江崎グリコ（株）がチョコレート製品の風味異常により自主回収！

江崎グリコ（株）がチョコレート製品を自主回収

江崎グリコ株式会社は2025年12月8日、チョコレート製品20品目、合計約600万個を自主回収すると発表しました。

対象商品は「ポッキーチョコレート」や「ポッキー極細」をはじめとする同社の代表的なチョコレート製品です。賞味期限が2026年5月から2026年10月の期間が記載された一部商品が該当します。

回収の理由は本来の風味と異なる香辛料由来の風味が感じられるためで、安全性に問題はないものの品質の観点から回収を決定しました。原因はカカオ豆を保管していた物流倉庫で、改修工事の際に暫定的にカカオ豆と香辛料を同一場所で保管したことによります。

対象商品をお持ちの方は、インターネットの受付フォームから申し込むことで宅配業者が引き取りに伺い、後日商品代金相当のQUOカードが送付されます。

【参考】商品回収に関するお詫びとお知らせ｜江崎グリコ株式会社

回収の背景

江崎グリコは「品質」を最優先とし、「おいしさ」における品質の観点から回収の判断に至りました。同社が製造・販売するチョコレート製品において、本来の風味と異なる商品が流通していることが判明したためです。

対象商品については、チョコレート製品では本来感じられない香辛料由来の風味を感じる場合があります。ただし、そのままお召し上がりいただいても安全性に問題はないとされています。

発表日

江崎グリコは2025年12月8日に公式ウェブサイト上でプレスリリースを公開し、自主回収を発表しました。同時に報道機関にも通知し、広く情報を周知する体制を取っています。

回収対象の規模

回収対象となるのはチョコレート製品20品目、約600万個です。これは同社の製品ラインナップの中でも広範囲に及ぶ回収となります。

風味の異常が発生した原因

物流倉庫での保管状況

風味の異常が発生した原因は、カカオ豆の保管方法に起因します。

該当するチョコレート製品の主原料であるカカオ豆を貯蔵していた物流倉庫において、倉庫の改修工事の際に、暫定的にカカオ豆と香辛料を同一場所で保管したことによります。その結果、香辛料の香りがカカオ豆に移ってしまいました。

カカオ豆の特性

カカオ豆は多孔質の構造を持つため、周囲の香りを吸収しやすい性質があります。倉庫内で香辛料と同じ空間に置かれたことで、香辛料の香気成分がカカオ豆に移行したと考えられます。

食品の保管においては、香りの強い食材を別々に管理することが基本的な原則です。今回の事例は、改修工事という特殊な状況下で暫定的な保管方法を取った結果、この原則が守られなかったことが要因となりました。

改修工事と暫定保管

倉庫の改修工事期間中、通常とは異なる保管レイアウトを採用したことが、今回の問題につながりました。改修工事では倉庫の一部を使用できなくなるため、保管スペースの制約が生じます。

この制約に対応するため、一時的にカカオ豆と香辛料を同じエリアに配置したと推測されます。工事期間中の暫定措置であったとはいえ、食品の品質管理において重要な原則が守られなかったことが、大規模な自主回収につながりました。

自主回収の対象商品はどれ？

主な対象商品

• 冬のくちどけポッキー
• ジャイアントポッキー
• 神戸ローストショコラ
• メンタルバランスチョコレートGABAシリーズ
• LIBERAシリーズ

対象商品には「ポッキーチョコレート」「ポッキー極細」の他、このような商品が含まれます。

これらは江崎グリコの代表的なチョコレート製品であり、日常的に広く購入されている商品です。

【参考】商品回収に関するお詫びとお知らせ｜江崎グリコ株式会社

賞味期限による判別方法

対象となる商品の賞味期限は、2026年5月から2026年10月までの期間が記載された商品の一部です。ただし、同じ賞味期限でもすべての商品が対象となるわけではありません。

ポッキーシリーズの見分け方

「ポッキーチョコレート」「ポッキー極細」「ポッキーチョコレート8袋」「景品用ポッキーチョコレート」「販売促進用ポッキーチョコレート」は、賞味期限が2026年5月から8月、または2026年9月で「/」以降がSSで始まる商品のみが対象です。

賞味期限の表記は通常「2026.5.15/SS12345」のような形式で印字されています。「/」の後ろの記号を確認することで、対象商品かどうかを判別できます。

業務用商品の見分け方

「業務用ポッキーチョコレート」は、賞味期限が2026年5月から8月、または2026年9月で2段目の記号がSSで始まる商品のみが対象です。

業務用商品の場合、賞味期限と製造記号が複数行にわたって印字されていることがあります。2段目の記号を確認する必要があります。

その他の商品の見分け方

他の商品についても、それぞれ個別の賞味期限範囲が指定されています。

「冬のくちどけポッキー」は賞味期限が2026年6月から8月の商品が対象です。「LIBERA<ミルク>」は2026年7月から10月の商品が対象となります。

各商品のパッケージに記載されている賞味期限を確認し、対象期間内であれば回収の対象となる可能性があります。詳細は江崎グリコの公式ウェブサイトや受付フォームで確認できます。

回収対象商品の販売地域と販売チャネル

全国規模で販売されていた

対象商品は全国のスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、通販サイト、オフィスグリコ、グリコピア売店などで販売されました。

販売チャネルが多岐にわたるため、回収対象商品は広範囲に流通しています。一般消費者が日常的に買い物をする場所のほとんどで取り扱われていたことになります。

販売チャネルの種類もたくさん

スーパーやコンビニエンスストアは日常的な買い物の場として利用されるため、対象商品を購入した可能性のある人の数は相当数に上ります。

通販サイトでも販売されていた

通販サイトでも対象商品が販売されていました。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングといった主要な通販サイトに加え、江崎グリコの公式オンラインショップでも取り扱われていた可能性があります。

通販で購入した場合、まとめ買いをしている可能性が高く、手元に複数の対象商品がある場合も考えられます。

オフィスグリコとグリコピア

オフィスグリコは企業のオフィスに設置されている無人販売システムです。職場で手軽に菓子類を購入できる仕組みとして利用されています。

グリコピアは江崎グリコの工場見学施設で、見学の際に併設された売店で商品を購入できます。工場直売という特別感から、お土産として購入する人も多い場所です。

対象商品の回収方法と手順

インターネット受付フォーム

お客様のお手元に対象商品がある場合、インターネットの受付フォームから必要事項を入力することで、宅配業者が対象商品を引き取りに伺います。

受付フォームは24時間利用可能です。必要事項を入力すると、後日、宅配業者が指定した住所に訪問し、対象商品を回収します。

必要事項の入力

• 氏名
• 住所
• 電話番号
• メールアドレス
• 商品名
• 商品の数量
• 賞味期限
• 希望の引き取り日時

受付フォームでは以下のような情報の入力が求められると考えられます。

これらの情報を正確に入力することで、スムーズな回収手続きが可能になります。

宅配業者による引き取り

受付フォームで指定した日時に、宅配業者が訪問します。商品は段ボールや袋などに入れておくと引き渡しがスムーズです。

宅配業者が商品を受け取る際、特別な書類への署名や印鑑は不要と考えられますが、念のため身分証明書を手元に用意しておくと安心です。

返金方法

後日、商品代金相当のQUOカードが送付されます。QUOカードは全国の取扱店で使用できるプリペイドカードです。

返金までの期間は明示されていませんが、一般的な自主回収の事例では数週間から1か月程度かかることがあります。

電話での問い合わせ

インターネットでの手続きが難しい場合は、電話での問い合わせも可能です。

グリコお客様センター「商品回収係」では、月曜日から金曜日の9時から17時まで電話での問い合わせを受け付けています。ただし、2025年12月13日(土)と14日(日)は特別に受け付けます。

電話での問い合わせでも、商品名、賞味期限、住所などの情報を伝えることで回収手続きを進められます。

食品の自主回収とは

自主回収の定義

食品の自主回収とは、食品事業者が製造・販売した食品について、安全性や品質に問題がある、または問題がある可能性があると判断した場合に、自らの判断で市場から商品を回収する行為です。

法律で義務付けられた強制的な回収ではなく、事業者が自主的に行うものですが、食品衛生法や食品表示法に基づいて実施されます。

自主回収の目的

自主回収の主な目的は消費者の安全と健康を守ることです。問題のある商品が消費されることを防ぎ、健康被害の発生を未然に防ぐための措置といえます。

今回の江崎グリコの事例では、安全性に問題はないものの、本来の風味と異なるという品質上の理由から回収を決定しました。これは「おいしさ」という品質を重視する同社の姿勢の表れといえます。

自主回収の通知義務

食品衛生法では、食品事業者が自主回収を行う場合、都道府県知事等に届け出る義務があります。これにより、行政が自主回収の状況を把握し、必要に応じて指導や監督を行うことができます。

江崎グリコも所管の行政機関に届け出を行い、適切な手続きに従って回収を進めていると考えられます。

江崎グリコの対応と再発防止策

お客様と販売店への謝罪

江崎グリコは、お客様および販売店様に対し、多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫びしています。

同社の公式プレスリリースでも謝罪の言葉が述べられており、今回の事態を重く受け止めている姿勢が示されています。

再発防止への取り組み

今後は再発防止のため、倉庫保管ルールや検査体制を見直すなど、品質管理の徹底に万全を尽くすとしています。

具体的な再発防止策としては以下のような取り組みが考えられます。

• 倉庫保管ルールの明文化
• カカオ豆と香辛料の保管エリアの完全分離
• 改修工事時の保管計画の事前承認制度
• 原材料入荷時の香り検査の強化
• 製造前のカカオ豆品質検査の徹底

これらの取り組みにより、同様の問題が再び発生することを防ぐ体制を構築することが期待されます。

倉庫保管ルールの見直し

今回の原因が倉庫での暫定的な保管方法にあったことから、倉庫保管に関するルールの見直しが重要になります。

通常時の保管ルールだけでなく、改修工事などの特殊な状況下でも品質を守るための具体的な手順を定める必要があります。工事期間中の保管計画を事前に作成し、品質管理部門の承認を得ることで、暫定的な措置による問題を防ぐことができます。

検査体制の強化

原材料の段階での検査を強化することも再発防止につながります。カカオ豆が工場に入荷した時点で、香りの異常がないかを確認する検査を実施することで、問題のある原材料が製品に使用されることを防げます。

官能検査と機器分析を組み合わせることで、より精度の高い検査が可能になります。官能検査では訓練を受けた検査員が実際に香りを確認し、機器分析では香気成分を科学的に測定します。

消費者が注意すべきこと

自宅の商品確認

対象商品をお持ちの方は、まず商品のパッケージに記載されている賞味期限を確認してください。賞味期限が2026年5月から2026年10月の期間内であれば、回収対象の可能性があります。

ただし、同じ賞味期限でもすべての商品が対象となるわけではないため、商品ごとの詳細な判別方法を確認する必要があります。

回収対象商品の取り扱い

回収対象商品であることが確認できた場合、商品を食べずに保管しておいてください。安全性に問題はないとされていますが、本来の風味と異なるため、品質の観点から回収が行われています。

商品は開封していても回収の対象となります。一部を食べてしまった後でも、残りの商品を回収に出すことができます。

回収手続きの実施

確認後は速やかに回収手続きを進めることをお勧めします。インターネットの受付フォームまたは電話で申し込みを行い、宅配業者による引き取りを依頼してください。

回収期限が設定されている可能性もあるため、早めに手続きを行うことが望ましいです。

食品業界における品質管理

原材料管理の重要性

食品製造において、原材料の管理は最終製品の品質を左右する重要な要素です。原材料が適切に保管されていなければ、いくら製造工程が完璧でも良い製品は作れません。

今回の事例は、原材料保管の重要性を改めて示すものとなりました。カカオ豆という食品の主原料が、保管環境によって品質が変化してしまうことが明らかになりました。

倉庫管理の基本原則

食品を保管する倉庫では、温度管理、湿度管理に加えて、香りの管理も重要です。

香りの強い食材は他の食材に影響を与える可能性があるため、保管エリアを分けることが基本です。倉庫のレイアウトを計画する際には、どの食材とどの食材を近くに置いて良いか、離すべきかを慎重に検討する必要があります。

改修工事時のリスク管理

倉庫の改修工事は通常とは異なる状況を生み出すため、特別なリスク管理が必要です。工事期間中は保管スペースが制約されるため、普段とは異なる配置になることがあります。

こうした状況下でも品質を守るためには、工事前に詳細な保管計画を立て、品質への影響を評価することが重要です。暫定的な措置であっても、品質管理の原則を守る必要があります。

まとめ

江崎グリコ株式会社は2025年12月8日、チョコレート製品20品目、約600万個を自主回収すると発表しました。対象商品は「ポッキーチョコレート」や「ポッキー極細」など、賞味期限が2026年5月から2026年10月の期間が記載された一部商品です。

回収の理由は、カカオ豆を保管していた物流倉庫で、改修工事の際に暫定的にカカオ豆と香辛料を同一場所で保管したことにより、香辛料の香りがカカオ豆に移ってしまったことです。安全性に問題はないものの、本来の風味と異なるため品質の観点から回収を決定しました。

対象商品をお持ちの方は、インターネットの受付フォームまたは電話で回収を申し込むことができます。宅配業者が商品を引き取りに伺い、後日商品代金相当のQUOカードが送付されます。

江崎グリコは今後、倉庫保管ルールや検査体制を見直すなど、再発防止のための取り組みを進めるとしています。この事例は、食品製造における原材料管理の重要性と、特殊な状況下でも品質管理の原則を守ることの必要性を示すものといえます。

【参考】商品回収に関するお詫びとお知らせ｜江崎グリコ株式会社