フランスパンとは|4つの種類や日本での歴史を紹介

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フランスパンとは

フランスパンは、小麦粉、水、塩、酵母というシンプルな材料から作られるパンの一種です。油脂や砂糖を加えないことが特徴で、余計な味がつかない分、素材そのものの風味を楽しむことができます。フランスでは「パン」という意味の“pain(パン)”という言葉で呼ばれ、特に日本では、バゲットを代表とするフランス発祥のパン全般を指して「フランスパン」と呼ぶことが多いです。

フランスパンの種類

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種類特徴用途や食べ方のイメージ
バゲット長く細い形状、外側がパリッとした皮、中はしっとりとしたクラムサンドイッチ、ガーリックトーストなど
ブール丸い形状、外皮は厚く噛み応えありスープやシチューと一緒に食べる
パリジャンバゲットより大きく、太くて弾力があり長時間熟成した風味を楽しむ
カンパーニュ全粒粉やライ麦粉を使用、表面に素朴な模様ありチーズやワインと一緒に

フランスパンにはさまざまな種類があります。代表的なものを紹介します。

バゲット

バゲットはフランスパンの中でも最も有名な種類です。長く細い形状をしており、外側はパリッとした薄い皮、中はしっとりとしたクラム(パンの中身)が特徴です。平均的な長さは約65cm、重さは約250gですが、地域や用途によって微妙に異なります。

ブール

ブールは丸い形をしたフランスパンです。“ブール”はフランス語で「球体」を意味します。クラスト(外皮)は厚く、噛み応えがあります。スープやシチューに合わせるのに適しています。

パリジャン

バゲットよりもさらに大きく、太くしたものがパリジャンです。長時間熟成させた生地を使うため、濃厚な風味と弾力のある食感が楽しめます。

カンパーニュ

カンパーニュは田舎風のフランスパンで、全粒粉やライ麦粉を使用することが多いです。表面に素朴な模様がついているのが特徴で、濃厚な味わいがあり、チーズやワインとの相性が抜群です。

日本のフランスパンの歴史

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年代出来事
1886年フランス人宣教師レイが日本に赴任し、パンの製造を始める
1888年日本で最初のフランスパン製造工場が完成(後の関口フランスパン
1954年レイモン・カルヴェル氏が日本に来日し、フランスの製パン技術を紹介
1965年東京国際見本市で「ドンク」がフランスパンの製造を担当、国内でブーム
1966年「ドンク青山店」開店、フランスパンブームが加速

1886年、フランス人宣教師レイが東京府小石川関口に赴任しました。彼は教会で孤児たちのためにパンを焼くことを決意し、1888年に製パン工場を完成させます。これが「フランスパン」の日本での始まりとされています。母国で主流のバゲットをそのまま再現したのかは不明ですが、彼の作るパンは当時の日本では非常に珍しいものでした。

関口フランスパンの誕生

1889年に起きた大凶作と米価の高騰がフランスパンの普及を後押ししました。米の代替としてパンが注目され、特にレイ神父が焼くパンは多くの人々に喜ばれます。これが後に「関口フランスパン」として知られる名門の始まりとなりました。

日本独自のフランスパン

1954年以前の日本では、フランスパンといえば、二つに割れて盛り上がった形状のものが一般的でした。この形状は「お尻のような形」とも表現され、小型で食べやすいことから日本人に親しまれていました。フランスのバゲットそのものが普及するのは、レイモン・カルヴェル氏の来日以降のことです。

ドンクの創業

藤井幸男氏が率いる「ドンク」は、1905年に神戸で創業されました。昭和32年に藤井氏が三宮柳筋へ店舗を移転し、さらに帝国ホテルの製菓長を招くなど、店舗の近代化と商品の充実を図ります。1951年には株式会社化され、「ドンク」という名前が正式に採用されました。

レイモン・カルヴェル氏の来日

南フランス出身の製パン専門家レイモン・カルヴェル氏は、1954年に日本を初訪問しました。彼はバゲット、クロワッサン、ブリオッシュといった本格的なフランスのパンを日本に伝えました。また、彼は30回以上も来日し、日本の製パン技術向上に大きく貢献しました。

本格バゲットの普及

1954年のカルヴェル氏の来日をきっかけに、「ドンク」はフランスパンの製造に力を入れます。1965年、東京国際見本市でフランスパンの製造を担当し、フィリップ・ビゴ氏を招いて実演を行いました。この見本市を契機に、日本国内でフランスパンブームが起こり、「ドンク」の名声が広がります。

藤井幸男氏による革新

見本市終了後、藤井幸男氏はフランス製の製パン機器を導入し、専門工場を建設します。また、ビゴ氏は「ドンク」に入社し、技術指導を行いました。1966年には東京青山に「ドンク青山店」を開店し、大盛況となります。これがフランスパンブームを加速させる重要な出来事でした。

フランスパンの現在

現在、フランスパンは日本のパン文化に欠かせない存在です。スーパーやパン屋だけでなく、家庭の食卓や高級レストランでも目にする機会が増えました。かつては珍しい食べ物だったフランスパンが、今や日本人の生活に深く根付いています。

フランスパンの魅力

フランスパンは、サンドイッチやガーリックトーストなどの料理に使えるだけでなく、そのままでも十分に楽しめる食べ物です。バリっとした皮の食感と、中の柔らかなクラム(パンの中身)の対比が多くの人に愛されています。シンプルな材料で作られるため、素材の良さがそのまま味に反映される点も特徴です。

1. シンプルだからこその美味しさ

フランスパンは、シンプルな材料で作られるため、小麦粉や酵母の品質がそのまま味に影響します。そのため、素材の味わいを楽しみたい人にぴったりです。

2. 食感のコントラスト

外側のカリッとしたクラストと、内側のふんわりと柔らかいクラムのコントラストが、フランスパンならではの魅力です。この食感は、フランスパン独自の製法で生み出されます。

3. 幅広いアレンジ性

フランスパンは、そのまま食べても美味しいですが、サンドイッチやクロスティーニ、ガーリックトースト、またはスープに浸して食べるなど、さまざまな方法で楽しむことができます。

おわりに

フランスパンは、シンプルな材料と製法にこだわったパンで、その種類や特徴は多岐にわたります。外側のパリッとした食感や内側の柔らかい風味は多くの人に愛され、世界中で親しまれています。また、バゲットをはじめとした多様な種類があるため、それぞれの用途に応じた楽しみ方ができるのも魅力です。フランスパンは、毎日の食卓を豊かにする存在といえるでしょう。

今もフランスパンは、日本人の食文化に新しい風を吹き込み、今なおその可能性を広げ続けています。初期の関口フランスパンから始まり、カルヴェル氏や「ドンク」といった先駆者たちの努力が積み重なり、今日のフランスパン文化が築かれました。

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