【初心者向け】玄米・精米の食品表示基準|分かりやすい解説

早わかり食品表示ガイド(令和6年9月版・事業者向け)

知っておきたい食品表示(令和6年度9月版・消費者向け)

目次

玄米と精米の定義と種類

玄米と精米には、それぞれ明確な定義があります。これを理解することで、商品を選ぶ際の参考になります。

玄米とは

玄米とは、収穫した米から「もみ殻」だけを取り除いた状態の米です。胚芽やぬか層が残っており、白米よりも栄養価が高いのが特徴です。ビタミンB群や食物繊維、ミネラルを多く含みます。

精米とは

精米は、玄米からぬか層のすべてまたは一部を取り除いて白くした米です。見た目も美しく、炊き上がりもふっくらします。消化吸収に優れており、日常的に多く食べられています。

精米の種類

精米には以下の種類があります。

  • もち精米:アミロースという成分を含まず、粘りが強いのが特徴です。もち米を原料とするため、餅や赤飯に適しています。
  • うるち精米:もち精米以外の一般的な白米を指します。粘りがほどよく、家庭の主食として広く普及しています。
  • 胚芽精米:胚芽を一部残した精米です。栄養価が高く、玄米よりも食べやすい点が特徴です。

原料玄米とは

原料玄米とは、精米や加工用として使用される玄米のことです。商品表示では、この原料の内容も正確に示す必要があります。

玄米と精米の表示義務者

玄米や精米を取り扱う食品関連事業者には、正しい表示を行う責任があります。

以下のような事業者は、表示義務の対象となります。

  • 農家や農業法人などの生産者
  • 精米を行う精米業者
  • 店頭やオンラインで販売する小売業者
  • 海外から米を仕入れる輸入業者

これらの業者はすべて、食品関連事業者とみなされます。表示を行う場所や形態に関係なく、商品に関する正確な情報を提示する義務があります。

表示をする義務があるのは食品関連事業者です。生産者から最終消費者へ直接販売する小売業者までの流通過程すべての方が対象となります。海外から玄米や精米を輸入する輸入者にも表示義務があります。

販売者の代わりに表示を行う精米工場も、表示責任を持つ食品関連事業者です。工場名や所在地、連絡先を明記する必要があります。。

食品関連事業者は消費者に正確な情報を伝える責任があります。表示が不十分だと消費者は商品の特性を正しく理解できません。そのため法律で表示義務が設けられています。表示内容に虚偽があると罰則の対象となることもあります。誠実な表示が食の安全と消費者の信頼につながります。

必要な表示事項

玄米と精米の表示には以下の5つの項目が必要です。これらは消費者が商品を選ぶ際に重要な情報となります。

名称の表示方法

商品名には、内容を適切に表した名称を記載します。使用できる名称は次の通りです。

  • 玄米
  • もち精米
  • うるち精米(「うるち」を省略可能)
  • 胚芽精米

名称は消費者が一目で商品の種類を判断できる重要な情報です。間違った名称を表示すると消費者を混乱させる原因になります。

特にもち米とうるち米は調理方法や用途が異なるため、正確な表示が必要です。胚芽精米は通常の精米よりも栄養価が高い特徴があるため、その旨を明示することが大切です。

原料玄米の表示方法

原料玄米の表示は以下のルールに従います。

単一原料使用の場合

1つの産地・品種・産年の米を使用する場合は、「単一原料米」と明記します。

具体的な記載例は以下の通りです。

  • 【例】単一原料米 国産(新潟県)コシヒカリ 令和5年産

産地、品種、産年に関する根拠を示す資料が保管された単一原料使用の場合は、「単一原料米」と表示し、その産地、品種、産年を表示します。産地については国産品は都道府県名、市町村名その他一般に知られている地名を表示します。輸入品は原産国名または一般に知られている地名を表示します。

単一原料米の表示があると消費者は品質の均一性を期待できます。ブランド米などで特に重要な情報です。産地や品種によって味や食感が異なるため、これらの情報は消費者の選択に大きく影響します。また産年は米の鮮度を示す指標として重要です。

複数原料使用の場合

複数の産地や品種を使用する場合は、「複数原料米」と表記し、それぞれの使用割合を記載します。

  • 【例】複数原料米 国内産 70% アメリカ産 30%

使用割合は多い順に記載し、割合を明確にすることで、商品構成が一目でわかるようになります。

単一原料以外の原料玄米を用いる場合は、「複数原料米」等原料玄米の産地、品種または産年が同一でない旨を表示し、その産地および使用割合を併記します。産地・使用割合は、国産品は「国内産 △割」、輸入品は原産国ごとに「○○(国名)産 △割」と、使用割合の高い順に表示します。

複数原料米の場合は、どの産地の米がどれくらいの割合で含まれているかを明示する必要があります。これにより消費者は商品の特性や価値を正確に判断できます。割合表示がないと高級米が少量しか含まれていなくても誤解を招く恐れがあります。

内容量の表示方法

内容重量をグラムまたはキログラムで単位を明記して表示します。

【例】内容量:5kg

内容量は消費者が価格と量のバランスを判断するために必要な情報です。単位を明記することで誤解を防ぎます。一般的に米は1kg、2kg、5kg、10kgなどの単位で販売されることが多いです。消費者は自分の使用量に合わせて適切な量を選ぶことができます。

調製時期・精米時期・輸入時期の表示方法

鮮度の目安となる「時期」も必ず表示しなければなりません。

表示の形式は以下の通りです。

玄米調製年月旬(または年月日)
精米精米年月旬(または年月日)
輸入品調製・精米時期の代わりに輸入時期

複数時期の原料を混合している場合は、「最も古い時期」を表示する決まりがあります。これは消費者にとって不利な情報を隠さないための配慮です。

玄米は原料玄米を調製した時期を表示します。精米は原料玄米を精白した時期を年月旬または年月日で表示します。輸入品で調製・精米時期が不明なものはこれらの代わりに輸入時期を表示します。調製時期、精米時期または輸入時期の異なるものを混合したものについては最も古い時期を表示します。

時期の表示は米の鮮度を判断する重要な情報です。特に精米は時間が経つと風味が落ちるため、精米時期は品質を示す重要な指標となります。消費者は新しい精米を好む傾向があります。混合されている場合は最も古い時期を表示することで、消費者に不利益が生じないようにしています。

食品関連事業者情報の表示方法

パッケージには、次のような事業者情報を明記する必要があります。

  • 事業者名(または精米工場名)
  • 所在地(都道府県、市区町村名を含む)
  • 電話番号

精米工場が表示を行う場合は、「販売者」の代わりに「精米工場」と記載し、責任の所在を明確にします。

食品関連事業者の氏名または名称、住所および電話番号を表示します。表示を行う者が精米工場である場合は「販売者」に代えて「精米工場」と表示します。

事業者情報は問題が生じた際の連絡先として重要です。また消費者が商品について質問したい場合にも必要な情報です。精米工場が表示する場合は、その旨を明記することで責任の所在を明確にします。信頼できる事業者の商品であることを示す指標にもなります。

ブレンド米の表示方法

ブレンド米の表示には特別なルールがあります。

複数種類の米をブレンドして製造した商品については、「複数原料米」と明示し、それぞれの産地と使用割合を正しく表示します。

具体的な表示例は以下の通りです。

  • 【例】複数原料米 国内産 60% カリフォルニア産 40%

産地や割合の表記を誤ると、景品表示法違反に該当する可能性があるため、非常に重要な項目です。

使用割合が50%以上の場合

使われている米のうち、1つの産地または品種が半分以上を占める場合、以下のようなルールがあります。

  • 「ブレンド」や「混合」などの言葉を目立つ文字で表示する
  • 産地名や品種名と同じくらいの大きさの文字を使う

これは、消費者が「コシヒカリ」と書かれた商品を見たときに、すべてがコシヒカリではないことをきちんと理解できるようにするためのものです。

原料の使用割合が50%以上で、かつ、その産地・品種または産年を表示する場合には、「ブレンド」等の文字をこれらのうち最も大きな文字と同程度以上の大きさで表示します。

これは消費者に明確にブレンド米であることを伝えるための規定です。大きな文字で「コシヒカリ」と書かれていても、実際には他の品種と混合されている場合があります。こうした誤解を防ぐために「ブレンド」の文字を目立つように表示する必要があります。

使用割合が50%未満の場合

1つの産地や品種が全体の半分未満の場合には、「使用割合」を強調して表示しなければなりません。

表示例:「○○県産コシヒカリ 30%使用」

このように、「30%」という数字も、品種名と同じくらいの大きさで表示します。見た目でわかるようにすることが目的です。誤解を防ぎ、正しい選択につながります。

原料の使用割合が50%未満の場合は、その「使用割合」を産地・品種または産年の文字のうち最も大きな文字と同程度以上の大きさで表示します。

使用割合が少ない場合は、その割合を明確に示すことが重要です。例えば「○○県産コシヒカリ」と大きく表示されていても、実際には30%しか含まれていない場合は「30%」という数字を目立つように表示する必要があります。これにより消費者は商品の実態を正確に理解できます。

表示確認方法について

産地、品種または産年の全部または一部を表示した場合は、表示確認方法を表示することができます。

証明を受けた場合

公的な機関からの証明を受けているときは、その旨を表示します。

国産の証明農産物検査法に基づいた検査結果
輸入品の証明輸出国の公的機関が発行した証明書

産地、品種および産年が証明されたものの場合は、証明を受けた旨を表示します。国産品は農産物検査法、輸入品は輸出国の公的機関等による証明が該当します。

公的機関による証明は信頼性の高い情報源です。消費者にとって安心材料となります。特に高級ブランド米などでは産地や品種の証明が価値を保証する重要な要素となります。偽装防止の観点からも重要な情報です。

その他の確認方法

証明書がない場合でも、自社で確認した内容に基づいて表示することができます。

生産者からの証明書生産地が明記された書類
自社の検査記録品種や産地を調べた結果

証明以外の表示確認方法の場合は、産地、品種または産年その他の原料玄米の表示事項の根拠を確認した表示確認方法を表示します。

公的な証明がない場合でも、事業者が独自に確認した方法を表示することで信頼性を高めることができます。例えば生産者からの証明書や自社検査の結果などが該当します。透明性を確保することで消費者の信頼を得ることができます。

表示の場所と方法

玄米や精米の情報は、袋の目立つ場所にまとめて表示します。表示は「基準別記様式4」に従うことが義務付けられています。

文字の大きさの基準

内容量文字サイズ(ポイント)
3kg超の商品12ポイント以上
3kg以下の商品8ポイント以上

読みやすさを重視するため、高齢者にも見やすいサイズが指定されています。文字が小さすぎると、正しい情報を確認しづらくなります。

玄米および精米の表示は容器包装の見やすい箇所に基準別記様式4により一括して行います。容器包装への表示に用いる文字は日本産業規格Z8305(1962)に規定する12ポイントの活字以上の大きさの文字を使用します。ただし内容量が3kg以下のものは8ポイントの活字以上の大きさの文字を使用します。

表示は消費者が容易に読めることが重要です。文字の大きさや場所はその読みやすさに直結します。特に高齢者でも読みやすいように一定以上の文字サイズが義務付けられています。また表示項目をバラバラに記載するのではなく一括して表示することで、消費者は必要な情報を探しやすくなります。

表示様式について

表示はルールに従い一括して行います。産年および精米時期をこの様式に従い表示することが困難な場合には、様式のそれぞれの欄に表示箇所を表示すれば、他の箇所に表示することができます。消費者の選択に資する適切な表示事項は、表示様式の枠内に表示することができます。

統一された様式を使用することで、消費者は商品間の比較がしやすくなります。どの商品も同じ位置に同じ情報が表示されていれば、効率的に情報を得ることができます。ただし現実的な制約もあるため、一部の情報を別の場所に表示できる例外規定が設けられています。

まとめ

食品表示基準における玄米・精米の表示は消費者にとって重要な情報源です。名称、原料玄米の詳細、内容量、調製・精米・輸入時期、事業者情報といった基本情報に加え、ブレンド米の場合は特別な表示ルールがあります。これらの情報を適切に表示することで、消費者は自分に合った商品を選ぶことができます。事業者は法律に則った正確な表示を行い、消費者の信頼を得ることが大切です。

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