スイーツと幸福度の関係性|どんな時、どんな食べ方が幸せ?
株式会社モンテールが創業70周年を記念して実施した「スイーツの喫食としあわせの関係性」調査では、スイーツが人々の幸福度やウェルビーイングにどのように影響しているかが科学的に検証されました。
この調査は立命館大学食マネジメント学部の和田有史教授の監修のもと、16,052人を対象としたスクリーニング調査と、月に1回以上スーパー・コンビニのスイーツを購入する20代から60代の男女2,000人を対象とした本調査の2段階で実施されています。
調査で使用された測定方法
3つの測定尺度
| 尺度名 | 内容 | 測定対象・特徴 | 質問数・回答形式・指標 |
|---|---|---|---|
| 感情的 well-being 尺度(短縮版) | 感情面の主観的ウェルビーイングを評価 | ポジティブ感情・ネガティブ感情、過去30日間の状態を測定 | 指標:感情の変動(30日間) |
| 二次元気分尺度 | 気分状態を二軸で評価 | 「活性度」「安定度」を測定。スイーツ摂取の有無で比較可能 | 質問数:8項目、回答形式:0〜5の6段階 |
| 幸せスコア | 日常の幸福度を数値化 | 行動・シチュエーションの違いによる幸福度の変化を測定 | 回答形式:10点満点、指標:調査独自の幸福度スコア |
二次元気分尺度の評価項目
| 指標名 | 算出方法 | プラス得点の状態 | マイナス得点の状態 |
|---|---|---|---|
| 活性度(V) | 「活気にあふれた」+「イキイキした」-「無気力な」-「だらけた」 | イキイキして活気がある | だるくて気力が出ない |
| 安定度(S) | 「落ち着いた」+「リラックスした」-「イライラした」-「ピリピリした」 | ゆったりと落ち着いている | イライラして緊張している |
| 快適度(P) | 活性度+安定度 | 快適で明るい気分 | 不快で暗い気分 |
| 覚醒度(A) | 活性度-安定度 | 興奮して活発 | 眠くて不活発 |
これらの指標を用いることで、スイーツを食べることによる心理状態の変化を客観的に測定できます。
スイーツと幸福度の基本的な関係
日常の行動における幸福度
| 順位 | 行動 | スコア(10点満点) |
|---|---|---|
| 1位 | スイーツを食べる | 6.9点 |
| 2位 | お気に入りのレストランで食事をする | 6.6点 |
| 3位 | 旅行に行く | 6.5点 |
| 4位 | 自宅でゆっくりと動画コンテンツを視聴する | 6.1点 |
| 4位 | すっきりと目覚めた朝 | 6.1点 |
「スイーツを食べる」ことが6.9点で最も高いスコアとなりました。お気に入りのレストランでの食事(6.6点)や旅行に行く(6.5点)といった、時間や費用を必要とする活動と同等の幸福度を得られることが明らかになっています。
おいしいものや好きなものを食べることは、日常生活において多くの人に幸せをもたらしていることがわかります。また、自宅でゆっくりと動画コンテンツを視聴することやすっきりと目覚めた朝が同率4位で6.1点となっており、何げない日常の中で幸せを感じている人も多い様子がうかがえます。
購入頻度による幸福度
| 購入頻度 | 10点満点と評価した割合 | 平均スコア |
|---|---|---|
| ほぼ毎日購入 | 51.8% | 7.8点 |
| 週に1回以上購入 | 22.7% | 7.1点 |
| 月に1回以上購入 | 14.2% | 6.6点 |
スーパー・コンビニのスイーツの購入頻度が高い人ほど、スイーツを食べることで感じる幸せ度が大きいという結果が出ています。ほぼ毎日購入する人の約半数(51.8%)が「10点満点」を付けており、平均スコアは7.8点に達しています。
購入頻度が高いほど満点の割合が高くなる傾向があり、スイーツを日常的に取り入れることで、より深い満足感や幸福感を得られるようになる可能性を示しています。
性別・年代別の幸福度
| 性別 | 年代 | 10点満点と評価した割合 | 平均スコア |
|---|---|---|---|
| 女性 | 40代 | 28.5% | 7.3点 |
| 女性 | 20代 | 26.0% | 7.3点 |
| 女性 | 30代 | 24.5% | 7.1点 |
| 男性 | 20代 | 22.5% | 6.9点 |
| 女性 | 50代 | 23.5% | 7.2点 |
性年代別に10点満点をつけた割合をみると、女性40代が28.5%で最も高く、女性20代が26.0%、女性30代が24.5%と続いています。男性で最も高かったのは男性20代の22.5%でした。
女性は20代から50代で満点をつけた回答者が多く、スイーツは多くの女性の日常における幸福感に大きく寄与していることがわかります。平均スコアでも女性の各年代が7.0点以上を記録しており、男性と比較して高い傾向にあります。
スイーツを食べるシチュエーションで感じる幸福度
| 順位 | シチュエーション | スコア(10点満点) |
|---|---|---|
| 1位 | 食後 | 6.4点 |
| 2位 | おやつタイム | 6.3点 |
| 3位 | 作業や仕事終わり | 6.2点 |
| 4位 | 休憩時間 | 6.1点 |
| 4位 | ふとした時 | 6.1点 |
| 6位 | チートデイ | 5.8点 |
| 7位 | 人との集まりで | 5.6点 |
| 8位 | 作業や仕事中 | 5.5点 |
| 9位 | 運動や筋トレ後 | 5.3点 |
スイーツを食べるシチュエーションによってどの程度幸せを感じるかについて聞くと、「食後」が6.4点で1位となりました。「おやつタイム」が6.3点で2位となっており、スイーツは食後のデザートやおやつとして食べるのが最も幸福度につながるといえます。
3位には「作業や仕事終わり」が6.2点でランクインしています。4位には「休憩時間」と「ふとした時」が同率で6.1点となっており、頑張った後のご褒美やひと息つきたいときに食べることでも幸せを感じられることがわかります。
食後のスイーツは満腹感と甘味の相乗効果により、食事全体の満足度を高める役割を果たしていると考えられます。また、仕事や作業の区切りにスイーツを取り入れることで、達成感や解放感と相まって幸福度が高まるようです。
スイーツを食べる時間帯で感じる幸福度
| 順位 | 時間帯 | スコア(10点満点) |
|---|---|---|
| 1位 | 15時~18時 | 6.0点 |
| 2位 | 12時~15時 | 5.9点 |
| 3位 | 18時~21時 | 5.7点 |
| 4位 | 21時~24時 | 4.5点 |
| 4位 | 9時~12時 | 4.5点 |
| 6位 | 6時~9時 | 3.7点 |
| 7位 | 0時~3時 | 3.2点 |
| 8位 | 3時~6時 | 3.0点 |
スイーツを食べる時間帯によって感じる幸せの程度について「幸せスコア」をみると、1位は「15時~18時」で6.0点となりました。この時間帯はいわゆる3時のおやつから夕食前くらいにあたります。
2位は「12時~15時」で5.9点となっており、昼食前後の時間帯です。午後の時間に食べるスイーツが最も幸せ度を高めてくれることがわかります。
3位「18時~21時」は5.7点で、夕食前後の時間帯にあたります。一日の疲れを癒やしながら食べるスイーツが幸せにつながっているのかもしれません。
一方で7位「0時~3時」は3.2点、8位「3時~6時」は3.0点と、深夜から早朝にかけての時間帯は幸せスコアが低い結果となっています。相対的には避けた方がよい時間帯といえそうです。
この結果は、一般的に「おやつの時間」として認識されている午後の時間帯が、文化的背景や生活リズムとも合致しているため、幸福感が高まりやすいことを示しています。
スイーツの幸せ3大要素
調査では、スイーツにまつわるさまざまな要素について、どれくらい幸せを感じるかを10点満点で評価しました。その中から特にスコアが高かった上位3つの要素を紹介します。
1位:お手頃価格(6.3点)
スイーツが「気軽に手の届く価格」であることは、多くの人にとって満足度を高める大きなポイントです。経済的な負担が少ないと、食べるときの心理的ハードルが下がり、より純粋に楽しめるようになります。
「このくらいの価格なら買いやすい」という感覚が、スイーツの幸福度を押し上げていると考えられます。
2位:季節感・季節限定(6.0点)
季節ごとに登場する限定スイーツには、特別な魅力があります。「今しか食べられない」というプレミア感は、期待感やワクワク感を生み、幸福度を高める重要な要素になっています。
春の苺スイーツや秋のモンブランなど、季節の移ろいとともに味わいが変わる楽しさが、人々の心をときめかせているのでしょう。
3位:ボリューム(5.9点)
満足できる量がしっかりあるスイーツは、物理的な満腹感だけではなく、心理的な充足感ももたらします。「食べた!」という達成感や安心感が、幸福度の向上につながっていると考えられます。
しっかり食べ応えのあるスイーツほど、満たされる感覚が強くなる傾向が見られました。
幸せスコアが高い食べ方
スイーツは、食べる状況やちょっとした工夫によって幸福度が大きく変わります。調査では、スイーツの「幸せスコア」を高める食べ方を10点満点で評価しました。ここでは特にスコアの高かった上位3つの工夫を紹介します。
1位:特別なことは何もしないでそのまま食べる(6.5点)
最も高いスコアとなったのは、意外にも「何もしない」食べ方でした。余計な準備や演出をしなくても、目の前のスイーツをそのまま楽しむだけで十分に幸せを感じられるという結果です。
シンプルだからこそ、味わいに集中でき、素直に「おいしい」と思える時間が幸福度につながっていると考えられます。
2位:スイーツに合うドリンクを用意する(6.2点)
コーヒー、紅茶、緑茶など、スイーツとの相性が良い飲み物を一緒に楽しむと、味わいの幅がぐっと広がります。飲み物との組み合わせが生み出す調和やコントラストが、満足度を高めているようです。
少しのひと手間で味全体の印象が変わるため、手軽でありながら高い幸福感が得られる方法といえます。
3位:時間をかけてゆっくり食べる(5.9点)
急いで食べてしまうよりも、ゆったりしたペースで味わうことで、スイーツの魅力がより深く感じられます。ゆっくり食べる時間そのものがリラックス効果を生み、心理的な満足度を高めていると考えられます。
「味わう時間」を楽しむことで、スイーツはより特別な存在になります。
スイーツの人気ランキング
スーパー・コンビニでよく購入されているスイーツは、シュークリームが71.1%で1位、プリンが44.3%で2位となり、18年連続でトップ2を維持しています。
シュークリームは前年より4.8%増加しており、人気が上昇しています。例年僅差を争うロールケーム(43.1%)とエクレア(40.0%)は、今年はロールケーキに軍配が上がりました。
男女ともワッフルが前年よりランクアップしており、全体では5位に入っています。
男性のトップ5
男性の結果では、ロールケーキが2位となり、前年2位だったプリンを抜く結果となりました。男性の間でロールケーキの人気が高まっていることがわかります。
女性のトップ5
女性では5位に和スイーツがランクインしており、男性の5位のワッフルとは異なる傾向を示しています。
世代別の特徴
全世代共通で1位はシュークリームとなっています。10代では前年より22%増加しており、若年層での人気が高まっています。全世代で1位から4位は同じ項目となった一方、5位には違いが見られました。全体で人気が上昇していたワッフルは30代と40代の5位にランクインしており、人気を支える世代であることがわかります。
好まれる食感
| 順位 | 食感 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | なめらかな | 37.8% |
| 2位 | ふわふわ | 32.9% |
| 3位 | もっちり | 30.0% |
| 4位 | とろける | 28.6% |
| 4位 | しっとり | 28.6% |
人気の食感は、「なめらかな」が37.8%で10年連続1位となりました。「ふわふわ」が32.9%で2位、「もっちり」が30.0%で3位となっています。
「なめらかな」「ふわふわ」は性別でみても例年上位にランクインしており、やわらかな食感はスーパー・コンビニのスイーツには欠かせない要素であるようです。
3位の「もっちり」は10年間での順位の移り変わりが多く、前年10位からの大幅な順位上昇となりました。男性の4位「もっちり」(24.7%)は前年8位からランクアップしています。
女性では上位4項目が前年と入れ替わり、「なめらかな」(41.9%)が前年2位から1位に復活しました。3位「もっちり」(34.7%)の支持は男性より10%も高く、10年間で初めての3位獲得となっています。女性から人気を集めている今年度の食感といえそうです。
好まれるフレーバー
- バニラ(57.7%)
- ミルク(57.6%)
- チョコ(55.6%)
- キャラメル(32.4%)
- 苺(30.1%)
1位がバニラ、2位ミルク、3位チョコと、トップ3項目は前年と同様の結果となりました。4位キャラメルは前年5位からランクアップ、5位苺は前年6位からのランクアップとなっています。
スイーツを食べる場所と時間帯
食べる場所
スーパー・コンビニのスイーツを食べる場所は「自宅」が95.8%で圧倒的に多く、2位は「職場」が9.9%、3位「車中」が8.2%となっています。トップ2項目は例年通りの結果で、車中は前年より微増しています。
自宅で食べる人が大多数を占めており、くつろげる環境でスイーツを楽しみたいという消費者の意識が明確に表れています。
食べる時間帯の傾向
スーパー・コンビニのスイーツを食べる時間帯は、全体で「午後」が49.8%で最も多く、次いで「夜」が39.0%、「夕食時」が23.8%、「昼食時」が19.9%という結果でした。
「昼食時」は前年より2.9%増加しており、お昼時の休憩としてスーパー・コンビニのスイーツを求める人が増えている可能性があります。
性別による時間帯の違い
女性は「昼食時」が3.2%増加し23.1%、「午後」が7.1%増加し56.9%と全体より高くなっています。遅い時間にスイーツを食べることは避けている傾向が見られます。
一方で、男性は「夜」が45.0%と女性の33.8%より高く、1日の締めくくりにスーパー・コンビニのスイーツを求める男性が多いようです。
この違いは生活リズムや健康意識、スイーツに求める役割の違いを反映していると考えられます。
まとめ
モンテールの調査により、スイーツが単なる嗜好品ではなく、現代人の心の健康やウェルビーイングを支える存在であることが科学的に示されました。
スイーツを食べることで得られる幸福度は、旅行やお気に入りのレストランでの食事と同等のレベルにあり、手軽で身近なスイーツを日常に取り入れることで、日々の幸福感を高められる可能性があります。
お手頃価格、季節感・季節限定、ボリュームという「幸せ3大要素」を備えたスイーツを、食後やおやつタイム、午後の時間帯に楽しむことが、最も高い幸福度につながることが明らかになりました。
毎月第2水曜日の「モンテール・スイーツの日」を機に、スイーツを楽しむ文化がより広く認識されることが期待されます。





