サバランとは
このお菓子は、ブリオッシュ生地に洋酒入りのシロップを染み込ませて作られます。
ふんわりとした生地と洋酒の芳醇な香りが特徴です。
サバランは、いくつかの要素から成り立っています。
ブリッシュ生地
サバランの土台となるのは、ブリオッシュという生地です。
ブリオッシュは、小麦粉に卵やバター、牛乳を多めに加えて作られます。
これらの材料を多く使うことで、普通のパンよりも柔らかく、リッチな質感になります。
イーストという酵母を使って発酵させるため、ふっくらとした柔らかな食感に仕上がります。
この生地を、ドーナツのように中央に穴の開いたリング型に焼くことで、サバランの基礎となります。
洋酒シロップ
焼きあがったブリオッシュには、洋酒を加えたシロップを染み込ませます。
このシロップは、水と砂糖を煮溶かしたものです。
そこへ、ラム酒、ブランデー、キルシュなどの洋酒を合わせます。
熱いシロップにブリオッシュを浸すことで、生地の内部まで洋酒の風味がしっかりと染み込みます。
最後の仕上げ
シロップを染み込ませたブリオッシュは、粗熱をとって冷蔵庫で冷やし、味をなじませます。
最後に、リング型の中央の穴や表面に装飾を施します。
一般的には、生クリームやカスタードクリーム、季節のフルーツなどが使われます。
これらの装飾が、見た目の美しさと味わいの豊かさを加えます。
サバランとババの違い
サバランを理解する上で、ババという似たお菓子との関係を知る必要があります。
ババもブリオッシュ生地に洋酒入りのシロップを染み込ませた菓子ですが、いくつかの違いがあります。
形状と生地の違い
ババは円柱型やコルク型をしており、サバランのようなリング型ではありません。
また、ババの生地には伝統的にレーズンが加えられることが多いです。
名前の由来と洋酒
ババの正式名称は**「ババ・オ・ロム」**といい、これは「ラム酒風味のババ」を意味します。
そのため、使用する洋酒はラム酒が一般的です。
一方、サバランは使用する洋酒に特定の決まりはありません。
装飾の違い
ババの装飾は生クリームのみのシンプルなものが一般的です。
しかし、サバランはより多様な装飾が施されます。
ただし、現代ではこれらの区別が曖昧になり、様々なバリエーションが存在します。
サバランの歴史
サバランは、ババから発展して生まれました。
ババの起源
ババの歴史は、サバランよりも古いです。
ババは18世紀前半にポーランドからフランスに伝わりました。
当時のポーランド王スタニスラス・レクチンスキーが、固くなったパンにお酒をかけて食べたことから生まれたとされています。
王が愛読していた物語の主人公「アリ・ババ」にちなんで「ババ」と名付けられました。
サバランの誕生
サバランは19世紀半ばに、パリでパティスリーを営んでいたジュリアン兄弟によって考案されました。
彼らは、ババをより洗練させた新しい菓子を作りました。
この菓子に「サバラン」という名前が付けられたのは、著名な美食評論家ブリア・サバランに敬意を表してのことでした。
ブリア・サバランは、フランス料理文化の発展に貢献した人物です。
地域による味付けの違い
現代のサバランは、地域によって味付けに違いがあります。
日本では洋酒の風味を控えめにしたものが一般的です。
これにより、幅広い年齢層に受け入れられやすい味になっています。
一方、本場フランスでは洋酒をしっかりと効かせたスタイルが好まれます。
パリの一部のレストランでは、客の目の前で洋酒をかけるサービスを行う場所もあります。
自宅での楽しみ方
サバランは、家庭でも手軽に作ることができます。
市販のブリオッシュに、水、砂糖、好みの洋酒で作ったシロップを染み込ませるだけです。
洋酒が苦手な方や子供向けには、ラムエッセンスやフルーツジュースなどでアルコールを使わずに作ることも可能です。
このように、サバランはポーランド起源のババがフランスで発展し、現代まで受け継がれてきた菓子です。
洋酒の香りとブリオッシュの優しい甘さ、そして美しい装飾が調和したサバランは、多くの人に親しまれています。