クレープとは
クレープは、フランスを代表するデザート菓子(アントルメ)の一つです。流動状の生地を薄く広げて焼き上げた、ちりめんのような薄い生地が特徴です。基本的な生地は小麦粉、卵、牛乳を主な材料として作られます。薄く焼き上げられた生地は柔らかく、様々な具材と相性が良いことから、世界中で愛されているお菓子です。
クレープの発祥起源
始まりはブルターニュ地方のガレットという食べ物
クレープの発祥はフランスのブルターニュ地方にあります。この地域は土壌が痩せており、小麦の栽培には向いていませんでした。そのため、そば粉を主原料とした「ガレット」という円盤状の食べ物が作られました。これは庶民の主食として広まり、現在でも食事系のクレープ「クレープ・サレ」として親しまれています。
ガレットが甘い生地になってクレープへ
17世紀になると、フランス王ルイ13世の王妃アンヌがブルターニュを訪れ、庶民が食べるガレットを気に入りました。彼女はこれを宮廷料理に取り入れ、小麦粉を使用し、牛乳やバター、砂糖を加えた甘い生地へと変化させました。これが現在の「クレープ・シュクレ(砂糖味のクレープ)」の原型となります。
その後のクレープ
その後、クレープはフランス全土に広まり、現在では甘いものと塩味のものの両方が楽しまれています。シンプルな食べ方が一般的なフランスに対し、日本では1977年に原宿で販売されて以来、クリームやフルーツをたっぷりのせた華やかなスタイルが定着し、独自の発展を遂げました。
フランスにおけるクレープ文化
パリの屋台クレープ
フランスではクレープは伝統的なデザートとして親しまれ、日常的に楽しまれています。特にパリでは、街角の小さな屋台でクレープが提供されています。一坪ほどの小さなスペースで、道行く人々に温かいクレープが振る舞われます。クレープにはジャムやバターを塗ったり、粉糖をかけたりしてシンプルに楽しむのが一般的です。
ブルターニュ地方のクレープリー
フランスの大西洋岸に位置するブルターニュ地方は、クレープの名産地として知られています。この地域では「クレープリー」と呼ばれる専門店が多く存在し、甘いものから塩味のものまで、数十種類ものメニューが提供されています。
ブルターニュ地方のクレープリーでは、パリの立ち食いスタイルとは異なり、レストラン形式での提供が主流となっています。メニューは甘いデザート系だけでなく、チーズやハム、ソーセージなどを使用した食事系まで豊富に取り揃えられています。この地域では、クレープは単なるデザートではなく、一つの食文化として深く根付いています。地域の伝統と革新が融合した多様なクレープメニューは、観光客にも人気があります。
日本におけるクレープの普及
日本でのクレープブームの始まり
日本でクレープが人気を集め始めたのは1976年(昭和51年)頃からです。横浜元町通りの「ブールミッシュ」がカフェ形式のクレープショップを開店し、同時期に渋谷では「マリオンクレープ」が屋台風の店舗をオープンしました。翌1977年には原宿竹下通りに「カフェクレープ」が開店し、若者の間で大きな人気を集めました。
クレープの広がりと定着
これらの店舗の成功により、クレープは日本の若者文化の象徴的な存在となっていきました。各地の繁華街にはクレープショップが次々とオープンし、特に歩きながら食べられる手軽さが人気を集めました。女性誌やファッション雑誌でもクレープが取り上げられ、流行の一つとして広がっていきました。
今ではホテルやレストランでもしっかりとメニューに取り入れられ、デザートとしてだけでなく食事の一環として楽しまれるようになっています。こうしてクレープは、日本でもすっかり市民権を得るまでになりました。
現代の日本のクレープ
クレープは、シンプルな材料ながらもアレンジの幅が広く、甘いデザート系から食事系まで幅広いバリエーションを持っています。カスタマイズの自由度が高いため、さまざまな国や地域で独自のスタイルが生まれています。
日本では、生クリームやフルーツをふんだんに使ったスイーツ系クレープが人気ですが、最近ではヘルシー志向のクレープや、伝統的なガレット風のクレープも注目を集めています。また、食べ歩きだけでなく、カフェや専門店でゆっくり味わう楽しみ方も広がっています。
クレープはこれからも世界中で愛され続けることでしょう。その魅力は、シンプルな生地と多彩なトッピングの組み合わせによって、無限の可能性を秘めている点にあります。