2025年のビスケット市場|2026年以降の予測、5000億円市場への道筋

全日本菓子協会が公開したデータによると、2024年のビスケット市場は小売金額4410億円を記録し、前年の4000億円突破をさらに更新しました。2025年も成長は継続しており、1月から10月までの累計で販売金額は前年比5.7%増、販売数量は1.6%増という堅調な伸びを見せています。
原材料費や物流費の高騰という課題を抱えながらも市場は拡大を続けており、このペースが維持されれば3年以内に5000億円市場に到達する可能性も出てきました。
ビスケット市場の規模
| 年 | 市場規模 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2023年 | 4000億円突破 | 初めて4000億円を超えた年 |
| 2024年 | 4410億円 | 前年の記録を更新 |
| 2025年1-10月 | 前年比5.7%増(金額) | 成長基調が継続 |
ビスケット市場は、2023年に初めて4000億円の大台を突破しました。この記録は一時的なものではなく、2024年には4410億円へとさらに拡大しています。
2025年に入ってからも、1月から10月までの累計で販売金額は前年比5.7%増、販売数量は1.6%増という結果が出ています。
価格改定直後や猛暑の影響で一時的に数量の落ち込みもありましたが、その影響は最小限に抑えられました。ロングセラー商品への信頼や、コストパフォーマンスの高さが消費者に評価されたためです。
一般的に価格が上がると売れる数が減りますが、ビスケット市場ではその減少幅が小さかったことになります。
「大容量」のビスケット商品が人気
| メーカー | 商品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 不二家 | カントリーマアム(大袋) | コスパの高さで伸長 |
| 不二家 | ホームパイ(大袋) | 主力ブランドの大容量版 |
| モンデリーズ・ジャパン | オレオ メガパック | 人気商品の大容量版 |
| モンデリーズ・ジャパン | リッツ ファミリーパック | 家族向けサイズ |
市場を最もけん引したのが大容量の大袋商品です。不二家の「カントリーマアム」「ホームパイ」や、モンデリーズ・ジャパンの「オレオ メガパック」「リッツ ファミリーパック」といった各社主力ブランドの大袋が販売を伸ばしました。
大袋商品が選ばれる理由は、コストパフォーマンスの高さにあります。小さい袋を何度も買うよりも、大きい袋を一度に買う方が割安になることが多いのです。節約志向での頻度を抑えた購買行動によって、ストック型消費が定着したことも大袋商品の伸長を後押ししました。
個包装形態もシェア需要に応えています。大袋の中身が個包装されていることで、家族で分け合いやすく、食べきれない分は保管しやすくなります。このため「常備しやすくシェアできるお菓子」としての存在感を発揮しました。
「昔からの定番」のビスケット商品が人気
| 商品名 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| ピコラ | ヤマザキビスケット | 2026年で発売50年、100円台維持 |
| ブルボンプチシリーズ | ブルボン | 手頃な価格帯 |
| たべっ子どうぶつ | ギンビス | 世代を超えた人気 |
| ベーシックシリーズ | イトウ製菓 | 安定のおいしさ |
複数回の値上げによって嗜好品に手が出しにくい状況が続く中、ロングセラー商品や味が想像しやすい定番品は底堅い動きを見せています。
これらの商品が選ばれる理由は、長年親しんできた安心感にあります。新しい商品を試すよりも、味がわかっている商品を選ぶ方が失敗がありません。
ヤマザキビスケットの「ピコラ」は、2026年に発売50年を迎えます。親と子にわたって親しまれてきたことで、購買層の若返りに成功しました。親が子どもの頃に食べていたお菓子を、今度は自分の子どもに買ってあげる。こうした世代間の継承が、ロングセラー商品の強さを支えています。
ブルボンの「ブルボンプチ」シリーズやギンビスの「たべっ子どうぶつ」ブランド、イトウ製菓のベーシックシリーズなども、手頃な価格帯かつ安定のおいしさで多くの支持を獲得しました。
「プチ贅沢価格」のビスケット商品が人気
| 価格帯 | 商品の特徴 | 誰が買うか | なぜ買うか |
|---|---|---|---|
| 手頃な価格 | 大容量、ロングセラー | 節約志向の人 | 安心感、コスパの良さ |
| 高めの価格 | 特別感のある味 | プチ贅沢したい人 | 自分へのご褒美 |
一方で、高付加価値商品の動きも活発です。日頃の節約疲れから「プチ贅沢」や「自分へのご褒美」需要が拡大しています。毎日節約ばかりしていると疲れてしまうため、たまには自分にご褒美をあげたいという気持ちになります。
ロッテの「チョコパイ」といった安定のロングセラーブランドからのプレミアムラインが好調に推移しています。
これらの商品は「失敗したくない」けれども「特別なおいしさを求めたい」という二つのニーズをとらえています。知っているブランドの高級版なら、味の想像がつくので安心して買えます。それでいて、普段とは違う特別なおいしさも楽しめるのです。
「チョコレートの代わり」にビスケットが選ばれている
カカオ豆価格の高騰を受け、チョコレートユーザーのチョコ代替としての購入傾向が顕著です。
森永製菓の「ムーンライトショコラ」「チョイスショコラ」など、チョコレートがけビスケット、チョコフレーバーの東ハト「ソルティショコラ」などがコストパフォーマンスに優れた商品として堅調に推移しています。
これらの商品は、チョコレートの味を楽しみたいけれど値段が気になる人たちに選ばれています。ビスケットにチョコレートがかかっていたり、チョコ味がついていたりすることで、純粋なチョコレート商品よりも安い値段でチョコの味を楽しめます。
2025年時点では、カカオ豆価格はピーク時から落ち着きを見せているものの、高止まりの長期化は続く見込みです。この流れを好機に、ビスケットメーカーはチョコ代替商品への流入から、さらにチョコに頼らないビスケットそのものへの喫食習慣の定着を図っています。
いろいろな場面で食べられるビスケット
形や包装の工夫
| 工夫の内容 | 効果 |
|---|---|
| 一口サイズの形状 | 食べやすく、量を調整しやすい |
| 個包装 | シェアしやすい、保管しやすい |
| スタンドパウチ型 | 持ち運びやすい、場所を取らない |
健康志向の高まりや社会活動再開に伴うコスパ・タイパ重視の傾向は、ビスケット市場の成長も後押ししました。
忙しい現代人は、安くて、時間をかけずに満足できる商品を求めています。
また、食事形式の多様化や個食化に合わせ、ビスケットメーカーは形状や包装形態を刷新しています。
一口サイズの形状、シェアでも一人でも食べやすい個包装、携帯性の高いスタンドパウチ型などへの変更により、場所を選ばない喫食機会にも対応しました。
健康に気を使う人にも対応
| 健康面の特徴 | 効果 |
|---|---|
| 低カロリー | カロリーを気にする人も安心 |
| 低糖質 | 糖質制限をしている人も食べられる |
| 食物繊維入り | お腹の調子を整える |
| 腹持ちが良い | 食事代替になる |
低カロリーや低糖質、食物繊維といった健康的な側面からの訴求も強化されています。カロリーや糖質を気にする人が増えているため、これらを抑えた商品が求められています。
腹持ちの良さから、間食や忙しい朝や昼の食事代替としての提案も行われており、食シーン拡大を目指しています。腹持ちが良いとは、食べた後にお腹が空きにくいことです。
店頭とオンラインの両方で販促
| 場所 | 施策の内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 店頭 | キャラクターコラボ、イベントデザイン | ついで買いを促す |
| 店頭 | マネキン販売、試食イベント | 商品を体験できる |
| オンライン(SNS) | キャンペーン実施 | ブランドを思い出してもらう |
消費者とのコミュニケーションでは、店頭施策とオンライン施策を組み合わせたオムニチャネル型のコミュニケーションが不可欠となっています。
ビスケットは店頭での非計画購買の傾向が高い商品です。
リアル店舗では、人気キャラクターとのコラボレーションや季節のイベントデザインのパッケージ、期間限定品などで、つい手に取ってしまう「ついで買い」を喚起しています。
マネキンによる店頭販売や試食イベントといったタッチポイントの創出も継続的に行われています。
SNSで話題を作る
SNSではそれらと連動したキャンペーンを実施し、ブランド想起の維持・強化を図っています。
またSNSでの活発なコミュニケーションで常に最新のニーズをとらえることがスピーディーな商品開発やリニューアルにつながり、ビスケットの品質を維持しています。
日清シスコでは「ココナッツサブレ」60周年施策として、「推し活」をテーマにZ世代へアプローチし、メディアに取り上げられるなど話題化に成功しました。
インバウンド需要の増加
| 項目 | 2024年の数字 |
|---|---|
| 訪日外国人数 | 約3687万人 |
| 菓子購入額 | 約2900億円(過去最高) |
インバウンド需要も市場拡大に寄与しました。
円安の影響もあり、2024年の訪日外国人数は約3687万人、菓子購入額は約2900億円と過去最高を記録しました。
外国人にとっては日本の商品が安く買えるため、たくさん買ってもらえます。
抹茶フレーバーや地域限定商品が手土産・ギフト需要を取り込み、販売を伸ばしています。
抹茶は日本らしい味として外国人に人気があります。地域限定商品は、その地域でしか買えないため、お土産として選ばれやすいのです。
海外への輸出も増加
| 項目 | 2024年の結果 |
|---|---|
| ビスケット輸出金額 | 前年比46.4%増 |
| 比較対象 | 2021年(コロナ後の伸長期)と同水準 |
輸出面でも、ビスケットの関税撤廃などが追い風となり、2024年のビスケット輸出金額は前年比46.4%増と大きく伸長しました。
コロナ後の世界的な社会活動緩和によって伸長した2021年と同水準となり、菓子全体の輸出金額の最高記録更新に寄与しました。海外商品台頭の懸念もある中で、日本ブランドの価値と信頼感の認知が海外にも広がっており、今後さらなる成長が期待できます。
これからのビスケット市場
二極化は続く見込み
ビスケット市場は、手頃で安心感のある商品と、ご褒美系商品の二極化傾向を維持しつつ、食品カテゴリーの中で比較的安定した成長を続けると見られています。
成長を続けるための鍵
独自ブランド・キャラクターを生かした提案、期間限定商品や話題性施策が、市場活性化の鍵となる見込みです。消費者との接点拡大を図りながら堅実な価値提供を継続することが、ビスケット市場の安定成長を支える中心的要素となりそうです。
5000億円は実現可能な目標
現在の5%増ペースが維持されれば、3年以内の5000億円市場到達も現実的な目標となっています。各社の様々な取り組みが市場拡大を支えており、今後も順調な成長が期待されます。ビスケット市場は、消費者のニーズに応えながら、着実に規模を拡大し続けています。




