エッグタルトとは|発祥起源、日本で知られたきっかけ

エッグタルトは、ポルトガル生まれのカスタード入りタルトで、1999年のマカオ返還をきっかけに日本でも注目されました。本記事では、エッグタルトの由来と名前の意味、パイ生地やクリームの特徴的な作り方、さらには本場ポルトガルの老舗名店について、歴史と文化の背景を交えて分かりやすく解説します。

目次

エッグタルトとは

エッグタルトは、サクサクのパイ生地に、卵黄をたっぷり使ったカスタードクリームを流し込んで焼き上げた小さなタルトです。見た目はシンプルですが、食べると外は香ばしく中はなめらかで、素材の風味がしっかりと感じられる奥深い味わいが特徴です。好みによって、仕上げにシナモンパウダーを振って楽しむこともあります。

エッグタルトの発祥起源

エッグタルトのルーツはポルトガルにあります。特に首都リスボンでは、古くから人々に親しまれてきた伝統的なお菓子として知られています。

このお菓子が生まれた背景には、15〜16世紀の「大航海時代」が関係しています。当時、ポルトガルは世界中に貿易ルートを広げ、多くの文化や食材、製法が国内に流入しました。カスタードクリームの技術やパイ生地の製法もその一部とされています。

特にポルトガルでは、修道院などで卵白を使った洗濯用のりなどが作られており、余った卵黄を活用する方法としてお菓子に使われるようになりました。エッグタルトに卵黄がたっぷり使われるのも、このような背景があるためです。

エッグタルトの呼ばれ方

ポルトガル本国では「パステル・デ・ナタ(pastel de nata)」と呼ばれており、直訳すると「クリームのタルト」という意味になります。

一方、ポルトガルの旧植民地であった中国のマカオでは、このお菓子が「エッグタルト」の名前で親しまれるようになりました。よりシンプルで分かりやすい英語風の名称が、地元の人々や観光客に浸透したと考えられています。

この「エッグタルト」という名前は、1999年のマカオ返還を機に日本でも注目を集め、日本に広まるきっかけとなりました。

エッグタルトが日本で知られたきっかけ

1999年、マカオは長年のポルトガル統治を経て中国へ返還されました。この「マカオ返還」は、香港返還(1997年)に続く国際的なニュースとして日本でも大きく報道されました。

このとき、マカオの文化や料理にも関心が集まり、街角の人気スイーツだったエッグタルトが日本国内でも話題になったのです。1999年以降、多くのベーカリーやスイーツ店でエッグタルトが販売されるようになり、瞬く間に人気が広がっていきました。

マカオ返還とは

長くポルトガルの統治下にあったマカオが1999年に中国へ返還された出来事です。

マカオは「一国二制度」により中国の一部でありながらも独自の法律や経済制度が保たれ、現在はカジノや観光で知られる特別な地域となっています。

エッグタルトの作り方

エッグタルトの魅力は、パリッとした生地と、卵の風味豊かなクリームの絶妙なバランスにあります。その秘密は、独特の生地の巻き方とクリームの配合にあります。

生地

エッグタルトに使われるのは、パイ生地の一種です。ただし、通常のパイとは異なる方法で成形されます。

まず、バターを織り込んで層状に仕上げた生地を、海苔巻きのように丸めて棒状にし、それを輪切りにして型に敷き込みます

この方法により、焼き上がったときにパイの層が縦に立ち上がり、外側がサクサクとした軽い食感になります。また、この焼き方は、オーブンの熱が均等に入りやすく、きれいな焼き色と香ばしさを生み出します。

クリーム

中に詰められるカスタードクリームには、卵黄がたっぷりと使用されます。ポルトガル人は卵黄の風味をとても大切にしており、これがエッグタルトの深いコクとなめらかな舌ざわりを生み出します。

生クリーム砂糖、卵黄をよく混ぜ合わせ、型に流し込んで焼き上げます。表面に少し焼き色がつくまで火を通すのが本場流で、やや焦げたような香ばしさが味のアクセントになります。

エッグタルトの老舗・名店「パステイス・デ・ベレン」

エッグタルトを語る上で外せないのが、リスボン・ベレン地区にある「パステイス・デ・ベレン」という名店です。

場所

この老舗は、ポルトガルの首都リスボンの西部、ベレン地区にあります。ベレンは、大航海時代の出発地として知られ、多くの歴史的建造物が残る観光地でもあります。

評判

「パステイス・デ・ベレン」は、エッグタルト発祥の地ともされており、一日に何千個も焼かれる大人気の店です。開店前から行列ができることも多く、地元の人だけでなく世界中の観光客がこの味を求めて訪れます。

特徴

ここで販売されるエッグタルトは、特別に「パステイス・デ・ベレン(Pastéis de Belém)」と呼ばれています。この店でしか使えない名称であり、他店の「パステル・デ・ナタ」とは区別されています。

焼きたてのタルトは、パリッとした生地と濃厚なクリームの絶妙なバランスが魅力で、仕上げにシナモンや粉砂糖をふりかけて楽しむのが伝統的なスタイルです。店内で食べると、温かく香ばしい風味を存分に味わうことができます。

まとめ

エッグタルトは、ポルトガルの歴史と食文化から生まれ、マカオを経由して日本に紹介された焼き菓子です。その製法や名前には各地の文化的背景が反映されており、単なるスイーツにとどまらない奥深さを感じさせてくれます。カスタードの優しい甘さとパイの香ばしさが織りなすエッグタルトは、国を超えて多くの人々に愛され続けています。

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