洋菓子におけるタルトとは|名前の由来に起源、種類を紹介

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タルトとは

タルトは、小麦粉やバターなどで作った生地を皿状に成形し、その上に様々な具材をのせて作る洋菓子のことです。

皿状の生地はタルト台と呼ばれ、具材を入れる容器の役割をしています。

この記事では、タルトの歴史や名前の由来、生地の種類、そして様々なタルトの種類について解説します。

タルトの名前の由来

タルトという言葉はフランス語に由来し、その語源は古代ローマ時代のラテン語「torta(トールタ)」にさかのぼります。

「torta」は「丸い皿状の菓子」を意味する言葉で、「ねじる、丸める」という意味の動詞「torquere」から派生したと考えられています。

この名前が示すように、タルトは古くから皿のような形をしていました。

タルトの起源

タルトの歴史は古代ローマ時代にまでさかのぼることができます。

当時はフォークやスプーンなどの食器が十分になく、液体状の食べ物を食べることは困難でした。

そこで考案されたのが「食べられる器」という発想で、生地で作った容器にはちみつやクリームなどの液体を入れて食べるようになりました。

これがタルトの起源とされています。

ヨーロッパへの広がり

古代ローマから始まったタルトは、その後ヨーロッパ各地に伝わり、それぞれの地域で独自の発展を遂げました。

中世ヨーロッパでは、肉や魚、野菜などを使った食事的な料理として作られることが多くありました。

これは食材を長期間保存するための工夫でもありました。

時代が進むにつれて、砂糖や果物を使った甘いタルトも作られるようになり、現在私たちが親しんでいる菓子としてのタルトが確立されていったのです。

タルト台の生地の種類

タルト台に使用される生地には、主に三種類があります。

それぞれの生地は、食感や風味、特徴が異なります。

パート・シュクレ

パート・シュクレは、「甘い生地」を意味する、タルト台で最も一般的な生地です。

砂糖、バター、卵、小麦粉を主材料とし、他の生地と比べて砂糖を多く使用するため、しっかりとした甘みがあります。

焼き上がりはサクサクとした食感で、小麦粉の結びつきが弱いため、もろくて崩れやすい特徴があります。

砂糖をたっぷり使うことで焼き色もよく付き、固めに仕上がります。

パート・ブリゼ

パート・ブリゼは、「砕けた」を意味する生地で、砂糖やバターを控えているため甘みが少ないのが特徴です。

サクッとした軽い食感で、固めに仕上がり、水分が染みにくいという特徴があります。

弾力があり崩れにくいので、タルトやキッシュの土台として適しています。

パート・サブレ

パート・サブレは、「砂のような」を意味し、その名の通り口の中でほろほろと崩れる食感が特徴です。

冷えたバターと小麦粉を合わせることから始まり、他の生地と比べてバターの量が多いため、口溶けの良いサクサクした食感が生まれます。

また、砂糖を使わないか少量しか使わないため、甘みが少ないのも特徴です。

タルトの大きさによる名称

タルトは大きさによって呼び名が変わることがあります。

ただし、一般的な店舗では厳密に区別する必要はありません。

タルト

複数人で分けて食べる、直径約20センチメートルの大きなサイズのものを「タルト」と呼びます。

これは約7号のケーキサイズに相当し、8から10名程度で食べることを想定したサイズです。

タルトレット

直径7から8センチメートルほどの一人用のサイズのものは「タルトレット」と呼ばれます。

手のひらに収まるサイズで、一人で楽しむのに適しています。

タルトレット・フール

さらに小さな一口サイズのものは「タルトレット・フール」と呼ばれます。

主にパーティーなどで提供されることが多いサイズです。

様々なタルトの種類

タルトには、具材によって実に多様な種類が存在します。

フルーツタルト

フルーツを使ったタルトの代表がタルト・フリュイです。

タルト生地にカスタードクリームなどを入れ、フルーツをあしらったものです。

ナパージュと呼ばれるジュレが上掛けされることが一般的で、乾燥を防ぎ、見た目に艶やかさを加えます。

りんごを使ったタルト

タルト・タタン

タルト・タタンは、キャラメリゼしたりんごを型に敷き詰め、その上に生地をかぶせて焼く独特なタルトです。

焼き上がった後にひっくり返して完成させます。

一説では、失敗から偶然生まれたとされています。

タルト・ノルマンド

フランスのノルマンディー地方の郷土菓子で、りんごをふんだんに使用したタルトです。

りんごのお酒「カルヴァドス」で味付けされることもあり、フルーティーでまろやかな風味をもちます。

その他のタルト

クラフティー

フランスの伝統的なデザートで、タルト生地に、牛乳、卵、砂糖、薄力粉などで作った液体とチェリーを入れて焼き上げます。

地域によってはタルト生地を使わない場合もあり、プリンのような食感が特徴です。

タルト・フロマージュ

タルト・フロマージュは、フランス語で「チーズ」を意味する「フロマージュ」を使ったタルトです。

サクサクとした生地の食感と、濃厚なチーズの味わいが楽しめます。

エッグタルト

アジアでなじみ深いエッグタルトは、タルト生地にカスタードクリームを入れて焼き上げたスイーツです。

ポルトガルやイギリスから伝わった菓子が、中国や台湾でアレンジされたとされています。

エンガディナー

スイスのエンガディン地方の伝統的な菓子で、ヌガーを絡めたクルミやナッツをビスケット生地に包んで焼き上げるタルトです。

キャラメルの香ばしさと歯ごたえが特徴です。

バルケット

バルケットは「小舟」のような楕円形をしたタルトで、通常のタルトよりも小さな型で作られます。

粘り気のある生地を使うことで、水分を多く含んだフルーツを使っても崩れにくいという特徴があります。

タルトの製法

タルトは、まずタルト台となる生地を作ることから始まります。

ピケと空焼き

生地をタルト型に敷き込んだ後、焼いている間に生地が縮んだり膨らんだりするのを防ぐため、フォークで底面に穴を開けます。

この工程を「ピケ」と呼びます。

その後、具材を入れずに生地だけを先に焼く「空焼き」(ブラインドベーキング)をすることが一般的です。

仕上げの焼き方

空焼きをした生地に具材をのせて再度焼き上げる方法と、具材をのせたまま生地と一緒に焼く方法があります。

どちらの方法を選ぶかは、使用する具材や求める仕上がりによって異なります。

まとめ

タルトは、古代ローマ時代から続く長い歴史を持ち、様々な生地、具材、製法によって多様なバリエーションを生み出してきました。

生地の種類によって食感や味わいが変わり、のせる具材によってまったく異なる表情を見せます。

フランスを中心としたヨーロッパの各地で独自の発展を遂げ、現在では世界中で愛される洋菓子として親しまれています。

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