバは半世紀以上にわたり、この称号を保持し続けています。

ゴディバの海外への広がり

ゴディバは、ベルギーでの成功を基盤として、世界各地に展開を始めました。

パリへの進出

1958年、最初の海外店舗をパリのサントノーレ通りに開設しました。

当時のパリは世界の流行発信地であり、この地での成功は国際的なブランドとしての地位を確立する重要な一歩となりました。

アメリカと日本への進出

1972年には、ニューヨークと日本へ進出しました。

特に日本市場では、チョコレートが高級品や贈り物として認識されるきっかけを作り、新しい価値観を提示しました。

ゴディバの日本参入

1972年、ゴディバは日本市場に参入しました。

当時の日本では、チョコレートは子供向けの安価な菓子というイメージが強く、大人が購入する高級品としての概念はまだ一般的ではありませんでした。

百貨店を中心とした店舗展開

ゴディバは、百貨店を中心とした店舗展開を行いました。

百貨店は当時から高級品や贈り物を扱う場所として認識されており、ゴディバが提供する商品の価値を適切に伝えることができたからです。

全国47都道府県への出店

2014年には、日本全国47都道府県すべてに出店するという目標を達成しました。

これは、地域格差なくゴディバの商品を提供したいという考えからで、真の全国ブランドとしての地位を確立しました。

現在、日本国内では300店舗以上を展開しています。

ゴディバの事業体制

ゴディバは、単なるチョコレートの販売だけでなく、様々な事業を展開しています。

多様な事業形態

近年のゴディバは、消費者のライフスタイルや購買行動の変化に対応して、多様な新業態を展開しています。

2017年には、チョコレートを作る工程を見学できる「ATELIER de GODIVA(アトリエ ドゥ ゴディバ)」を開設しました。

2020年には、より日常的に楽しめるセルフサービス型の「GODIVA café(ゴディバ カフェ)」をスタートさせました。

さらに、2022年の「GODIVA dessert」、2023年の「GODIVA GO!」、そして世界初の「GODIVA Bakery ゴディパン」など、消費者の多様なニーズに応えるために事業の幅を広げています。

ゴディバの日本における事業体制

ゴディバ ジャパンの企業体制は、時代とともに変化を遂げてきました。

片岡物産との提携

1994年、ゴディバ ジャパン株式会社が設立された当初は、日本の商社である片岡物産との販売契約により日本市場での展開が行われていました。

これは、海外ブランドが日本市場に参入する際、現地の商習慣や流通システムを理解することが困難であるため、経験豊富な商社との提携は現実的な選択でした。

店舗の直営化

2015年4月1日、ゴディバ ジャパンは片岡物産との販売契約を終了し、全国の店舗を直営化しました。

直営化の背景には、ブランドの統一的な管理という課題がありました。

代理店を通じた販売では、ブランドイメージや顧客サービスの品質管理が間接的にならざるを得ません。

直営化することで、店舗の内装や接客、品揃えまですべてを統一した基準で管理することが可能になりました。

本社と事業内容

現在のゴディバ ジャパンの本社は、東京都港区六本木にあります。

事業内容は、菓子、乳製品飲料等の輸出入、製造、販売と幅広く、チョコレートだけでなく、アイスクリーム焼き菓子飲料など、多様な商品を取り扱っています。

ヤニック・シュヴォロー氏がエグゼクティブシェフ・ショコラティエ/パティシエとして在籍し、日本独特の食文化を取り入れた商品開発も行っています。

ゴディバの商品

ゴディバの商品は、ベルギーチョコレートの伝統的な特徴を活かしつつ、独自の技術で昇華させています。

チョコレートの特徴

ゴディバチョコレートは、「外側のパリッとした食べ応え」と「内側の甘美で柔らかな食感」が特徴です。

外側のチョコレートシェルは、適度な厚みと硬さを持ち、噛んだ瞬間に心地よく割れるように作られています。

内側のフィリングには、プラリネやガナッシュ、フルーツ、ナッツなど様々なバリエーションがあり、それぞれが独特の味わいと食感を提供します。

これらの組み合わせは計算されており、一粒のチョコレートの中に複数の要素が調和よく配置されています。

季節限定商品とパッケージデザイン

バレンタインデーやクリスマスなどのイベントに合わせて、季節限定の商品や特別なコレクションが発売されます。

これらの限定商品は、季節の移り変わりや特別な日の意味を、チョコレートを通じて表現する芸術的な試みでもあります。

パッケージデザインにもこだわりがあり、ゴールドを基調としたエレガントなデザインは、贈り物としての価値を高めています。

ゴディバの生産

ゴディバの生産は、伝統的な手作業と新しい技術のバランスの上に成り立っています。

ベルギーの工場

現在でも、創業の地であるベルギーのブリュッセルにある工場で、創業当時からの伝統的な製法が守られています。

この工場の立地は、歴史の継続性と伝統への敬意を表しています。

プラリネの自社製造

ゴディバは、プラリネ(ナッツを砂糖と加熱してすり潰したペースト)を現在でも自社で製造しています。

多くのメーカーが既製品を使用する中で、ゴディバが自社製造にこだわるのは、品質をコントロールするためです。

自社で製造することで、原料の選定から最終的な仕上がりまで、すべての工程を自社の基準で管理することができるのです。

熟練職人の技術

プラリネ製造の重要な工程は、長年の経験を積んだ熟練職人のみが担当しています。

機械では判断できない微妙な変化を、職人の五感で見極めながら作業を進めているのです。

また、「シグネチャーブロンド」のような繊細なデコレーションも、職人が一つずつ手作業で仕上げています。

この作業には高度な技術と集中力が必要で、機械では決して実現できない美しさと精密さを持った製品が生まれます。

ゴディバの品質管理

ゴディバの品質は、厳格な管理体制によって支えられています。

原材料へのこだわり

チョコレートの原料となるカカオ豆は、世界中の「カカオベルト」と呼ばれる限られた地域で栽培されます。

ゴディバでは、産地や品種によって異なるカカオ豆の特徴を理解し、ゴディバが目指す味や香りを実現するために最適な豆を厳選して使用しています。

また、継続的な品質管理と供給元との密接な関係を構築し、安定した品質の原材料を調達しています。

製造工程での品質管理

ガナッシュなどのフィリング材料は、作り置きをせずにその日に使用する分だけを少量ずつ製造しています。

これにより、常に新鮮で最適な状態の材料を使用し、最終製品の品質を最高の状態に保っています。

現代のゴディバ

現代のゴディバは、創業から受け継がれてきた理念を大切にしながら、常に新しい挑戦を続けています。

グローバルな展開

ゴディバは、ヨーロッパ、北米、アジア、中東など、現在100カ国以上に約650店舗の直営店を展開しています。

2014年には、日本全国47都道府県すべてに出店するという目標を達成しました。

これは、地域格差なくゴディバの商品を提供したいという考えからで、真の全国ブランドとしての地位を確立したのです。

サステナビリティへの取り組み

カカオ農家の生活向上や環境保護など、持続可能な事業運営のための様々な取り組みも行っています。

これは、高品質なカカオ豆を安定して調達し続けるために不可欠な、長期的な視点に立った戦略です。

まとめ

ゴディバは、小さな家族経営の工房から始まり、ベルギー王室御用達のグローバルブランドへと成長しました。

その歴史は、創業者ドラップス家の愛と、レディ・ゴディバの自己犠牲の精神に深く根ざしています。

「愛の精神をチョコレートに込める」という創業時の想いは、時代が変わっても、事業規模が拡大しても、決して変わることなく受け継がれてきました。

技術革新や市場環境の変化に柔軟に対応しながらも、人々に幸せを届けたいという根本的な想いを決して見失わない。

品質への妥協のない取り組みを継続し、常に顧客の期待を上回る商品とサービスを提供し続ける姿勢こそが、ゴディバが世界中で愛され続ける理由なのです。

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