「自分がされたらどう思う?」は効果なし
- お子さんがお友達を叩いてしまった
- お友達が使っていたおもちゃを取ってしまった
こんな時に、よく大人はこのように言うことありませんか?
自分がされたらどう思う?
相手の子はどんな風に思うかな? 悲しいんじゃないかな?
実はこれ、就学前の保育園とか幼稚園に通っているぐらいのお子さんたちにとってはすっごく難しい言葉。
もうほぼ理解ができていないと言ってもいいぐらい効果の薄いものなんです。
「自分がされたらどう思う?」に効果がない理由
「自分がされたらどう思う?」という、その相手の気持ちを自分に投影したり、相手の気持ちを察する能力が必要になります。
実はこの能力、脳の機能で言うとかなり高度なものです。
この機能が育ってくるのは、早くて小学校の3~4年生ぐらいから。
小学校高学年や中学生になってから理解して扱えるようになるようなものなのです。
就学前のお子さんたちに対して「自分がされたらどう思う?」とか「相手の人はどう思うかな?」とか言ったところで、その考え方はとても難しく、まず理解が追つきません。
「自分がされたらどう思う?」に答える子ども
でも中には「自分がされたらどう?」って聞いた時に「嫌だ」と思うって答えるお子さんもいるでしょう。
では、お子さんがなぜ「嫌だと思う」と答えられたのか。
それは「お父さん・お母さん・先生などの周りの大人が、一度どこかで[周りの人は嫌だと思うに決まってるでしょ]というような言葉をかけたことを、お子さんが覚えているからなんです。
要するに、知っている言葉を答えただけ。
これは「自分がされたらどう思う?」と言われたときの「嫌だと思う」という正解を導き出しただけ。
人の感情を考えて導き出した答えではありません。
本当の意味で「自分がされたらどう思うか」を考えて「嫌だと思う」と答えたわけではないケースの方が多いわけです。
なぜなら先ほども言ったようにこの思考は、脳の機能的にかなり難しいものだからです。
「自分がされたらどう思う?」に代わる言葉
自分の大切な人がそれをされたらどう思う?
小さなお子さんたちにとっては、この方がすごく響きやすいです。
「自分がされたらどう思う?」ではなくて「ママが誰かに叩かれちゃったらどう思う?」と聞きましょう。
大事なママが叩かれたらお子さんも嫌なはずです。
そのためこれなら、お子さんは「ママが嫌だと思う」ということを察するのではなくて、自分自身が嫌だと感じることができます。
自分の大事な人が誰かに叩かれたら自分も嫌ですよね。
もちろん叩かれた相手も嫌だというのは大人になったら理解できるでしょう。
しかしお子さんには、自分自身が嫌だという感情の方が分かりやすいです。
そしてこの嫌という感情は、実は「自分がされたらどう思う?」の嫌に最も近い感情なのです。
なので、お子さんの理解がしやすくなるわけなんですよ。
例えばこんなシチュエーション
パパが大事にしているこのリュック、誰かに取られちゃったらどう思う?
このように聞くと、お子さんは取られてしまったパパの気持ちを察して「嫌だ」と思うと感じるのではなくて、
パパが大事にしているリュックを誰かに取られちゃったら自分も嫌だな…
と、自分の気持ちに当てはめて考えられます。
「お父さんは〇〇されたら、お父さんは嫌だと思う?」と「お父さんが〇〇されたら、あなたは嫌だと思う」の答えは、実はとても良く似た感情になるのです。
こういった感情を覚えることで、お子さんは〇〇をしてはいけない、〇〇をしたら嫌だな、と理解しやすくなります。
こうしていくと、いつかきちんと「自分がされたらどう思う?」というような、相手に自分を投影して考えることもできるようになっていき、相手の気持ちを察するということにもつながっていきます。
まずはちょっと段階を踏みながら、まずは「自分の大切な人がされたら自分はどう思うか」について一緒に考えてあげられるといいでしょう。