白餅黒餅とは
三重県伊勢市を代表する和菓子「赤福」には、「白餅黒餅」という商品があります。
この商品は、従来の赤福とは異なる2種類の味が楽しめるものです。
2021年に発売された、比較的新しい商品です。
赤福の歴史
赤福誕生の背景
赤福の歴史は約300年前にさかのぼります。
1707年(宝永4年)に誕生した当初、赤福餅は塩味の餡で作られていました。
当時の伊勢参りは徒歩や馬での長旅だったため、腹持ちの良い食事代わりのような役割を果たしていました。
現在の味の誕生
18世紀中頃には黒砂糖を使った餡に変わり、この味が約200年間続きました。
明治44年(1911年)、昭憲皇太后が伊勢神宮に参拝した際、白砂糖を使った餡で特別に作られた赤福餅が献上されました。
この味が気に入られたことから、現在の赤福の味となりました。
白餅黒餅の構成|2つの餅の組み合わせ
白餅黒餅は、1箱に白餅が4個、黒餅が4個入っています。
黒餅は、明治時代以前に使われていた黒砂糖餡の味を再現したものです。
一方、白餅は、白小豆を使った餡で作られた新しい味です。
これにより、一箱で江戸時代から令和まで続く赤福の味の変遷を体験できます。
白餅黒餅の開発背景
この商品は、2020年から続いたコロナ禍の影響を受けて開発されました。
赤福の直営店舗が休業する状況の中で、「少しでも明るく前向きな気持ちになってもらえるようなことができないか」という思いから、新しい商品の開発が始まりました。
パッケージデザインの意味
白と黒の色には深い意味が込められています。
黒は、生まれたばかりの純朴なものを象徴し、これからの可能性を表します。
白は、清らかで洗練されたものを象徴し、縁起の良い色とされています。
この2つの色には、「影があるからこそ光もある。これから光に向かって進んでいく」という願いが込められています。
パッケージには「天地人」という考え方が反映されています。
白餅の白は天(雲)、黒餅の黒は地(稲穂)、赤いロゴは人を象徴しており、天地の恵みに対する感謝の気持ちを表しています。
白餅黒餅の味わい
白餅の味わい
白餅には、一般的な小豆とは異なる白小豆が使われています。
白小豆を使った白餅は、さっぱりとした甘さと、ふくよかな香りが特徴です。
また、やわらかな食感で、豆本来の風味が強く感じられます。
黒餅の味わい
黒餅は、黒砂糖のコクのある甘さが印象的な味です。
現在の赤福よりも風味が強いという特徴があります。
黒砂糖特有の少しざらっとした食感も感じられます。
どちらの餅も従来の赤福と同様に柔らかく、手で持つとよく伸びる質感を持っています。
白餅黒餅の成分情報
栄養成分
白餅と黒餅の1個あたりの熱量は、どちらも95kcalです。
たんぱく質は白餅が1.6から1.7g、黒餅が1.8gです。
脂質は白餅が0.1g、黒餅が0.2gです。
炭水化物は白餅が21.7g、黒餅が21.5gです。
食塩相当量は白餅が0.00g、黒餅が0.02gと、どちらも低い数値です。
原材料とアレルゲン
製造時期によって原材料が若干異なります。
冬期(10月5日~5月31日)製造分には「糖類加工品(大豆を含む)」が使用されています。
そのため、冬期製造分ではアレルゲンとして大豆が表示されています。
夏期製造分では特定原材料等のアレルゲンは含まれていません。
製造と販売について
短い消費期限
消費期限は、従来の赤福と同様に短く設定されています。
夏期は製造日を含む2日間、冬期は製造日を含む3日間です。
これは、保存料を使用せず、できたての新鮮な状態で提供するためです。
黒餅は餡が乾燥しやすいため、開封後は早めに食べることが推奨されています。
主な販売場所
発売当初はオンライン限定でしたが、現在では実店舗でも購入できます。
伊勢市内の直営店舗8店舗のほか、EXPASA御在所上り線 赤福茶屋、近鉄百貨店四日市店、ジェイアール名古屋タカシマヤ店などで取り扱いがあります。
また、名鉄百貨店本店、松坂屋名古屋店、名古屋三越栄店、阪急うめだ本店、阪神百貨店本店、高島屋大阪店、近鉄あべのハルカス店、ジェイアール京都伊勢丹、神戸阪急店でも購入できます。
通販での購入
オンライン販売は冬季のみの取り扱いです。
毎日数量限定で販売されており、販売上限数に達すると受付が終了します。
そのため、注文から到着まで数日かかることがあります。
価格は8個入り(白餅4個、黒餅4個)で1,100円(税込)です。
催事販売
全国各地の百貨店などで、期間限定の催事として販売されることもあります。
赤福の公式サイトにある「期間限定 出店情報」で、最新の出店予定を確認できます。
これにより、通常の販売地域以外の人々も購入する機会を得ることができます。
白餅黒餅の役割
土用餅としての利用
白餅黒餅は、土用の丑の日に食べる土用餅としても利用できます。
土用餅は、あんことお餅の組み合わせで暑気払いになるとされている風習です。
白餅黒餅も同様に、この風習の役割を果たすことができます。
新しい時代の赤福
白餅黒餅の登場は、300年の歴史を持つ赤福が時代とともに変化し続けていることを示しています。
伝統を守りながら、新しい時代の状況に対応して生み出された商品です。