ビスケットの種類|名前の定義や主な分類、共通点

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ビスケットという言葉を聞くと、多くの人は甘くてサクサクしたお菓子を思い浮かべるでしょう。しかし、実際にはビスケットは非常に幅広い食品の総称です。私たちが日常的に口にしているクラッカー乾パン、さらにはパイやプレッツェルまで、すべて「ビスケット」という大きな家族の一員として分類されています。この記事では、そんなビスケットの世界を詳しく解説します。

目次

ビスケットの分類と共通点

ビスケット類に共通するのは、小麦粉を主原料とした生地を成型して焼くという基本的な製法です。しかし、それぞれの種類によって使用される副原料は大きく異なります。

公正競争規約による分類

ビスケット類の分類は、1971年に制定された公正競争規約によって明確に定められました。この規約により、商品のパッケージには必ずビスケット乾パン、プレッツェル、パイ、ウエハース、またはそれらの加工品といった分類名を併記することが義務付けられています。

主なビスケットの種類

ここでは、ビスケットの代表的な種類とその特徴について解説します。

ハードビスケットとソフトビスケット

最も基本的なビスケットには、大きく分けてハードビスケットとソフトビスケットの2種類があります。

ハードビスケット

パリッとした歯ざわりが特徴的な硬めのビスケットです。グルテンの多い中力小麦粉を使用し、砂糖や油脂を控えめにして、時間をかけてじっくりと練ることで、腰の強い生地が出来上がります。表面にある小さな針穴は、焼く際に火ぶくれができないようにするためのガス抜きの役割を果たしています。

ソフトビスケット

柔らかくサクサクとした食感が魅力です。グルテンの少ない薄力小麦粉を使い、砂糖や脂肪を多く配合し、短時間で練り上げることで、独特の柔らかい食感が生まれます。私たちがよく知っているクッキーは、このソフトビスケットに分類されます。日本では特に、油分の合計が40%以上で手づくり風の外観を持ったソフトビスケットを「クッキー」と呼んでよいと定められています。

クラッカーの種類

クラッカーは、イーストを使って発酵させた生地を高温で短時間に焼き上げることで生まれる、軽い口あたりが特徴です。

ソーダクラッカー

アメリカで最もポピュラーなタイプです。小麦粉、油脂、食、重曹などを原料とし、長時間の発酵工程を経て作られます。淡白な味と軽い歯ざわりが特徴で、アメリカでは準主食として朝食などで食べられています。

クリームクラッカー

ヨーロッパで主流のタイプです。パイのような食感を持つのが特徴で、発酵させた生地の間に油脂と小麦粉を混ぜた粉をはさんで延ばす独特の製法で作られます。

酵素タイプクラッカー

イーストの代わりにたんぱく分解酵素を利用した比較的新しいタイプです。やや甘味のきいた柔らかい食感が特徴で、他のクラッカーパンの代替品として使われるのに対し、酵素タイプクラッカーは嗜好品として楽しまれています。

その他のビスケットの種類

乾パン

主に保存食として重要な役割を果たしてきたビスケットです。糖類や脂肪が非常に少なく、保存性が極めて高いことが最大の特徴で、非常食として広く利用されています。乾パンの内部組織はクラッカーのような層状ではなく、パンのような蜂の巣状になっています。

プレッツェル

表面の美しい光沢と独特の風味で人気の食品です。強力小麦粉を使用し、アルカリ性の湯に通すという特殊な工程を経ることで、あの光沢と独特の風味が生まれます。元々はドイツ発祥のパンですが、現在ビスケット類に分類されるのは、スナック菓子タイプの硬く焼きしめたものを指します。

パイ

そのサクサクとした食感が多くの人に愛されています。生地の間に油脂を入れ、何度も折りたたんで延ばす独特の製法により、幾層にも重なった生地が焼成時に膨らんで、あの特徴的なサクサク感が生まれます。アメリカでは、ソフトビスケットの間にマシュマロやクリームをはさんだ大きめのものもパイと定義されています。

ウエハース

薄くパリパリとした食感が特徴的な食品です。加熱されたプレートの間に、小麦粉と水を主体とした生地を流し込み、はさんで焼き上げる独特の製法で作られます。焼き上がったシートにクリームやジャムなどをサンドして仕上げられます。

ビスケットの加工品と新しい形

これらの基本的なビスケット類をベースにして、さらに多様な加工品が生まれています。

サンドビスケット

ジャム、クリーム、チョコレートなどを2枚のシートの間にはさんだ、人気の高い商品です。様々な風味のクリームやジャムビスケットの組み合わせを楽しむことができます。

チョコレート加工品

チョコレートを加工することで、ビスケットに様々なバリエーションを生み出しています。ビスケットの底につけたり、全体を覆ったり、模様を描いたりと、様々な商品が楽しめます。

インジェクション

パイやベビーシュー、ハードビスケットなどの空洞を持つ菓子に、チョコレートやクリーム、ジャムなどを注入する技法です。注入することで、風味や食感のバリエーションが広がります。

アイシング

焼き上がったビスケットの上にフォンダンのような材料を塗って乾かし、美しい仕上がりを実現する技法です。見た目が華やかで、デコレーションにも使われます。

トッピング

焼き上がったビスケットの上にジャムチョコレートを絞り、ナッツなどを散らして、見た目も味も豊かな商品を作り出す技法です。

半生ケーキ

近年注目を集めているのが、焼ききったビスケットとは異なるしっとりとした食感が楽しめる「半生ケーキ」です。生ケーキのような美味しさと、保存がきくビスケットの特性を併せ持っています。

まとめ

一言でビスケットといっても、その世界は実に奥深く多様性に富んでいます。製法や原料の違いによって生み出される様々な食感や風味、そして用途に応じた機能性まで、ビスケット類は私たちの食生活において重要な役割を果たし続けているのです。スーパーマーケットの棚に並ぶ様々な商品を見る時、それぞれがどのような製法で作られ、どのような特徴を持っているのかを知ることで、より一層その奥深さを感じることができるでしょう。

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