令和7年度「第44回食品ヒット大賞」受賞商品まとめ|優秀ヒット賞23品・ロングセラー賞5品

  • URLをコピーしました!
目次

食品ヒット大賞・優秀ヒット賞・ロングセラー賞・新技術・食品開発賞 一覧

スクロールできます
賞の名前・部門商品名社名
食品ヒット大賞該当なし
優秀ヒット賞
(一般加工食品部門)
濃いカレー 中辛エスビー食品
プチッとお中華エバラ食品工業
「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズキリンビバレッジ
マルちゃん焼そば東洋水産
カップヌードル 魚豚日清食品
「マ・マー レンジで2分 もちもち生パスタ」シリーズ日清製粉ウェルナ
ネスカフェ アイスブレンドネスレ日本
「ホワイトカレー」「ブラックカレー」「レッドカレー」ハウス食品
「キレートレモンクエン酸」シリーズポッカサッポロフード&ビバレッジ
カップdeごはん いざ米 麻婆豆腐ごはん<中辛><辛口>丸美屋食品工業
パッとジュッと理研ビタミン
優秀ヒット賞
(酒類部門)
アサヒ ザ・ビタリストアサヒビール
キリングッドエールキリンビール
THE PEEL(ザ ピール)〈レモンサントリー
優秀ヒット賞
(チルド食品・フローズン食品部門)
スジャータ のむアサイーボウルスジャータめいらくグループ
たっぷり卵のえび炒飯ニチレイフーズ
ハーゲンダッツ ミニカップ 悪魔のささやき『チョコレート』・天使のおさそい『ホワイトチョコレートハーゲンダッツ ジャパン
喫茶店の味ココア守山乳業
牧場の朝 チーズケーキ ヨーグルト雪印メグミルク
優秀ヒット賞
(菓子・パン部門)
たべっ子どうぶつシリーズギンビス
ボンタンアメセイカ食品
生のときしっとりミルク明治
プレミアムガーナシリーズロッテ
ロングセラー賞菊正宗 樽酒(昭和41年)菊正宗酒造
アヲハタ 55(昭和45年)アヲハタ
やきとり缶詰(昭和45年)ホテイフーズコーポレーション
森永ラムネ(昭和48年)森永製菓
サッポロ クラシック(昭和60年)サッポロビール
新技術・食品開発賞「GOVOCE」「GOVOCE ミルク」あじかん
もちきゅあ(みたらし団子味、いちご大福風味)三幸製菓
レンジでお寿司 冷凍手まり寿司/レンジでお寿司 冷凍握り寿司ニックスインターナショナル
やわらエール・やわらのチカラニップン
明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルト」「明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルトドリンクタイプ」明治

この表は、今の日本の食文化を彩る「人気者」たちを隙間なく詰め込んだ、一目でわかる業界の要約となっています。

令和7年度食品ヒット大賞とは

令和7年度「第44回食品ヒット大賞」は、日本食糧新聞社が主催する食品業界における年間表彰制度です。今年度の受賞商品が12月に発表され、優秀ヒット賞23品とロングセラー賞5品が選出されました。

食品ヒット大賞は該当商品なしとなり、トップ賞の不在という結果になりました。選考は全国の有力小売店や卸売業者87社をモニター企業として実施され、そのうち64社から推薦回答を得ました。回答率は73.6パーセントとなっています。

選考委員会は11月20日にホテルニューオータニ東京で開催され、ノミネートされた商品について審査が行われました。贈呈式と祝賀会は2025年2月24日に同じ会場で予定されています。

選考委員長のコメント

亀井昭宏選考委員長は今年度の受賞商品について、物価高の長期化や主食であるコメの価格上昇、高齢化の進展など消費生活を取り巻く環境が大きく変化する中で選ばれた商品群だとしています。

今年は安心して選べる価値を備えた商品が数多く推薦されたという評価です。時短・簡便でありながら健康への配慮や食の楽しさを提供し、ブランドへの信頼感を生かして生活者の支持を獲得した点が高く評価されました。

厳しい市場環境の中で、各社が培ってきた商品設計力と提案力があらためて示された結果だと受け止めているとのコメントが発表されています。

今年度の受賞傾向の特徴

生活防衛意識の強まり

今年度の受賞商品群からは、物価高が常態化する中での消費者の生活防衛意識が一層強まっている状況が読み取れます。価格だけでなく、失敗しにくい選択肢が重視されている実態が浮かび上がりました。

主食であるコメの価格上昇は家計への影響が大きく、食費全体の見直しが進む中で、時短・簡便で無駄の出にくい商品や少量でも満足感を得られる商品設計への需要が高まっています。

ブランドの信頼感が購買を後押し

消費行動の面では価格に慎重になる一方で、ブランドへの信頼感が購買を後押しする傾向が鮮明となりました。既存ブランドからの展開商品は品質や味への期待値が明確で、新商品であっても安心して試せる存在として選ばれやすいという状況です。

これは消費者が限られた予算の中で、品質や味が保証されている商品を優先的に選ぶという行動パターンを示しています。失敗したくないという心理が、知名度のあるブランドへの信頼を強化する結果となりました。

健康意識の高まり

高齢化の進展によって分や脂質への配慮、栄養バランス、体調管理といった視点が日常食品にも求められています。無理なく継続できる健康配慮設計や、日常の食事に自然に取り入れられる商品提案が、幅広い世代から支持を集めました。

健康志向は若年層だけでなく、中高年層においても購買決定の要因となっています。特に継続的に摂取する食品については、健康面での配慮が選択基準として重視される傾向が強まっています。

優秀ヒット賞【一般加工食品部門】の受賞商品

商品名企業名商品の特徴
濃いカレー 中辛エスビー食品濃厚な味わいのカレールウ
プチッとお中華エバラ食品工業簡便調味料シリーズ
「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズキリンビバレッジフルーツフレーバー紅茶飲料
マルちゃん焼そば東洋水産即席焼そば
カップヌードル 魚豚日清食品カップ麺新フレーバー
「マ・マー レンジで2分 もちもち生パスタ」シリーズ日清製粉ウェルナ電子レンジ調理パスタ
ネスカフェ アイスブレンドネスレ日本アイスコーヒー用インスタントコーヒー
「ホワイトカレー」「ブラックカレー」「レッドカレー」ハウス食品カラーバリエーションカレー
「キレートレモンクエン酸」シリーズポッカサッポロフード&ビバレッジ機能性飲料
カップdeごはん いざ米 麻婆豆腐ごはん<中辛><辛口>丸美屋食品工業カップ入り麻婆豆腐ごはん
パッとジュッと理研ビタミン調味料

一般加工食品部門では11品が選出されました。この部門の受賞商品に共通するのは、調理工程を極力省きながらも主食や主菜として成立する設計です。

簡便性を追求した商品群|「プチッとお中華」「レンジで2分 もちもち生パスタ」など

エバラ食品工業の「プチッとお中華」や理研ビタミンの「パッとジュッと」は、調味料を簡便化した商品です。容器を開けてフライパンに入れるだけで本格的な味付けが完成するという設計は、調理時間の短縮だけでなく、味付けの失敗を防ぐ効果もあります。

日清製粉ウェルナの「マ・マー レンジで2分 もちもち生パスタ」シリーズは、電子レンジで2分という調理時間の短さが特徴です。鍋でお湯を沸かす必要がなく、洗い物も少なくて済みます。生パスタのもちもちとした食感を電子レンジ調理で実現している点が評価されています。

濃厚な味わいによる満足度の確保|「濃いカレー」「カップヌードル 魚豚」など

エスビー食品の「濃いカレー 中辛」やハウス食品の「ホワイトカレー」「ブラックカレー」「レッドカレー」は、濃厚な味付けや独特のカラーバリエーションで食事の満足度を高める商品です。米価上昇により主食の量を控える傾向がある中、おかずで満足感を補うという食事スタイルに対応しています。

日清食品の「カップヌードル 魚豚」は、魚介と豚骨を組み合わせた濃厚なスープが特徴です。カップ麺という簡便食でありながら、食べ応えのある味わいを実現しています。

ワンプレート完結型の商品|「カップdeごはん」「マルちゃん焼そば」

丸美屋食品工業の「カップdeごはん いざ米 麻婆豆腐ごはん」は、カップ容器にごはんとおかずがセットされた商品です。電子レンジで温めるだけで、主食と主菜が同時に完成します。別々に用意する手間が省けるだけでなく、栄養バランスも一定程度確保されています。

東洋水産の「マルちゃん焼そば」は、即席焼そばの定番商品として、フライパン一つで調理が完結する設計です。麺を茹でて湯切りし、ソースを絡めるという一連の工程が、一つの調理器具で完了します。

飲料分野の展開|「午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」「キレートレモンクエン酸」など

キリンビバレッジの「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズは、フルーツフレーバーを取り入れた紅茶飲料です。従来の紅茶飲料に新しい味わいを加えることで、選択肢を広げています。

ネスレ日本の「ネスカフェ アイスブレンド」は、アイスコーヒー専用に開発されたインスタントコーヒーです。氷で薄まることを前提とした濃いめの味わい設計により、冷たいコーヒーでも満足感のある味を実現しています。

ポッカサッポロフード&ビバレッジの「キレートレモンクエン酸」シリーズは、クエン酸による疲労回復や健康維持を訴求した機能性飲料です。日常的に飲むことで体調管理をサポートするという提案が、健康意識の高まりに対応しています。

優秀ヒット賞【酒類部門】の受賞商品

商品名企業名商品の特徴
アサヒ ザ・ビタリストアサヒビール機能性を訴求したビール
キリングッドエールキリンビールエールタイプのビール
THE PEEL(ザ ピール)〈レモンサントリーレモン風味のアルコール飲料

酒類部門では3品が選出されました。この部門では、従来のビールとは異なる特徴を持つ商品が評価されています。

機能性を訴求する商品|「ザ・ビタリスト」

アサヒビールの「アサヒ ザ・ビタリスト」は、機能性を訴求したビールです。アルコール飲料でありながら、健康面での配慮を打ち出している点が、健康意識の高まりという社会トレンドに対応しています。

ビールを楽しみたいが健康も気になるという消費者のニーズに応える商品設計となっています。

味わいの多様化|「キリングッドエール」

キリンビールの「キリングッドエール」は、エールタイプのビールです。日本のビール市場ではラガータイプが主流ですが、エールという異なるタイプを提案することで、味わいの選択肢を広げています。

エールはラガーに比べてフルーティーな香りや豊かな味わいが特徴です。ビールの楽しみ方の幅を広げる商品として評価されています。

フレーバー展開|「THE PEEL」

サントリーの「THE PEEL(ザ ピール)〈レモン〉」は、レモンの風味を前面に出したアルコール飲料です。レモンサワーの人気を背景に、果実の風味を楽しめる商品として支持を集めています。

やかな味わいは、幅広い年齢層や性別の消費者に受け入れられやすい特徴を持っています。

優秀ヒット賞【チルド食品・フローズン食品部門】の受賞商品

商品名企業名商品の特徴
スジャータ のむアサイーボウルスジャータめいらくグループ飲料タイプのアサイー商品
たっぷり卵のえび炒飯ニチレイフーズ冷凍炒飯
ハーゲンダッツ ミニカップ 悪魔のささやき『チョコレート』・天使のおさそい『ホワイトチョコレートハーゲンダッツ ジャパンプレミアムアイスクリーム
喫茶店の味ココア守山乳業チルドココア飲料
牧場の朝 チーズケーキ ヨーグルト雪印メグミルクデザートヨーグルト

チルド食品・フローズン食品部門では5品が選出されました。この部門では、日常の食事からデザートまで幅広い商品が評価されています。

健康訴求型の商品|「スジャータ のむアサイーボウル」

スジャータめいらくグループの「スジャータ のむアサイーボウル」は、アサイーを飲料として手軽に摂取できる商品です。アサイーは抗酸化作用や栄養価の高さで知られており、健康志向の消費者に支持されています。

従来はボウルで食べるスタイルが主流でしたが、飲料化することで朝食や間食として取り入れやすくなりました。

冷凍食品の質的向上|「たっぷり卵のえび炒飯」

ニチレイフーズの「たっぷり卵のえび炒飯」は、冷凍炒飯でありながら、卵がたっぷり入った食べ応えのある商品です。電子レンジで温めるだけで、本格的な炒飯が完成します。

冷凍食品は保存が利くため、必要な時に必要な量だけ調理できる利点があります。食品ロスの削減にも貢献する商品設計です。

プレミアム感のあるアイスクリーム|「ハーゲンダッツ 悪魔のささやき・天使のおさそい」

ハーゲンダッツ ジャパンの「ハーゲンダッツ ミニカップ 悪魔のささやき『チョコレート』・天使のおさそい『ホワイトチョコレート』」は、濃厚なチョコレートとホワイトチョコレートを使用したプレミアムアイスクリームです。

商品名に含まれる「悪魔のささやき」「天使のおさそい」という表現は、食べる罪悪感と喜びを表現しています。物価高の中でも、自分へのご褒美として選ばれる商品となっています。

チルド飲料とデザートヨーグルト|「喫茶店の味ココア」「牧場の朝 チーズケーキ ヨーグルト味」

守山乳業の「喫茶店の味ココア」は、喫茶店で飲むような本格的なココアの味わいを再現したチルド飲料です。温めても冷たいままでも楽しめる設計となっています。

雪印メグミルクの「牧場の朝 チーズケーキ ヨーグルト味」は、チーズケーキの風味を取り入れたデザートヨーグルトです。ヨーグルトの健康イメージとデザートの楽しさを両立させた商品として支持されています。

優秀ヒット賞【菓子・パン部門】の受賞商品

商品名企業名商品の特徴
たべっ子どうぶつシリーズギンビス動物型ビスケット
ボンタンアメセイカ食品柑橘風味の
生のときしっとりミルク明治チョコレート菓子
プレミアムガーナシリーズロッテプレミアムチョコレート

菓子・パン部門では4品が選出されました。この部門では、長年愛されてきた商品や高級感を打ち出した商品が評価されています。

世代を超えて愛される商品|「たべっ子どうぶつ」「ボンタンアメ」

ギンビスの「たべっ子どうぶつシリーズ」は、動物の形をしたビスケットに英語の名前が印刷された商品です。子ども向けのお菓子として長く親しまれてきましたが、大人になった世代が懐かしさから購入するケースも増えています。

セイカ食品の「ボンタンアメ」は、鹿児島県の特産品であるボンタン(文旦)の風味を生かしたです。地域の特産品を使用した商品として、独特の風味と食感が支持されています。

プレミアム感を打ち出したチョコレート|「生のとき」「プレミアムガーナ」

明治の「生のときしっとりミルク」は、しっとりとした食感のチョコレート菓子です。生チョコのような柔らかさを常温保存可能な形で実現している点が特徴です。

ロッテの「プレミアムガーナシリーズ」は、ガーナという既存ブランドにプレミアムラインを追加した商品です。カカオ含有量を高めることで、より本格的なチョコレートの味わいを提供しています。

物価高の中でも、少し高価でも質の良いものを選びたいという消費者のニーズに応える商品設計となっています。

ロングセラー賞の受賞商品

商品名企業名発売年発売からの年数
菊正宗 樽酒菊正宗酒造昭和41年(1966年)約59年
アヲハタ 55アヲハタ昭和45年(1970年)約55年
やきとり缶詰ホテイフーズコーポレーション昭和45年(1970年)約55年
森永ラムネ森永製菓昭和48年(1973年)約52年
サッポロ クラシックサッポロビール昭和60年(1985年)約40年

ロングセラー賞では5品が選出されました。これらの商品は数十年にわたって市場で支持され続けています。

伝統的な製法を守る日本酒|「菊正宗 樽酒」

菊正宗酒造の「菊正宗 樽酒」は、1966年から販売されている日本酒です。樽で貯蔵することで木の香りが移り、独特の風味が生まれます。伝統的な製法を守りながら、現代まで愛され続けている商品です。

ジャムのスタンダード|「アヲハタ 55」

アヲハタの「アヲハタ 55」は、1970年に発売されたジャムです。糖度55度という控えめな甘さが特徴で、果実の味わいを生かした設計となっています。

朝食のトーストに塗るジャムとして、多くの家庭で長年使用されてきました。安定した品質と親しみやすい味わいが、ロングセラーを支えています。

缶詰という保存食|「やきとり缶詰」

ホテイフーズコーポレーションの「やきとり缶詰」は、1970年から販売されている缶詰商品です。常温で長期保存が可能で、開ければすぐに食べられる簡便性が特徴です。

やきとりという日本の居酒屋文化を缶詰として家庭に持ち込んだ商品であり、酒のつまみや非常食としても活用されています。

子ども向け菓子の定番|「森永ラムネ」

森永製菓の「森永ラムネ」は、1973年から販売されているラムネ菓子です。ブドウ糖を主成分としており、疲労時のエネルギー補給としても支持されています。

子どもの頃に食べた思い出がある大人が、現在も購入し続けているケースが多く見られます。世代を超えて受け継がれる味として、ロングセラーとなっています。

地域限定ビール|「サッポロ クラシック」

サッポロビールの「サッポロ クラシック」は、1985年から北海道限定で販売されているビールです。地域限定という希少性と、北海道らしい味わいが支持されています。

北海道外の地域では入手困難なため、旅行のお土産としても人気があります。地域に根ざした商品として、約40年にわたって愛され続けています。

新技術・食品開発賞の受賞商品

商品名企業名技術・開発のポイント
「GOVOCE」「GOVOCE ミルク」あじかん新しい加工技術や原料
もちきゅあ(みたらし団子味、いちご大福風味)三幸製菓米菓の新しい食感と風味
レンジでお寿司 冷凍手まり寿司/レンジでお寿司 冷凍握り寿司ニックスインターナショナル冷凍寿司の電子レンジ調理
やわらエール・やわらのチカラニップン介護食・嚥下食の技術
明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルト」「明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルトドリンクタイプ」明治機能性ヨーグルト

新技術・食品開発賞では5品が選出されました。この賞は、技術革新や新しい発想による商品開発を評価するものです。

新しい原料や加工技術|「GOVOCE」

あじかんの「GOVOCE」「GOVOCE ミルク」は、新しい加工技術や原料を用いた商品と考えられます。食品業界では、従来にない原料の活用や加工技術の革新が、商品の差別化につながります。

米菓の新展開|「もちきゅあ」

三幸製菓の「もちきゅあ(みたらし団子味、いちご大福風味)」は、米菓和菓子の味わいを組み合わせた商品です。米菓という伝統的な分野に新しい風味を取り入れることで、商品の幅を広げています。

みたらし団子いちご大福という馴染みのある和菓子の味を、手軽に楽しめる米菓として再構成した点が評価されています。

冷凍寿司という新分野|「レンジでお寿司」

ニックスインターナショナルの「レンジでお寿司 冷凍手まり寿司」「レンジでお寿司 冷凍握り寿司」は、寿司を冷凍保存し、電子レンジで調理できる形にした商品です。

寿司は生鮮食品であり、作りたてを食べることが前提とされてきました。それを冷凍技術と電子レンジ調理により、家庭で手軽に楽しめる形にしたことが技術革新として評価されています。

介護食・嚥下食への対応|「やわらエール」「やわらのチカラ」

ニップンの「やわらエール」「やわらのチカラ」は、介護食や嚥下食の分野で開発された商品です。高齢化の進展により、飲み込みやすい食品へのニーズが高まっています。

通常の食品を食べることが難しくなった高齢者でも、安全に栄養を摂取できる食品の開発は、社会的な意義があります。食品の物性を調整する技術が、この分野では重要となります。

機能性ヨーグルト|「明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルト」

明治の「明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルト」「明治ヘモグロビン A1c 対策ヨーグルトドリンクタイプ」は、血糖値管理に関連する機能性を訴求したヨーグルトです。

ヘモグロビン A1cは、過去1から2か月の平均血糖値を反映する指標です。この数値が高いと糖尿病のリスクが高まります。ヨーグルトという日常的に摂取しやすい食品で健康管理をサポートする発想が、機能性食品の新しい展開として評価されています。

受賞商品から見える市場の方向性

実用性と情緒価値の両立

今年の受賞商品群からは、消費者が求めるブランドの安心感、時短・簡便、健康・機能性、楽しさを的確にとらえた商品設計の重要性があらためて示されました。

実用性だけでなく、食べる楽しさや選ぶ喜びといった情緒的な価値も同時に提供することが、商品の支持を得る要因となっています。

高齢化と食環境の変化

高齢化や食環境の変化が進む中、実用性と情緒価値を両立させる提案力が、今後の食品市場を左右する要素となりそうです。高齢者が扱いやすい簡便性と、若年層が求める新しさや楽しさを同時に満たす商品開発が求められています。

世代を超えて支持される商品は、それぞれの世代が異なる視点から価値を見出せる設計になっています。

選考プロセスの概要

モニター企業への推薦依頼

選考委員会は全国の有力小売店や卸売業者87社をモニター企業として、推薦商品の回答を依頼しました。このモニター企業は、食品流通の現場で実際に商品の動きを把握している事業者です。

小売店は消費者の購買行動を直接観察できる立場にあり、どの商品が支持されているかを肌で感じています。卸売業者は複数の小売店への供給を通じて、広範囲での商品動向を把握しています。

回答率と推薦商品

87社のモニター企業のうち、64社から回答を得ました。回答率は73.6パーセントとなり、約4分の3の企業が推薦に参加したことになります。

各モニター企業は、自社が取り扱う商品の中から、今年特に売れ行きが良かった商品や消費者からの反応が良かった商品を推薦しています。

厳正な選考

ノミネートされた商品について、選考委員会は慎重かつ厳正な選考を行いました。選考基準には、売上実績、消費者の支持、市場への影響、商品の革新性、ブランド力などが含まれます。

今年度は食品ヒット大賞の該当商品がなしという結果になりましたが、優秀ヒット賞とロングセラー賞については該当商品が選出されました。

食品ヒット大賞が該当なしとなった理由

今年度は食品ヒット大賞の該当商品がなしという結果になりました。これは、大賞に値するほど突出した商品がなかったという判断です。

大賞の選考基準

食品ヒット大賞は、その年の食品市場を象徴するような商品に贈られる最高位の賞です。売上実績だけでなく、市場への影響力、話題性、革新性など、複数の要素が総合的に評価されます。

市場全体を動かすような影響力を持つ商品や、消費者の行動パターンを変えるような商品が、大賞の候補となります。

今年度の市場環境

今年度は物価高や高齢化といった社会環境の変化があり、消費者は慎重な購買行動を取る傾向が強まりました。このような環境下では、突出したヒット商品が生まれにくいという面があります。

安定した需要を獲得する商品は複数ありましたが、市場全体を席巻するような商品は現れませんでした。

贈呈式・祝賀会の予定

令和7年度「第44回食品ヒット大賞」の贈呈式と祝賀会は、2025年2月24日にホテルニューオータニ東京で開催される予定です。

贈呈式では、受賞企業に対して賞状とトロフィーが授与されます。祝賀会では、食品業界の関係者が一堂に会し、今年度の受賞商品を祝います。

業界関係者の交流の場

贈呈式と祝賀会は、食品業界の関係者が交流する場でもあります。製造メーカー、小売業者、卸売業者、メディア関係者などが集まり、情報交換や意見交換が行われます。

受賞商品の開発背景や販売戦略について、関係者から直接話を聞く機会にもなります。

受賞商品が市場に与える影響

消費者の購買行動への影響

受賞商品であることが広く知られると、消費者の購買意欲が高まります。受賞という第三者からの評価は、商品の品質や価値を保証するシグナルとして機能します。

特にブランド認知度が低い商品や新商品の場合、受賞は消費者に試してもらうきっかけとなります。

小売店での取り扱い

受賞商品は、小売店での取り扱いが拡大する可能性があります。店舗側は受賞商品を店頭で目立つ位置に配置したり、特設コーナーを設けたりすることで、販売促進を図ります。

受賞商品であることを店頭POPやチラシで訴求することで、来店客の注目を集めることができます。

企業のブランド価値向上

受賞は企業のブランド価値向上にも寄与します。消費者から支持される商品を開発する力があることが、公式に認められることになります。

企業は受賞実績を広告や企業情報に掲載することで、ブランドイメージの向上を図ることができます。

まとめ

令和7年度「第44回食品ヒット大賞」は、優秀ヒット賞23品とロングセラー賞5品が選出されました。食品ヒット大賞は該当商品なしという結果になりましたが、受賞商品群からは、物価高や高齢化といった社会環境の変化に対応した商品開発の重要性が示されました。

時短・簡便、健康への配慮、ブランドの信頼感といった要素が、消費者の支持を得る鍵となっています。実用性と情緒価値を両立させる提案力が、今後の食品市場を左右する要素となりそうです。

新技術・食品開発賞では、冷凍寿司の電子レンジ調理や介護食の開発、機能性ヨーグルトなど、技術革新による新しい価値提案が評価されています。

贈呈式と祝賀会は2025年2月24日にホテルニューオータニ東京で開催される予定です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次