水産物の定義と種類
水産物とは、食品表示基準別表第2の3に該当する品目のことです。次のような状態のものが含まれます。
- ラウンド(内臓やうろこを取っていないもの)
- セミドレス(内臓のみを除いたもの)
- ドレス(内臓とうろこを除いたもの)
- フィレー、切り身、刺身(盛り合わせを除く)
- むき身、冷凍品、解凍品、生きた状態のもの
水産物とは、食品表示基準別表第2の3に掲げられているものを指します。これには、ラウンド、セミドレス、ドレス、フィレー、切り身、刺身(盛り合わせを除く)、むき身、単に凍結させたものや解凍したもの、そして生きたものも含まれます。
水産物は大きく次のように分類されています。
- 魚類
- 貝類
- 水産動物類
- 海産ほ乳動物類
- 海藻類
魚類
魚類は多様な種類があり、以下のように分類されます。
- 淡水産魚類、さく河性さけ・ます類
- にしん・いわし類
- かつお・まぐろ・さば類
- あじ・ぶり・しいら類
- たら類、かれい・ひらめ類
- すずき・たい・にべ類
魚類は多くの種類に分けられており、それぞれ特徴があります。淡水産魚類やさく河性さけ・ます類などがこれに含まれます。また、にしん・いわし類、かつお・まぐろ・さば類、あじ・ぶり・しいら類、たら類、かれい・ひらめ類、すずき・たい・にべ類などもこの分類に入ります。
貝類
貝類には以下のような種類があります。
- しじみ・たにし類、かき類
- いたやがい類、あかがい・もがい類
- はまぐり・あさり類、ばかがい類
- あわび類、さざえ類
貝類には様々な種類があります。しじみ・たにし類、かき類、いたやがい類、あかがい・もがい類、はまぐり・あさり類、ばかがい類、あわび類、さざえ類などがこれに該当します。
水産動物類
- いか類、たこ類
- えび類、いせえび・うちわえび・ざりがに類
- かに類、うに・なまこ類
- かめ類、その他の水産動物
水産動物類にはいか類、たこ類、えび類、いせえび・うちわえび・ざりがに類、かに類などの甲殻類が含まれます。また、うに・なまこ類、かめ類、その他の水産動物類も含まれています。
海産ほ乳動物類
鯨、いるか、その他の海産ほ乳動物
海産ほ乳動物類には鯨、いるか、その他の海産ほ乳動物が分類されています。
海藻類
- こんぶ類、わかめ類、のり類
- あおさ類、寒天原草類、その他の海藻類
海藻類にはこんぶ類、わかめ類、のり類、あおさ類、寒天原草類、その他の海藻類が含まれています。
原産地表示の方法
消費者向けに販売する際には、水産物の名称と原産地を表示することが義務付けられています。
国産品の表示例
- 「まだい 香川県沖」
- 「まだら えりも沖」
- 「ぶり 天草灘(熊本県)」
- 「わかさぎ 霞ヶ浦」
水域名とともに、漁港名や都道府県名を併記することも可能です。
国産品の場合は、水域名または地域名を表示します。例えば「まだい 香川県沖」「まだら えりも沖」「ぶり 天草灘(熊本県)」「わかさぎ 霞ヶ浦」などと表示します。また、漁港名や都道府県名を合わせて表示することもできます。
輸入品の表示例
- 「キングサーモン カナダ」
- 「タコ モロッコ(大西洋)」
- 「ぎんざけ アメリカ」
原産国名に加え、水域名の表示も許容されています。
輸入品の場合は原産国名を表示します。例えば「キングサーモン カナダ」「タコ モロッコ(大西洋)」「ぎんざけ アメリカ」などと表示します。また、原産国名に水域名を併記することもできます。
水域名と港名・県名の併記について
- 「タラバガニ ロシア(オホーツク海)」
- 「ぶり 天草灘(熊本県)」
水域名と港名または県名、国名と水域名を併記する場合は、「タコ モロッコ(大西洋)」「タラバガニ ロシア(オホーツク海)」「ぶり 天草灘(熊本県)」のように表示します。
加工食品に該当する場合
次のような加工処理を行った場合は、生鮮食品ではなく加工食品に分類されます。
- 加熱処理等を行った場合(むき身あさり(加熱)、ゆで海老、蒸したこ、うなぎ蒲焼き等)
- 塩蔵等を行った場合(いくらしょうゆ漬け、塩たらこ、塩蔵わかめ等)
- 水分調整等の目的で日干し等の乾燥を行った場合(ひもの)
- 酢等で加工した場合(しめさば)
- 異種混合を行った場合(刺身盛り合わせ)
表示の義務者
表示の義務は、以下のすべての食品関連事業者に課されます。
- 生産者
- 加工業者
- 流通業者
- 小売業者
- 輸入者
表示を行う義務があるのは食品関連事業者です。生産者から最終消費者へ直接販売する小売業者までの流通過程の全ての者が該当します。海外から水産物を輸入する輸入者にも表示義務があります。
ただし、以下の場合には表示義務はありません。
- 飲食店などでその場で提供する場合
- 容器包装なしで生産地で販売する場合
- 容器包装なしで無償提供する場合
表示の場所と方法
表示場所
容器包装に入れられた水産物には、容器包装を開かなくても容易に見ることができるように、その容器包装の見やすい箇所に表示する必要があります。
ただし、名称や原産地などの一部の項目については、食品に近接した掲示など見やすい場所に表示することも可能です。
容器包装に入れられていない水産物の場合は、食品に近接した掲示などの見やすい場所に表示します。
表示文字の大きさ
- 一般的な表示:8ポイント以上の文字を使用
- 容器表示面積150平方センチメートル以下:5.5ポイント以上
容器包装への表示に用いる文字は、日本産業規格Z8305(1962)に規定する8ポイントの活字以上の大きさの文字を使用する必要があります。ただし、表示可能面積がおおむね150平方センチメートル以下のものは、5.5ポイントの活字以上の大きさの文字を使用することが認められています。
食品の特性に応じた表示
水産物には、その特性に応じて表示が必要な事項が定められています。
水産物全般
- 解凍品は「解凍」表示が必要
- 養殖品は「養殖」表示が必要
水産物全般では、解凍したものである場合は「解凍」と表示し、養殖されたものである場合は「養殖」と表示する必要があります。
生かき
- アレルゲン情報
- 保存方法
- 消費期限または賞味期限
- 添加物の有無
- 加工所の所在地と加工者名
- 生食用かどうか
- 生食用なら採取水域の表示
生かきには、アレルゲン情報、保存方法、消費期限または賞味期限、添加物、加工所の所在地と加工者の氏名または名称、生食用であるかどうかの別、生食用の場合は採取された水域を表示する必要があります。
冷凍魚介類
- アレルゲン情報
- 保存方法
- 消費期限または賞味期限
- 添加物
- 加工所所在地と加工者名
- 生食用かどうか
切り身またはむき身にした魚介類を凍結させたものには、アレルゲン情報、保存方法、消費期限または賞味期限、添加物、加工所の所在地と加工者の氏名または名称、生食用であるかどうかの別を表示する必要があります。
生食用の切り身・むき身魚介類
生食用の切り身またはむき身にした魚介類(生かきとふぐを除く)には、アレルゲン情報、保存方法、消費期限または賞味期限、添加物、加工所の所在地と加工者の氏名または名称、生食用である旨を表示する必要があります。
特定商品の表示
密封された特定商品の表示義務
水産物の中には、「密封された特定商品」に該当するものがあります。これらの製品には、内容量や製造業者等の情報を表示する義務があります。
密封とは、以下のような状態を指します。
容器入り | 商品が容器(プラスチックケースや缶など)に完全に封じられている |
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包装済み | 包装を開けないと中身に触れられない状態(真空パック、フィルム包装など) |
こうした密封状態の商品は、包装や容器を破らない限り、中身の量を増やしたり減らしたりできません。
表示が必要な情報
密封された水産物には、次の情報を見やすい場所に、はっきりとした文字サイズで表示することが必要です。
内容量 | 商品に含まれる水産物の量(gや個数など) |
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事業者情報 | 製造者や販売者の氏名または会社名、および住所 |
これらの情報は、消費者が安心して購入できるようにするための重要なルールです。
機能性表示食品の表示ルール
機能性表示食品とは、特定の健康効果が期待できることを、科学的な根拠に基づいて表示できる食品のことです。販売する事業者が自ら責任を持ち、その効果を裏付けるデータをもとに表示を行います。
表示できる内容 | 「血圧を下げる」「脂肪の吸収を抑える」など、体の機能に働きかける効果 |
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科学的根拠 | 文献や臨床試験などに基づくデータが必要 |
国の関与 | 国による個別審査はなし(届出制度) |
表示の責任 | すべて販売者の責任で行う |
魚や貝類などの水産物が機能性表示食品として販売される場合には、一般の加工食品とは異なる特別なルールがあります。以下に表示すべき項目をまとめました。
表示すべき情報
栄養成分表示 | たんぱく質、脂質、EPA・DHAなどの含有量 |
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機能性の表示 | 例:「本品に含まれるDHAは記憶力を維持するのに役立ちます」 |
摂取上の注意事項 | 一度に大量に摂らないことや、子どもの使用に関する注意など |
保存方法 | 「要冷蔵(10℃以下)」や「冷凍保存」など具体的に記載 |
事業者情報 | 販売元や製造元の名称・住所を記載することが義務 |
このような表示を適切に行うことで、消費者が正しく商品を選び、健康的に摂取できるようになります。
特定保健用食品の表示ルール
特定保健用食品は、国が審査し、効果や安全性が認められた食品です。通称「トクホ」と呼ばれます。特定の保健目的に対して効果があると認められた場合、国の許可を得て、その内容をパッケージに表示できます。
表示できる内容 | 「お腹の調子を整える」「血糖値の上昇を抑える」など具体的な保健効果 |
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国の審査 | 厚生労働省などの機関による審査と許可が必要 |
マーク | 特定保健用食品であることを示す「トクホマーク」の表示義務あり |
科学的根拠 | ヒト試験など、明確な証拠が必要 |
水産物がトクホとして販売される際には、国が定める詳細な表示項目をパッケージ等に記載しなければなりません。
表示が必要な内容
- 特定保健用食品である旨
- 許可表示(効果内容)
例:「本品は血中中性脂肪を低下させるのに役立ちます」 - 栄養成分量
たんぱく質、脂質、EPA、DHAなど - 1日あたりの摂取目安量
- 摂取方法の記載
例:「1日1回、食事とともにお召し上がりください」 - 注意事項
例:「多量摂取により効果が増すものではありません」 - 食生活改善の啓発文
「本品は、食生活の改善を補助するための食品です」 - 許可マークの表示
- 関与成分の栄養素等表示基準値に対する割合
例:「EPA 500mg(栄養素等表示基準値の50%)」
まとめ
水産物の表示は消費者に正確な情報を伝えるために重要です。名称や原産地などの基本的な情報に加え、解凍や養殖などの情報、特殊な食品カテゴリーに該当する場合の追加情報など、適切に表示することが求められています。食品関連事業者は法令に従い、見やすい場所に適切な大きさの文字で表示を行うことが必要です。