モロゾフという名前を聞けば、多くの日本人の心に温かい記憶が蘇るでしょう。バレンタインデーの特別なチョコレート、懐かしいガラス容器のカスタードプリン、贈り物として選ぶ美しい焼き菓子の数々。しかし、これらの身近な存在の背後には、日本の洋菓子文化そのものを築き上げてきた一つの企業の壮大な物語があります。日本人の心に根ざした「贈る文化」「味わう喜び」「特別な瞬間を彩る甘美」を創造し続けてきたのです。
モロゾフ株式会社とは
モロゾフは、1931年に神戸で創業した老舗洋菓子メーカーです。創業者はロシア人のフョードル・モロゾフ氏で、日本で初めてバレンタインチョコレートを広めた企業としても知られています。看板商品のプリンをはじめ、チーズケーキやゼリー、チョコレートなど、上質な素材を使った洋菓子を幅広く展開しており、百貨店やギフト市場でも高い評価を得ています。神戸発祥らしい洗練された味わいと美しいパッケージで、日常のおやつから贈答品まで幅広く親しまれているブランドです。
モロゾフ株式会社が人気ブランドになった背景
1931年 贈答用スイーツを生み出した
モロゾフは、一人のロシア人菓子職人と日本人実業家の出会いから始まりました。
1931年8月8日、神戸のトアロードに小さなチョコレートショップが誕生したのが、その出発点です。ロシア革命後に日本へやってきたフィヨドル・ドミトリー・モロゾフ氏の持つヨーロッパ伝統の製菓技術と、日本人実業家である槌田龍太郎氏の経営手腕が結び付き、日本の洋菓子史を塗り替える大きな転換点となりました。創業当初のシンボルマークには、クレムリンの巨大な釣鐘が使われていました。これは、創業者のロシア的背景を象徴するとともに、「響き渡る美味しさ」「広がりゆく幸せ」という願いが込められていたのでしょう。
当時の日本は、お菓子といえば和菓子が主流であり、洋菓子は非常に珍しい存在でした。美しい箱に詰められた高級チョコレートを贈り物として用いるという概念は、ほとんど存在していませんでした。モロゾフが打ち出した「贅沢なボックスに詰めた高級チョコレート」というコンセプトは、まさに日本初の「贈答用スイーツ」という新しいカテゴリーを創造したのです。
1932年 バレンタインデーを定着させた
モロゾフが日本社会に与えた最も大きな文化的インパクトは、バレンタインデーとホワイトデーを日本に定着させたことです。
創業からわずか1年後の1932年、モロゾフは日本で初めてバレンタインデー向けのチョコレートを発売しました。当時の広告には「2月14日に愛する人へ贈り物を」というメッセージが掲げられていましたが、この取り組みは一朝一夕に成功したわけではありません。モロゾフは長年にわたり啓発活動を続け、百貨店での販促活動、新聞広告、店頭でのキャンペーンなどを通じて、徐々にこの習慣を浸透させていきました。
1935年にはすでにジャパンアドバタイザーという業界誌にバレンタイン関連の広告が掲載されており、地道な文化活動の成果が伺えます。戦前のファンシーチョコレートの美しいパッケージデザインからも、単なる商品販売ではなく、特別な日を演出する「体験」を提供しようとする意識が感じられます。
1979年・1980年 ホワイトデーを普及させた
興味深いのは、モロゾフがホワイトデーの普及にも深く関わっていることです。1979年から「忘れていませんか、お返しを」というキャッチフレーズでキャンペーンを開始し、翌1980年には専用商品「アルフリーダ」を発売しました。白いプラスチックケースにフリージアの花リボンとミニチュアの手提げ袋をセットにしたこの商品は、「ホワイト」というテーマを視覚的にも表現した画期的なものでした。当時はマシュマロやクッキーなど、贈り物に明確な定番はありませんでしたが、モロゾフの継続的な取り組みによって、バレンタインデーだけでなく、その「お返し文化」も含めて日本に定着していきました。
モロゾフ株式会社の困難
モロゾフの歩みは、決して順風満帆ではありませんでした。
1941年 太平洋戦争勃発
1941年の太平洋戦争勃発は、カカオの輸入が完全に停止され、チョコレートを主力とするモロゾフにとって致命的な打撃となりました。この危機的状況において、モロゾフは驚くべき柔軟性を発揮し、化粧品、栄養剤、佃煮など、統制外の商品を製造することで会社の存続を図りました。これらの商品は、一見するとお菓子メーカーらしくない品目ですが、「人々の生活に必要なものを提供する」という根本的な企業姿勢は変わりませんでした。
1941・1945年・1946年 工場と事務所の焼失・復興
1941年12月の開戦後、工場は軍に強制的に明け渡され、1945年の神戸大空襲では工場と事務所が完全に焼失してしまいます。しかし、モロゾフは不屈の精神を発揮し、戦後復興の第一歩として1946年に神戸そごうの地下で小さな喫茶店を開店しました。
1947年 数種の菓子生産を再開
1947年12月には神戸市葺合区に小さな工場を建設し、わずか3名の従業員でケーキ生産を再開しました。1948年にはキャンディ製造を、1949年には板チョコレートの生産を再開し、1951年からは本格的なチョコレート生産に復帰しました。1952年の砂糖統制撤廃により量産体制が整い、この復興過程で培われた「困難に屈しない精神」「お客様のために必要なものを提供する姿勢」は、現在のモロゾフの企業DNAに深く刻まれています。
モロゾフ株式会社の代表商品
1950年代に入ると、モロゾフは本格的な成長期を迎え、1957年に東明工場を建設しました。これは戦後初の本格的製菓工場として、大きな意味を持ちます。特に1960年代は、モロゾフの代表的な商品が次々と誕生した「黄金期」といえるでしょう。
1962年・1968年・1973年 デカプリン
1962年に誕生したカスタードプリンは、当初は銀座近くの自社カフェのオリジナル商品でした。工場で大量生産しながらも手作りの美味しさを再現するという困難な挑戦を経て、1968年には工場生産が開始され、「デカプリン」という愛称で親しまれました。使用する素材は牛乳、卵、砂糖、バニラ香料のみというシンプルさでありながら、素材の品質と配合に徹底的にこだわりました。特に容器は、1973年に陶器からガラスに変更されて以来、軽量化や形状改良を重ね、なんと7回もの改良が行われています。これは「進化しながら変わらない味」を守るという、モロゾフの商品開発哲学を象徴する事例です。
1969年・1977年・2004年 デンマーククリームチーズケーキ
1969年に発売されたクリームチーズケーキは、当時の日本ではほとんど知られていなかったデザートでした。2代目社長山口達夫氏がヨーロッパで味わった美味しさに感動し、日本に紹介しようと開発を決意しました。デンマーク産クリームチーズを特別に発注し、日本人の味覚に合わせた独自の製法を開発しました。1977年には量産体制を確立し、2004年には「デンマーククリームチーズケーキ」としてリニューアルしました。現在では当たり前のように見かけるチーズケーキですが、その普及の原点にはモロゾフの先見性と技術力があったのです。
1971年・1973年 アルカディア
1971年に発売された「アルカディア」は、焼き菓子分野における傑作の一つです。当初は外国産ナッツを贅沢に丸ごと一粒のせたタルトタイプとして企画されました。日本古来の蒔絵をイメージした金と黒の手描きデザイン缶も制作され、視覚的なインパクトも追求していました。しかし、配送中の割れやすさや量産の技術的困難さに直面しました。多くの企業が開発を断念する中、モロゾフは2年間の試行錯誤を重ね、1973年に現在のクッキータイプへと全面改変しました。ローストナッツを生地に練り込み、卵白を使用することで、サクサクとした軽い食感を生み出すという技術的に高度な製法を確立したのです。小さなひと粒にナッツがぎっしりと詰まっており、噛むたびに香ばしさが口の中に広がります。この技術革新により、アルカディアは世代を超えて愛されるロングセラー商品となりました。
1986年・2014年 ファヤージュ
1986年に登場した「ファヤージュ」は、モロゾフの焼き菓子技術の集大成ともいえる作品です。フランス語で「木の葉」を意味するこの商品は、スライスナッツを敷き詰めて香ばしく焼いたクッキーに、相性の良いチョコレートをサンドするという、一見シンプルながら極めて高度な技術を要する製品です。ナッツの薄いスライスを均等に敷き詰める技術、それを焼き上げる際の温度管理、チョコレートとの一体感を生み出すサンドイッチ技術など、どの工程も職人的な技能が要求されます。軽やかな食感と繊細に重なり合う味わいを実現するため、個包装のフィルムから缶のデザインに至るまで、すべての要素にこだわりました。2014年には発売から28年を経てリニューアルを実施し、味とデザインの両面で現代的な感覚にアップデートしました。しかし、基本的な製法と品質は創業時から変わらず、これもまた「進化しながら変わらない味」というモロゾフの哲学を体現しています。
モロゾフ株式会社のブランド
モロゾフは、近年、多様化する消費者のニーズに対応するため、新しいブランドを次々と立ち上げています。専門性を前面に出すことで、それぞれの分野で深い満足を提供し、ブランド全体の価値を高めています。これらの新ブランドは、モロゾフが培ってきた技術力を活かしつつ、新しい市場を開拓する重要な役割を担っています。
2014年 MOROZOFF é(モロゾフ エクラ)
2014年に誕生した「MOROZOFF é(モロゾフ エクラ)」は、モロゾフが提案する高級ブランドです。「伝統と革新が生んだおいしさの新しいかたち」をコンセプトにしています。ブランド名の「é」は、フランス語で「輝き」を意味する「éclat」の頭文字から取られました。スイーツが持つ「喜び、感動、笑顔」といった豊かな可能性を表現しています。京都高島屋にオープンした1号店では、従来のモロゾフとは異なる客層をターゲットに、限定商品を販売しています。制服や店舗デザインにもこだわり、ブランドイメージを統一することで、高級感を演出しています。これにより、モロゾフはブランドの幅を広げ、新たな顧客層へのアプローチを可能にしました。
2015年 ファヤージュショコラ
2015年に立ち上げられた「ファヤージュショコラ」は、モロゾフのロングセラー商品である「ファヤージュ」を専門的に扱うブランドです。あべのハルカスに1号店がオープンしました。このブランドでは、ファヤージュをチョコレートと組み合わせ、食べきりサイズに仕上げた新しい感覚の商品を提供しています。スタイリッシュなフォルムと洗練されたデザインは、これまでの焼き菓子とは異なる現代的な魅力を表現しています。多彩なフレーバー展開により、特に若い世代や都市部の消費者層にアピールする力を高めています。
2015年 窯だしチーズケーキ
「窯だしチーズケーキ」は、同じく2015年に始まったブランドです。「焼きたての贅沢なおいしさを、食べきりサイズでお手軽に」というコンセプトで展開されています。ららぽーとエキスポシティに1号店をオープンし、モロゾフ伝統のチーズケーキに「できたて」という新しい価値を加えました。通年販売の「エダム」「ゴーダ」に加え、季節限定の味も展開しています。手のひらサイズでありながら本格的な味わいを楽しめるのが特徴です。このブランドは、モロゾフの技術と伝統を現代のライフスタイルに合わせてうまく活用した成功例と言えるでしょう。
2020年 ガレット オ ブール
2020年に銀座三越にオープンした「ガレット オ ブール」は、フランス産イズニーバターを主役にした焼き菓子専門店です。「バターの表情を楽しむ」というユニークなコンセプトが特徴です。バターの風味や食感の多様性を追求しており、繊細な味わいを楽しめます。2021年には、高島屋大阪店と博多阪急店にも店舗を広げ、バター菓子というニッチな分野でありながら、確実な支持を獲得しています。
2020年 MOON
同じく2020年に始まった「MOON」は、生ブッセの専門店です。博多大丸福岡天神店を皮切りに展開されています。しっとりなめらかなビスキュイに、コクのあるクリームをサンドした商品は、従来のモロゾフ商品にはなかった新しい食感と味わいを提供しています。この新しい業態は、モロゾフが持つ技術力を、より細分化された市場に投入することで、他社との競争優位性を確立する戦略として機能しています。
2022年 CUSTA(カスタ)
2022年に開店した「CUSTA(カスタ)」は、モロゾフの代名詞ともいえるカスタードに特化した専門ブランドです。阪神梅田本店に1号店、2024年10月には銀座三越に2号店をオープンしました。カスタードの奥深い魅力を現代的な感覚で再構築し、素材と製法にこだわった商品を提供しています。自分へのご褒美から大切な人への贈り物まで、さまざまなシーンに対応できる商品ラインアップを揃えることで、カスタード菓子という伝統的な分野に新しい風を吹き込んでいます。
モロゾフ株式会社の成長理由
経営理念
これらの定番商品群を支えているのは、モロゾフの確固たる企業理念です。現在の経営理念「Be Prime, Be Sweet.」は2013年に制定されました。ここには、2代目社長山口達夫氏の「常に一流で世界に通用する企業を目指す」という信念と、「美味しい」「良い」「心地よい」といった幅広い価値を提供するという思いが込められています。企業スローガン「こころつなぐ。笑顔かがやく。」は、スイーツを通して人と人の心をつなぎ、共に笑顔で満たされる瞬間を創造したいという願いが表現されています。
全国+海外への展開
モロゾフは、計画的かつ着実な成長戦略で全国に拠点を拡大しました。
1963年の名古屋出張所開設を皮切りに、1964年の東京支店、1965年の九州連絡所、1968年の北海道連絡所と、全国に拠点を拡大していきました。各地域の気候や消費者の嗜好、商習慣の違いに適応した商品展開と販売戦略を構築していきました。現在、直営店37店、百貨店・専門店1,263店、喫茶店舗28店という驚異的な規模に成長しています。また、海外でも香港、台湾、ドバイなどに進出し、着実に顧客基盤を拡大しています。
カフェ事業の充実
モロゾフの事業多角化の中で特筆すべきは、カフェ事業の充実です。全国に合計27店舗を展開するカフェは、単なる販売チャネルではなく、「できたてのおいしさ」を提供する体験型店舗として独自の価値を創造しています。カフェで提供されるカスタードプリンには、工場製品に生クリームを添え、その場でカラメルソースをかける特別な演出が施されます。温かいスプーンでプリンを崩しながら食べる体験は、家庭では再現できない特別感を演出します。
オンライン販売とユニークな店舗
モロゾフは、伝統を守りつつも、デジタル化や生産体制の革新にも力を入れています。
1999年 公式ホームページを開設
1999年に公式ホームページを開設し、インターネットを活用した顧客との関係構築に継続的に取り組みました。
2003年・2011年 自社オンラインショップを開設
2003年にはYahoo!ショッピング、その後楽天市場にも出店し、オンライン販売の基盤を構築しました。そして2011年には自社オンラインショップ「モロゾフオンラインショップ」を開設し、独自の商品展開と顧客サービスを実現しています。冷凍技術を活用した「ふわ生とろ〜り濃厚プリン」のような店舗では販売が難しい限定商品を展開しています。
2018年・2020年 みみずく洋菓子店
2018年にオープンした「みみずく洋菓子店」は、毎日21時から24時までの時間限定販売というユニークな営業スタイルで、特別な体験を提供しています。2020年には博多阪急で期間限定のリアル店舗も展開し、オンラインとオフラインを融合した新しい小売体験を創造しました。
顧客との関係強化
デジタル戦略は、販売チャネルの拡大だけでなく、顧客との関係強化にも活用されています。
2004年 プリンキャンペーン
2004年から始まった「プリンキャンペーン」はその代表例で、プリンフィギュア付きストラップなどをプレゼントすることで、商品の魅力を視覚的に表現し、ファンとの継続的な関係を築きました。
土産市場への参入
2012年 東京スカイツリー クリスピーショコラ
2012年に「東京スカイツリー クリスピーショコラ」を発売したのを皮切りに、各地の象徴的な建造物や文化をモチーフにした土産スイーツの開発を本格化しました。駅や空港など新しい販売チャネルでの事業拡大を図ることで、ブランド認知度の向上にも貢献しています。
生産体制
現在の主要生産拠点は5工場体制で、HACCP準拠の衛生管理システムを導入し、国際水準の品質管理を実施しています。
2009年 北港物流センターを稼働
物流面でも継続的な改善を進めており、2009年には北港物流センターを稼働させました。阪神・淡路大震災で損傷し老朽化していた深江浜事業所を移設し、物流機能のアウトソーシングを進めるとともに、最新の自動化システムを導入しました。
2011年 リスクマネジメント体制を強化
2011年の東日本大震災では、仙台工場と船橋工場が被災し、サプライチェーンの脆弱性が浮き彫りになりました。しかし、この経験を教訓として事業継続計画(BCP)を策定し、リスクマネジメント体制を強化しました。
2017年 西神第1工場の焼菓子ライン再構築
2017年から2020年にかけて実施された西神第1工場の焼菓子ライン再構築は、生産能力と生産性の大幅な向上を実現しました。省エネ技術の導入、物流面の改善、事業継続計画(BCP)の策定にも積極的に取り組んでいます。
2020年 新しいブロードランドライン
2020年に実施された西神第1工場の焼菓子ライン再構築では、新しいブロードランドラインで「ロイヤルクリームチーズケーキ」も製造されており、従来の設備では困難だった新商品の量産化も実現しています。
人材育成
1999年 ファミリー・フレンドリー賞を受賞
人材育成と働き方改革にも積極的に取り組んでおり、1999年には労働省から「ファミリー・フレンドリー賞」女性少年室長賞を兵庫県第1号として受賞し、仕事と育児・介護の両立制度や多様で柔軟な働き方への取り組みが評価されました。
2004年・2007年・2011年 優良事業所として表彰
障がい者雇用にも継続的に取り組んでおり、2004年、2007年、2011年と複数回にわたって優良事業所として表彰されています。特に2011年には厚生労働大臣賞を受賞し、障がい者雇用における模範的な取り組みが全国レベルで評価されました。
2005年・2007年・2008年・2013年 厚生労働大臣賞を受賞
2005年には高齢者雇用への取り組みで厚生労働大臣賞を受賞しました。2007年には「ショートタイム社員制度」を導入し、契約社員から社員への転換を促進し、多様な働き方を支援しています。2008年と2013年には次世代認定マーク「くるみん」を取得し、次世代育成支援への取り組みが公式に認定されています。
2010年 ひょうご仕事と生活のバランス企業
2010年には「ひょうご仕事と生活のバランス企業」として兵庫県から表彰され、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みが評価されています。
2016年 内閣府特命担当大臣表彰を受賞
子育て支援活動においても、2016年に内閣府特命担当大臣表彰を受賞しています。これは、子供や若者、子育て家庭を支援する活動において顕著な功績があった企業として認定されたものです。
財務基盤
1974年・1983年・1984年 上場
モロゾフの財務体質も着実に強化されており、1974年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1983年には東京証券取引所市場第二部に上場、1984年には東証・大証ともに一部指定替え上場を果たしました。
2022年 東証プライム市場に移行
2022年には東証プライム市場に移行し、上場企業としての社会的責任をより一層重視した経営を推進しています。現在の資本金は37億3,746万円、従業員数は541名(嘱託社員および臨時従業員を除く)という安定した経営基盤を築いています。
中期経営計画「つなぐ ~next stage 2031~」では、創立100周年に向けて「企業価値の向上」「ブランド価値の向上」「社会的価値の向上」という3つのビジョンを掲げ、持続可能な成長を目指しています。
まとめ
モロゾフが90年以上にわたって愛され続けている理由は、変わらない価値を守りながら、時代に応じた革新を続けてきたことにあります。創業当初の「贈る人・味わう人ともに笑顔が生まれる」という理念は、現在の「こころつなぐ。笑顔かがやく。」というスローガンに受け継がれています。神戸で生まれ、日本の洋菓子文化の発展に大きく貢献してきたモロゾフは、これからも新たな甘美な物語を紡ぎ続けていくことでしょう。