8時間ダイエットとは|効果とやり方、初心者向けのコツ

8時間ダイエットは、食事の時間を1日8時間以内に制限し、体本来の機能を引き出す話題の健康法です。本記事では、脂肪燃焼・腸内環境の改善・アンチエイジングなどの具体的な効果から、実践方法・注意点までをわかりやすく解説します。初心者でも無理なく始められるコツも紹介していますので、健康的にダイエットを続けたい方はぜひご覧ください。

目次

8時間ダイエットとは?

8時間ダイエットとは、1日のうち8時間以内にすべての食事を済ませるというシンプルな食事法です。

この方法は、「間欠的ファスティング(断続的断食)」の一種として注目されており、従来のカロリー制限や糖質制限とは一線を画します。

従来のダイエットが「何を食べるか」に焦点を当てるのに対し、8時間ダイエットは「いつ食べるか」に重点を置く点が最大の特徴です。

なぜ8時間以内しか食事をしないのか

時間ダイエットの根幹にあるのは、私たちの体に備わっているオートファジーという機能を利用することです。

オートファジーとは、細胞の中の古くなったタンパク質や不要なものを細胞自身が分解・除去し、新しく作り変える、いわば「細胞のお掃除システム」のことです。

このシステムが活性化することで、細胞が生まれ変わり、体全体の健康維持や老化防止に繋がると考えられています。

オートファジーが働く条件:空腹

オートファジーは、体が十分な栄養を摂取している状態では活発に働きません。

この細胞の自己修復システムが本格的に機能し始めるには、体に一定の「空腹状態」を作り出すことが必要です。

具体的には、最後に食べ物を口にしてから、以下の時間が経過するとオートファジーが活性化し始めると言われています。

10時間経過

体に蓄えられた糖(グリコーゲン)が消費し尽くされ、脂肪がエネルギーとして使われ始めます。この段階で、体は「省エネモード」に切り替わり始めます。

16時間経過

脂肪の燃焼がさらに進み、オートファジーが本格的に働き始めます。この「食べない時間」を設けることで、細胞は不要なものを分解し、自らを修復・再生するプロセスに入るのです。

つまり、8時間ダイエットで食事時間を制限するのは、この16時間の空腹状態を作り出し、オートファジーを最大限に引き出すためなのです。

これにより、単なる体重減少だけでなく、細胞レベルでの体の改善、ひいては健康寿命の延伸に繋がる効果が期待できるとされています。

8時間ダイエットの効果

食べる時間を制限することで、ただ体重が減るだけでなく、私たちの体がもつ本来の働きを高める効果も期待できます。ここでは、8時間ダイエットによって得られる具体的な健康効果を、わかりやすく解説します。

脂肪燃焼

8時間ダイエットにおいて最も注目すべき効果の一つが、効率的な脂肪燃焼です。

食事からのエネルギー供給が断たれた状態が長時間続くと、私たちの体は生存のために蓄積された脂肪をエネルギー源として利用し始めます。

特に注目したいのが、お腹まわりにつきやすい「内臓脂肪」の減少効果です。

内臓脂肪は皮膚の下に蓄積される皮下脂肪と比較して、代謝が活発であるため燃焼しやすい特徴を持っています。しかし同時に、内臓脂肪は炎症性サイトカインと呼ばれる有害な物質を分泌し、全身に慢性的な炎症状態を引き起こす原因ともなります。

8時間ダイエットによる内臓脂肪の減少は、見た目の改善(ぽっこりお腹の解消)だけでなく、炎症性疾患のリスク軽減という健康面での大きなメリットをもたらします。よって、メタボリックシンドロームの予防や改善にも寄与すると考えられているのです。

腸内改善

食事をしていない時間、つまり「空腹の時間」が12時間から16時間確保されることで、胃や腸などの消化器官が十分な休息を取ることができるのです。

激しい運動の後に筋肉を休ませることで回復を促すのと同様。消化器官も他の臓器と同じように、継続的な働きによって疲労が蓄積されるため、定期的な休息が機能回復には不可欠です。

特に腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど複雑で重要な器官であり、全身の健康状態に大きな影響を与えます。

腸内環境が整うことで、体の免疫システムが強化され、感染症への抵抗力が高まり、日々の体調がより安定しやすくなります。

また、腸と脳は迷走神経を通じて密接に連携しているため、腸内環境の改善は精神的な安定にも寄与することが知られています。

血行促進

8時間ダイエットは、血圧が高くなったり、血管が硬くなったり、血の塊ができやすくなったりする病気の予防につながると考えられています。

食事を摂取しない時間が長くなると、体は血液中に蓄積された糖質や脂質を効率的にエネルギー源として利用するようになります。血液中の余分な糖分や脂肪分が減少し、血液がサラサラになります。

その結果、心臓から送り出された血液が体の隅々まで効率よく届くようになり、脳や内臓にもしっかりと酸素や栄養が運ばれます。

アンチエイジング

8時間ダイエットが注目される理由の一つが、その優れたアンチエイジング効果です。

オートファジーが活発に働くことで、細胞の機能が回復し、新陳代謝が促進されます。

また、損傷したタンパク質やDNAの修復も効率的に行われるようになり、細胞の若返りが促進されます。

さらに、健康な新しい細胞の生成も活発になるため、組織全体の活性化が期待できます。

これらの細胞レベルでの改善は、肌の質感向上、体力の維持、認知機能の保持など、様々な形で外見的・内面的な若々しさとして現れ、結果的に老化のスピードを緩やかにすると考えられています。

体内リズムの改善

8時間ダイエットを継続することで、自然と「朝食をしっかり摂取し、夜遅い時間帯の食事を避ける」という健康的な食生活パターンが確立されます。

食事のタイミングを自然なリズムに合わせることで、体内時計の同調が促進され、全身の生理機能がより効率的に働くようになります。

この体内リズムの正常化により、夜間の睡眠の質が向上し、深い眠りが得られるようになります。その結果、朝の目覚めがスッキリとし、日中の活動に必要なエネルギーが十分に回復します。

また、集中力や判断力も向上し、仕事や学習における認知的パフォーマンスの向上も期待できます。

生活習慣病や現代病の予防にも期待

8時間ダイエットを通じて得られるさまざまな効果は、次のような病気の予防や改善にもつながると考えられています。

糖尿病インスリン(血糖を下げるホルモン)の働きが良くなり、血糖値が安定します。
高血圧血管の状態が改善され、血圧のコントロールがしやすくなります。
脂質異常症血液中の脂肪のバランスが整います。
心臓病・脳梗塞動脈硬化の進行を防ぎ、重大な病気のリスクを減らします。
アレルギー腸内環境が整うことで、アレルギー反応がやわらぐ可能性があります。
がん細胞の修復機能が高まり、がん細胞の増殖を抑える可能性があるとされています。
認知症脳の健康が保たれ、記憶力や判断力の維持に役立つ可能性があります。

8時間ダイエットのやり方

8時間ダイエットの核となる原則は、1日24時間のうち、連続した8時間の間のみ食事を摂取するというものです。

残りの16時間は「ファスティング(断食)期間」となり、この間は固形物や糖質、脂質、タンパク質を含む食品の摂取を控えます。

ただし、水、無糖のお茶、ブラックコーヒー、ハーブティーなど、カロリーをほとんど含まない飲み物の摂取は推奨されており、むしろ脱水防止の観点から積極的に行うべきです。

8時間ダイエットのコツ

食事時間の決め方

最大のポイントは、自分の生活スタイルに無理なく適応できる「食事の8時間」を見つけることです。

たとえば、夕食が遅くなりがちな人は朝食を抜き、昼食と夕食の2食に絞るスタイルが向いています。一方で、朝型の生活をしている人には、早朝に朝食を摂り、昼食、そして軽めの早い夕食という流れが適しているかもしれません。

具体例としては、朝型の人なら午前8時から午後4時の間に食事を摂るスタイルが、夜勤や夜の予定が多い人には正午から午後8時のスタイルが適しています。

平日と週末で異なる食事時間を設けることも可能です。たとえば、平日は仕事のリズムに合わせ、週末は家族との時間を優先するなど、柔軟に設定することで長期的な継続がしやすくなります。

いずれの場合も重要なのは、設定した時間帯を日々なるべく保つことです。バラバラな時間に食事をとると体内時計が乱れ、代謝や消化に悪影響を与える可能性があるため、規則的なリズムを意識することが成功の鍵となります。

睡眠時間を計算する

16時間も何も食べずに過ごすなんて無理!

このように感じる方も多いでしょうが、実際には私たちは毎日、睡眠中の約7〜8時間、自然に食事を摂らない時間を過ごしています。

この睡眠中の空腹時間を戦略的に活用することで、起きている間のファスティング時間を大幅に短縮することが可能です。

例えば、平均的な睡眠時間を8時間とした場合、残りの8時間を睡眠の前後に振り分けることで、16時間のファスティングを達成できます。

具体的には、夜の8時に夕食を終えて翌日の正午まで何も食べなければ、睡眠時間8時間を含む16時間のファスティングが完了します。

この場合、実際に空腹感を感じながら過ごす時間は、就寝前の数時間と起床後の数時間のみとなり、心理的・身体的負担が大幅に軽減されます。

空腹時の対処法

緊急時の栄養補給

ファスティング期間中に強い空腹感に襲われた場合、完全に我慢し続ける必要はありません。

次に紹介する食品を少量摂取する程度なら、空腹感を和らげながらファスティングの効果を大きく損なうことなく続けることができます。

とはいえ、なるべくなら本当に空腹が耐え難い時のみに限定し、習慣的な摂取は避けるべきです。

また、摂取後は再び水分のみの摂取に戻り、設定した食事時間までファスティングを継続することが重要です。

ナッツ類

アーモンド、くるみ、カシューナッツなどのナッツ類は、少量でも高い満足感を得られる優秀な食品です。

これらには良質な不飽和脂肪酸、植物性タンパク質、食物繊維、ビタミンE、マグネシウム、亜鉛などの重要な栄養素が豊富に含まれています。

ただし、カロリー密度が高いため、一回の摂取量は手のひらに軽く一握り程度(約15〜20g)に留めることが重要です。

無糖ヨーグルト

プレーンヨーグルト(砂糖や人工甘味料を含まないもの)も空腹時の救済食品として優秀です。

良質なタンパク質と乳酸菌を含み、消化が良く、血糖値の急激な上昇を避けながら空腹感を緩和できます。

摂取量は小さなカップ1個分(約100〜150g)程度が適切です。

初心者向けのソフトアプローチ

8時間ダイエットが初めての方や、厳格な時間制限に不安を感じる方は、段階的なアプローチを採用することを強く推奨します。いきなり16時間のファスティングを目指すのではなく、まずは12時間程度の空腹時間から始めてみてください。

例えば、夜8時に夕食を終えて翌朝8時に朝食を摂るという12時間のファスティングから開始し、体が慣れてきたら徐々に14時間、16時間へと延長していきます。

この段階的なアプローチにより、体の代謝システムが新しい食事パターンに適応する時間を確保でき、不快感や挫折のリスクを大幅に減らすことができます。

急激な変化は体にストレスを与え、継続を困難にする可能性があるため、無理のない範囲で少しずつ調整していくことが成功の秘訣です。

8時間ダイエットの注意点

持病を持っているなら専門医に相談しよう

8時間ダイエットは、比較的簡単に取り組める健康法として注目されています。しかし、すべての人にとって安全というわけではありません。実践する際は、体調や持病に応じて慎重に判断する必要があります。

基本的に、健康な成人であれば8時間ダイエットは安全に行えるとされています。しかし、下記のような体の状態や治療歴がある方は、始める前に必ず医師や管理栄養士などの専門家に相談してください。

該当する方が自己判断で8時間ダイエットを始めると、治療中の病気に悪影響を及ぼしたり、体調が大きく崩れたりする可能性があります。必ず専門家と相談し、無理のない方法を選ぶことが大切です。

糖尿病でインスリン治療を受けている方

血糖値が変動しやすく、絶食時間が体に悪影響を及ぼす可能性があります。

腎臓や肝臓に重い疾患を抱えている方

これらの臓器は栄養代謝に関わるため、断食が病状に影響することがあります。

心臓病や高血圧で薬を服用している方

血圧や心拍数が変動しやすいため、注意が必要です。

妊娠中や授乳中の女性

お母さんの栄養状態が赤ちゃんに直接影響する時期なので、栄養制限は避けるべきです。

18歳未満の成長期の子ども・若者

成長に必要なエネルギーと栄養を十分に摂ることが優先されます。

摂食障害の既往歴がある方

食事制限が再発の引き金になるおそれがあります。

極端に体重が少ない方(BMIが18.5未満)

エネルギー不足になりやすく、健康へのリスクが高まります。

その他の慢性疾患を持ち、医師の管理下にある方

食事制限が病状の悪化を招くことがあるため、事前の相談が不可欠です。

しっかり水分補給しよう

8時間ダイエットを安全に続けるうえで、特に重要なのが「水分補給」です。

食事をとらない時間が長くなることで、体内の水分が不足しやすくなります。

実際には、ファスティング(断食)中でも水分の必要量は減らないどころか、代謝の変化によりむしろ増えることもあります。

脱水によって起こる症状

水分不足が続くと、次のような症状が現れることがあります。

  • 口の渇き
  • 軽いめまい
  • 頭が重い感じ(軽度の頭痛)
  • 疲れやすさやだるさ

これらは軽度の脱水症状とされますが、放置してしまうと症状が悪化する恐れがあります。重症になると、以下のような深刻な状態に進行する可能性があります。

  • 激しい頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 意識がぼんやりする
  • 皮膚の乾燥
  • 尿の量が極端に少なくなる

これらの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

おすすめの飲み物と摂取量の目安

もちろん、カロリーの多いドリンクを飲んでいると、ダイエット効果は減ってしまいます。

食事を控えている時間では、下記のような飲み物を積極的に摂るようにしましょう。

  • 常温または温かいミネラルウォーター
  • 無糖の麦茶、ルイボスティー、カモミールティーなど、カフェインを含まないお茶
  • ブラックコーヒー(1日2〜3杯まで。カフェインの摂りすぎには注意)
  • レモンやライムを少し加えた水(※甘味料や糖分は加えないように)

水分の1日あたりの摂取量は、「体重1kgあたり30〜35ml」が目安とされています。

たとえば、体重が60kgの人であれば、1.8〜2.1リットルほどが理想です。

8時間ダイエット中は特に意識して、こまめに水分をとるよう心がけてください。

体調の変化に気を配ろう

8時間ダイエットを始めて数日から1〜2週間の間は、体が新しいリズムに慣れるため、軽い体調の変化が見られることがあります。よくあるのは、以下のような一時的な症状です。

  • 疲れやすくなる
  • 集中力が落ちる
  • 頭がぼんやりする

これらは、多くの場合、体が食事の時間や代謝の変化に適応している過程で起こる自然な反応です。ただし、次のような場合は注意が必要です。

  • 症状が1週間以上続く
  • 日常生活に支障が出るほど体調が悪い
  • 気分が落ち込んだり、不安が強くなったりする

このようなときは、無理に続けず、一度食事の時間を柔軟に調整してみましょう。たとえば、8時間ではなく10時間の食事ウィンドウに延ばすなど、体調に合わせた方法も検討してみてください。それでも不調が続くようなら、ダイエット自体を一時的に中止することも視野に入れましょう。

まとめ

8時間ダイエットは、時間管理をベースにしたシンプルかつ理にかなった健康法です。空腹時間を戦略的に活用することで、脂肪燃焼や細胞の修復、腸内環境の改善など、体の内側からの変化が期待できます。さらに、血流や体内リズムの改善を通じて、生活習慣病や老化の予防にもつながります。無理なく続けるためには、自分に合った食事時間を見つけ、段階的に慣れていくことがポイントです。正しく実践すれば、8時間ダイエットは体も心も整える心強い味方になるでしょう。

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