パチパチパニック・ドンパッチ・わたパチによる死亡事故の真相

パチパチと弾ける食感が特徴的なお菓子は、過去に死亡事故の噂が広まったことがあります。
この記事では、パチパチパニックやドンパッチといったお菓子に関連する死亡事故説の真相について、商品の歴史や製造技術を順を追って解説していきます。
パチパチするお菓子の仕組みと歴史
| 年代 | 出来事 | 国・地域 |
|---|---|---|
| 1970年代後半 | ゼネラルフーズ社が「ポップロックス」を開発・発売 | アメリカ |
| 1979年頃 | 味の素ゼネラルフーズが「ドンパッチ」として日本で販売開始 | 日本 |
| 1980年代 | 死亡事故説などの噂が拡散し始める | 日本・アメリカ |
| 1988年 | 明治製菓が「わたパチ」を発売 | 日本 |
| 1980年代後半〜1990年代 | ゼネラルフーズが5年間の安全性調査を実施 | アメリカ・日本 |
| 2000年 | ドンパッチの製造中止 | 日本 |
| 2016年8月 | わたパチの製造・販売終了 | 日本 |
| 現在 | パチパチパニック(明治産業)が継続販売中 | 日本 |
パチパチするお菓子は、キャンディーの中に炭酸ガスを閉じ込めるという特殊な技術で作られています。
口の中でキャンディーが溶けると、封じ込められていた炭酸ガスが一気に放出され、パチパチという音と刺激が生まれます。
アメリカでの誕生
この技術が初めて使われたのは、1970年代後半のアメリカでした。
アメリカのゼネラルフーズ社が「ポップロックス」という名前で、このお菓子を発売しました。
日本での展開
日本では1979年頃、味の素ゼネラルフーズ(現在のAGF)がこのポップロックスのライセンス契約を結び、「ドンパッチ」という商品名で販売を開始しました。
ドンパッチは、それまで日本に存在しなかった食感のお菓子として、子どもたちを中心に話題になりました。
炭酸ガスの圧力が非常に高く、人によっては「痛い」と感じるほど強い刺激が特徴でした。
死亡事故説の発生
- 【噂・都市伝説①】:大量に食べると危険
事実:実際の死亡事故は0件
根拠:アメリカ・日本両国で報告例なし
- 【噂・都市伝説②】:口の中で爆発してやけどをした
事実:医学的根拠なし
根拠:正式な事故報告は存在しない
- 【噂・都市伝説③】:胃の中で爆発して死亡した人がいる
事実:完全なデマ
根拠:5年間の安全性調査で否定
- 【噂・都市伝説④】:炭酸飲料と一緒に大量摂取すると死亡する
事実:推奨されないが死亡の医学的証拠なし
根拠:科学的根拠のない都市伝説
噂の拡散
ドンパッチが販売されてしばらくすると、「大量に食べると危険」「口の中で爆発してやけどをした」「胃の中で爆発して死亡した人がいる」といった、不安を煽るような噂が広まり始めました。
噂が生まれた背景
- 心理的要因
- 前例のない強烈な刺激への不安
- 「炭酸ガス」と「爆発」という言葉の連想
- 漠然とした恐怖心の拡大
- 口コミによる誇張表現
- 社会的要因
- 新しい技術への不信感
- 情報の検証が不十分だった時代背景
- メディアによる扇情的な報道
- 子どもたちの間での噂の伝播
- 商品特性
- 人によっては「痛い」と感じる刺激
- 炭酸ガスという成分への誤解
- 「爆発」「弾ける」という表現の強さ
これらの噂が広まった背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、お菓子の持つ前例のない強烈な刺激が、人々に「危険なのではないか」という不安を抱かせました。
また、「炭酸ガス」という言葉と「爆発」という表現が結びつき、消費者の間で漠然とした恐怖心が生まれたことも影響したのかもしれません。
噂に対する企業の対応
| 対応内容 | 期間・規模 | 結果 |
|---|---|---|
| 安全性調査の実施 | 5年間にわたる大規模調査 | 健康被害を引き起こす要因なしと確認 |
| 死亡事故の確認 | アメリカ・日本両国で調査 | 一件も報告されていないことを証明 |
| 安全性の広報 | 広告・プレスリリース等 | 噂の否定と正確な情報の発信 |
ゼネラルフーズは、広まった噂を否定し、商品の安全性を証明するために対応を行いました。
ゼネラルフーズは、5年間にわたる安全性の調査を実施し、ドンパッチに健康被害を引き起こす要因がないことを確認しました。
ドンパッチの製造中止
ドンパッチは、最終的に2000年に製造が中止されました。
中止の理由
公式には製造中止の理由は発表されていません。
しかし、長年にわたる風評被害が売上に影響を与え、事業継続が困難になった可能性は考えられます。
類似商品「わたパチ」の販売終了
ドンパッチの製造中止後も、同じような仕組みを持つお菓子は販売されていました。
わたパチは長い間販売されていましたが、2016年8月をもって製造・販売が終了しました。
「わたパチ」の構造
1988年に明治製菓から発売された「わたパチ」は、ふわふわの綿菓子の中にパチパチ弾けるキャンディーが入っている構造でした。
口の中でまず綿菓子が溶け、その後にキャンディーの刺激が感じられる、二段階の食感が楽しめる商品でした。
死亡事故説との関連性
わたパチの突然の販売終了は、インターネット上で様々な憶測を生みました。
「ドンパッチの死亡事故説が影響したのではないか」という推測もその一つ。
しかし、ドンパッチの製造中止からわたパチの販売終了までは16年という時間が経過しており、直接的な関連性は薄いと考えられます。
パチパチパニックの現状
現在も類似商品として「パチパチパニック」が販売されています。
パチパチパニックは、1979年に明治製菓(現・株式会社明治)が発売した炭酸キャンディーを起源とする商品です。
その後、1998年に前身となる商品が発売され、2007年に現在の「パチパチパニック」という商品名に変更されました。
現在は明治産業が製造・販売を担当しており、40年以上の歴史を持つロングセラー商品として、コーラ、グレープ、ソーダの3種類の味で展開されています。
パチパチパニックの安全性
| 評価項目 | 状況 | 詳細 |
|---|---|---|
| 死亡事故の報告 | なし | 確実な報告は0件 |
| 健康被害の報告 | なし | 公式な記録なし |
| 製造メーカー | 明治産業 | 現在も製造・販売継続中 |
| 安全基準 | 適合 | 食品安全基準をクリア |
| 噂の存在 | あり | ドンパッチと同様の都市伝説 |
| 科学的根拠 | なし | 死亡説は根拠のないデマ |
パチパチパニックは明治産業が製造しており、これまでに死亡事故が発生したという確実な報告はありません。
ドンパッチの時と同様に、様々な噂が存在しますが、これらは科学的根拠に基づかない都市伝説です。
炭酸ガス入りキャンディーと炭酸飲料を同時に大量摂取することは推奨されませんが、これが直接的に死亡に繋がるという医学的証拠もありません。
まとめ
| 商品名 | メーカー | 発売年 | 終了年 | 特徴 | 現在の状況 |
|---|---|---|---|---|---|
| ポップロックス | ゼネラルフーズ(米) | 1970年代後半 | – | 元祖パチパチキャンディー | 現在も海外で販売 |
| ドンパッチ | 味の素ゼネラルフーズ | 1979年頃 | 2000年 | 日本での先駆け商品、強烈な刺激 | 販売終了 |
| わたパチ | 明治製菓 | 1988年 | 2016年8月 | 綿菓子+パチパチキャンディー、二段階の食感 | 販売終了 |
| パチパチパニック | 明治産業 | 2007年 | – | コーラ・グレープ・ソーダの3種類 | 継続販売中 |
パチパチ系のお菓子に関する死亡事故説は、商品の持つ独特な刺激と炭酸ガスという成分への漠然とした不安から生まれたものです。
しかしドンパッチ、わたパチ、パチパチパニックのいずれにおいても、実際に死亡事故が発生した事例は確認されていません。
| 誤解 | 真実 |
|---|---|
| 炭酸ガスが体内で爆発する | 炭酸ガスは体内で自然に排出される |
| 火薬などの危険物質が入っている | 食品用の二酸化炭素のみを使用 |
| 子どもには危険すぎる | 適量であれば安全(小さな子どもへの配慮は必要) |
| 炭酸飲料との組み合わせが致命的 | 推奨されないが死亡の証拠はない |
| アメリカで販売禁止になった | 現在も海外で販売されている |
本件の真相は定かではありませんが、商品の生産終了は、売上の減少や製造コストなど、経営上の判断によるものが大半です。
事実に基づかない噂が、商品の販売に影響を与える可能性もあり、近年はSNSの発達によって噂も拡散されやすいため、食品業界はより世間の関心についてよくチェックしておくことが重要になります。





