あずきバーはどれくらい硬い?|硬さと硬度の理由【実験検証結果】

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あずきバーは硬い

あずきバー駄菓子屋にも置かれていたほど多くの人に親しまれている商品ですが、その硬さがインターネット上で話題になることがあります。

この硬さには製造会社である井村屋の製法と原材料が関わっています。

実際に報告されているトラブル

  • 歯が折れそうになった
  • 仮歯が取れた
  • 歯が欠けた
  • 歯が折れた

あずきバーの硬さについては、実際に体験した人々から様々な報告が寄せられています。

歯科医によると、夏場はあずきバーによる歯のトラブルが発生することがあるそうです。特に虫歯治療を受けた歯や、詰め物をしている歯は、硬いものを噛んだときに破損しやすくなります。

井村屋の公式サイトでは、あずきバーの硬さについて注意喚起がされています。公式サイトでは、少し溶かしてから食べることや、無理に噛まないことなどが推奨されています。

あずきバーが硬い理由

原材料詳細
小豆北海道産または北米産
砂糖グラニュー糖(発売当初は上白糖)
水あめ小豆の分散と食感の調整
味の引き締め
あずきパウダー食感と風味の調整(過去はコーンスターチ)

あずきバーの原材料は非常にシンプルで、砂糖、小豆、水あめ、食、あずきパウダーの5種類のみです。過去にはコーンスターチが使われていましたが、現在はあずきパウダーに変更されています。

あずきバーの硬さは、その製法と原材料に直接起因しています。

1. 空気含有量が少ない

一般的なアイスクリームは製造過程で空気を含ませることで、柔らかく滑らかな食感を作り出します。

この空気の含有率をオーバーラン率と呼び、アイスクリームの食感を決める要素となっています。

あずきバーは素材をぎっしりと詰め込み、空気の泡が少なくなっています。

これは小豆を均等に配置し、ぜんざいの味わいを再現するために必要な製法の結果です。

2. 乳製品不使用

あずきバーには安定剤や乳化剤などの添加物が使用されていません。また、一般的なアイスクリームに含まれる乳製品も一切入っていません。

一般的なアイスクリームには乳脂肪が含まれており、これが柔らかさと滑らかさを生み出します。

しかし、あずきバーには乳製品が一切入っていません。乳脂肪がないということは、凍らせたときに氷の結晶がそのまま形成されるということです。

乳脂肪があれば氷の結晶の成長を抑え、滑らかな食感になりますが、あずきバーにはこの効果がありません。

これは「ぜんざいをそのまま凍らせたようなアイス」という開発コンセプトに基づいています。

ぜんざいには乳製品が入っていません。そのため、あずきバーにも乳製品を加えず、ぜんざいの味わいを忠実に再現する方針が取られました。この結果、あずきバーは非常にシンプルな原材料だけで作られることになり、その製法が硬さを生み出しています。

3. 添加物不使用

市販のアイスクリームの多くには、安定剤や乳化剤が使用されています。

これらの添加物は氷の結晶の成長を抑え、滑らかで柔らかい食感を維持する役割を果たします。

あずきバーには添加物が使用されていないため、この効果がありません。

純粋に原材料だけで作られているため、凍らせたときの硬さがそのまま製品の硬さとなっています。

あずきバーの硬度を検証する実験

釘打ち実験の結果

実験内容結果
使用したもの冷凍庫から出したばかりのあずきバー
対象木の板と釘
結果釘を打つことに成功

あずきバーの硬さを実証するため、金づちの代わりにあずきバーを使って釘を打つ実験が行われました。

この実験は、あずきバーが金づちの代わりになるほど硬いということを視覚的に示すものです。通常のアイスクリームでは到底不可能な実験結果といえます。

硬度計による測定

測定対象硬度備考
リンゴ非常に低い数値柔らかい果物として測定
スジャータアイス比較的低い数値「硬いアイス」として知られる
あずきバー非常に高い数値圧倒的な硬さを記録

硬度計を用いた検証では、あずきバーと他の食品の硬さが数値で比較されました。硬度計は物体の硬さを数値化する測定器で、様々な分野で使用されています。

リンゴの硬度を測ったところ非常に低い数値が出たのに対し、あずきバーは高い数値が記録されました。

また、新幹線で販売されている「スジャータ スーパープレミアムアイスクリーム」との比較も行われ、あずきバーの方が圧倒的に硬いという結果になりました。

スプーンが刺さるまでの時間

アイスの種類スプーンが刺さるまで食べ頃まで
スジャータアイス約2分約10分
あずきバー刺さらないかなりの時間を要する

この時間の差は、両者の硬さの違いを実用的な観点から示しています。スジャータアイスも「硬いアイス」として知られていますが、あずきバーはそれをさらに上回る硬さということになります。

ナイフメーカーによる硬度検証

岐阜県関市はナイフや刃物の生産で知られる地域です。この地域のナイフメーカーが、井村屋の許可を得て、ナイフの硬度を測る機械であずきバーの硬度を検証しました。

計測の結果、非常に硬い数値が記録されました。この数値は通常の食品では考えられないほどの硬さを示しており、金属加工に使用される硬度測定の範囲に達していたのです。

このきっかけは、インターネット上で刀鍛冶の画像があずきバーの製法として話題になったことです。井村屋公式がそれに反応し、岐阜県関市と井村屋のコラボレーションが実現しました。

この検証がきっかけとなり、岐阜の刃物まつりでは実物大のあずきバーの刀が作られました。刀の形をしたこの作品は、あずきバーと刃物の街・関市とのコラボレーションを象徴するものとして展示されました。

硬いあずきバーを柔らかく食べる方法

電子レンジで柔らかくする

加熱時間状態
10秒柔らかく食べやすい
さらに長時間ぜんざいになる

あずきバーは電子レンジで加熱することで柔らかくなります。10秒ほど加熱すると、スプーンが刺さりやすく、歯への負担も少ない状態になります。

さらに長く温めると、完全に溶けてぜんざいになります。これはあずきバーが基本的にぜんざいを凍らせたものであるため、温めればぜんざいに戻るという理にかなった食べ方です。

飲み物に浸す

牛乳やコーヒーに浸して食べるという方法もあります。

飲み物に浸すことで表面から徐々に溶け、柔らかくなっていきます。

この食べ方では、あずきバーの味と牛乳やコーヒーの味が混ざり合い、異なる味わいを楽しむこともできます。

特に牛乳に浸すと、乳製品が入っていないあずきバー乳製品の風味が加わります。

専用かき氷機の使用

あずきバー専用のかき氷機も販売されています。

この機器を使うと、硬いあずきバーを削り、かき氷状にして食べることができます。

かき氷状にすることで、硬さの問題が完全に解消され、ふわふわとした食感で楽しめます。

見た目も変わり、夏らしい楽しみ方として定着しています。

あずきバーの誕生

開発の背景

1963年、井村屋アイス事業に参入し、その年にあずきバーが開発されました。ただし、開発されたのは1963年ですが、実際に広く販売されるようになったのは1973年からです。

当時の井村屋和菓子屋として認知されており、アイス市場では後発でした。大手アイスメーカーがすでに市場を占めている中で、井村屋が参入するには独自の商品性が必要だったのです。

開発の難しさ

  • 発想の原点: 井村屋が得意とする「ぜんざい」を固めてアイスにする
  • 技術的課題: 小豆が液体より重く、棒アイスにする過程で沈んでしまう
  • 解決方法: 水あめやコーンスターチの配分を工夫する
  • 結果: 1本に約100粒のあずきを均等に配置することに成功

ぜんざいをアイスにするという発想は単純に思えますが、実現には技術的な困難が伴いました。小豆は水や液体より比重が重いため、凍らせる過程でどうしても底に沈んでしまいます。これでは棒アイスとして商品化できません。

開発チームは水あめやコーンスターチの配分に工夫を重ねました。粘度を調整することで、小豆が沈まずに均等に分散するようにしたのです。この技術開発により、1本のあずきバーに約100粒のあずきが均等に入った商品が完成しました。

商品化への道のり

1963年に開発されたあずきバーですが、本格的な販売は1973年からとなりました。

この間、井村屋は販売網の構築や市場での認知度向上に取り組んでいました。1973年の本格販売以降、あずきバーは徐々に市場に浸透していきます。

井村屋は自社で小豆を加工してあんこを作っています。北海道産や北米産の小豆を仕入れ、社内で加工することで品質を管理しているのです。

これは外部からあんこを仕入れるよりもコストがかかりますが、味の品質を保つために続けられています。

時代に合わせた改良

発売当初と現在では、あずきバーの味わいに変化があります。

時代の変遷とともに人々の嗜好が変わり、甘さ控えめを好む傾向が強まりました。

  • 砂糖の種類を上白糖からグラニュー糖に変更
  • すっきりとした後味になるよう調整
  • 着色料の使用を中止
  • 甘さを発売当初より30〜40パーセント減少

これらの改良により、現在のあずきバーは発売当初よりも甘さが抑えられ、小豆本来の風味が感じられる味わいになっています。

井村屋の創業と発展

明治時代の創業

井村屋は1896年、明治時代に三重県飯南郡松阪町で菓子舗として創業されました。

創業者は井村和蔵氏で、この時代から数えると120年以上の歴史を持つ企業です。

株式会社としての正式な設立は戦後の1947年ですが、その起源は明治時代にまで遡ります。

創業当初の井村屋和菓子、特に羊羹の製造で事業をスタートさせました。

この羊羹製造が井村屋の菓子作りの原点となり、後に小豆を使った様々な商品へと発展していきます。

戦前から戦後の商品展開

時期主な商品特徴
創業期羊羹和菓子製造の基礎を確立
戦前ウズマキ、トラ巻、くじ引き甘納豆和菓子を中心に展開
戦後カンパンビスケットキャラメル、ドロップ洋菓子分野に進出
1951年ビタミン・カルシウム入り羊羹国の特殊栄養食品指定を取得
1960年代即席ぜんざいインスタント食品ブームに対応

戦前は「ウズマキ」や「トラ巻」といった和菓子を販売していました。戦後になると和菓子だけでなく洋菓子にも事業を広げ、カンパンビスケットキャラメル、ドロップなども手がけるようになります。

1951年に砂糖の統制が解かれると羊羹が復活しました。

このとき井村屋はビタミンB1、B2、カルシウム入りの羊羹を開発し、国の特殊栄養食品の指定を受けています。戦後の栄養状態が十分でなかった時代において、栄養価を高めた菓子という位置づけでした。

小豆製品のイメージが形成

1960年代のインスタント食品ブームには「即席ぜんざい」で対応し、全国的に販売される商品となりました。

お湯を注ぐだけで手軽にぜんざいが楽しめるこの商品により、「あずき=井村屋」というイメージが形成されたとされています。

1962年には「ゆであずき」を販売し、井村屋初の缶詰商品となりました。ゆであずきは家庭でぜんざいやお汁粉を作る際の材料として定着していきます。

1964年には肉まん・あんまんの販売を開始しました。これらは冬の定番商品として定着し、現在でもコンビニエンスストアなどで広く販売されています。

あずきバーのバリエーション

過去の商品展開

井村屋では過去に、様々な種類のあずきバーを販売していました。

これらの商品は期間限定や地域限定で販売されていたものもあります。柔らかいあずきバーは、通常のあずきバーの硬さが苦手な人向けに開発されたものでした。

現在の商品ラインナップ

現在、あずきバーシリーズとして販売されているのはこの3品です。

ミルク金時バーは練乳を加えた味わいで、通常のあずきバーより甘めの仕上がりです。

宇治金時バーは抹茶を加えた商品で、小豆と抹茶の組み合わせを楽しめます。

復刻版の販売

2023年には発売50周年を記念して、1973年発売当初の味わいとパッケージデザインを再現した「あずきバー 復刻版」が数量限定で販売されました。

この復刻版は、現在のあずきバーより甘さが強く、発売当初の味わいを体験できるものでした。パッケージデザインも当時のものを再現し、懐かしさを感じられる商品となっていました。

あずきバーと記念日

毎月1日「井村屋の記念日」

井村屋は、小豆が縁起が良く健康にも良い食品として、古くから毎月1日と15日に食されてきたことに着目しました。

この慣習に基づき、毎月1日を井村屋の記念日として定めています。

この記念日は、小豆という食材の文化的な意味を広く知ってもらうための取り組みの一つです。

7月1日「井村屋あずきバーの日」

本格的な暑さを迎える7月1日を「井村屋あずきバーの日」として制定し、2007年に日本記念日協会より認定されました。

7月1日は夏の始まりを告げる時期であり、アイスの需要が高まる時期でもあります。

この日をあずきバーの記念日とすることで、夏の風物詩としてのあずきバーの位置づけを明確にしています。

まとめ

あずきバーの硬さは、乳製品や添加物を使わず、シンプルな原材料だけで「ぜんざいをそのまま凍らせたようなアイス」を実現するという開発コンセプトから生まれたものです。空気含有量が少なく、乳脂肪や安定剤がないことが、あずきバーが硬い理由となっています。

井村屋明治時代から続く老舗企業として、小豆を使った商品開発を続けてきました。その歴史の中で培われた技術と理念が、あずきバーという独特の商品を生み出したのです。

硬さについては注意が必要ですが、その硬さこそがあずきバーの個性であり、長年にわたって多くの人に親しまれてきた理由の一つとなっています。シンプルな素材で作られながらも、その物理的な特性は他のアイスとは一線を画すものとなっており、井村屋の代表商品として現在も愛され続けています。

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