いちご大福とは|和洋折衷スイーツの誕生、元祖はどこ?

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いちご大福とは

いちご大福は、やわらかい求肥(ぎゅうひ)で、餡(あん)とイチゴを包んだ和菓子です。

求肥とは、もち米の粉に砂糖と水を加えて練り上げた、弾力のある生地のことを指します。

しっとりとした餡と、みずみずしいイチゴ、そしてもちもちの求肥。

これら三つの素材が絶妙なバランスで調和し、唯一無二のおいしさを生み出しています。

もともと大福といえば、あんこだけを包んだシンプルなものでした。

そこにイチゴを加えたことで、鮮やかな見た目とフレッシュな味わいが加わります。

昭和60年(1985年)ごろに登場し、瞬く間に全国に広がりま、和菓子の世界に新しい風を吹き込みました。

和洋折衷の代表菓子

いちご大福が登場したのは昭和60年(1985年)頃です。

当時、イチゴは主にショートケーキなど、洋菓子に使われる素材と認識されていました。

その固定観念を破り、和菓子の世界にイチゴを取り入れたのがいちご大福です。

この大胆なアイデアは瞬く間に話題を呼び、和菓子店の間で広まり、今では春になると必ず見かける定番商品となっています。

いちご大福は、和と洋の要素を融合させた存在として代表的ともいえるお菓子です。

いちご大福誕生の背景と大ブーム

当時の常識では、大福にフルーツを入れるという発想はありませんでした。

しかし、イチゴを大福に取り入れるという試みは「これは新しい!」と多くの人に驚きを与えました。

イチゴの鮮やかな赤色と、白い求肥とのコントラストも美しく、見た目にも新鮮でした。

さらに、イチゴのジューシーな酸味と餡の甘さが絶妙にマッチしたことで、多くの人々の心をつかみました。

ブームとして広がり、そして定番へ

この新しい菓子は、東京を中心に広がり、あっという間に全国の和菓子店で取り扱われるようになります。

そして、単なる一時的なブームに終わらず、定番商品として和菓子界に定着しました。

春のイチゴの旬に合わせて販売されることが多く、季節感を楽しめる菓子としても人気を集めています。

今では春のイチゴシーズンに、ほとんどの和菓子店でいちご大福を見かけることができます。

元祖いちご大福をめぐる争い

いちご大福が全国的に人気になると、「うちが最初に作った」と名乗る店がいくつも登場しました。

元祖を名乗る主な和菓子店

  • 東京・新宿区住吉町「大角玉屋」
    商品名は「いちご豆大福」。製法特許も取得しているとされています。
  • 東京・板橋区「一不二」
    こちらも製法特許を持ち、元祖を主張しています。
  • 群馬県前橋市「金内屋」
  • 三重県津市「とらや本家」
  • 三重県伊賀市「秋榮堂」
  • 滋賀県大津市「松田常盤堂」

このように、各地に元祖を主張するお店があり、いちご大福の誕生がいかに衝撃的な出来事だったかを物語っています。

いちご大福のバリエーション

基本形が広まった後、いちご大福には多くのバリエーションが生まれました。

餡(あん)の違いによるバリエーション

スクロールできます
特徴印象・メリット
小豆餡一般的な赤い小豆餡を使用。昔ながらの和菓子の風味が楽しめる。王道のスタイル。和菓子らしさを感じられる。
白餡白餡を使うことで甘さがやわらかくなり、イチゴの風味がより引き立つ。白く清潔感があり、上品な印象を与える。
餡なし餡を使わず、求肥でイチゴだけを包むシンプルなスタイル。イチゴ本来のフレッシュさをダイレクトに味わえる。

洋風アレンジ

イチゴとホイップした生クリームを組み合わせた「生クリームいちご大福」も人気です。

甘くてまろやかな生クリームが加わることで、より洋菓子に近い味わいになります。

その他のアレンジ

  • 高級品種イチゴ使用バージョン
    とちおとめ、あまおうなど、特別な品種を使ったプレミアムバージョンも人気です。
  • カラフル求肥バージョン
    求肥に抹茶、イチゴパウダーなどを練り込み、色や風味を変えたものも登場しています。
  • ミニいちご大福
    小ぶりなサイズで食べやすく、見た目もかわいらしいタイプです。
  • 複数イチゴ入りの贅沢版
    大きな求肥の中に複数のイチゴが入っている豪華な商品もあります。

各和菓子店が工夫を凝らし、バリエーション豊かな商品を次々と生み出しています。いちご大福は今でも進化を続けています。

まとめ

イチゴは洋菓子、大福は和菓子。

それぞれの世界で長年築かれてきた「常識」を破り、新しい組み合わせを生み出したこと自体が画期的でした。

いちご大福は、シンプルな構成だからこそ、「なぜ今まで誰も思いつかなかったのか」と驚かれました。

単純なアイデアほど、実は誰も挑戦していなかったり、実現が難しかったりします。

一見簡単に思える発想でも、実際に商品化するには大きな勇気と挑戦心が必要です。

いちご大福の成功は、和菓子の世界に新しい可能性を示しただけでなく、「常識を打ち破る勇気ある発想」の大切さも教えてくれる存在となったのです。

和と洋を組み合わせるスタイルは、現在では和菓子だけでなく、洋菓子、さらには総菜など幅広い分野に広がっています。

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