第三次ロールケーキブーム|ローソンのプレミアムロールケーキ

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プレミアムロールケーキとは

プレミアムロールケーキは、コンビニエンスストアのローソンから発売された人気スイーツです。一般的なロールケーキがスポンジ生地とクリームが層になっているのに対し、このケーキは、外側の薄いスポンジの中に、たっぷりの生クリームを詰めた「クリームの太巻きロール」のような構造をしています。さらに、一切れずつにカットされ、横に寝かせた状態で販売するという、斬新なスタイルで登場しました。

ロールケーキの過去のブーム

プレミアムロールケーキが誕生するまでには、過去に二つの大きなロールケーキブームがありました。これらの流行が、後の「プレミアムロールケーキ」へと続く道筋を作ったのです。

第一次ブーム:一本物ロールケーキ(2003年)

最初のブームは2003年に起こった「一本物ロールケーキ」でした。これは、薄いスポンジにクリームを巻いた、昔ながらのオーソドックスなスタイルです。一本丸ごとの状態で販売され、購入者が自宅で好きな厚さに切り分けて食べるという販売形態でした。スポンジ生地とクリームが層になり、美しい渦巻き模様が特徴でした。

第二次ブーム:ひと巻きロールケーキ(2006年)

2006年には、「ひと巻きロールケーキ」と呼ばれる新しいタイプが登場しました。このロールケーキは、従来の製法とは大きく異なっていました。通常のロールケーキがスポンジとクリームの層でできているのに対し、この新タイプは、丸く巻いたスポンジケーキの中身がすべて生クリームという、いわば「クリームの太巻きロール」でした。スポンジは外側のごく一部にしか使われておらず、クリームが主役の構造になっていたのです。

プレミアムロールケーキの誕生とローソンの戦略

これらのブームを経て、2009年にさらなる進化を遂げたのが「プレミアムロールケーキ」です。これを世に送り出したのは、コンビニエンスストアのローソンでした。

プレミアムロールケーキは、それまでの常識を覆す方法で販売されました。たっぷりクリームが詰まった太巻きロールを一定の幅で切り分け、それを横に寝かせた状態で陳列したのです。

横置きがもたらした効果

普通、ケーキは切り分けても立てて並べるのが一般的でした。しかし、クリームの量が多いため、立てて陳列すると不安定で倒れやすいという欠点がありました。そこで、あえて横に寝かせることで、いくつかの良い効果が生まれました。これは、商品の中身を変えることなく、見せ方を変えるだけで商品の魅力を大幅に高めた画期的なアイデアでした。

安定性の向上

ケーキが横向きになることで、重心が安定し、倒れる心配がなくなりました。これにより、商品を安全に、美しく並べることが可能になりました。

見た目のインパクト

横に寝かせることで、断面が直接見えるようになりました。ぎっしり詰まったクリームが目に飛び込み、お客さんの「おいしそう!」という気持ちを強く刺激しました。この視覚的な効果が、衝動買いを誘う大きな要因となりました。

「スイーツのローソン」というブランドの確立

プレミアムロールケーキは爆発的な人気を呼び、ローソンは大きな成功を収めます。当時のコンビニ業界は激しい競争にさらされており、各社が独自の強みを模索していました。

この商品の大ヒットにより、ローソンは「スイーツのローソン」という揺るぎないブランドイメージを築くことに成功しました。消費者の間では、コンビニでスイーツを買うならローソンという認識が広まり、ローソンはスイーツ分野で確固たる地位を確立しました。

仕掛け人は鈴木嘉之氏

この成功を仕掛けたのは、当時ローソンの商品開発を担当していた鈴木嘉之氏です。鈴木氏は、その卓越した手腕により「ロールケーキを1億個売った男」として広く知られるようになりました。彼の功績はコンビニ業界内外で高く評価され、「コンビニ業界に鈴木あり」と言われるほどの存在になりました。

まとめ

プレミアムロールケーキの事例は、商品開発における「見せ方」の重要性を示しています。味や品質を大きく変えなくても、陳列方法や販売形態を少し工夫するだけで、商品の魅力は大きく高まることがあるのです。

この成功は、消費者の購買行動が視覚的な印象に強く影響されることを証明しています。一つの商品から生まれた発想の転換が、企業のブランドイメージや市場における立ち位置まで変える力を持っていることを教えてくれる、貴重な事例と言えるでしょう。

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