岩塚製菓とは|国産米100%の信念と旺旺への技術指導の物語

岩塚製菓(いわつかせいか)とは、新潟県長岡市に本社を置く米菓メーカーです。「味しらべ」「田舎のおかき」「きなこ餅」などのやさしい味わいのおせんべい・おかきで知られ、「国産米100%」へのこだわりを貫いていることでも有名です。そしてこの会社には、台湾の菓子メーカーに技術を惜しみなく教えた縁が、のちに大きな実りとなって返ってきたという、商売の教科書のような物語があります。このページでは、岩塚製菓の歩みと、米への信念を掘り下げて紹介します。
岩塚製菓の基本情報
| 会社名 | 岩塚製菓株式会社 |
|---|---|
| 創業 | 1947年(昭和22年)7月29日(岩塚村の岩塚農産加工場として) |
| 設立 | 1954年(昭和29年)4月27日 |
| 創業者 | 平石金次郎・槇計作 |
| 代表者 | 代表取締役会長 槇春夫/代表取締役社長 槇大介 |
| 本社所在地 | 新潟県長岡市飯塚2958番地 |
| 資本金 | 16億3,475万円 |
| 従業員数 | 連結889名(2026年3月期) |
| 事業内容 | 米菓の製造ならびに販売 |
| 工場 | 飯塚・沢下条・長岡(いずれも長岡市)、北海道工場(千歳市) |
| こだわり | 国産米100%使用 |
会長と社長には、創業者・槇計作の系譜である槇家の名が並んでいます。工場は長岡に3か所と北海道に1か所。旺旺との縁を築いた創業家が、いまも会社の舵を握っているわけです。
岩塚製菓の歩み|農村の加工場から
岩塚製菓は、1947年(昭和22年)、新潟県の岩塚村(現在の長岡市)で生まれました。創業者は平石金次郎と槇計作の二人。始まりは米菓ではなく、水飴やでんぷんを作る「岩塚農産加工場」でした。「農村の産業を興し、村を豊かにしたい」という思いが、この会社の原点です。1959年に初めての米菓「苑月焼」を売り出してからは、せんべい・おかきの道をまっすぐに歩み、1976年には看板商品「味しらべ」が誕生しました。
岩塚製菓のあゆみ年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1947年 | 岩塚村で岩塚農産加工場として創業。水飴やでんぷんを製造 |
| 1954年 | 会社を設立 |
| 1959年 | 初の米菓「苑月焼」を発売 |
| 1976年 | 「味しらべ」を発売 |
| 1983年 | 台湾の宜蘭食品(のちの旺旺)へ米菓製造の技術指導を開始 |
1983年の一行が、のちに会社を支える大きな実りに育ちます。年表の中で、これほど「後から効いてくる」出来事もめずらしいのではないでしょうか。
国産米100%という信念
岩塚製菓の一番の看板は、商品ではなく「姿勢」かもしれません。同社は、米菓の原料に国産米だけを使うことにこだわり続けています。輸入米や加工用の安い原料を使えばコストは下がりますが、「米どころの会社として、日本の米で作る」という信念を曲げません。農家とともに歩んできた創業の精神が、原料選びにそのまま生きているのです。素朴で飽きのこない味わいは、この米への本気に支えられています。
旺旺(ワンワン)への技術指導|情けは人のためならず
岩塚製菓を語るうえで欠かせないのが、台湾との物語です。1983年(昭和58年)、創業者の一人・槇計作は、台湾の宜蘭食品工業(のちの旺旺/ワンワン)に、米菓づくりの技術を指導しました。ライバルを育てることになりかねない技術供与を、惜しみなく――。この指導を受けた旺旺は、やがて中国市場で爆発的に成長し、アジアを代表する食品グループになります。そして岩塚製菓は、その縁から旺旺の株式を持つ大株主となり、長年にわたって大きな実りを受け取ることになりました。「技術を教えた恩が、何倍にもなって返ってきた」——誠実さが実を結んだ話として、いまも語り継がれています。
岩塚製菓の業績と「旺旺の配当」
連結業績(2026年3月期)
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 288億円 | 249億円 |
| 営業利益 | 8.6億円 | 8.1億円 |
| 経常利益 | 28.8億円 | 39.6億円 |
| 当期利益 | 20.3億円 | 29.0億円 |
売上高288億円は過去最高を更新しました。ここで目を引くのは、営業利益8.6億円に対して経常利益が28.8億円と、3倍以上にふくらんでいる点ではないでしょうか。
技術指導が生んだ配当収入
この差の正体が、中国旺旺(ワンワンチャイナ)からの配当収入です。1983年の技術指導を機に株式を保有し続けた結果、本業の利益を上回る配当が営業外収益として入る構造になりました。2026年3月期の経常利益が前の期より減ったのも、この配当が10億円ほど減ったことが要因と報じられています。
技術を惜しみなく教えた40年前の判断が、いまも決算書の数字に表れている——珍しい形で恩返しが続いている会社です。裏を返せば、本業の米菓で稼ぐ力をどう高めていくかが、これからの課題ともいえるでしょう。
参考:岩塚製菓の売上高288億円 26年3月期に過去最高、純利益は30%減|日本経済新聞
味しらべと、やさしい米菓たち
1976年生まれの「味しらべ」は、さっくり軽い生地に甘じょっぱい味付けの、上品なソフトせんべいです。ほかにも、揚げ餅の香ばしさが身上の「田舎のおかき」、きなこをまとった「きなこ餅」、口どけのよい「ふわっと」など、素材の味を生かした商品がそろいます。派手さよりも、毎日食べても飽きない誠実な味——それが岩塚製菓の持ち味です。長岡には体験施設「お米となかよしパーク」もあり、米菓の魅力を発信しています。
まとめ
岩塚製菓は、農村を豊かにしたいという二人の創業者の思いから生まれ、国産米100%の信念と、台湾への技術指導という誠実な物語を持つ米菓メーカーです。一枚の味しらべの向こうには、日本の米と、人を信じた商いの歴史があります。