コンフェックスHDとドルチェの統合|売上高4000億円規模の菓子卸が誕生

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伊藤忠商事は2025年12月17日、菓子卸事業における資本再編を発表しました。この再編により、売上高4000億円規模の菓子卸が誕生することになり、現在の業界首位である山星屋の売上高3571億円を超える見込みです。

菓子卸とは、菓子メーカーから商品を仕入れて小売店に卸す中間業者のことを指します。スーパーやコンビニの棚に並ぶ菓子の多くは、この菓子卸を通じて届けられています。

目次

菓子卸業界とは|メーカーと小売店をつなぐ中間流通業者

菓子卸の役割|配送・在庫管理・販促提案までを担う

主な機能内容
商品調達メーカーから菓子を仕入れる
物流・配送全国各地の小売店へ配送
在庫管理商品の保管と適切な在庫量の維持
販促提案小売店への売り場づくりや販促企画の提案
PB商品開発小売店向けオリジナル商品の企画開発

菓子卸は、菓子メーカーと小売店をつなぐ役割を担っています。メーカーが全国の小売店と個別に取引するのは効率が悪いため、卸売業者が間に入ることで流通が円滑になります。

全国各地への配送網を持ち、在庫を管理し、小売店の発注に応じて必要な量を届けます。小売店向けの販促提案や、プライベートブランド商品の開発なども行っています。

菓子卸業界の構造|山星屋が首位で売上高3571億円

順位企業名売上高(菓子部門)系列・特徴
1位山星屋3571億円丸紅系列、国分と連携
2位三菱食品3013億円三菱グループ、サンエスを傘下に
3位コンフェックスHD非公表(増収)ヤマエGHD傘下、セブン-イレブンが主要取引先
4位高山2310億円独立系

日本の菓子卸業界は、いくつかの大手企業が市場を占めています。2024年度時点での主要な菓子卸企業は上記の通りです。これらの企業は長年、比較的安定した関係を保ちながら事業を展開してきました。

今回の資本再編に関わる5つの企業

  • 伊藤忠商事
  • ヤマエGHD
  • コンフェックスHD
  • 日本アクセス
  • ドルチェ

伊藤忠商事|ファミリーマート親会社の総合商社

企業形態総合商社
主要事業繊維、食品、金属、エネルギーなど幅広い分野
食品流通での地位ファミリーマートの親会社、日本アクセスを傘下に
今回の役割コンフェックスHDの株式40.8%を取得

伊藤忠商事は、日本を代表する総合商社のひとつです。ファミリーマートの親会社でもあり、食品流通分野に関与しています。今回の資本再編は、この伊藤忠商事が2025年10月に提案したことで具体化したとされています。

総合商社とは、繊維や食品、金属、エネルギーなど幅広い分野で事業を展開する企業を指します。

ヤマエGHD|コンフェックスHDを傘下に持つ九州地盤の持株会社

企業形態持株会社
地盤九州
主要子会社コンフェックスホールディングス
今回の役割コンフェックスHDの親会社として伊藤忠商事と合意

ヤマエグループホールディングスは、九州を地盤とする食品卸売の持株会社です。傘下にコンフェックスホールディングスという菓子卸会社を持っています。

持株会社とは、自らは事業を行わず、複数の子会社の株式を保有して経営をまとめる会社のことです。

コンフェックスHD|セブン-イレブンが主要取引先の菓子卸

親会社ヤマエGHD
主要取引先セブン-イレブン・ジャパン、スーパーマーケット、ドラッグストア
強み商品開発力、物流力、マーケティング力
売上高非公表(増収で推移)

コンフェックスホールディングスは、ヤマエGHDの子会社として菓子卸事業を展開している企業です。セブン-イレブン・ジャパンを主要取引先としており、コンビニエンスストア向けの菓子供給を行っています。スーパーマーケットやドラッグストアへの供給も行っており、商品開発力や物流力、マーケティング力などの機能面で小売業から評価を得ています。

日本アクセス|伊藤忠商事傘下の総合食品卸

親会社伊藤忠商事(約99%保有)
事業内容加工食品、酒類、菓子などの卸売
主要取引先ファミリーマートなど
2024年度菓子事業売上高1056億円

日本アクセスは、伊藤忠商事が株式の約99%を保有する食品卸売会社です。加工食品や酒類、菓子などを扱う総合食品卸として事業を展開してきました。伊藤忠商事グループの食品流通の中核企業として位置づけられており、ファミリーマートへの商品供給も担っています。

ドルチェ|ファミリーマート向けに強みを持つ日本アクセスの子会社

親会社日本アクセス
主要取引先ファミリーマート
強みコンビニ向けPB商品開発のノウハウ
推定売上高約750億円

ドルチェは、日本アクセスの子会社として菓子卸事業を行っている企業です。ファミリーマートを主要顧客としており、ファミリーマート向けの菓子供給において役割を果たしてきました。ファミリーマート向けのプライベートブランド商品の開発も手がけており、コンビニエンスストア業界における商品企画のノウハウを蓄積しています。

資本再編の仕組み|伊藤忠がコンフェックスHD株式40.8%取得、コンフェックスHDがドルチェを完全子会社化

再編前の資本関係|伊藤忠系列とヤマエGHD系列の2つのグループが存在

伊藤忠商事系列

  • 伊藤忠商事 → 日本アクセス → ドルチェ

ヤマエGHD系列

  • ヤマエGHD → コンフェックスHD

再編前は、伊藤忠商事系列とヤマエGHD系列という、二つの異なる企業グループが存在していました。

再編後の資本関係|ヤマエGHDと伊藤忠商事がコンフェックスHDの共同株主に

統合後の構造

  • ヤマエGHD(過半数保有) → コンフェックスHD ← 伊藤忠商事(40.8%保有)
  • コンフェックスHD → ドルチェ(完全子会社化)

伊藤忠商事はコンフェックスHDが実施する第三者割当増資を引き受け、コンフェックスHDの発行済み株式の40.8%を取得します。

第三者割当増資とは、特定の第三者に新しく株式を発行して資金を調達する方法です。

これにより、コンフェックスHDの株主構成は、ヤマエGHDと伊藤忠商事の二社が主要株主となる形に変わります。コンフェックスHDは株式交換によってドルチェを完全子会社化します。

株式譲渡日は2026年1月中旬以降の予定とされています。

株式交換とは、一方の会社の株式と他方の会社の株式を交換することで、完全な親子会社関係を作る手法です。

この資本再編を行う理由|セブンとファミマ両方に対応できる体制を構築

統合前統合後
コンフェックスHD:セブン-イレブン向け両社統合:セブン-イレブン・ファミリーマート両方に対応
ドルチェ:ファミリーマート向け

この資本再編の狙いは、異なる強みを持つ二つの菓子卸企業を統合し、より大きな菓子卸グループを作ることにあります。コンフェックスHDはセブン-イレブン向けの取引実績があり、ドルチェはファミリーマート向けの取引実績があります。両社が統合されることで、国内二大コンビニチェーンの両方に対応できる体制が整います。

伊藤忠商事としては、自社が親会社であるファミリーマートへの供給力を維持しながら、菓子卸事業全体の競争力を高めることができます。ヤマエGHDとしては、伊藤忠商事という大手商社の資本と経営資源を活用できます。

統合後の規模|売上高4000億円で業界首位に

売上高4000億円の内訳|コンフェックスHD約3250億円とドルチェ約750億円の合計

企業名統合前後売上高順位
コンフェックスHD統合後約4000億円1位(見込み)
山星屋現状3571億円(2025年3月期)現在の1位
三菱食品(菓子部門)現状3013億円3位相当
高山現状2310億円4位相当

統合後のコンフェックスHDは、売上高4000億円規模となる見込みです。

ドルチェの売上高は公表されていませんが、日本アクセスの2024年度菓子事業売上高が1056億円であり、統合後の日本アクセスの菓子事業売上高が300億円規模になるとされていることから、差額の約750億円がドルチェの規模と推測できます。

コンフェックスHDの売上高は非公表ですが、統合後に4000億円規模となることから、統合前のコンフェックスHDの売上高は3200億円から3300億円程度だったと推測されます。

業界構造の変化|山星屋を抜いて新トップ誕生

統合により、長年トップの座にあった山星屋を上回り、コンフェックスHDが業界首位に立つことになります。

山星屋と三菱食品の差は約560億円でしたが、統合後のコンフェックスHDと山星屋の差は約430億円、コンフェックスHDと三菱食品の差は約990億円となります。上位企業間の競争関係も変化していくことが予想されます。

統合で得られる5つの相乗効果

コンビニ向けの強み|セブンとファミマ両方のノウハウを統合

企業コンビニでの強み
コンフェックスHDセブン-イレブンとの取引実績、コンビニ特有の商売ノウハウ
ドルチェファミリーマートとの取引実績、PB商品開発ノウハウ
統合後国内二大コンビニチェーン両方への対応力

コンビニエンスストアは、店舗面積が小さいため取り扱える商品数が限られており、売れ筋商品を厳選して品揃えする必要があります。来店客が頻繁に変わるため、商品の鮮度管理が求められます。

コンフェックスHDはセブン-イレブン・ジャパンとの取引を通じて、このようなコンビニ特有の商売のノウハウを蓄積してきました。ドルチェはファミリーマートとの取引を通じて、プライベートブランド商品の開発ノウハウを持っています。

この二つのノウハウが統合されることで、セブン-イレブンとファミリーマートの両方、さらにはローソンなど他のコンビニチェーンに対しても提案ができる体制が整います。

スーパーとドラッグストアへの対応|幅広い業態に対応できる総合力を獲得

業態特性求められる対応
スーパーマーケット店舗面積が広い、ファミリー層が主要顧客幅広い品揃え、大容量商品、子供向け菓子
ドラッグストア価格競争が激しい、健康志向の顧客価格競争力のある商品、健康志向の菓子
コンビニエンスストア店舗面積が小さい、高頻度来店厳選された品揃え、鮮度管理

スーパーマーケットは、コンビニと比べて店舗面積が広く、幅広い品揃えが求められます。ファミリー層が主要顧客となるため、大容量のファミリーパックや、子供向けの菓子の品揃えが求められます。

ドラッグストアは近年、食品の取り扱いを拡大しており、菓子も商品カテゴリーとなっています。価格競争力のある商品や、健康志向の菓子への需要が高い傾向があります。

コンフェックスHDはこれらの業態への供給実績も持っており、統合後はさらに幅広い小売業態に対応できる総合力が強化されることになります。

商品開発力の向上|PB商品企画のノウハウを組み合わせ

菓子卸は単にメーカーの商品を仕入れて卸すだけでなく、小売店向けのプライベートブランド商品の企画開発にも関わっています。

プライベートブランド商品とは、小売店が独自に企画してメーカーに製造を委託する商品のことです。

ドルチェはファミリーマート向けのプライベートブランド商品開発の経験があり、消費者ニーズの把握や商品企画のノウハウを持っています。コンフェックスHDはセブン-イレブンとの取引を通じて、コンビニで求められる商品仕様や品質基準への理解があります。

これらのノウハウを組み合わせることで、プライベートブランド商品を開発し、小売店の差別化を支援できるようになります。

物流効率の改善|配送量増加で1件あたりコスト削減

菓子の配送では、温度管理や輸送時の衝撃による破損防止など、対応が求められます。全国各地への配送網を維持するには、コストがかかります。

統合により配送量が増えることで、トラックの積載効率が向上し、一件あたりの配送コストを下げることができます。配送拠点の統廃合により、重複する設備を削減することも可能になります。

メーカーとの交渉力|大量仕入れでより良い取引条件を獲得

売上高4000億円規模の菓子卸となることで、菓子メーカーとの価格交渉において有利な立場に立てる可能性があります。

大量に仕入れることで、より良い条件での取引が可能になります。新商品の優先的な供給を受けたり、限定商品の取り扱い権を得たりすることも期待できます。

好調な菓子業界|2024年は生産・小売ともに過去最高を更新

市場規模|生産金額2兆7886億円、小売金額3兆8785億円

項目2024年前年比備考
生産金額2兆7886億円4.1%増菓子メーカーの製造金額合計
小売金額(推定)3兆8785億円5.3%増消費者の購入金額合計
2025年小売金額(推定)約4兆円大台到達の見込み

今回の大型統合の背景には、菓子業界全体が好調に推移しているという状況があります。全日本菓子協会が公表した2024年の菓子生産金額と小売金額の推定値は、いずれも過去最高を更新しました。

2025年も好調を持続しており、小売金額は推定で4兆円の大台に乗ったとみられています。

  • 生産金額とは、菓子メーカーが製造した菓子の金額の合計です。
  • 小売金額とは、消費者が小売店で購入した金額の合計を指します。
  • 生産金額から小売金額への間には、卸売業者のマージンや小売店のマージンが含まれるため、小売金額の方が大きくなります。

菓子卸各社の業績|主要4社すべて増収達成

企業名2024年度売上高前年比
山星屋3571億円6.7%増(過去最高)
三菱食品(菓子部門)3013億円3.9%増
コンフェックスHD非公表増収
高山2310億円6.2%増

市場全体の拡大に伴い、菓子卸各社の業績も好調に推移しています。2024年度の主要菓子卸の売上高は、いずれも増収となりました。主要な菓子卸すべてが増収となっていることから、菓子市場の拡大が卸売業にも恩恵をもたらしていることがわかります。

消費者需要の底堅さ|値上げ後も購入継続

2024年は多くの食品で価格改定が行われました。原材料費の高騰や物流コストの上昇により、メーカーは価格を引き上げざるを得ない状況でした。菓子も例外ではなく、多くの商品で値上げが実施されました。

それにもかかわらず、小売金額が前年比5.3%増となったことは、消費者が値上げを受け入れながらも菓子の購入を継続したことを意味します。菓子は生活必需品ではありませんが、日常生活における楽しみや息抜きとして、確固たる地位を築いていることがうかがえます。

小売業からの期待|菓子は重要な収益源で売り場効率も良好

スーパーマーケットやコンビニエンスストアにとって、菓子は収益源のひとつです。比較的高い利益率を確保できる商品カテゴリーであり、売り場面積あたりの売上効率も良好です。

菓子は季節商品や期間限定商品が多く、売り場に変化をつけやすい特性があります。クリスマスやバレンタインデーといった季節イベント、新商品の投入などにより、消費者の来店動機を高めることができます。

小売業が菓子カテゴリーを重視する姿勢が、菓子卸への期待にもつながっています。商品提案、安定した供給、売り場づくりの支援など、菓子卸に求められる役割は拡大しています。

菓子卸業界の再編史|サンエスの三菱食品入りなど段階的に集約が進行

過去の主要な再編|サンエス、山星屋、高山の事例

企業再編内容特徴
サンエス三菱食品の傘下に関西地盤の有力菓子卸が全国展開を進める
山星屋丸紅系列、国分と連携総合商社系列、食品卸大手との連携
高山独立系を維持特定の商社グループに属さない経営

今回の統合は突然起きたものではなく、菓子卸業界における長期的な再編の流れの中で起きています。

サンエスという菓子卸企業が三菱食品の傘下に入ったことは、その代表例です。サンエスは関西地盤の菓子卸でしたが、三菱食品グループに加わることで、全国展開を進めました。

山星屋は丸紅という総合商社の系列にあり、国分という食品卸大手と連携を深めています。国分は調味料や加工食品など幅広い食品を扱う総合食品卸であり、山星屋との連携により菓子分野を強化しています。

高山は独立系を維持しており、特定の商社グループに属さない経営を続けています。地域密着型の営業により、独自の顧客基盤を築いてきました。

上位企業の安定期|大きな変動なく各社が独自戦略で成長

このような再編を経て、コンフェックスを加えた上位4社の構図は、比較的安定した時期が続いていました。

各社がそれぞれの強みを活かし、取引先との関係を深めることで、事業基盤を固めてきました。大規模な新規参入もなく、市場シェアも大きく変動することなく推移していました。業界関係者の間では、この上位企業の構図は当面変わらないとの見方が一般的でした。

伊藤忠商事の提案|2025年10月の提案で2か月で合意成立

この安定期に変化をもたらしたのが、2025年10月の伊藤忠商事からの提案でした。

伊藤忠商事は食品流通分野において、ファミリーマートの親会社として、また日本アクセスを通じて、影響力を持っています。この伊藤忠商事が、菓子卸事業における新たな戦略を描き、ヤマエGHDやコンフェックスHDに資本参加の提案を行ったとされています。

提案の具体的な内容や交渉の経緯は公表されていませんが、わずか2か月あまりで合意に至ったことから、関係各社にとって受け入れられる内容だったことがうかがえます。

伊藤忠商事としては、ファミリーマートへの供給力を維持強化しながら、菓子卸市場で首位に立つことができます。ヤマエGHDとしては、伊藤忠商事の資本と経営資源を活用して、さらなる成長を目指すことができます。コンフェックスHDとしては、ドルチェの統合により事業規模を拡大し、業界トップの座を獲得できます。

それぞれの立場で利点があったことが、この資本再編を実現させた要因といえます。

日本アクセスの今後|菓子事業を71%縮小しオリジナル商品開発に特化

ドルチェ譲渡の影響|第4四半期で売上高180億円減少

項目金額
第4四半期の売上高への影響180億円減少
第4四半期の経常利益への影響1億円減少
年間換算の売上影響700億円以上

今回の資本再編で、日本アクセスは子会社であるドルチェを手放すことになります。日本アクセスによると、第4四半期における影響は、売上高180億円、経常利益1億円に上るとされています。

第4四半期とは、会計年度の最後の3か月間を指します。

この数字は、ドルチェが日本アクセスの業績に貢献していたことを示しています。売上高への影響が180億円ということは、年間では700億円以上の売上がドルチェによってもたらされていたことになります。

菓子事業規模の縮小|1056億円から300億円規模へ

時期菓子事業売上高増減
2024年度1056億円
統合後(来期以降)約300億円約750億円減(約71%減)

日本アクセスの菓子事業は、大幅に縮小することになります。2024年度の菓子事業売上高は1056億円でしたが、ドルチェの譲渡により、来期以降は300億円規模になる見込みです。これは約750億円、率にして約71%の減少を意味します。

日本アクセスは総合食品卸として、加工食品や酒類、菓子など幅広い商品を扱っていますが、菓子部門の売上が大きく減ることは、事業構造の変化をもたらします。

オリジナル商品開発への注力|独自性で差別化を図る戦略

日本アクセスの今後の方針

  • オリジナル商品の開発に注力
  • 拡大・差別化を図る
  • 独自性の高い商品展開

規模は縮小するものの、日本アクセスは菓子事業から撤退するわけではありません。日本アクセスは今後、オリジナル商品の開発などに注力していき、拡大・差別化を図るとしています。

オリジナル商品とは、日本アクセスが独自に企画開発する商品を指します。

規模では他社に及ばなくても、独自性の高い商品を展開することで、特定の顧客層に対する訴求力を高める戦略です。例えば、健康志向の菓子や、地域限定の菓子、特定の原材料にこだわった菓子など、大手菓子卸が扱わないような商品領域に特化することが考えられます。

伊藤忠商事グループの一員として、ファミリーマート向けの独自商品開発を継続することも想定されます。ドルチェを譲渡しても、日本アクセスとファミリーマートの関係は維持されるため、この強みを活かした商品展開が可能です。

ヤマエGHDの展望|業界首位獲得で取引条件が有利に

ナンバーワン菓子卸連合の誕生|市場での存在感向上

ヤマエGHDのコメント要旨

  • ナンバーワンの菓子卸連合ができることで意義は大きい
  • 両社の強みを掛け合わせることで、まずは規模を拡大
  • 販売力や商品開発力など機能をさらに生かせる

ヤマエグループホールディングスは今回の合意について、前向きなコメントを発表しています。ヤマエGHDは、ナンバーワンの菓子卸連合ができることで意義は大きいとしています。

コンフェックスHDとドルチェの統合により、売上高で業界首位に立つことは、取引先やメーカーとの関係において利点となります。市場での存在感が高まることで、小売店からの引き合いも増えることが期待できます。メーカーとの交渉においても、より良い条件を引き出せる可能性があります。

両社の強みの掛け合わせ|規模拡大とノウハウ統合の2段階戦略

統合の段階

STEP
規模の拡大
  • 売上高4000億円規模の達成
  • 規模の経済による仕入れコスト削減
  • 物流効率の向上
STEP
ノウハウの統合
  • コンフェックスHDとドルチェの知見の組み合わせ
  • セブン-イレブン・ファミリーマート両方への対応力強化
  • 販売力・商品開発力の強化

    ヤマエGHDは、両社の強みを掛け合わせることを強調しています。まずは規模を拡大することが第一段階です。売上高4000億円規模という規模の経済が働くことで、仕入れコストの削減や物流効率の向上が実現できます。

    その上で、コンフェックスHDとドルチェがそれぞれ持つノウハウや取引関係を組み合わせることで、さらなる価値を生み出すことを目指しています。セブン-イレブンとファミリーマートという二大コンビニチェーンへの対応力は、その象徴といえます。

    今後の展開|組織・拠点・物流の統合を段階的に推進

    検討が必要な事項

    • 統合後の組織体制
    • 営業拠点の配置
    • 物流網の統合
    • 商品ラインナップの調整
    • システムの統合

    具体的な今後の展開については、両社が検討していくことになるとされています。統合後の組織体制、営業拠点の配置、物流網の統合、商品ラインナップの調整など、検討すべき事項は多岐にわたります。これらを段階的に進めていくことで、統合の効果を最大化していく方針です。

    販売力や商品開発力など、すでに持っている機能をさらに生かせるとの期待感も示されています。重複する機能を効率化しながら、それぞれが持つ独自の強みを全体に展開していくことが、統合後の課題となります。

    今後の菓子卸業界の展望

    競合他社の対応|山星屋・三菱食品の戦略に注目

    企業想定される対応
    山星屋国分との連携強化の可能性
    三菱食品三菱グループの総合力を活かした展開
    高山地域密着型営業の強化、機動力を活かした差別化

    今回の統合により、山星屋や三菱食品といった競合他社も、何らかの対応を迫られる可能性があります。

    規模で引き離されることになる両社が、独自の戦略でどのように対抗していくかが注目されます。山星屋は国分との連携をさらに深める可能性があります。三菱食品は三菱グループの総合力を活かした展開を進めることも考えられます。

    高山は独立系としての機動力を活かし、地域密着型の営業を強化することで、大手との差別化を図る戦略が想定されます。

    さらなる再編の可能性|業界全体での集約が進む可能性

    想定される再編パターン

    • 上位企業間での提携や統合
    • 中堅企業の大手への参加
    • 地方の有力卸と大手との連携

    今回の大型統合をきっかけに、菓子卸業界ではさらなる再編が起きる可能性もあります。上位企業間での提携や統合、中堅企業の大手への参加、地方の有力卸と大手との連携など、さまざまな形での業界再編が進むことも考えられます。

    食品流通業界全体が、効率化や規模の拡大を求める流れにある中で、菓子卸業界もその例外ではありません。今回の統合が業界再編の新たな波の始まりとなる可能性もあります。

    小売業への影響|サービス向上と交渉力のバランス

    小売業にとってのメリット

    • 幅広い商品ラインナップ
    • 充実した物流サービス
    • 商品開発支援

    小売業にとっては、有力な菓子卸の選択肢が増えることになります。売上高4000億円規模の菓子卸が誕生することで、幅広い商品ラインナップや、充実した物流サービス、商品開発支援など、より高度なサービスを受けられる可能性があります。

    小売業にとっての懸念

    • 菓子卸の集約による交渉力の相対的低下
    • 取引条件・価格設定での卸売業者の影響力増大

    一方で、菓子卸の集約が進むことで、小売業の交渉力が相対的に低下する懸念もあります。取引条件や価格設定において、卸売業者の影響力が強まる可能性もあります。

    まとめ

    伊藤忠商事とヤマエGHDによる今回の資本再編は、菓子卸業界に変化をもたらします。

    コンフェックスHDがドルチェを完全子会社化することで、売上高4000億円規模の菓子卸が誕生し、業界首位の座が入れ替わります。伊藤忠商事がコンフェックスHDの株式40.8%を取得することで、伊藤忠商事グループとヤマエGHDが共同で、この業界トップ企業を支えていく体制が整います。

    統合により、セブン-イレブンとファミリーマートという国内二大コンビニチェーンへの対応力が強化されるほか、スーパーマーケットやドラッグストアといった他の業態への供給力も向上します。商品開発力や物流効率の改善も期待され、小売業に対して充実したサービスを提供できるようになります。

    一方、日本アクセスは菓子事業を大幅に縮小し、オリジナル商品の開発に特化する方向へと転換します。規模ではなく独自性で勝負する戦略です。

    好調に推移する菓子市場において、この大型統合は業界にさらなる競争をもたらす可能性があります。山星屋や三菱食品といった競合他社の対応、さらなる業界再編の可能性など、今後の動向が注目されます。

    菓子卸業界の再編は、最終的には消費者が店頭で手に取る菓子の品揃えや価格にも影響を与える可能性があります。業界の変化が、日常生活にどのような影響をもたらすのか、引き続き注視していく必要があります。

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