秘書検定が「意味がない」と言われる理由｜受ける必要ある？

秘書検定が「意味がない」と言われる理由

秘書検定は、その価値が十分に認識されていないため、「意味がない」と批判されることがあります。

その主な理由について、それぞれの指摘を詳しく見ていきましょう。

業務独占資格ではない

秘書検定は、医師や弁護士のような、特定の業務を行うために必須となる業務独占資格ではありません。

この資格を持っていなくても、秘書業務を行うことは法律上可能です。

この点が、資格の必要性そのものに疑問を投げかける理由の一つとなっています。

また、3級の合格率が約70パーセントと比較的高いことも、「誰でも取れる簡単な資格」という印象を持たれる要因となり、資格の価値を低く見られることがあります。

現代の価値観との相違

一部では、秘書検定の試験内容が、現代のビジネス環境や価値観にそぐわないという指摘もあります。

たとえば、「上司からミスを指摘された際、たとえ自分のミスでなくても言い訳せず、すぐに謝る」といった、従順な姿勢を良しとする問題が出題されることがあります。

こうした考え方は、現代の多様性や自己主張が尊重される働き方と異なるため、SNS上などで「昭和的」「理不尽」といった批判の対象になることがあります。

自然と身につく人もいる

「わざわざ検定で学ばなくても、社会人になってから自然に身につく」という考え方もあります。

実際に職場で働いていれば、ビジネスマナーや常識は、日々の業務や人間関係を通して徐々に習得できるという意見です。

特に、電話応対や来客対応といった反復的な業務は、経験を重ねることで慣れていくものです。

そのため、事前に体系的に学習する必要性を疑問視する意見も存在します。

しかし、この考え方は、正しいマナーや常識を理解せずに、見よう見まねで身につけてしまうリスクもはらんでいます。

秘書検定を取得する意味はある？

秘書検定は、就職活動や日々の業務において、多くの人にとって価値がある資格です。

秘書検定の大きな価値は、社会人として必要なマナーや知識を、体系的に学べる点にあります。

多くの人は、ビジネスマナーや常識を経験的に身につけますが、その背後にある理由や原則を理解している人は多くありません。

秘書検定の学習を通じて、「なぜその敬語を使うのか」「どのような場面でどの表現が適切か」といったことを論理的に整理し、正しい知識として身につけることができます。

これは、自信をもって社会人としてのマナーを実践するために役立ちます。

社会人としての基礎を学べる

社会に出る前や経験が浅い時期に、ビジネスマナーを体系的に学ぶことは大きな利点です。

秘書検定の学習を通じて、名刺交換の作法、席次、会議室への案内方法など、多くの人が戸惑いがちな場面での適切な振る舞いを身につけることができます。

これらの知識を事前に習得することで、社会人としてのスタートを円滑に進めることができます。

実務面での能力が身につく

秘書検定は、実務面で役立つ能力を身につけることにもつながります。

ビジネス文書の作成方法、ファイリング技術、会議の準備、資料の整理方法など、多くの職種で共通して必要とされる事務スキルを習得できます。

これらのスキルは、業務を効率的に進めることに直結し、特に新入社員にとっては、即戦力として評価される基礎を築くことができます。

対人関係における対応が分かる

秘書検定は、相手の立場や状況を理解し、適切な対応を取る能力を養うことにも役立ちます。

これは単なる形式的なマナーではなく、相手を思いやる心と、それを適切に表現する技術の両方を含みます。

正しい言葉遣いや立ち居振る舞いは、相手に好印象を与える第一歩です。

また、予期せぬトラブルや困難な状況に直面したときの対応力も身につき、冷静で適切な判断ができるようになります。

就職活動や転職活動中に活かせる

秘書検定は、就職活動や転職活動において、履歴書に記載できる客観的なスキルとして機能します。

特に、2級以上を取得していると、面接官に「社会人としての基礎的なマナーや知識を身につけている」「入社後の研修を円滑に進められる」といった好印象を与えることができます。

準1級と1級で実施される面接試験の経験は、実際の就職面接で落ち着いて対応するための自信につながります。

書類選考（履歴書）での評価

就職活動で評価されるのは2級からだと一般的に言われています。

3級は高校生レベルとされているため、大学生が履歴書に記載してもアピール効果は限定的と見られることがあります。

2級を取得することで、社会人としての基本的なスキルを証明できます。

準1級以上になると難易度が格段に上がるため、取得できれば確実に評価される資格となります。

秘書検定の概要

秘書検定の正式名称は「秘書技能検定試験」といい、公益財団法人実務技能検定協会が実施し、文部科学省が後援している民間資格です。

この検定の目的は、秘書に求められる知識や技能を測ることですが、社会人として働く上で誰もが身につけておくべき基本的な常識やマナー、ビジネススキルを体系的に学び、その習得度を測る仕組みとなっています。

検定の級と難易度

秘書検定には、3級、2級、準1級、1級の4つの段階があり、それぞれ異なる難易度が設定されています。

3級は、社会人として最低限必要な知識を問う入門レベルで、主に高校生が受験します。

合格率は約70パーセントと比較的高いです。

2級は、大学生や新社会人が多く受験し、電話応対や接客など、応用力が問われます。

合格率は約55パーセントです。

準1級と1級は、筆記試験に加えて面接試験も実施されるため、より高度な判断力と実践力が必要です。

合格率は、準1級が約39パーセント、1級が約26パーセントと低くなります。

試験の構成

全ての級において、試験は「理論」と「実技」の2つの領域に分かれています。

理論では「必要とされる資質」「職務知識」「一般知識」の3科目、実技では「マナー・接遇」「技能」の2科目から出題されます。

どちらの領域も60パーセント以上正解しなければ合格できません。

この構成により、単なる知識の暗記ではなく、知識を実際の場面でどう活用するかが重視されます。