生クリームと似た乳製品の違い|マスカルポーネ・サワークリーム・クレームフレーシュの使い分け

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洋菓子や料理のレシピを見ていると、「マスカルポーネ」「サワークリーム」「クレームフレーシュ」といった名前が登場することがあります。見た目は生クリームに似ていても、それぞれ原料・風味・加熱への耐性がまったく異なります。

「手元に生クリームしかないが代用できるのか」「レシピに書いてある乳製品が何者かわからない」という疑問に答えるため、この記事では生クリームとこれら3種類を一度に整理します。


目次

4種類の基本的な違い

一覧表で比較する

種類原料と製法乳脂肪分の目安味わい加熱
生クリーム(純生)生乳の乳脂肪を分離18〜48%乳本来のコク・甘み可能
マスカルポーネ生クリームにクエン酸などを加えて固め、水分を除去約70〜80%(固形分中)濃厚・まろやか・酸味なしやや不向き
サワークリーム生クリームを乳酸菌で発酵約16〜21%さわやかな酸味・コク分離しやすい
クレームフレーシュ生クリームを乳酸菌で発酵(サワークリームより脂肪分多め)約28〜40%酸味おだやか・コクあり分離しにくい

まずは全体像を把握するために、生クリームを含む4種類を並べます。

このように、4つのうち生クリームだけが「発酵・凝固させていない、純粋な乳脂肪の液体」です。残りの3種類はすべて、生クリームを出発点として何らかの加工(発酵または凝固)を加えた製品と考えると整理しやすくなります。


マスカルポーネとは

生クリームを固めて作るイタリア産のフレッシュチーズ

マスカルポーネはイタリアのロンバルディア地方が原産のフレッシュチーズで、生クリームに熱を加えてクエン酸または酢酸を加えることで凝固させ、布で濾して水分を除いた後、型に詰めて作られます。乳酸発酵は行わないため、チーズの中では珍しく酸味がほとんどありません。

固形分中の乳脂肪分は約80%と非常に高く、なめらかでもったりとしたクリーム状の質感が特徴です。味わいは上品な甘みとミルクのコクがあり、クセがほとんどないため、コーヒー・チョコレート・ブランデーなど苦みや香りの強い素材との相性がよいとされています。ティラミスムースチーズケーキのクリーム部分に使われることが多いのもそのためです。

生クリームと代用できる場面・できない場面

マスカルポーネと生クリームは見た目が似ていますが、マスカルポーネはすでに固まった状態であり、ホイップのように泡立てることはできません。一方で、泡立てた生クリームと合わせてムースやクリームの土台として使う用途には向いており、ティラミスのクリームがその典型例です。

生クリームの代わりにマスカルポーネを使うと、仕上がりがよりリッチで重厚になります。逆にマスカルポーネのないレシピで生クリームに置き換えると、風味のコクは出ますが固まる性質がないため、テクスチャーが大きく変わります。代用は用途をよく確認してから判断する必要があります。


サワークリームとは

生クリームを発酵させた、酸味のあるクリーム

サワークリームは生クリームを乳酸菌で発酵させた乳製品で、乳脂肪分は約16〜21%と生クリームより低めです。発酵によって生まれるさわやかな酸味とコクが特徴で、ヨーグルトチーズの中間のような風味を持ちます。北米やロシア・東欧の料理に古くから使われており、ビーフストロガノフ、ボルシチ、ジャガイモ料理へのトッピングなど料理との相性が広い素材です。

製菓においてはチーズケーキのほか、サブレクッキーのバターの一部をサワークリームに置き換えるとサクサクした食感になる、クレープ生地に加えると軽い食感になるといった使い方もあります(中沢グループ・パティシエWikiより)。

加熱には注意が必要

サワークリームは加熱すると分離しやすいという特性があります。熱を加える料理に使う場合は、仕上げの直前に加えて火を止めるなど、長時間の加熱を避けることが基本です。ソースへの混ぜ込みや煮込みには、より加熱に強いクレームフレーシュのほうが向いています。


クレームフレーシュとは

サワークリームの上位版として使えるフランスの発酵クリーム

クレームフレーシュ(crème fraîche)はフランス語で「生のクリーム」を意味しますが、実際にはサワークリームと同様に生クリームを乳酸菌で発酵させた乳製品です。サワークリームとの最大の違いは乳脂肪分の高さで、クレームフレーシュは約28〜40%とサワークリームの倍程度の脂肪分を持ちます。そのため酸味はサワークリームよりもおだやかで、コクとまろやかさが際立ちます。

フランス料理では非常にポピュラーな食材で、スープ・グラタン・ソース・デザートと幅広く使われています。

加熱しても分離しにくいのが最大の特徴

クレームフレーシュはサワークリームと違い、脂肪分が高いために加熱しても分離しにくいという性質を持っています。これがサワークリームとの最大の実用的な差です。温かいソースや煮込み料理の仕上げに加えてもなめらかさを保てるため、料理への応用範囲が広いといえます。

日本のスーパーでは見かけにくい食材ですが、サワークリームと生クリームを1対1で合わせたものが代用として近い風味になります。


実際の使い分けの考え方

用途の例向いている素材
ケーキのデコレーション(ホイップ)生クリーム
ティラミス・濃厚ムースマスカルポーネ+生クリーム
チーズケーキのクリーム層サワークリームまたはクリームチーズ
クリームパスタ・グラタン(加熱)生クリームまたはクレームフレーシュ
ポテトスープのトッピングサワークリームまたはクレームフレーシュ
スコーン・サブレの食感調整サワークリーム(バターの一部置き換え)

何を基準に選ぶか

「どれを使えばいいか」の判断は、次の2つの軸で考えると整理しやすくなります。

軸1:加熱するかどうか

加熱調理に使う場合は、純生クリームかクレームフレーシュが向いています。サワークリームは分離しやすいため加熱向けではなく、マスカルポーネも加熱すると質感が変わりやすいため基本的には非加熱の用途で使います。

軸2:酸味が必要かどうか

デザートやクリームなど酸味のない素直なコクを出したいなら生クリームかマスカルポーネ、料理やチーズケーキのようにさわやかな酸味を活かしたいならサワークリームかクレームフレーシュを選びます。

生クリームを代用に使えるか

どの乳製品も、文脈によっては生クリームで部分的に代用できます。ただし、風味と質感は変わります。サワークリームやクレームフレーシュの代わりに生クリームを使うと酸味がなくなり、マスカルポーネの代わりに生クリームを使うと固まる性質がなくなります。代用するときは「その料理における役割が風味なのか、テクスチャーなのか」を先に考えると判断しやすくなります。


まとめ

生クリームは乳脂肪を液体のまま活かした素材であり、マスカルポーネ・サワークリーム・クレームフレーシュはそれぞれ生クリームを出発点として異なる加工を加えた乳製品です。

選ぶときの基本の問いかけは「加熱するかどうか」と「酸味が必要かどうか」の2点です。レシピに見慣れない乳製品が登場したとき、この2点を確認することで「手元の生クリームで代用できるか」「どの程度仕上がりが変わるか」をある程度判断できるようになります。

なお、マスカルポーネの原料でもある生クリームの選び方については「生クリームの選び方」の記事で、植物性と動物性の違いについては「植物性クリームとは」の記事でそれぞれ詳しく解説しています。

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