生クリームがない時に代用できる食材例と作り方

生クリームがない!そんなときは…
料理やお菓子作りに欠かせない生クリームですが「使いたいときに冷蔵庫にない」なんてこと良くありませんか?
生クリームは他の乳製 品と比べて価格が高く、開封後の消費期限も短いため、常備している家庭は多くありません。
しかし、身近な食材を使って生クリームを代用することは十分可能です。
代用方法を理解するためには、まず生クリームそのものの特性を把握することから始めましょう。
生クリームとは何かを理解する
生クリームの定義
生クリームとは、牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去して作られる食品です。
法律では乳脂肪分が18パーセント以上であることが定められています。
市販されている生クリームは、20パーセントから50パーセントの脂肪分を含んでいます。
これは普通の牛乳の脂肪分3.8パーセントと比較すると、5倍から13倍も濃厚な計算になります。
この高い脂肪分こそが、生クリーム特有の濃厚なコクと白い色、そしてトロリとした質感を生み出しているのです。
二つの使い方
生クリームが持つこの特性により、料理では二つの異なる使い方が可能になります。
一つは液体のままソースやスープに混ぜる方法。
もう一つは空気を含ませて泡立てるホイップクリームとしての使用です。
この違いを理解することは、適切な代用方法を選ぶ上で重要です。
なぜなら、液体状態で求められる特性と、泡立てた状態で求められる特性は全く異なるからです。
生クリームを「液体として使う場合の代用方法」
液体状態で使用する場合、生クリームの役割は主に料理にコクと滑らかさを与えることです。
例えば、クリームシチューやカルボナーラ、グラタンなどでは、生クリームが加わることで味に深みが生まれ、口当たりがまろやかになります。
お菓子作りでは、パウンドケーキやマフィンの生地に混ぜることで、しっとりとした食感を作り出します。
牛乳とバターのクリームで代用
このような用途での代用を考える際、最も効果的で実用的な方法は牛乳とバターの組み合わせです。
牛乳は生クリームの基となる原料であり、バターは牛乳の脂肪分を練り固めたものです。
つまり、この二つを合わせることで、生クリームの成分構成に近づけることができるのです。
作り方
具体的な作り方を説明します。牛乳160ミリリットルに対してバター40グラムの割合で準備します。
これらを耐熱容器に入れ、600ワットの電子レンジで1分ほど、バターが完全に溶けるまで加熱します。
加熱後はよく混ぜ合わせてください。
この方法で作った代用クリームの脂肪分は約20パーセントとなり、市販の生クリームに近い濃度を再現できます。
コーヒーフレッシュで代用
コーヒーフレッシュは見た目が生クリームに似ているため、少量の使用であれば代用可能です。
ただし、コーヒーフレッシュの主原料は植物性油脂であり、生クリームのような乳脂肪由来のコクは期待できません。
それでも、ビーフシチューの仕上げに少量かける程度の用途であれば十分に役割を果たします。
ココナッツミルクで代用
ココナッツミルクも代用品として活用できます。
ココナッツミルクは脂肪分が高く、トロミもあるため生クリームに似た食感を提供します。
ただし、ココナッツ特有の風味があるため、この風味が料理に合うかどうかを事前に検討する必要があります。
アジア料理やカレー、一部のデザートでは、むしろこの風味が良いアクセントになることもあります。
山芋で代用
山芋をすりおろしたものも、その独特の粘性を活用して生クリームの代用として使用できます。
山芋にはほのかな甘味があり、すりおろすことでとろろのような粘性を持つため、この食感を生クリームのまろやかさの代用として活用できます。
ただし、風味が大きく異なるため、使用する料理を慎重に選ぶ必要があります。
マスカルポーネチーズで代用
マスカルポーネは生乳の乳脂肪にクエン酸などを加えて作られるフレッシュチーズで、生クリームと同様に乳脂肪を主原料としているため、似たようなコクのある味わいを提供できます。
ティラミスやチーズケーキなどのデザートでは、むしろマスカルポーネを使った方が本格的な味わいになる場合もあります。
生クリームを「ホイップとして使う場合の代用方法」
液体状態での使用とは対照的に、ホイップクリームとして使用する場合の代用には全く異なるアプローチが必要です。
生クリームを泡立てることができるのは、その高い脂肪分により空気を抱え込む力があるためです。
普通の牛乳は脂肪分が低すぎるため、どれだけ泡立てても安定したホイップ状態を作ることができません。
そこで、牛乳に粘度を与える工夫が必要になります。
牛乳とゼラチンのホイップクリームで代用
最も効果的な方法は、ゼラチンを使用することです。
ゼラチンは液体を固める性質があり、これを利用して牛乳に適度な粘度を与えることで、泡立て可能な状態を作り出します。
できあがったクリームは生クリームよりもあっさりとした味わいになります。
また、生クリームのようにしっかりとしたツノが立つほどには固くなりませんが、パンケーキやシフォンケーキのトッピングには十分使用できます。
ただし、ゼラチンで固めているという性質上、常温に置くと緩くなり、冷蔵庫に入れると再び固まるという特徴があります。そのため、使用する直前に泡立て直すことが必要になる場合があります。
作り方
この混合物を冷蔵庫で20分ほど冷やし、少しとろみがついた状態で一度取り出します。冷えた混合物を、ハンドミキサーで泡立てます。この時点ではまだ完全なクリーム状にはなりません。
水切りヨーグルトで代用
ヨーグルトを使った代用方法も非常に実用的です。
ヨーグルトそのままでは水分が多すぎてクリーム状になりませんが、水切りをすることで濃厚なクリーム状に変化させることができます。この方法は比較的簡単で、特別な材料も不要です。
砂糖を加えて混ぜ合わせれば、ホイップクリームの代用として使用できます。
味わいは生クリームと比べてあっさりとしており、ヨーグルト特有のほのかな酸味があります。この酸味が気になる場合は、より長時間水切りすることで和らげることができます。
作り方
ザルの上にキッチンペーパーを敷き、その上にプレーンヨーグルト300グラムを載せます。
ラップをかけて冷蔵庫に入れ、5時間以上水切りします。時間をかけてじっくりと水分を抜くことで、チーズのような濃厚な質感になります。
水切り後のヨーグルトの重量が半分程度になるまで水切りすると、デコレーション用途にも使用できる硬さになります。
この水切りヨーグルトに砂糖を10グラム程度加えて混ぜ合わせれば、ホイップクリームの代用として使用できます。
水切りの際に出る液体はホエー(乳清)と呼ばれ、たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
この栄養価の高い液体は捨てずに、スムージーに加えたり、パンやお菓子作りの液体として活用したりすることができます。
豆腐で代用
豆腐を使った代用方法は、乳製品を使用しない選択肢として価値があります。
特に乳製品アレルギーがある方や、小さなお子さんでも安心して食べられるクリームを作りたい場合に適しています。
木綿豆腐を使用するのは、絹ごし豆腐よりも水分が少なく、水切り後により安定したクリーム状になるためです。
作り方
木綿豆腐200グラムをキッチンペーパーで包み、重石を載せて一晩しっかりと水切りします。水切りが不十分だと、後でクリーム状になりません。
水切りした豆腐に砂糖10グラム程度とサラダ油大さじ2分の1を加え、フードプロセッサーやミキサーでなめらかになるまでよく撹拌します。
サラダ油を少量加えるのは、よりクリーミーな質感を作り出すためです。
豆腐の風味が気になる場合は、砂糖の代わりにメープルシロップを使用したり、ココア小さじ1から2程度を加えてチョコレート風味にしたりすることで、風味を調整できます。バニラエッセンスを数滴加えるのもありですよ。
完成した代用クリームの特性を比較
これらの代用クリームを実際に絞り袋で絞ってみると、それぞれに特徴があることが分かります。
- 牛乳とゼラチンで作ったクリーム
絞り型の跡が少し残りますが、全体的にやや緩めの仕上がりになります。しかし、ゼラチンで固まっているため、垂れ落ちることはありません。
- 水切りヨーグルトで作ったクリーム
絞り型の跡がはっきりと残り、デコレーション用途に十分使用できます。より長時間水切りすることで、さらに硬く扱いやすいクリームにすることも可能です。
- 豆腐で作ったクリーム
意外にも絞り型の跡がきれいに残り、細かなデコレーション作業にも対応できます。ただし、見た目がやや黄色っぽくなるため、純白のクリームが必要な場合には適さないかもしれません。
味の観点から比較すると、水切りヨーグルトで作ったクリームがすっきりとした味わいで食べやすく、特別な理由がなければヨーグルトを使った方法が代用品として適しています。豆腐を使ったクリームは植物性で健康的ですが、豆腐特有の風味が残りやすいという特徴があります。
生クリームの代用の注意点
料理に少量の生クリームを使う場合の判断
料理に少量の生クリームを使用するレシピの場合、これらの代用品を作る手間をかけずに、単純に牛乳をそのまま使用しても問題ない場合があります。
生クリームは料理にコクと滑らかさを加える役割を持っていますが、大さじ1から2杯程度の少量であれば、省略してしまっても料理の出来栄えに大きな影響を与えないことが多いのです。
味への影響
代用品を選択する際に考慮すべき要因はいくつかあります。まず、完成する料理の味わいへの影響です。
例えば、甘いお菓子作りではバニラアイスを溶かしたものを代用品として使用することも可能ですが、これを塩味の効いた料理に使用すると、不自然な甘さが加わってしまいます。
逆に、お菓子作りでは既に甘味が含まれていることで、砂糖の使用量を調整できるという利点もあります。
保存に関する衛生面
食品安全の観点から、代用品の保存についても注意が必要です。
特に複数の食材を混ぜ合わせて作った代用クリームは、雑菌が繁殖しやすい環境を作り出す可能性があります。
また、泡立て作業により空気に多く触れることで、酸化が進みやすくなることもあります。
そのため、代用品は作ったその日のうちに使い切ると衛生上、安心して食べられます。
まとめ
これらの代用方法を理解し活用することで、生クリームがない状況でも慌てることなく料理やお菓子作りを継続できます。
それぞれの代用品には特徴があり、用途や好みに応じて最適なものを選択することが重要です。
また、代用品を使うことで、従来とは異なる味わいや食感を楽しむこともでき、料理の幅を広げる機会にもなります。
冷蔵庫にある身近な材料を有効活用し、創意工夫を凝らした料理作りを楽しんでください。