レインボー綿菓子とは|原宿レインボーが生んだブーム

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綿菓子は、お祭りや縁日の屋台で昔から親しまれてきたお菓子です。しかし、2017年頃からその綿菓子が、全く新しい姿で私たちの前に現れ、大きな注目を集めました。それが、鮮やかな色合いと圧倒的な大きさで人々を驚かせた「レインボー綿菓子」です。このスイーツは、一過性の流行を超えて、新しいお菓子文化を築き上げました。

目次

レインボー綿菓子とは

レインボー綿菓子は、その名前の通り、虹のように何層にも色が重なり合ったカラフルな綿菓子です。熱で溶かした砂糖を専用の機械で糸状に伸ばし、これを棒の周りに巻きつけて作ります。従来の一色でシンプルな綿菓子とは異なり、複数の色を順番に重ねていくことで、美しいグラデーションを生み出しているのが特徴です。そのふわふわとした食感と、見るだけで楽しくなるような鮮やかな見た目が、多くの人々を惹きつけました。

お菓子にある3つの分類

レインボー綿菓子のルーツを理解するには、まずお菓子全体の分類を知ることが役立ちます。お菓子の世界は、主に3つのジャンルに分けることができます。

パティスリー(pâtisserie)

これは、ケーキやタルトといった生菓子や、クッキーフィナンシェなどの焼き菓子を指します。フランス語の「パティシエ」という言葉も、このジャンルの職人を意味します。

グラスリー(glacerie)

グラスリーは、アイスクリームシャーベットなど、冷たいお菓子全般のことです。夏に欠かせないかき氷なども、この分類に含まれます。

コンフィズリー(confiserie)

コンフィズリーは、砂糖を主原料とするお菓子のことを言います。キャラメルやキャンディ、そして綿菓子などがこのジャンルに含まれます。綿菓子は、熱で溶かした砂糖を糸状にして集めて作るため、コンフィズリーに分類されるお菓子のひとつなのです。

綿菓子の歴史的背景

綿菓子は、意外にも元々庶民的なお菓子ではありませんでした。その歴史をたどると、王侯貴族が楽しむ高級なスイーツだった時代がありました。

昔のヨーロッパでは、砂糖が非常に貴重なものでした。そのため、砂糖をふんだんに使った綿菓子は、王侯貴族が楽しむ、格式高いスイーツとして正式な晩餐会にも出されていたほどです。当時の貴族たちが、もし現代のレインボー綿菓子のような巨大で美しいお菓子を目の当たりにしたら、きっと大きな驚きと称賛を送ったことでしょう。

レインボー綿菓子の誕生とブームの背景

2017年、特別なスイーツトレンドが少ない年だった中、レインボー綿菓子は異例の注目を集めました。

このブームの火付け役となったのは、東京・原宿の竹下通りにある綿菓子専門店「トッティキャンディファクトリー(TOTTI CANDY FACTORY)」です。この店が生み出したレインボー綿菓子は、その斬新な見た目から、まず女子中高生や外国人観光客の間で話題となり、SNSを通じて瞬く間に広まっていきました。口コミが口コミを呼び、気がつけば多くの人が知る存在となり、大きな注目を集めるまでに成長したのです。

原宿レインボー

同店の中でも特に人気を集めたのが「原宿レインボー」です。この商品には、多くの人々を魅了するいくつかの特徴がありました。その名の通り、淡いパステルカラーの虹色で、雲のようにふわふわとした質感が特徴です。一つ一つの色が美しくグラデーションを描き、その見た目の美しさだけで人々の心を惹きつけました。

圧倒的なサイズと手頃な価格

初めて見る人は誰もがその迫力に圧倒されるほど、驚くほど大きなサイズも人々を惹きつけました。一般的な綿菓子とは比較にならないボリュームでありながら、価格が1000円という手頃さも、多くの人がお値打ちだと感じる要因となりました。このサイズとインパクトを考えると、まさに「バリューを感じる」価格設定でした。

レインボー綿菓子が示す現代のトレンド

レインボー綿菓子のの流行は、現代の消費者の嗜好と深く結びついています。

SNS時代のニーズ

現代の消費者は、ただ美味しいだけでなく、写真映えし、驚きがあり、それを誰かと共有したくなるような「体験価値」を求めています。レインボー綿菓子は、そのカラフルで巨大な見た目がSNSにぴったりで、この時代のニーズに完璧に応えました。見た目の楽しさが、味と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視される時代を象徴するスイーツと言えるでしょう。

伝統と革新の融合

レインボー綿菓子は、古典的な綿菓子の製法に、現代的な視覚的要素とサイズを組み合わせることで生まれました。昔ながらのお菓子が、新しいアイデアと演出によって、現代のエンターテインメント性を持つスイーツとして生まれ変わったのです。

レインボー綿菓子は、流行りのお菓子という枠を超えて、伝統的な技術と現代の消費者のニーズが見事に融合した、非常に興味深い事例と言えるでしょう。

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