日本を代表する料理家 栗原はるみ
栗原はるみは、1947年に静岡県で生まれた日本を代表する料理家です。
現在77歳を迎える彼女の人生と料理への道のりは、ごく普通の家庭での生活から始まりました。
料理の道を歩み始めるきっかけは結婚
彼女が料理の道を歩み始めるきっかけは、結婚にあります。
1973年、26歳の時にテレビキャスターの栗原玲児と結婚したことが、彼女の人生における大きな転機となりました。
当初は一般的な主婦として家庭を支えていましたが、家族のために作る料理が周囲から次第に注目を集めるようになったのです。
彼女の料理は、従来の日本の家庭料理の枠にとらわれない、自由な発想が特徴でした。
伝統的なレシピに独自の工夫を加えたり、西洋の要素を取り入れたりすることで、家族が心から喜ぶ新しい味を次々と生み出していったのです。
料理家としての成功のきっかけ
家庭での料理作りが評判となり、やがて栗原はるみは本格的な料理家としての道を歩み始めました。
そして、ある一冊の本が彼女のキャリアを決定づけたのです。
大ヒット書籍『ごちそうさまが、ききたくて。』
1992年、45歳の時に出版した『ごちそうさまが、ききたくて。―家族の好きないつものごはんー』が、彼女の料理家としてのキャリアを決定づけました。
この本のタイトルには、料理を作る人が家族から「ごちそうさま」という感謝の言葉を素直に聞きたいという気持ちが込められています。
この本は予想をはるかに超える大ヒットとなり、ミリオンセラーを記録しました。
成功を支えた「おいしくて、簡単で、おしゃれ」の三拍子
この本の成功は偶然ではありませんでした。
栗原はるみの料理には、多くの人が求めていた「おいしくて、簡単で、おしゃれ」という三つの要素が凝縮されていたのです。
従来の料理本では、おいしさを追求すると手間がかかりすぎたり、簡単にすると見た目のおしゃれさに欠けたりすることが多かったのです。
しかし、彼女は身近な材料を使いながらも、盛り付けや器の選び方で特別感を演出しました。
また、調理工程を工夫することで手軽さと美味しさを両立させるレシピを提案し、この新しいアプローチが多くの人々の心を掴んだのです。
メディアを通じた多角的な活動
栗原はるみの料理が幅広い年代から支持される理由は、彼女の親しみやすいアプローチにあります。
専門的な技術や特殊な材料に頼るのではなく、日常的に手に入る食材を使い、家庭のキッチンで無理なく作れるレシピを提案することで、多くの人が料理に挑戦しやすい環境を提供しました。
テレビと人柄が伝える料理の楽しさ
テレビでの活動も、彼女の影響力を大きく広げました。
1990年からNHK Eテレの『きょうの料理』でレギュラー講師を務め、全国の視聴者に彼女の料理を紹介してきました。
テレビという媒体を通じて、本だけでは伝えきれない調理のコツや手際の良さ、そして何よりも料理を楽しむ姿勢を多くの人に伝えています。
さらに、『プロフェッショナル 仕事の流儀』や『旅のチカラ』、『寂しくても楽しく〜栗原はるみ 夫と歩んだ料理人生〜』などのドキュメンタリー番組にも出演し、料理家としての信念や人生観を語る機会も得ています。
著書の圧倒的な発行部数
著書の発行部数は、料理家としては異例の記録を打ち立てています。
これまでに140冊を超える本を出版し、累計発行部数は3200万部を超えました。
代表作である『ごちそうさまが、ききたくて。』シリーズの他、『もう一度、ごちそうさまがききたくて。』なども大ベストセラーとなり、日本の多くの家庭の食卓に影響を与え続けています。
著書の国際的な評価
国際的な評価も得ており、2005年には第10回グルマン世界料理本大賞を日本人として初めて受賞しました。
これは、彼女の料理とその表現方法が世界レベルで認められたことを意味します。
日本の家庭料理の魅力を、国際的な舞台で証明したのです。
新雑誌『栗原はるみ』の創刊
雑誌の分野でも重要な足跡を残しました。
1996年に創刊したパーソナルマガジン『haru_mi』は、25年間にわたり100号まで続きました。
この雑誌は、栗原はるみの生き方や価値観を丸ごと伝える媒体として機能していました。
2021年の休刊後、2022年には新たなパーソナルマガジン『栗原はるみ』を講談社から創刊し、75歳という年齢でありながら新しい挑戦を続けています。
栗原はるみの前向きな生き方
この新しい雑誌では、料理のレシピはもちろんのこと、年齢を重ねても自分らしく楽しく暮らすためのヒントを発信しています。
企画を通じてギターに挑戦したり、猫を飼い始めたりする彼女自身の姿は、読者にも前向きな生き方を提案しています。
このような姿勢は、料理を通じて人生を豊かにするという彼女の基本的な考え方の表れでもあります。
現在では、デジタル時代に対応したオンライン料理教室もスタートさせ、誌面だけでは伝えきれない料理の楽しさを直接的に伝えています。
2024年6月と7月に行った無料のインスタライブレッスンは、一週間で7万人以上が視聴するという大反響を呼び、彼女の指導が多くの人に求められていることが明らかになりました。
企業とのコラボレーション
企業とのコラボレーションも積極的に行っています。
2004年からは大ヒット商品のデザート「栗原さんちのおすそわけ」のプロデュースにアドバイザーとして関わっています。
また、ウェブサイトでは年6回「栗原はるみのミルクレシピ」を掲載するなど、様々な媒体で料理の楽しさを伝え続けています。
海外への情報発信
国際的な活動にも力を入れています。
NHKワールドテレビの「Your Japanese Kitchen」を通じて、世界に向けて日本の家庭料理を発信しているのです。
これは、日本の食文化を海外に紹介する重要な役割を果たしており、彼女の料理が国境を越えて愛されていることを示しています。
料理から広がるライフスタイル提案
栗原はるみの活動は、料理の枠にとどまらず、暮らし全体を楽しむという哲学に基づいています。
彼女がプロデュースする事業は、その哲学を形にしたものです。
生活雑貨ショップ「share with Kurihara harumi」
彼女がプロデュースする生活雑貨ショップ「share with Kurihara harumi」では、オリジナルの食器やキッチン雑貨、調味料、インテリア小物、エプロン、ウェアなどを展開しています。
これらの商品は、彼女の「日常を特別にする」という考え方を反映しており、日々の生活に小さな楽しみや彩りを取り入れることを可能にしています。
カフェ・レストラン「ゆとりの空間」
さらに、カフェ・レストラン「ゆとりの空間」も全国の主要百貨店で展開しています。
ここでは、彼女が提案するライフスタイルを実際に体験できる場所として、多くの人々に親しまれています。
料理だけでなく、食事をする空間や使う道具すべてが、彼女の美意識によって統一されています。
料理家 栗原はるみが伝えるメッセージ
現在も精力的に活動を続ける栗原はるみは、料理を通じて日常生活を豊かにし、家族や自分自身を大切にする生き方を提案し続けています。
彼女が伝えるのは、単に料理の作り方だけでなく、暮らしをより豊かにするヒントです。
77歳という年齢でありながら、常に新しいことに挑戦し、学び続ける姿勢は多くの人に勇気と感動を与えています。
彼女の生き方そのものが、年齢に関係なく自分らしく輝き続けることの可能性を示しているのです。