ブラックサンダーとは
商品名の由来 | 稲妻のような衝撃的な美味しさを表現したキャッチーなネーミング |
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食感 | ココアクッキー+プレーンビスケットのザクザク感 |
味わい | ココア風味とビターなチョコレートの組み合わせ |
価格 | 手に取りやすい低価格(30円台~) |
ターゲット層 | 若者を中心に、幅広い世代から支持を獲得 |
「ブラックサンダー」は、有楽製菓株式会社が製造・販売するチョコレート菓子です。
ザクザクとした食感と手頃な価格が魅力で、1994年の発売以来、長年にわたって多くのファンに愛されてきました。
若者向けの商品としてスタートし、やがて全国的な人気商品へと成長したブラックサンダー。その軌跡には、数々の工夫と戦略が込められています。
ブラックサンダーの発祥起源
有楽製菓はもともと「チョコナッツスリー」というヒット商品を持っていました。この商品の“食感”をさらに強化することが、ブラックサンダー開発のきっかけでした。
「もっと重量感のある食感を」という着想から、ザクザクとした食べごたえのあるチョコバーが誕生したのです。
ここで注目すべきは、ターゲット層の変更です。従来のお菓子が子どもを中心としていたのに対し、ブラックサンダーは高校生・大学生といった若年層の男性にターゲットを絞り込みました。
ブラックサンダーのキャッチコピー
発売当初のキャッチコピーは「うまさ本物! スーパーチョコバー」でした。
味への自信は見えるものの、まだブランドの個性が明確とは言えませんでした。
しかし、2000年のリニューアルで大きく方向性が変わります。
- 新コピー:「おいしさイナズマ級!」
瞬間的な美味しさの衝撃を伝えるエネルギッシュな表現。
このキャッチコピーが転機となり、商品に明確な「勢い」と「若さ」のイメージがついたのです。
ブラックサンダーのパッケージ
さらに2003年には、パッケージ表記も変更されました。
変更前 | 変更後 |
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BLACK THUNDER(英語表記) | ブラックサンダー(カタカナ表記) |
この変更により、商品名の認知性・親しみやすさが飛躍的に向上しました。
加えて、「若い女性に大ヒット中!」というキャッチコピーも追加。これは販売データを活用したマーケティング戦略であり、実際の支持層を可視化することで、さらなる話題性を獲得しました。
ブラックサンダーの大ヒットのきっかけ
いかに商品力があっても、販路がなければ売上にはつながりません。
有楽製菓も当初は大手コンビニなどの販路を持っておらず、九州の駄菓子屋を中心に販売を行っていました。
しかし、思うような結果は出ず、一時は販売を中止するという判断を下すほどでした。
そんな中で打ち出されたのが、「大学生協での販売」です。
大学生協での販売
- 大学=若者の集まる場所
- 生協=購買意欲の高い購買層
この戦略が功を奏し、京都大学生協では菓子部門売上1位を記録しました。
口コミとSNSの時代と相性の良いターゲティングが功を奏したのです。
セブンイレブンでの取り扱い開始
大学生協でのヒットをきっかけに、ブラックサンダーはセブンイレブンでの取り扱いが始まりました。
全国のコンビニに展開されることで、以下のような効果が得られました。
圧倒的な露出 | 全国24時間営業のセブンイレブンでの販売によって商品認知が拡大 |
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買いやすさ | 価格が安く、レジ横で気軽に手に取れるレイアウトが購入を後押し |
トレンド化 | 若者の間で「SNSで話題」「友達にすすめられた」といった口コミが拡散 |
この一連の流れで、ブラックサンダーは「学生のおやつ」から「国民的チョコバー」へと成長を遂げました。
内村航平選手による公言
そして、ブラックサンダーをさらに一躍有名にしたのが、体操の内村航平選手による“ブラックサンダー愛です。
- 内村選手は「ブラックサンダーが好きすぎる」と公言
- 2012年ロンドンオリンピック前には「ブラックサンダー断ち」が報道され話題に
- メディアやSNSでも大きく取り上げられた
この報道は「美味しすぎて我慢が必要なお菓子」という逆説的な魅力を発信し、多くの人の関心を集めました。
まとめ
ブラックサンダーの成功は、偶然ではなく戦略的なマーケティングの成果です。子ども向けから若者層へターゲットを変更し、印象的なキャッチコピーを採用することで認知度を高めました。また、ザクザクとした食感と手頃な価格で高い満足感を提供し、消費者のニーズを的確に捉えました。さらに、SNS時代との親和性を活かし、話題性のあるネーミングや有名人の好物としての拡散効果を戦略的に活用しました。現在では、期間限定フレーバーや地域限定商品など、多様なバリエーションを展開しながら進化を続けています。ブラックサンダーは、日本のスナック菓子史に雷鳴のような衝撃を与えた名作として、今後も新たな展開が期待されます。